ニミッツ級航空母艦
| ニミッツ級航空母艦 | ||
|---|---|---|
| 艦級概観 | ||
| 艦種 | 航空母艦(原子力空母) | |
| 艦名 | 海軍功労者。一番艦はチェスター・ニミッツ元帥に因む。 | |
| 建造期間 | 1968年 - 2006年 | |
| 就役期間 | 1975年 - 就役中 | |
| 建造費 | CVN-69:6億7,900万USドル | |
| CVN-75:45億USドル | ||
| CVN-77:62億USドル | ||
| 前級 | エンタープライズ級航空母艦 | |
| 次級 | ジェラルド・R・フォード級航空母艦 | |
| 性能諸元 | ||
| 排水量 | 軽荷:78,280 t - 80,750 t | |
| 基準:80,000 t以上 | ||
| 満載:95,413 t - 102,000 t以上 | ||
| 全長 | 330 m - 333 m | |
| 全幅 | 船体幅:41 m / 発着甲板幅:76.8 m | |
| 吃水 | 11.3 m - 12.5 m | |
| 機関 | 蒸気タービン,(260,000hp) | |
| A4W原子炉 | 2基 | |
| ボイラー+タービン | ||
| 推進器 | 4軸 | |
| 最大速力 | 30+ノット(56+km/h) | |
| 乗員 | 操艦:3,200名 - 航空団:2,480名 | |
| 兵装 | ファランクスCIWS ※CVN-68、69、76、77以外 |
3基 |
| シースパロー短SAM8連装発射機 | 2基 | |
| RAM近SAM21連装発射機 | 2基 | |
| 搭載機 | CTOL機56機 + ヘリコプター15機 最大90機 |
|
| F-14、F/A-18A-D、F/A-18E/F、A-6、E-2、EA-6B、EA-18G、S-3、C-2、SH-60等 |
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ニミッツ級航空母艦(ニミッツきゅうこうくうぼかん、Nimitz class aircraft carrier)は、アメリカ海軍が開発した世界最初の量産原子力空母の艦級。40年以上の期間をかけて全10隻が建造された。世界最大の軍艦としても知られる。
目次 |
概要[編集]
アメリカ合衆国では1958年度に計画した最初の原子力空母『エンタープライズ』に続き、1960年度には2隻目の原子力空母の建造が議会承認されたが、巨額の建造費を理由にドワイト・アイゼンハワー大統領によって通常動力型に変更された。以来2隻の通常動力型空母を経て、9年ぶりとなる1967年度計画で承認されたのが本級である。
当初ニミッツ級はミッドウェイ級3隻の代替として計画され、2番艦『アイゼンハワー』が1970年度、3番艦『ヴィンソン』が1974年度に計画された。その後600隻艦隊構想によって3隻が追加されることとなり、4番艦『ルーズベルト』が1980年度計画で承認された。以後数年毎の間隔を経て10番艦『ブッシュ』まで建造され、現用空母として最大勢力を誇る一大ファミリーとなり、アメリカ合衆国シーパワーの象徴と呼べる存在になっている。
ネームシップ『ニミッツ』の就役(1975年)から殿艦『ブッシュ』(2009年)まで、33年以上もの間隔が開いており、また45~50年と想定される艦歴[1]を陳腐化することなく全うするため、逐次設計変更や改装が行われている。中でも5番艦『リンカーン』以降は装甲防御の強化を主眼とした大規模な改良によって、軍艦として史上初めて満載排水量10万tを超過した。また、殿艦『ブッシュ』は次級ジェラルド・R・フォード級へのつなぎとして様々な新機軸を採用した。
本級は炉心寿命の問題から就役期間中に原子炉燃料棒の交換が必要とされ、船体を切断しての数年掛かりの大規模な改装工事「RCOH[2]」が逐次実施されている。現在3番艦『ヴィンソン』まで完了し、2013年に『ルーズベルト』が完了の予定だが、近年のアメリカ政府の財政赤字のため計画の遅延が出始めており、改装完了しても出港を延期したり、改修前に契約が出来ずに留め置かれている状況が発生している。
建造並びに大規模改修は、今となってはアメリカでも唯一その能力を保持するニューポート・ニューズ造船所が全てを担当している。
設計[編集]
本級の基本設計は先に建造された『エンタープライズ』を範としつつ、多くの改良が施されている。また前述のように建造・就役期間が長期に亘るため、機会を捉えての改装が逐次施されている。
船体[編集]
上述の通り、前級『エンタープライズ』の改良型である。全長は前級の341mから10m弱短縮されたために「最長の軍艦」とはならなかったが、艦幅の拡大(水線38.5m→40.8m)や吃水の増加(10.8m→11.3m[3])によって排水量では上回った(満載83,350t→95,413t[4])。なお原子力空母である本級は自艦用の燃料を必要としないため、大量の物資を搭載しており、必要に応じて僚艦に補給されることもあるため、これら搭載物資用のスペース確保も排水量増大に一役買っている。また、これらの数値は就役時点のものであり、改修によって逐次変動しているので留意されたい。
『ステニス』以降は構造部材にHSLA-100高張力鋼が採用された。
外観ではアイランドがキティホーク級準拠となり、SPS-32・33フェイズド・アレイ・レーダーを四面に張り巡らせた前級とは大きく印象が異なる(というより前級が異端であった)。ブリッジは3層で構成され、下段を司令部、中段を航海艦橋とし、上段は発着管制に充てられた[5]。アイランド頂部並びに直後には各種電子装備を据え付けるためのマストが設けられている。この構成は近年の改装の機に改められ、ラティス構造の閉囲を経てステルス性を向上させた新型のマストをアイランドと一体化させたものに逐次更新している。
兵装[編集]
本級の固有兵装は個艦防御用に限られる。当初計画ではターターSAM発射機2基とMk 33 50口径3インチ連装両用砲2基4門が考えられていたが、結局以下のようになった。
- シースパロー短SAM
- 1~2番艦は、Mk.25発射機(8連装)計3基を右舷前部と艦尾両舷のスポンソンにそれぞれ配置した。
- 3番艦以降はこれをMk.29発射機に改め、80年代以降の改装で先の2隻も同じく更新した。
- RAM近SAM
- 改装時にファランクスCIWS・シースパロー発射機の一部を置き換え、21連装発射機が逐次搭載されている。
- 20mmファランクスCIWS
- 3~8番艦は新造時より、1~2番艦も改装によって3基乃至4基のファランクスCIWSを装備したが、9~10番艦は装備していない。
- 配置箇所は右舷前部のシースパロー短SAM発射機近傍、左舷前部スポンソン、後部両舷、あるいは艦尾ジェットエンジン整備・試験スペース等である。
- その他
- 一時期、ウェーキ・ホーミング魚雷対策としてMk 32 324mm短魚雷3連装発射管を後部に装備した艦があった。
- テロ対策として、キャット・ウォークにM2 12.7mm重機関銃を配置することがある。[6]
電子兵装[編集]
防御[編集]
本級はアメリカにとって最重要艦種の一つであり、NBC対策を初めとした各種防御も非常に充実しているとされる。
「とされる」というのは、本級の防御構造の詳細が知られていないためであるが、例えば10万tを超えた『ワシントン』の重量増分(『ルーズベルト』から約5,600t増)の多くが装甲重量に割かれたとされることなどからある程度の類推は可能である。
なお、バイタルパートに2.5インチ(64mm)のケブラー装甲が貼られていることは判明している[7]。
機関[編集]
本級最大の特徴の一つである原子炉はA4W加圧水型2基を採用しており、A2W加圧水型8基を搭載した前級から著しく進歩している。これによって4基の蒸気タービン(26万馬力)を回し、30ノット超の最大速力を発揮する[8]。
航空艤装[編集]
- 飛行甲板
- 本級の飛行甲板は全長332.9m、最大幅76.8m、面積は4.5エーカー(1.8ヘクタール)に達する。
- 格納庫
- 全長208.5m、最大幅32.9m。
- エレベータ
- 前級までと同じく外舷側に向けて前側半分程より広げた、変形五角形のサイド・エレベータを右舷アイランド前方2基、後方1基、左舷後方1基の計4基装備する。このエレベータは主翼を折りたたんだままの艦載機2機を同時に載せて昇降することができる。
- カタパルト
- 前級までと同じく艦首2基、アングルド・デッキ上2基の4基を装備した。機種はC-13-1で、キティホーク級が搭載したC-13の改良型である。『リンカーン』以後はさらに改良強化したC-13-2に改められた。
- ブライドル・レトリーバー
- 1番艦『ニミッツ』は前級までと同じく3基を搭載して竣工したが、その後これを不要とする機体が主流となっていったため、2番艦『アイゼンハワー』は艦首右舷側1基のみとした。4番艦『ルーズベルト』以降は全廃している。
- 燃料・弾薬
- キティホーク級は航空燃料(JP-5)5,900t、弾薬1,250tを搭載していたが、ニミッツ級は航空燃料9,000t、弾薬2,000t(2,900t説あり)に増え、航空作戦継戦能力は、キティホーク級11日、『エンタープライズ』12日であるのに対し、ニミッツ級は16日と伸びている。
艦載機[編集]
各種艦載機80~105機程度の搭載・運用が完成時点では想定されていた。しかし全機を格納庫に収容することはできず、一定数は露天繋止の状態であった。
冷戦終結後は艦載機の性能向上でより少ない機数でも同様の任務を遂行できるようになったこと、無理な運用の必要性が薄れたことや機種の統合整理等によって、2013年現在の標準搭載機はCTOL機56機とヘリコプター15機の計71機とされている。
2013年現在
- 対潜ヘリコプター飛行隊×1個(6-8機)
その他[編集]
本級の乗員は諸説あるが合計6,286名、士官439名/下士官兵5,182名、操艦3,200名/航空団2,480名等の数字が各種文献で確認できる。時代や状態によって変動しているが、いずれにせよ5,000名を大きく超える巨大な数字であることは間違いない。
同型艦[編集]
| 艦番号 | 艦名 | 建造所 | 発注 | 起工 | 進水 | 就役 | RCOH | 母港 | 所在 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CVN-68[9] | ニミッツ USS Nimitz |
ニューポート・ニューズ | 1967年 3月31日 |
1968年 6月22日 |
1972年 5月13日 |
1975年 5月3日 |
1998–2001 | ワシントン州 エバレット |
第5艦隊へ派遣中[10] |
| CVN-69 | ドワイト・D・アイゼンハワー USS Dwight D. Eisenhower |
1970年 6月29日 |
1970年 8月15日 |
1975年 10月11日 |
1977年 10月18日 |
2001–2005 | ヴァージニア州 ノーフォーク |
母港へ帰還中 地中海を航行中[11] |
|
| CVN-70 | カール・ヴィンソン USS Carl Vinson |
1974年 4月5日 |
1975年 10月11日 |
1980年 3月15日 |
1982年 3月13日 |
2005–2009 | カリフォルニア州 サンディエゴ |
太平洋[12] | |
| CVN-71 | セオドア・ルーズベルト USS Theodore Roosevelt |
1980年 9月30日 |
1981年 10月31日 |
1984年 10月27日 |
1986年 10月25日 |
2009–2013 | ヴァージニア州 ノーフォーク |
ニューポート・ニューズ停泊中(出港待ち)[13] | |
| CVN-72 | エイブラハム・リンカーン USS Abraham Lincoln |
1982年 12月27日 |
1984年 11月3日 |
1988年 2月13日 |
1989年 11月11日 |
ヴァージニア州 ノーフォーク |
ノーフォーク停泊中(RCOH待ち)[14] | ||
| CVN-73 | ジョージ・ワシントン USS George Washington |
1982年 12月27日 |
1986年 8月25日 |
1990年 7月21日 |
1992年 7月4日 |
横須賀海軍基地 | 横須賀ドック中[15] | ||
| CVN-74 | ジョン・C・ステニス USS John C. Stennis |
不明 | 1991年 3月13日 |
1993年 11月11日 |
1995年 12月9日 |
ワシントン州 ブレマートン |
ブレマートン帰港[16] | ||
| CVN-75 | ハリー・S・トルーマン USS Harry S. Truman |
1988年 6月30日 |
1993年 11月29日 |
1996年 9月7日 |
1998年 7月25日 |
ヴァージニア州 ノーフォーク |
北大西洋[17] | ||
| CVN-76 | ロナルド・レーガン USS Ronald Reagan |
1994年 12月8日 |
1998年 2月12日 |
2001年 3月4日 |
2003年 7月12日 |
カリフォルニア州 サンディエゴ |
サンディエゴ帰港[18] | ||
| CVN-77 | ジョージ・H・W・ブッシュ USS George H. W. Bush |
2001年 1月26日 |
2003年 9月6日 |
2006年 10月9日 |
2009年 1月10日 |
ヴァージニア州 ノーフォーク |
ノーフォーク帰港[19] |
特記事項[編集]
- 8番艦『トルーマン』は、当初『ユナイテッド・ステーツ』と命名される予定だった。
- 2008年9月より、『ワシントン』が日本・横須賀基地を母港としている。同艦はアメリカ国防予算縮減の影響により、RCOHに入ることなく早期退役させる案が取りざたされている(2011年現在)。
- 前述の通り、『ブッシュ』は以下のような種々の新機軸を採用している。当初の構想ではほぼ別級と言えるほどに艦容が変貌するはずであったが、次級フォード級の設計が比較的保守的なものに落ち着いたことや建造費抑制等の理由から、外見上は小改正に留まることとなった。
- ステルス・マストと一体化したアイランド(既存艦にも逐次導入中)
- 新型多機能レーダー・システム
- ボリューム探索レーダー
- オープン・アーキテクチャ情報ネットワーク
- 乗組員数の削減
登場作品[編集]
ニミッツ級は現代アメリカ海軍を象徴する、ひいては現用空母を象徴する存在であり、数多くの媒体に露出している。
- 映画
- 1980年。アメリカ海軍の全面協力の下1979年当時の「ニミッツ」がCVW-8と共に出演。
- 『エネミー・ライン』
- 2001年。主人公が搭乗するF/A-18Fの母艦として「カール・ヴィンソン」が登場。
- 『ステルス』
- 2005年。「エイブラハム・リンカーン」がステルス機の母艦として登場。ストーリー上では「リンカーン」だが、スケジュールの関係で後半部分は「カール・ヴィンソン」や「ニミッツ」で撮影された。
- 2009年。「セオドア・ルーズベルト」と「ジョン・C・ステニス」が登場。「ルーズベルト」はディセプティコンの攻撃を受け沈没。ただし沈没シーンで空母のコードナンバーが74になっており、これは「ジョン・C・ステニス」の番号である。
- 『バトルシップ』
- 2012年。「ロナルド・レーガン」が登場。リムパック演習に各国の軍艦で構成されたリムパック艦隊の旗艦として参加。主人公のホッパー大尉の恋人の父親で艦隊司令官でもあるシェーン提督が座乗する。エイリアンのバリアによってホッパー大尉らの救援に向かえずバリアの外で待機していたが、戦艦「ミズーリ」の砲撃でバリア発生装置が破壊され中に入れるようになるとすぐさま艦載機を発艦させ彼らの窮地を救った。
- 漫画・アニメ
- 1987年。ニミッツ級をモデルにした空母「アクアポリス」と「イースヨー」が登場。
- 『沈黙の艦隊』
- 1988年~1996年。カール・ヴィンソン、エイブラハム・リンカーン、セオドア・ルーズベルトが登場。
- 1995年。国連軍所属という設定のニミッツ級架空空母8番艦「オーバー・ザ・レインボウ」が登場する。なおこの艦の米海軍時代の名は「ユナイテッド・ステイツ」であるという設定がある。
- 『マクロス ゼロ』
- 2002年。地球統合軍所属という設定のニミッツ級後期型架空空母「イラストリア」が第1話に登場する。
- 2013年。オープニング等に6番艦ジョージ・ワシントンが登場する。
- ゲーム
- 2004年。ニミッツ級をモデルにした空母「ケストレル」が登場。
参考文献[編集]
- 『〈新版〉アメリカ航空母艦史』(海人社)
- 『航空母艦全史』(海人社)
- 『世界の海軍 2011-2012』(海人社)
- 『U.S.Aircraft Carriers』(Naval Institute Press)
脚注[編集]
- ^ 『アメリカ合衆国会計検査院1998年 通常動力と原子力の空母のコスト比較』より
- ^ RCOH=Refueling and Complex OverHaul(炉心交換工事)
- ^ 『ルーズベルト』11.8m、『リンカーン』以降11.9m。『ブッシュ』は12.1m。
- ^ 『ルーズベルト』96,386t、『リンカーン』以降102,000t。
- ^ そのため、上段の窓は飛行甲板を見渡せる左舷側にのみ開けられている。
- ^ 員数外の装備であり、カタログデータに反映されない。
- ^ 『Aircraft carriers: an illustrated history of their impact』(ABC-CLIO Ltd.)より。
- ^ 非公式には公試で31.5ノットを発揮したとされる。
- ^ 1975年6月30日、原子力攻撃空母(CVAN)から原子力空母(CVN)に艦種変更された。
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ [3]
- ^ [4]
- ^ [5]
- ^ [6]
- ^ [7]
- ^ [8]
- ^ [9]
- ^ [10]
外部リンク[編集]
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