ソナー

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ソナー(SONAR、Sound navigation and ranging、ソーナー)とは、水中を伝播する音波を用いて、水上船舶や潜水艦、水中や海底の物体を捜索、探知、測距する装置である。超音波探信儀とも呼ばれる。水中測的のための音波発信装置と聴音装置の組み合わせで、振動子や検知器を中心とした探知システム全体を指す。通常は超音波を使い、音波を発射し、物体からの反射によって距離や方位を探知するが、反射ではなく水中の物体が発する音を探知・測定するタイプもある。

軍用品として、自ら音波を発するモードや自らは音波を発せずに聴音するだけのモードを組み合わせた複雑で大規模な水中測的装置から、レジャー用を含む簡易な魚群探知機まで、多様なソナーが存在する[出典 1]。水深を測るのにも使用され、船の航行速度を測るドップラー・ソナーも存在する。

名称[編集]

「ソナー」や「ソーナー」は "Sound navigation and ranging"(音波 航行と測距)の頭文字をとった英語名称 "SONAR" [1]に基づく日本語での名称である。英国では第一次世界大戦時の英国海軍の対潜技術の専門家と科学者達による委員会 "ASDIC" (Anti-Submarin Detection Information Comittiee、対潜探知情報委員会)から[出典 1]、ソナー装置がその委員会の名前で呼ばれたこともあり、英国とドイツではASDICと呼ばれ、日本語でも「アスディック」と呼ばれる場合がある。

また、レーダーが電波探信儀とも呼ばれるように、ソナーが超音波探信儀と呼ばれることがある。レーダーが電磁波を使用した探信儀であるのに対して、ソナーは超音波を使用した探信儀であるためである。

魚群探知機[編集]

ソナーの技術は民生用途でも魚群探知機として普及しており、年々、精度と解析技術が格段に進歩し小型化されている。魚群探知機としてのソナーはゴムボートに搭載できデジタルで解析するタイプまで存在する[2]。このほか、クジラ向けのものは、鯨探機とも呼ばれる[3]

海上自衛隊での呼称[編集]

海上自衛隊では旧海軍時代よりの「ソーナー」で呼称を統一している。なお、海上自衛隊ではソーナーとは、装置の名称であると共に水測することも指す。海上自衛隊でのソーナー操作員は水中測的員略して水測員と呼ばれる[4]。ちなみに海上自衛隊では、水泳能力測定も水測と略され混同される場合がある。

歴史[編集]

1490年レオナルド・ダ・ヴィンチは、ラッパにパイプと聴診器を付けたような器具を作成して小船の上から水中にそれを伸ばし、遠くのガレオン船の水中音を聞いて、音波は水中の方が空気中より良く伝わる事を確認している。

1912年タイタニック号の沈没事故によって、海上に浮かぶ遠方の氷山を何とか早期に発見することが求められるようになると、タイタニック号の建造国であったイギリスだけでなく多くの犠牲者を出しその後も海上交通を利用する必要のあった米仏でも、新たな技術の開発が求められるようになった。

1914年には、アメリカ合衆国の科学者フェッセンデンが、アクティブ・ソナーの原型となる装置を開発し、2マイル先の氷山の探知に成功した[5]。彼の装置はダイナミック・スピーカーの可動コイルと同じ原理で、トランスデューサー(送受信器)を作り、1100Hzの可聴音による音響ビームを一方向に放って反響波を受信するものだった[出典 2]。この年に第一次世界大戦が始まり、大戦の後半には徐々に欧州各国の船舶にドイツ海軍の潜水艦Uボートによる被害が出ることになる。

1917年にはフランスパリ工科大学のランジュバン博士が水晶圧電効果による高性能のトランスデューサーを開発し、真空管アンプと共に実用的なアクティブ・ソナーを作った。ランジュバン博士のソナー装置は100kHzの超音波を直径200mmの振動子から放射することで鋭いビームを形成することに成功した[出典 2]。この装置はフランス海軍の興味を引き、1918年には1500m先の潜水艇を発見している[5]。1917年2月から、ドイツ海軍はUボートによる無制限潜水艦作戦を始めている。これは英国に向かう船は中立国船舶であっても攻撃を加えると云うものであり、英米海軍はこの頃から各国で実用段階に入ったサーチライト型とも呼ばれたアクティブ・ソナーを、船団護衛の駆逐艦フリゲートに搭載してUボートの攻撃に対抗した。サーチライト型のアクティブ・ソナーはランジュバン博士の作った水晶の圧電効果によるトランスデューサーと同様のもので、超音波を狭ビーム状に放射する仕組みであったため、首振り機構を備えることで距離だけでなく方位や深度までが探知できた。ただし、この頃のソナーは技術的課題も大きく、実用性は不十分であった[6]

日本では第一次世界大戦終了が終わる1918年ごろに、欧米からソナー類を輸入した。この頃はソナーは「水中音波探信儀」と呼んでいた。米国からはフェッセンデンが開発したF式アクティブ・ソナー「水中探信儀」に加えて、Kチューブ・ハイドロフォン「水中聴音機」というパッシブ・ソナーも購入している。またドイツ海軍のUボート搭載のパッシブ・ソナーも購入している。

第二次世界大戦時にドイツ海軍が再びUボートを使い始めると、欧州各国と米国を含む連合国はサーチライト型アクティブ・ソナーやレーダー、そして新開発対潜兵器の「ヘッジホッグ対潜迫撃砲で再びUボートと対決した。米海軍では大戦末期になると近距離探知用の30kHzと遠距離探知用の14kHzの2種類のアクティブ・ソナーを対潜用艦艇に搭載するようになった[出典 1]

やがて、第二次大戦時に探信義の探知結果がブラウン管で視覚化され、聴音装置と完全に分離された後も音波深信儀と聴音機やそのシステムを日本語でもソナーと呼ばれるようになった[7]

主に軍事兵器として発展してきたソナーも、電子技術の発展によって小型・軽量・安価となり、民生用の使いやすい製品が登場して、ゴムボートに積んでレジャーの釣りなどに手軽に利用されている。 [8]

原理[編集]

ソナーの原理

水中の伝播特性[編集]

音波による縦波の振動、水中音波は水中においては、空気中よりも長距離まで届く。水平方向だけでなく垂直方向にも伝播する、海底面では波は反射され、水中の浮遊物でも比較的小さなものまで反射される。

例えば、電波は海水中では急速に減衰してしまうために、観測・測定用にはあまり役立たない。海水は塩などの電解質が解けた電解液であるため、電波は入射するとエネルギーが消費されて急速に減衰する。また、も海水や湖水、河川水といった自然水は浮遊物を多く含み、光は散乱や吸収されるために届く距離はせいぜい 15–100 m である上、光線は屈折を受ける。

水中の縦波である水中音波は、光や電波に比べて減衰が小さく遠くまで伝播する。例えば周波数10kHzの音波であれば、10km以上離れた場所でも探知が可能である。しかし、同様の原理をもつレーダーと異なり、自然水を伝達媒質としているため不安定要素が多く、温度差の大きな海水の塊の場合は固体と同様の反応をみせる場合がある。

音波は、空気中よりも水中のほうが伝播速度が速い。空中における音速はおよそ340m/sであるが、水中においてはおよそ1500m/sであり、4倍以上早く伝播する。これは遠距離における物体を探知する場合には極めて重要である。例えば、1km先にある物体を探知しようとする場合、往復2kmを音波が伝播する時間は空中では約5.9秒であるが、水中では約1.3秒である。1秒でも早く目標を発見したい軍事用途では、この差は重要となる。

水中での音波の速度は水温、圧力、塩分濃度などで変化する。深度が深くなれば水温が下がって遅くなる。さらに深くなれば、水温はそれほど下がらないが圧力が増すので早くなる。(深海の水温、密度、塩分を参照。)海中では多くの場合、深度1000m付近が最も水中音波の速度が遅くなり1470m/s程度になる。音波が1000m付近を水平方向に進む時、多少上下斜め方向に進む音波も緩やかな屈折を起こして元の1000m付近へ曲げ戻されることになる。この効果によって、水中の音波は1000m付近で水平方向への伝播が著しく良好となり、驚くほど遠くまで音波が届く。これはグレーデッド・光ファイバーの効果と同じである。[出典 3]

種類[編集]

3種類のソナー
1.パッシブ 2.アクティブ(広域捜索) 3.アクティブ(狭域探知)

ソナーの使用法として、アクティブ(Active:自発)タイプとパッシブ(Passive:受動)タイプに分ける場合がある。一般にソナーと呼ぶものはほとんどが「アクティブ・ソナー」である。「パッシブ・ソナー」は、軍事用ソナーでアクティブ・モードとパッシブ・モードを持つものがパッシブとして使用されている場合や、測的専用に聴音機能だけ備えた本当のパッシブ・ソナーを指す場合がある。送受信器であるトランスデュサーも軍用のものはほとんどが1次元や2次元に配列されてソナー・アレイとなっており、漁労用途でも2次元ソナー・アレイはそれほど珍しくなくなっている。

アクティブ・ソナー[編集]

アクティブ・ソナーの原理はやまびこと同じである。自ら音波を出し、その音波が反射して戻って来るまでの時間差から目標までの距離を知るのが原理である。

ソナーは水晶振動子に交流電流を流すことで発生する超音波を水中に放射して、物体に当り反射して戻って来た超音波を振動子で受信することで電気信号を得て、発信から受信までの時間差と水中における超音波の伝播速度から、物体までの距離を算定する。

ソナーによる距離の測定は、ある方向に出した音波が、大きく反射されてT秒後に観測された(エコーが返ってきた)とすれば、音波の往復を考慮して、

物体までの距離 = (音速×T)/ 2

として求められる。例えば音波を360度の全周にわたって放射しエコーを記録すれば、水中音波を反射する全物体を探知する事ができる。この原理はレーダーと同じである。

アクティブ・ソナーは、下方を見るための「エコー・サウンダー」(Echo sounder)と、横を見るための「サイド・スキャン・ソナー」(Side scan sonar)、前方もしくは周囲を見るための「オブスタクル・アヴォイダンス・ソナー」(Obstacle avoidance sonar:障害物回避ソナー)などに分類できる。軍用のアクティブ・ソナーでは、アクティブ・モードだけでなくパッシブ・モードによって聴音だけを行ないパッシブ・ソナーを兼ねるものがほとんどである。

特徴:

  • 自ら音を発するため、敵のパッシブ・ソナーで探知される危険性が高い
  • 音を発しない敵でも探知できる可能性が高く、遠距離でも可能性がある

エコーサウンダー[編集]

魚群探知機の表示画面

音波を直下方向に発射するソナーで、魚群探知機や水中用高度計などがある。また体内を見るために使う超音波検査機も、広い意味ではこれに分類される。基本的に音波の発射方向に密度差のある物体があるか無いかを判断するだけで、もっとも単純な部類に入るが、最近は音波を百方向以上に制御(フェイズドアレイレーダーと同じ原理)し、直下を細かく探査する事ができる「マルチビーム・エコーサウンダー」も普及している。また極端な低周波を大音量で用い、海底下に音を貫通させて海底地層の探査をする「サブボトム・プロファイラー」もある。クジラの座礁事件が頻発した時に低周波アクティブ・ソナー(LFAS)が問題になった事があったが、これが原因であった可能性がある。

オブスタクル・アヴォイダンス・ソナー
エコーサウンダーを前方に固定するか、回転機構の付いた台座に取り付けて回転できるようにしたもので、基本的にエコーサウンダーと同じである。ソナーの原点はこれである。海上を高速移動し、障害物の早期発見が必要である水中翼船には標準的に取り付けられている。しかし鯨などの海洋生物や流木との接触が絶えないのは、海面付近は波などの影響で安定したエコーが返って来ないためである。

サイドスキャン・ソナー[編集]

船舶の側面に搭載し、船舶の真横から斜下方向へ音波を発射し、その方向の探査をする。サイドスキャン・ソナーは横の目標しか探知できないので、船舶が移動する事が必須である。船舶が直線的に移動する事で、ちょうど上から目標を見下ろすような画像として、平面的に目標およびその周辺をスキャンする。多くの場合で左右にそれぞれ1組ずつ搭載し、海底表面の状態をスキャンするのに用いる。

このタイプのソナーには合成開口ソナーも存在し、低周波でも高精度のデータが得られるため、泥質海底に埋没した機雷の発見に効果的である事が判ってきている。

他のアクティブ・ソナー[編集]

対潜ヘリコプターにはディッピング・ソナーがあり、水面上に滞空しながら吊り下げて使用する。 対潜哨戒機では、ソノブイを投下することで無線で水面下の状況を探知する。

パッシブ・ソナー[編集]

パッシブ・ソナーとは水中聴音機のことであり軍用のものが多い。敵艦の存在が不明の場合は、超音波発信機を使用せずに聴音機だけを使用して警戒する。水中・水上の艦船の発する水中音を拾うことで、それらの位置を特定する。戦闘用水上艦艇だけでなく、特に潜水艦はアクティブ・ソナーを使用すると自身の隠密性が損なわれるため、パッシブ・ソナーを用いることが多くなる。

現代の潜水艦はアクティブ・ソナーをほとんど使用せず、潜航に際して海底深度を厳密に測定する必要がある場合や、長距離を潜航し続けるため慣性航法装置(INS)による自位置の精度が保てない場合、機雷の探知時や戦闘時の敵艦捕捉にどうしても必要な場合や訓練程度しかアクティブ動作を行なわないと言われている。

特徴:

  • 自ら音を発しないため、敵に自分の存在や位置が知られることは無い。
  • 超音波を用いるアクティブ・ソナーに比べ、測定精度が低い。
  • 敵が完全に停止して音を発しない状態の時は探知できない。

パッシブ・ソナーの種類[編集]

パッシブ・ソナーには、潜水艦艦首ソナー(アクティブ式共用)や、潜水艦曳航式のS-TASS、駆逐艦曳航式のTAC-TASS、音響測定艦曳航式のSUR-TASS、海底に設置された固定式のSOSUSなどがある。

潜水艦艦首ソナー[編集]

潜水艦ではパッシブ・ソナーは、減速機やスクリューなどの騒音源から離れた場所で、進行方向でもある艦首(バウ)付近に設置される。艦首部分にアクティブ・ソナーと共用で送受波器多数を球状に配置し、個々の受波器が受ける音波の感度差や時間差から、音源の方位を三次元的に計測することができるようになった。

TASS[編集]

航走中に艦尾付近に設置したウインチから長いワイヤーに取り付けられた多数の受波器により構成されるTASS(Towed Array Sonar System、曳航ソナーアレイシステム)を後方に繰り出して、自らによる騒音の影響の少ない離れた場所で音を捉えたり、艦体の受波器との間で長い距離(基線長)を稼ぎ、水中音波の到達時間差による測距の精度を高めたりすることができる。曳航ワイヤーが艦尾スクリュー・プロペラに巻き込まれないように曳航時にだけシース(鞘)が船体から伸ばされる構造のものが多い。

ソナー技術[編集]

設置位置による分類[編集]

船底に設置するハル・ソナー、艦首に設置するバウ・ソナー、艦尾から水中に下ろすか曳航する曳航ソナー・可変深度ソナーなどがある。海中・海底に設置する固定聴音装置や、航空機から投下し、使い捨て式のソノブイというものもある。

周波数[編集]

使用される超音波の周波数は通常、数kHz–数十kHzであり、周波数が高くなるほど測定精度(分解能)が良くなるが、海水によるエネルギーの減衰が大きくなり遠距離まで届かない。一方、周波数が低いほど減衰が少なく遠距離まで届くが、測定精度が低下するという特徴をもち、通常複数の周波数を状況に応じて使い分けている。

軍事技術[編集]

水中音波の速度が水圧や温度によって受ける影響
水圧や温度の違いによって水中音波の伝播速度に差が生じる。
シャドーゾーンが生じるしくみ
水中の温度勾配と圧力差による音速の違いによって、水中音波の伝達経路は複雑に曲がるため、アクティブ・ソナーにより音波を発射しても部分的に到達不可能な領域が生じる。

同一周波数によるパルス状の信号の他に、素早く周波数を変化させて広い周波数帯に渡る反射信号を得ることで短時間に多様な情報を得る「スウィープ」も使用される。

高周波と低周波の数字的定義はあいまいであるが、アクティブ・ソナーにおける低周波は、高出力(約100kW以上)の3kHz以下が低周波とされる。この周波数以下であると、CZ(Convergence Zone、収束帯)域(約33海里)付近の遠距離探知が可能となり、敵潜水艦の行動を大きく制限することができるといわれる。

音響測定結果については、可聴域外も表示し分析するために、時間軸と周波数軸のウォターフォール表示も活用される。また、音波の送信艦と受信艦を別にするバイスタティックやマルチスタティック方式(発信方向以外への反射音をも受信し測定する)の研究や擬似生物音の活用による送受信についても研究が行われている[5]

米海軍ソナー戦用語[編集]

TSR(タクティカル ソナー レンジ)
戦術ソナー探知距離。艦艇4000ヤード、哨戒ヘリ3000ヤードが標準とされる。
CDR(カウンター ディテクト レンジ)
潜水艦逆探知距離。艦艇用アクティブ・ソナーを5~10倍の距離で探知する。
MDR
ソノブイ有効探知距離。P-3C用ソノブイ直接伝播域探知距離は半径3000ヤード。
TASS(トゥド アレイ サーベーイランス ソナー)
艦艇用曳航パッシブ・ソナー。CZ域(艦艇から約30~35海里間)での遠距離探知が可能。
S-TASS(サブマリン トゥド アレイ サーベーイランス ソナー)
潜水艦用TASS
SUR-TASS
音響測定艦用の曳航パッシブ・ソナー。
TAPA(TASSパトロール)
TASS PATROLの略。TASS展開のため艦隊より先行して哨戒する駆逐艦。
SOSUS
海底敷設式ソナー監視網。世界各地に敷設され、常時各国の潜水艦の動静を把握している。
レイヤーデプス
サーモクラインとも呼ばれる海中の温度境界層の深さ。サーモクラインは水深200mまでの深さで発生し、季節変動や、気温の日較差でも発生深度に変化が見られる。気温の日較差は、正午頃に海面温度が急上昇することにより顕著な温度境界が生じ、浅深度で発信するアクティブ・ソナーの探知能力が極端に低下してしまう。この現象は「アフタヌーンエフェクト」(午後の効果)とよばれているアクティブ・ソナー独特の特性である。潜水艦はこの温度境界層下200ftで艦艇襲撃の機会を窺っている。温度境界層には内部波が存在し、最大波長数10km、波高数10mから最大100m、周期は数分から4~5日。発生メカニズムは潮汐と海底地形の相互作用や大気中の風の変動など。音波伝播路を不規則に歪ませる作用を持つ。
BDR(ベスト デプス レンジ)
LD下200ftに潜む潜水艦を探知できる距離。LDの深度により変化する。
CZ(コンバージェンス ゾーン)
水深5000m以上の海域において発生する音波の遠距離伝播現象。音波は水深の深い方に潜っていく性質があるが、深深度では水圧の壁により跳ね返され、再度浅深度に音波伝播路が現れる。これをCZといい、発音源から半径約33海里、幅4~5海里の区域に発現する。さらに2~3倍の距離でも発現を繰り返す場合がある。
SC(サウンドチャンネル)
水深1000m付近にできる水圧と水温のバランスにより形成される音波伝播層。まれに浅深度でも発生するが、発生のメカニズムは研究中である。
SD(サーフェイス ダクト)
水中音波が海面反射とLD反射を繰り返し、浅深度において遠距離伝播する現象。
SST(シー サーフェイス テンパレーチャー)
海水表面温度。世界標準温度は華氏60度(摂氏約15度)。温度上昇に伴い海水の対流で探知能力が低下する。
VTG(バーチカル サーモグラフ)
水中の垂直温度の傾度。傾度が大きいほど伝播距離は低下する。
X-BT(エクスパンディッド バシー サーモグラフィー)
SST、VTGを調査する装置。探知距離の参考とする。

その他[編集]

イルカクジラなどの海生生物がソナーと同じ仕組みを使用しており、自ら音波を発し水中物体の位置を把握している。

出典[編集]

  1. ^ a b c 鳥羽利男著 『「海中音響兵器ソーナー」出現と発展』、軍事研究2009年5月号、(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
  2. ^ a b 谷村康行著、『超音波技術 基礎のきそ』、日刊工業新聞社、2007年11月29日初版1刷発行、ISBN 9784526059629
  3. ^ 日本音響学会編 『音のなんでも小事典』 BLUE BACKS、講談社、ISBN 4062571501

脚注[編集]

  1. ^ "SONAR"は第二次世界大戦中に米海軍によって作られた造語である。時系列で言えば、英国の"ASDIC"の方が早くに登場しているが委員会名を付けたため判り難いためか、世界的にはSONARの方が普及している。
  2. ^ 漁労用途では、船の真下方向を探知するものを「魚群探知機」と呼び、船の周囲方向を探知するものを「ソナー」と呼んで区別している。
  3. ^ 国税庁 漁ろう用設備に該当するもの
  4. ^ 海上自衛隊の職域
  5. ^ a b c 「海上防衛技術のすべて」 防衛技術ジャーナル編集部 防衛技術協会 ISBN 9784990029838
  6. ^ 戦略・戦術・兵器詳解 第一次世界大戦・下 学習研究社 P134 ISBN 9784056050516
  7. ^ 日本でソナーがブラウン管式になったのは第二次大戦後期(1943年ころ)の三式探信儀とよばれるソナーが最初である。
  8. ^ なお、パッシブ・ソナーと呼ばれる聴音兵器もあるが、本来は同一の装置であった。ソナーは当初水測士がスイッチで水晶発信機に交流電流を流して超音波を発信し、水中に放射した超音波パルスのエコーを同じ水測士が聴音し、その音感で距離などを決定していた。敵潜水艦の存在が不明の場合はソナーの超音波発信機を使用せずに聴音機だけを使用して、警戒にあたっていたので、ソナー装置をパッシブ(受動的)に使用することからこの名がある。パッシブソナーとは聴音機のことである。この聴音機は、水中で生じる魚雷や敵艦からのスクリュー音やエンジン音を人の耳で聞き取り判断する兵器であり、このような方法で敵艦の艦種まで判別する能力や技術は、水測(水中測的)術と呼ばれた。深さを単に測る平和時の商船の水測(鉛測の代用)とは別のものである。第二次大戦中の戦争映画などに登場するソナーは、水測士がスイッチを操作することで水晶発信器に交流電流を流し、水晶発信器からは「ピン。。。ピン。。。」と水中に超音波のパルスが放射される。水測士はこの超音波のエコーをヘッドホンで聴音することで、距離などを感覚的に判断し艦橋に報告するというものである。

関連項目[編集]