リーヒ級ミサイル巡洋艦

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リーヒ級ミサイル巡洋艦
USS Leahy (CG-16)
艦級概観
艦種 1975年以前: ミサイル・フリゲート(DLG: ミサイル嚮導駆逐艦
1975年以後: ミサイル巡洋艦(CG)
艦名 海軍功労者。一番艦はウィリアム・リーヒ元帥に因む。
建造期間 1959年 - 1962年
就役期間 1962年 - 1995年
前級 ファラガット級駆逐艦
次級 ベインブリッジ級原子力ミサイル巡洋艦
性能諸元
排水量 基準:5,912 t
満載:7,800 t
全長 162.5 m
全幅 16.6 m
吃水 7.6 m
機関 水管ボイラー
(84.5kgf/cm², 510℃)
4缶
蒸気タービン
(42,500 shp/31.7 MW)
2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大 32kt
航続距離 8,000nmi / 20kt
乗員 377名
兵装 Mk.33 3インチ連装速射砲
※後日撤去
2基
Mk.15 20mmCIWS
※後日装備
2基
Mk.10 連装ミサイル発射機
テリア SAM
スタンダードER SAM
を発射可能
2基
Mk.141 4連装ミサイル発射筒
ハープーンSSM用)
※Mk 33撤去跡に装備
2基
Mk.16 8連装ミサイル発射機
アスロックSUM用)
1基
Mk.32 3連装短魚雷発射管 2基
C4I NTDS (NTDS+リンク 11 / 14)
※後日装備
WDS Mk.7/11
※後にMk 14に改修
Mk.76 ミサイルFCS (SAM用) 2基
Mk.111 水中FCS
レーダー AN/SPS-39 3次元
※後にAN/SPS-48に改装
1基
AN/SPS-43 対空捜索用
※後にAN/SPS-49に改装
1基
AN/SPG-55 ミサイルFC用
※Mk.76 FCSのサブシステム
4基
AN/SPS-10 対水上捜索用
※後にAN/SPS-67に改装
1基
ソナー AN/SQS-23 船首装備式 1基
電子戦
対抗手段
AN/SLQ-32(V)3電波探知妨害装置
Mk 36 SRBOC チャフフレア展開装置
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置

リーヒ級ミサイル巡洋艦(リーヒ級ミサイルじゅうんようかん、英語: Leahy-class guided missile cruisers)は、アメリカ海軍ミサイル巡洋艦の艦級。当初ミサイル・フリゲート(DLG)として分類されたが、1975年のフリゲートの分類変更でミサイル巡洋艦 (CG) に再分類された。これにより、本級は、アメリカ海軍史上最小のミサイル巡洋艦となった[1]

来歴[編集]

アメリカ海軍では、1956年1957年度計画において、第1世代のテリア艦隊防空ミサイル・システム搭載ミサイル・フリゲート(DLG; ミサイル嚮導駆逐艦)としてファラガット級を計10隻整備した。同級は有力な広域防空能力を有するものと評されたことから、続く1958年度計画において、艦対空ミサイル火力および航続力を増強した第2世代DLGの建造が計画された。これによって建造されたのが本級である[2]

設計[編集]

開発に当たっては、アメリカ海軍初の嚮導駆逐艦であった「ノーフォーク」 (DL-1)を発展させた設計と、まったく新しい長船首楼船型の設計が検討されたが、コストと安定性が評価されて、後者の設計が採用された。艦首側のMk.10 GMLSを波浪から守るため、艦首にはハリケーン・バウ構造が採用され、顕著なナックルが設けられている[3]

主機関は、第1世代DLGであるファラガット級のものが踏襲された[4]。同級においては、ミッチャー級以来の蒸気圧力1,200 psi (84 kgf/cm²)、温度510℃の高圧高温ボイラー(いわゆるTwelve Hundred Pounder)が踏襲されていた。また蒸気タービンとしても、高・中圧タービンと低圧・後進タービンの2車室を備えた2胴式・2段減速のギヤード・タービンが引き続き採用された。ボイラー2缶とタービン1基をセットにして、両舷2軸を駆動するため2組を搭載しており、機関配置としては、艦首側から前部缶室・前部機械室・後部缶室・後部機械室が並ぶシフト配置とされていた[5]

装備[編集]

本級は、機動部隊の一員として、対空・対水上・対潜の任務を遂行できる多任務艦として開発された[3]。また本級は、アメリカ海軍のフリゲート(DL)としては唯一、対水上打撃戦任務の艦砲をもたない艦級であった[4]

本級は、防空火力としてテリア・システムを装備している。その発射機であるMk.10 GMLSは艦の前後に2基が配置されているが、このようなダブル・エンダーの武装配置は、本級で初めて採用されたものであった。発射機の背後には、それぞれ主甲板下に4層分の高さを確保して、3シリンダー(各20発)式の発射システムが設けられた。4層のうち、最上層が組立・装填区画、下3層が弾庫とされており、弾庫から上層に輸送されたミサイルは組立・装填区画でフィンの装着など最終組立措置を受けたうえで、ミサイル発射機のレールに向けて送り出される[6]

また、対潜火力としては、中射程のアスロック対潜ミサイル、短射程の324mm短魚雷が装備され、これらを指揮するため、低周波・大出力のAN/SQS-23ソナーとMk.111水中攻撃指揮装置(UBFCS)が搭載された。

1967年から1972年にかけて、全艦が海軍戦術情報システム(NTDS)を搭載したが、当時のコンピュータはかなり大型であり、艦の主要部がこれらの電子機器によって占拠されることになってしまった[6]

NTU改修[編集]

本級の全ての艦は、1980年末にNTU改修を受けることとなった。主な改装内容は下記のとおりである[3]

艦の近代化は1967年から72年にかけて行われ、防空能力の向上が図られた。ほとんどの艦がバス鉄工所で改修されたが、リーヒはフィラデルフィア海軍造船所で改修され、その費用は3,610万ドルに上った[7]。改修の費用は高価なものであったが、改修後はそれほど長く任務に就くことはなかった。たとえば、グリッドレイは1991年に5,500万ドルをかけて改修されたが、1994年前半に退役している。

配備[編集]

最初の3隻はバス鉄工所で建造された。続く2隻はニューヨーク造船所で建造され、残る艦はトッド・パシフィック造船所サンフランシスコ海軍造船所ピュージェット・サウンド海軍造船所で建造された。

ベインブリッジ (USS Bainbridge, CGN-25) は動力が原子力推進である以外はリーヒ級と同一であった。また、本級はミサイル・システムをダブル・エンダーに装備するためにQH-50 DASHなどの航空装備を搭載することが難しいなど、全般に発展余裕が少なかったことから、続いて建造された通常推進の嚮導駆逐艦であるベルナップ級では、テリア・システムは艦首側に1セットのみを搭載し、後甲板にはMk 42 5インチ砲QH-50 DASH(のちにSH-2 LAMPS Mk.1)を搭載するように変更された。

1990年代前半に全艦が退役、除籍され、廃棄のため海事局に移管された。9隻の内2隻が国防予備船隊の一部としてカリフォルニア州サスーン湾に係留されている(写真 Google マップ)。

同型艦一覧
艦番号 艦名 建造所 起工 就役 退役 その後 リンク
CG-16 リーヒ
USS Leahy
バス鉄工所 1959年12月 1962年8月 1993年10月 2005年7月6日
スクラップとして解体
[1]
CG-17 ハリー・E・ヤーネル
USS Harry E. Yarnell
1960年5月 1963年2月 1993年10月 2002年4月17日
スクラップとして解体
[2]
CG-18 ウォーデン
USS Worden
1961年9月 1963年8月 1993年10月 2000年6月17日
艦隊演習で海没処分
[3]
CG-19 デイル
USS Dale
ニューヨーク 1960年9月 1963年11月 1994年9月 2000年4月6日
艦隊演習で海没処分
[4]
CG-20 リッチモンド・K・ターナー
USS Richmond K. Turner
1961年1月 1964年6月 1995年4月 1998年8月9日
艦隊演習で海没処分
[5]
CG-21 グリッドレイ
USS Gridley
ピュージェット
・サウンド
1961年7月 1963年5月 1994年1月 2005年3月31日
スクラップとして解体
[6]
CG-22 イングランド
USS England
トッド・
パシフィック
1960年10月 1963年12月 1994年1月 2004年10月20日
スクラップとして解体
[7]
CG-23 ハルゼー
USS Halsey
サン・
フランシスコ
1960年8月 1963年7月 1994年1月 2003年11月30日
スクラップとして解体
[8]
CG-24 リーヴス
USS Reeves
ピュージェット
・サウンド
1960年7月 1964年5月 1993年11月 2001年6月1日
艦隊演習で海没処分
[9]

参考文献[編集]

  1. ^ Norman Polmar (2005). The Naval Institute Guide to the Ships and Aircraft of the U.S. Fleet. Naval Institute Press. ISBN 9781591146858. http://books.google.co.jp/books?id=8MwyTX-iA2wC. 
  2. ^ 大塚好古「米艦隊防空艦発達史 (特集 米イージス艦「アーレイ・バーク」級)」、『世界の艦船』第769号、海人社、2012年11月、 90-97頁、 NAID 40019440596
  3. ^ a b c グローバルセキュリティー (2011年7月22日). “CG-16 Leahy class” (英語). 2013年12月31日閲覧。
  4. ^ a b Destroyer History Foundation (2013年). “Leahy-class frigates in the cold war” (英語). 2013年12月31日閲覧。
  5. ^ 阿部安雄「機関 (技術面から見たアメリカ駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、 156-163頁。
  6. ^ a b 堤明夫「経空脅威がもたらした軍艦の変貌 (特集 造艦工学 その発達と現況)」、『世界の艦船』第706号、海人社、2009年5月、 92-97頁、 NAID 40016595575
  7. ^ Jane's American fighting ships of the 20th century / compiled and edited by John Moore; preface by M. Staser Holcomb. New York, N.Y. Mallard Press, 1991. ISBN 0792456262