アスロック

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RUR-5 アスロック
ASROC launcher USS Columbus 1962.jpg
Mk 112八連装ランチャー後部。発射は反対側から行われる。ランチャー下に運搬用キャニスターが置かれている
種類 スタンドオフ対潜ミサイル
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計  アメリカ海軍
性能諸元
ミサイル直径 422mm
ミサイル全長 4.5m
ミサイル重量 488kg
弾頭 Mk.44
Mk.46
73式短魚雷
W44核弾頭
射程 11km
誘導方式 慣性誘導
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アスロックAnti Submarine ROCket、ASROC)は、アメリカ合衆国が開発した艦載用対潜ミサイル(SUM)

1961年から配備が開始され、現在までにアメリカ海軍だけで200隻以上の水上艦が搭載している。 その優秀な性能からアメリカ海軍だけでなく海上自衛隊ドイツ海軍などNATO諸国海軍、台湾海軍韓国海軍など多くの海軍が運用する。

概要[編集]

アスロックの弾体は短魚雷(あるいは核爆雷)の後方に飛翔用ロケットを取り付けた構造となっており、発射後、約マッハ1の速度で目標方向へ放物線状に飛翔する。目標の手前空中でロケットモーター部分が切り離され、短魚雷に接続されたパラシュートで減速落下しつつ海面に着水、パラシュートはその衝撃で切り離される。その後、短魚雷は目標を自動追尾し攻撃する。空中を飛翔するため、同型の魚雷を魚雷発射管から発射し水中を航走させるのに比べて射程距離が大きく伸び、到達時間も短縮される。射程距離は約4,000-12,000ヤード。射撃管制は水中攻撃指揮装置(UBFCS)によって行われる。

アスロックでは核爆雷の運用も行える。核爆雷は無誘導であり、設定された深度まで急速に沈降後、核爆発を起こす。この核弾頭アスロックは1961年から1962年にかけて行われた核実験において爆発試験を行っており、1963年以降は、部分的核実験禁止条約のため、爆発試験は行われていない。当然のことながら、実戦でも使用されたことは無い。核弾頭としては、W44が用いられており、これは1989年まで配備されていた。

Mk.112八連装ランチャー

当初より、アスロックの運用にはMk 16 GMLS(Guided Missile Launching System)発射機が用いられてきた。これが世界中で標準的に用いられてきたため、単にアスロック・ランチャーとも呼ばれている。Mk 16 GMLSは、8連装のMk 112発射機と再装填システム(旧式艦・小型艦では省略)などで構成されており、Mk 112は、その外見からペパー・ボックス(Pepper Box)と通称される。また、テリアミサイル・システムのMk 10 GMLSや、バージニア級原子力ミサイル巡洋艦キッド級ミサイル駆逐艦タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(初期建造艦)のMk 26 GMLSにおいても運用される。 ノックス級フリゲートに搭載されたMk 16 GMLSでは、2発分をハープーン艦対艦ミサイルの搭載に充てていた。

その後、Mk 41VLSから発射されるVLA(Vertical Launch ASROC)と呼ばれるタイプが開発され、VLS搭載改修を受けたスプルーアンス級駆逐艦アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦などで運用されている。

海上自衛隊ではやまぐも型以降の護衛艦に対し、Mk 16 GMLSを国内でライセンス生産した74式アスロックランチャーを装備していたが、こんごう型以降は、Mk.41 VLSよりVLAを運用している。



運用国と装備艦艇[編集]

 アメリカ海軍

Naval Ensign of Japan.svg 海上自衛隊

 イタリア海軍

 エジプト海軍

  • ダミアット級フリゲート(旧米海軍ノックス級)

 カナダ海軍

 ギリシャ海軍

  • テミストクレス級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)
  • キモン級駆逐艦(旧米海軍チャールズ・F・アダムズ級)
  • イピルス級フリゲート(旧米海軍ノックス級)

 スペイン海軍

 タイ海軍

  • プッタヨートファーチュラーローク級フリゲート(旧米海軍ノックス級)

 韓国海軍

  • 忠北級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)

 台湾海軍

  • 富陽級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)
  • 済陽級フリゲート(旧米海軍ノックス級)
  • 基隆級駆逐艦(旧米海軍キッド級)

 ドイツ海軍

 トルコ海軍

  • ユジェテペ級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)
  • アルチテペ級駆逐艦(旧米海軍カーペンター級)
  • テペ級フリゲート(旧米海軍ノックス級)

 パキスタン海軍

  • アラムジル級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)
  • カイバル級フリゲート(旧米海軍ブルック級)
  • サイーフ級フリゲート(旧米海軍ガーシア級)

 ブラジル海軍

  • マルシーリオ・ジーアス級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)
  • パラ級フリゲート(旧米海軍ガーシア級)

 メキシコ海軍

  • ケツァルコアトル級駆逐艦(旧米海軍ギアリング級)
  • ブラヴォー級フリゲート(旧米海軍ブロンシュタイン級)
  • アレンデ級フリゲート(旧米海軍ノックス級)



VLA[編集]

RUM-139 VL-ASROC
VLAlaunch.jpg
VLSから発射されるVL-ASROC
種類 艦対潜ミサイル
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
製造 ロッキード・マーティン
性能諸元
ミサイル全長 4.5m
射程 22km
誘導方式 慣性誘導
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RUM-139 VL-ASROC(VLA)はASROCの派生系である対潜ミサイルである。開発・製造はロッキード・マーティン

1983年、アメリカ海軍は当時は最新鋭の装備だったMk 41 VLSから発射できる艦対潜ミサイルの開発をグッドイヤーの軍事部門であるグッドイヤーエアロスペースと契約したことからこのミサイルの開発は始まる。VL-ASROCの開発は多くの延期が繰り返され、1993年までこのミサイルを装備する艦艇は存在しなかった。また、開発中の1986年にグッドイヤーがローラルに買収され、1995年にその軍事部門がロッキード・マーティンに分離・転売されるという事態も起きた。

RUR-5 ASROCに対し固体燃料ブースターと電子誘導システムに改良を施すことで開発当初の要求を満たした。VLSから発射されたこのミサイルは目標付近まで飛翔の後ロケットモーターを切り離し、弾頭のMk.46 Mod.5A短魚雷をパラシュートで海面に着水させる。という概ね改良前のASROCと同じプロセスで目標へ魚雷を投射する。1996年はじめにさらに新しいRUM-139Aが配備され、その後にMk.46 Mod.5A(SW)短魚雷を搭載するRUM-139Bに置き換えられた。弾頭の魚雷はMk.46のままであり、Mk.50魚雷への更新は提案されたが実現しなかった[1]。最新型のRUM-139Cは2004年には生産に入っており、Mk.54短魚雷が搭載されている。

この垂直発射ミサイルが運用されるようになったのは1993年のことだが、それから2007年までの間に450発以上が生産された。このミサイルは全長4.5mで、射程距離はおよそ11.8海里(22km)である。

運用国と装備艦艇[編集]

 アメリカ海軍

Naval Ensign of Japan.svg 海上自衛隊

登場作品[編集]

映画
クライマックスシーンで、実際の艦長じきじきの漂々としたアスロック発射命令のシーンがある。
海中に潜ったゴジラを攻撃したときに使用されていた。
海中のソビエト潜水艦との追跡劇。ごく初期のアスロックが登場。ブリッジのアスロック操作パネルも再現。
漫画・アニメ
アメリカ海軍が「やまと」に対し使用する。
タイムスリップ後間もなく、アメリカ海軍のガトー級潜水艦の魚雷攻撃に動転した砲雷科の米倉一尉が独断で発射してしまう。
第7話でブリタニア軍の戦闘艦が黒の騎士団に対して使用。弾頭は魚雷ではなく、爆雷を使用していた。
新国連艦隊に所属するイージス護衛艦ステルス巡洋艦が使用する。4本の魚雷を投下する多弾頭式。
小説
主人公の一人の乗艦であるファリス(FF-1094)大西洋での船団護衛作戦中、ソ連海軍潜水艦に対して数度に渡って使用し、たびたび戦果をあげる。

脚注[編集]

  1. ^ 野木恵一「アメリカ海軍の艦載兵器」、『世界の艦船』、海人社、2006年1月、 158-163頁。

関連項目[編集]

海上自衛隊で運用されている対潜ミサイル。防衛省技術研究本部では『新アスロック』として開発された。
韓国海軍で運用されている対潜ミサイル。

外部リンク[編集]