CIWS
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CIWS(シウスもしくはシーウス・Close In Weapon System)は、艦船を目標とするミサイルなどを至近距離で迎撃する艦載兵器の総称。日本語では近接防御火器システムなどと訳されている。
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[編集] 概要
[編集] アメリカのCIWS
艦船の防空は数段階に分かれて行われる。艦船に向かってミサイルが飛んできた場合、直接破壊(ハードキル)対抗手段として、まず射程の長い艦隊防空用のミサイル(スタンダードミサイルなど)によって迎撃を行い、その次に個別の艦船の防空用のミサイル(シースパロー・ESSMなど)および 76 mm、127 mm 砲などの砲填兵器による弾幕、それでもだめだった場合に使われるのが CIWS である。CIWS は艦船の一番近距離での迎撃手段であり、これで撃ちもらした場合、チャフやフレア・ECM 等の間接破壊(ソフトキル)対抗手段が無効であれば、もう艦船へのミサイルの命中はほぼ避けられない。
CIWS の射程距離はせいぜい数 km 程度(およそ 2 km が有効射程距離)であり迎撃可能時間が数秒から長くて数十秒のため、高い命中精度とミサイルを自動で追尾する力が求められる。そのため、通常は艦船の火器管制装置から独立し、全自動射撃を行う構造になっている。
無闇に設置すると同一目標を複数の CIWS が射撃すると言う事態も発生しうるため、相互の射界をカバーできる最低限の数(通常 2 基)を装備する。
現在使用されている CIWS の多くはガトリング砲を使用しているが、近年より遠距離での迎撃を可能とするために赤外線誘導ミサイルを使用した CIWS (RIM-116 RAM:Rolling Airframe Missile) も使用されてきている。なお、アメリカ海軍が開発中のズムウォルト級ミサイル駆逐艦に副砲として採用された 57 ミリ砲は CIGS (Close In Gun System) と称される。
[編集] イタリアのCIWS
イタリア海軍等では OTO メララ 76 mm スーパーラピッド砲など中口径砲を CIWS として採用している。
[編集] 主なシステム
主な CIWS システムは以下の通り。
- ファランクス
- 米レイセオン社製のCIWS。詳しくはファランクスを参照。
- ゴールキーパー
- オランダのタレス・ネーデルランド社製のCIWS。ゴールキーパーを参照。
- AK-630
- 1969年の登場以来、旧ソ連を中心とする東側諸国の艦艇に広範に採用されているCIWS。機銃・レーダー・光学照準器が別々に設置される分離式で、システムは火器管制装置、レーダー(バスティルト)1機に対し砲塔2門で構成される。弾倉やモーターがマウント下に設置されるため、甲板上の砲塔が極めてコンパクトなのが特徴である。口径30mmの6砲身ガトリング砲を採用し、発射速度は毎分 4,000 - 5,000 発、射程 2.5 km。近年は、砲塔をステルスを意識した多角形にしたタイプや、砲身を縦に連装配置したAK-630M1-2も提案されている。
- CADS-N-1
- 1988年に登場した旧ソ連の新型 CIWS。連装の口径 30 mm 機関砲 2A38M を2門、9M311 Treugolnik/Pantsir-S1 (SA-N-11/SA-19)ミサイル8発を搭載するハイブリッドシステム。全体に陸軍の 2S6ツングースカ自走対空車両の砲塔と類似した構成と成っている。武器、レーダー、光学センサーを一体型とした全体システムの重量は 13.5 トンにもなり、新しく建造された大型艦にのみ搭載されている。機銃の発射速度は毎分 2,400 発(1門当り)、ミサイルの射程は 8 km。システム名称は Kortik(コールチク、短剣)、輸出用は Kashtan(カシュタン、栗)とされる。
- シーガード
- スイスのエリコン・コントラベス社が開発し、トルコ海軍に採用されている。射撃管制システムを構成するレーダーを別に設置する分離式。砲塔単独ではシーゼニスと呼ばれ、四機のエリコン KBB 機関砲(口径 25 mm)より構成される。発射速度毎分 3,400 発、射程 2 km。
- メロカ
- スペインのバサン社製 CIWS だが、レーダーシステムはアメリカ製を採用している。ちなみに、捜索探知機能は艦固有のレーダーに頼っている。口径 20 mm の機関砲を合計 12 門(上下 6 門)束ねており、順次発射することで発射速度毎分 2,700 - 3,600 発を得ている。射程は 3 km。スペイン海軍が採用している。
- ダルド・システム
- イタリア製でシステムのみの CIWS で特定の構成要素を持たず、使用する火器管制システム、レーダー、武器は自由に組み合わせることができる。主にイタリア海軍で採用され、OTO ブレダ社の76mmスーパーラピッド砲(発射速度毎分 120 発、射程 14 km)や連装 40 mm 機関砲(発射速度毎分 600 発、射程 7 km)などの採用実績がある。中国ではライセンス生産され、37mm連装機関砲と用いられている。
- 730型
- 中国人民解放軍海軍の艦船に搭載されている CIWS [1]。2002年に建造中の広州級駆逐艦に搭載されたことから存在が判明した。外見はゴールキーパーや仏製のサモスに酷似しており、口径も同じ 30 mmである。システムは全自動の自己完結式で、照準はXバンドの TR47C 捜索・追尾レーダーと球形にまとめられた光学照準器とレーザー測距器によって行う。 30 mm機関砲は 7 砲身で、毎分 4600 発から 5800 発の砲弾を放つ。新鋭艦に続々と搭載されているが、システム単価が 4000 万元から 5000 万元と高価なのが欠点である(AK-630は砲塔4門でも2500万元しかしない)。
[編集] 海上自衛隊のCIWS選定
対艦ミサイルを物理的に無力化する方法としては、ミサイルの誘導、操縦機能を破壊するコントロール・キルと、弾頭を直撃破壊するウォーヘッド・キルが考えられる。
海上自衛隊がCIWSを導入するに当たっては、前者の武器体系であるイタリアのダルドシステム(現行の砲システムの延長であるため導入はスムーズに行われるはずと考えられた)と、後者であるアメリカのファランクスが比較検討された。なお、シグナール社にも訪問したと伝えられるが同社のゴールキーパーは候補とされていない。
しかし、ダルドシステムは評価が未了であり、実績という点(当時の海上自衛隊の砲システムの実績からしても理論どおりには命中しないと想像された)で導入するのに躊躇せざるを得ないこと、またコントロール・キルでは、コントロールシステムを破壊してもミサイルはそのままの進路で飛来し、艦に損害を与える可能性があること、また実際にコントロール・キルされているかどうかの確認が難しいことなどから、ウォーヘッド・キルであり、アメリカ海軍で徹底的な評価に合格しているファランクスが選定された。
しかし、ファランクスの20mm砲では、通常の装弾筒付徹甲弾 (APDS)ではミサイルの弾頭を確実に破壊するには威力不足であり、一方、アメリカ軍で採用している貫徹力の高い劣化ウラン弾は、国内事情から導入が難しく、その点がファランクス導入の障害となっていた。だが、日本同様ウラン弾を導入できないオーストラリアにおいてタングステン弾でもっても目的が達成できるため採用したという情報を得、日本でも技術研究本部にてタングステン弾を開発することにより、ファランクス導入の決定がされた。最初のファランクスは1981年就役の護衛艦「くらま」に搭載された。
その後、タングステン弾は86式20mm機関砲用徹甲弾薬包として実用化、導入された。この砲弾が導入されるまではHE弾が使用されていた。
[編集] CIWSに似た陸戦兵器の近接防空火器
艦載型のCIWSを陸戦や拠点防衛用の対空砲や自走式対空砲に転用する試みも一部にはある。ただし、これらは決して「CIWS」とは呼ばれないので注意が必要である。
アメリカとその同盟国で広く普及しているCIWS「MK-15ファランクス」と相似したモジュールからなる陸上設置用20ミリ対空機関砲システムはVADS(Vulcan Air Defense System)と呼ばれ、日本では航空自衛隊が基地施設の防空システムとして採用している。
一方、中国北方工業公司は、2004年に、730型と同型の機関砲とレーダーを8輪駆動トラックに搭載した陸盾2000近接防空システムを発表した[2]。これは、8輪駆動トラックの後部にレーダーと機関砲を搭載したマウントを設置し、砲塔と操縦席の間の装甲区画に砲手が乗り込み作動させるものである。730型との違いは捜索レーダーが無いことで、指揮車両が敵機を捜索して情報を6両の陸盾2000に伝達できるようになっている。陸盾2000には、ロシア製の8輪駆動トラックにCIWSを搭載し、TY-90短距離赤外線誘導ミサイルを搭載したガン・ミサイルコンプレックス化した改良型もあるが、地上用に用いるにはシステムが大きすぎ、また原型の730型が高価であることから配備は進んでいないようである。
[編集] 戦闘車両の近接防御用火器
戦車をはじめとする陸上戦闘車両は、装甲板による直接防御による耐弾防御手法が主体であり、CIWSを含む艦載対空兵器のように、飛来する敵弾その他の脅威を積極的に撃墜して対処するという発想が余り無い。そんな中、旧ソ連が開発したアリーナ(円形闘技場)やドロースト(つぐみ)は、その希有な例といえ、これらはAPS:Active Protection Systemと呼ばれる[3]。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 日本周辺国の軍事兵器
- ^ 日本周辺国の軍事兵器-LD-2000近接防空システム(陸盾2000)
- ^ アルゴノート『月刊パンツァー』2005年12月号「T-80戦車シリーズの開発と発展」参照。

