M240機関銃

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M240機関銃
M240-1.jpg
M240B
M240機関銃
種類 軍用機関銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 FNハースタル(設計・製造)
USオーディナンス(製造)
仕様
種別 汎用機関銃
口径 7.62mm
銃身長 627mm
使用弾薬 7.62x51mm NATO弾
装弾数 ベルト給弾式
作動方式 ガス圧利用(ロングストロークピストン式)、ティルティングボルト、オープンボルト
全長 1,245mm
重量 12,500g
発射速度 650-950発/分
銃口初速 905m/秒
有効射程 800m(二脚
1,800m(三脚
3,725m(最大射程)
歴史
設計年 1958年
製造期間 1977年-
配備期間 1977年-
配備先 アメリカ軍
関連戦争・紛争 湾岸戦争
イラク戦争
アフガニスタン紛争
バリエーション M240B
M240C
M240D
M240LW
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M240機関銃(M240きかんじゅう、M240 Medium Machine Gun)は、アメリカ軍で使用されている、7.62x51mm NATO弾を使用する中量級の汎用機関銃である。

概要[編集]

基本的にはNATO加盟国軍が採用しているFN MAGアメリカ軍向けに改修設計したもので、他の機関銃と違い、まず同軸機銃として採用され、後に歩兵用に採用されたという経緯を持っている。

1970年代から使用され始め、歩兵部隊、戦車の同軸機銃、車輌・ヘリコプター・舟艇への搭載用まで幅広く運用されている。中量級の機関銃としてはもっとも軽く、高い信頼性を持っている。また、結果的にNATO諸国との火器の標準化を果たしたこととなり、これらの点が高く評価されている。

M240の制式名はシリーズ全体を識別するために割り振られている。しかし、この他にも特殊モデルや同軸機銃モデルが存在する。多数の派生形が運用に就いているが、大まかには次のように分類される。

M240
1977年陸軍が戦車の同軸機銃として採用した。このバージョンはFN MAGの改修型であり、それまでのM60E2M73A1(M219)などの従来の同軸機銃(MG3AA-52の同軸機銃バージョンも含む)を置き換えた。1980年代にはM1エイブラムス戦車の同軸機銃として採用された。
M240E1
1980年代に海兵隊装甲車搭載機銃として採用した。ピストルグリップにかわりスペードグリップを持ち、銃床は装着されない。
M240B
1991年から陸軍が地上戦用として配備し始めたバージョン。反動吸収バッファと前部過熱ガード(ヒートシールド)を装備している。M60を始めとする他の軽機関銃を置き換えるために採用された。
M240G
1994年にM60に代わり海兵隊が採用し始めたバージョンで、歩兵が携行する他、車輌搭載用としても採用された。

すべてのモデルは、射撃直後に自動分解する金属製M13 リンクにより7.62x51mm NATO弾(通常弾、曳光弾徹甲弾など)を給弾する方式となっている。これらの派生形は全て機関部が共通となっており、重要パーツすら他のモデルやNATO加盟国のFN MAG(またはその派生形)と交換が可能になっている。これらのモデルとM240の主要な相違点は、重量と若干の特徴(反動吸収バッファなど)である。製造は、武器に関して長い歴史を持つFN社の、アメリカ子会社で行われている。

歴史と設計[編集]

対潜ヘリ飛行隊HS-8のSH-60F シーホーク搭載M240Dで射撃訓練を行うアメリカ海軍の兵士(2003年)

M240は、アメリカ軍のための汎用機関銃として選ばれ、サウスカロライナ州コロンビアにあるFN Manufacturingで製造されている。異なる役割のために多数の派生形が運用されているが、特に戦車同軸機銃として使われているM60機関銃が減耗して使用できなくなり次第、順次M240に交換されていった。

M240は、ベルト給弾式・ガス圧利用式・空冷式・ヘッドスペース固定式の機関銃である。用途により二脚、またはM122A1三脚で運用されるか、あるいは車輌の同軸機銃・搭載機銃、ヘリコプター用のドアガン、舟艇用の搭載機銃として使用される。しかしながら、未だにM60が車輌搭載機銃・ヘリコプター用ドアガンとして残っている。

1977年陸軍により戦車の同軸機銃として初めて使用され、以来ゆるやかに1980年代-1990年代にかけて各種用途に採用されてきた。以後、陸軍と海兵隊歩兵部隊のために汎用機関銃として採用され、これらの実績がさらに用途を広げることとなった。どのような用途に対しても、機関部の基本的な機構は同一であるため、従来の各種機関銃、特にM60に比べてメンテナンスや部品交換に融通が利くこともこの傾向を後押しした。M240はM60よりはるかに複雑なガス反動システムを持つが、より少ないメンテナンス間隔でより高い信頼性を確保している。

他の機関銃と比較して重いこともあり、動作不良発生平均間隔弾数(MRBF:Mean Rounds Between Failure)が26,000発と、古い設計の重機関銃と同程度の信頼性があると実証されている。

M240とM60、およびいくつかのM249軽機関銃は、開発中の新軽機関銃(JSSAP/PMSW)に置き換えられる予定である。同様にFN社の製品であるSOCOM用途の新7.62mm機関銃Mk48機関銃英語版(M249を大口径にして全体を小型にした派生形)は、2006年から特殊部隊で採用され始めている。

初期の歴史[編集]

試験と派生[編集]

M240の採用にあたっては、1960年代後期-1970年代初期にわたって検討された7.62mm同軸機銃(およびM85 50口径(12.7mm)同軸機銃)更新プロジェクトが発端となっている。この計画は1980年代から運用する同軸機銃を選定することが主目的であったが、同時に歩兵用途・車輌搭載用途としても転用できるように考慮したものであった。さらに1990年代-2000年代にかけて、別の用途にも応用できるように見越してあった。

この計画が進行している間、1970年代に陸軍装甲車・車輌搭載用の新しい7.62mm機関銃を探していた。1950年代M73はトラブルが多く、これを元に開発されたM73E1・M219は大して改善されなかった。このため、他国のいくつかの機関銃を採用することも検討され、最終的にはM60E2FN MAGに絞られた。M219を含め、これらは大規模な射撃試験にかけられた。

採用経緯から、特に二つの重要な要因が重点的に試験された。

  • 射撃停止発生平均間隔弾数 MRBS(Mean Rounds Between Stoppages、数分以内に解決するジャム)
  • 動作不良発生平均間隔弾数 MRBF(Mean Rounds Between Failure、例えば部品の破損)

この試験の評価結果は下記の通り。

形式 発射弾数 MRBS MRBF
FN MAG 58 50,000 2,962 6,442
M60E2 50,000 846 1,669
M219 19,000 215 1,090
基準最低値   850 2,675
要求最低値   1,750 5,500

注意すべき点は、このリザルトは1970年代に製造されたものの試験結果であるということである。M240自体もFN MAGに対して幾分かの改良を施され、M60E2も同軸機銃版に特化された。M60の性能は派生形により異なり、改良された派生形、例えばM60E4M60Cでは結果が異なることが予想される。

テストの結果、FN MAGのみが完全に要求を満たし、満足できる結果を出して陸軍のコンペに勝利し、1977年に「M240」という名称で制式化された。1980年代の間に同軸機銃と車輌搭載用機銃を置き換えた。後に歩兵部隊用にM240B・M240Gとして採用された。1991年から陸軍の作戦で運用され、また、海兵隊においては摩耗したM60E3を置き換えるために配備された。ただし、必ずしもM60のすべての用途をM240が置き換えるという訳ではない。

派生形[編集]

M240の元となった7.62x51mm NATO弾使用のFN MAGは、MAG 58などの異名を持つ。アメリカで製造されたM240とその派生形はMAG 58と基本的に同じ性能を持ち、内部機構も同一であるため、NATO加盟国間で消耗品や交換部品を相互に使うことができる。これは、訓練・兵站・戦術的な融通・共同作戦を行うにあたって重要な利点となる。例えば、車輌が攻撃を受けるか行動不能に陥り、車輌を放棄せざるを得なくなった場合、持ち運んで使用することができるように、車輌にM240Bの予備の銃床二脚を搭載しておくといったことが可能となる。

M240[編集]

1977年に基本型として陸軍により採用された同軸機銃で、1980年代を通してM73及びM219 7.62mm同軸機銃とM85 12.7mm同軸機銃を置き換えた。海兵隊はまずM240M240E1LAV-25装甲車の同軸機銃として搭載した。同軸機銃・搭載機銃用の派生モデルにM240Cがある。

M240B / M240E4[編集]

イラクでM240Bを連射するアメリカ海軍建設大隊兵士(2004年4月)

M240Bは、陸軍における標準的な中量級機関銃であり、地上戦に使用される。しばしば「240ブラボー(240 Bravo)」と呼ばれる。

旧式のM60機関銃を置き換えるため、1991年に行われた陸軍の新歩兵部隊用機関銃コンペにおいて、M60E4(海軍名 Mk 43)と競い、1991年にM240Bとして制式採用された。このことは、1,000挺近い既存のM240基本型を、オーバーホールを行った上で地上戦用改修キット(銃床ピカティニー・レール含む)を取り付けるためにFN社に送ることに結びついた。さらに、1990年後半に新しいM240Bを調達する契約に結びついた。ただし、後期に調達されたものは、M60にも採り入れ居られた油圧式反動バッファの取り付けが行われている。M240Bは信頼性においてM60を凌駕したが、M60E4よりも2.5kg重いため、前述の通り新しい軽量機関銃が計画されている。陸軍のM240からM240Bへの改修と、海兵隊の多数のM240/M240E1からM240Gへの改修とは混同されやすいが、別のものである。

M240C[編集]

M240Cは、M240同軸機銃を逆側(左側)から給弾するようにしたバージョンである。

M240D / M240E1[編集]

アメリカ海兵隊LAV-25装甲車、M240同軸機銃とは別に、砲塔にM240E1を搭載している

M240Dは、2通りの使用法を想定している。航空機搭載用と車載機銃用である。航空機版に用意されたM240Dは、前部照準と後部照準、引き金まわりがスペードグリップ仕様(銃床の代わりにハンドルと引き金が付いている)になっている。車載機銃版は「歩兵携行キット Infantry modification kit」が用意され、車輌が行動不能になった際に、機銃を取り下ろしキットを装着することで携行し、脱出時・緊急時の火力を上げられるように設計されている。

M240DそのものはM240E1の改修版で、主に機関部カバーへのピカティニー・レールの取り付けが特徴になっている。M240DとM240E1はスペードグリップにより、柔軟な運用ができる。

M240G[編集]

沖縄キャンプ・ハンセン三脚装着のM240Gを使用して射撃訓練を行うアメリカ海兵隊の兵士

M240Gは、アメリカ海兵隊が採用したM240の派生形の一つであり、しばしば「240ゴルフ(240 Golf)」と呼ばれる。海兵隊ではM60E3をM240Gで置き換えている。海兵隊でのM240Gの運用は、歩兵用、車載用、ヘリ搭載用と、幅広い。

M240G自体は、車載機銃として最初に採用されたオリジナルのM240/M240E1同軸機銃と同一設計である。M240G付属の「歩兵携行キット」は、フラッシュハイダー、前部照準、銃身用キャリングハンドル、銃床、歩兵型ピストルグリップ、二脚、後部照準ASSY)からなる。これらを全て装着しても、M240Bよりも1kgほど軽くなる。

  • 製造者:FNマニュファクチュアリング(FN社のアメリカ子会社)
  • 全長:1,246.6mm
  • 重量:11.6kg
  • 口径:7.62mm
  • 最大有効射程:1,800m(三脚使用時)
  • 最大射程:3,725m
  • 発射速度
    • 間欠的:650-950発/分(調整可能)
    • 急速射撃:200発/分
    • 持続射撃:100発/分
  • 調達価格:6,600ドル

M240E5 / M240H[編集]

M240Hは、M240Dの改修型であり、しばしば「240ホテル(240 Hotel)」と呼ばれる。機関部にピカティニー・レールを取り付け、また、予めフラッシュハイダーが取り付けられているため、歩兵携行キットの取り付けが簡単になっている。

M240E6[編集]

M240E6は、現在テスト中の次世代バージョンである。基本的な歩兵用モデルのうち、特に問題になっている重さの問題を解決するために、機関部にチタン合金を使用して軽量化を図っている。

操作方法[編集]

発射手順[編集]

発射可能にするには、まず装填ハンドルを手前に引いて遊底(ボルト)を後部に固定し、武器を安全な場所に置いた後で装填ハンドルを前に押し出す。その後で給弾カバーを開き、給弾トレイに弾薬ベルトを載せる。給弾カバーを閉じれば発射可能となる。

射撃が終わったあと、携行のため武器をクリアにするためには、遊底を後部に固定し、武器を安全な場所に置く。給弾カバーを開け、もし給弾ベルトが残っていれば給弾トレイから外し、弾薬が薬室に残っていないかどうか、給弾トレイと遊底の前面を目視で確認する。トレイ上に給弾リンクや空薬莢が残っていれば撤去する。

もし不幸にも遊底の先端に実包が見えた場合は、清掃用ロッドか堅いものでゆっくり叩きながら実包を取り外す。もし薬室に実包が残っている場合、かつ、銃身が加熱している場合には、射手はすぐに銃から離れ、実包を取り出すことができるかどうか検討しなければならない。銃身がじゅうぶんに冷えるのを待ってから実包を取り外す。この手順を省き、給弾カバーを開けたまま銃身を交換しようとすれば、弾薬がすぐに撃発する原因となり得る。

実包を取り除き安全にしたあと、一度引き金を引いてから、装填ハンドルを手前に引く。これで、この武器は安全な状態となる。

これらの手順は、確認漏れの場合などに実弾発射の原因となるので、銃身が安全な方向を向いている状態で作業しなければならない。

発射速度の変更[編集]

発射速度は3段階に調整できる。初期設定では750発/分となっている。他の二つの設定は100発/分と、850-950発/分である。これらの設定は、まず銃身を取り外し、ガス調整弁を取り外し、レギュレータを回すことで変更可能である。作戦中に設定を変更することは望ましくないので、作戦実行前に調整すべきである。

銃身の交換方法[編集]

銃身は非常に素早く交換できる。武器の左側に銃身交換ボタンがあり、武器をクリアにした後、交換ボタンを押す。銃身は機関部から外れ、中程から右側に動く。ここでボタンを離し、機関部から外れた銃身を、キャリングハンドルを使って手前に引き抜く(キャリングハンドルは銃身に直接付いている)。次に新しい銃身を差し込んで機関部にセットし、キャリングハンドルを右に倒して定位置にロックする。

発砲が長時間に及んだ場合、むき出しの皮膚と銃身が触れないように気をつけなければならない。銃身は熱くないように見えても、第二度のやけどを起こすのに十分な熱をもっていることがある。このような銃身は、暗視装置で見た場合に誰にでも明るく輝いて見える。

実戦報告[編集]

アフガニスタンの検問所で待機する海兵隊の兵士、2005年5月

2002年4月にナティック兵士センター(Natick Soldier Center)は、アフガニスタンでのアナコンダ作戦en)でM240Bを使用した兵士から聴き取った結果を、次のように報告している。

実戦から得られたM240Bの戦訓

  • 17%の兵士が、装備していたM240Bで敵と交戦した。
  • 42%の兵士は、アフガニスタンにおける部品調達(交換用銃身、ばね、小さいロールピン、T&Eピン、熱シールド、減耗したピン、予備銃身バッグ、清掃キット)が困難であるという問題を報告した。
  • 1名の兵士は戦闘中に二重給弾が発生したと報告した。
  • 50%の兵士は、弾薬を運ぶより良い方法(弾薬バッグなど)が必要であると報告した。
  • 100%の兵士は、彼らの武器に自信を持っていた。
  • 82%の兵士は、M240Bが信頼できる武器であると感じていた。
  • 提案事項:スリング(吊りひも)の改善、軽量化、より耐久性の高い三脚と熱シールドが必要。

アメリカ陸軍下士官たちが作った弾薬携行・補給弾システムにアイアンマン・システム[1]がある。7.62mm弾を500発収納でき、M240に給弾する。MOLLEシステム(またはPouch Attachment Ladder System)のフレームやバックパックなどを使う。アフガニスタンで実験的に使用された。

登場作品[編集]

備考[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]