潜水艇

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DELTA(アメリカ海洋大気庁の潜水艇)

潜水艇(せんすいてい)は、水中で活動可能なのことである。民間のものとしては海底探査機あるいは遊覧用も含めた水中船全般のことを指す。また軍用では特に小型のものを潜水艇と呼び、大型のものは潜水艦と呼ばれる。

軍用の潜水艇では旧日本海軍の「甲標的」「蛟龍」「海龍」などがある。また、最近の話としては1998年韓国領海内に侵入し撃沈された「北朝鮮半潜水艇」が有名である。

潜水艦と潜水艇[編集]

使用目的による名称・機能の違い

  • 潜水艦 : 軍事目的、大型
  • 潜水艇 : 軍事目的、小型

軍事用潜水艇はミゼット・サブマリンと呼ぶ場合もある。
第二次世界大戦時には対艦攻撃を主任務としていたが(特殊潜航艇参照)、戦後は特殊部隊の運搬・支援を目的とする事が多い。一部の潜水艇は潜水艦乗員の訓練(韓国)や魚雷発射訓練の標的(スウェーデン)、セイルを追加装備して通常潜水艦として運用(クロアチア)される事もある。北朝鮮、ロシアユーゴスラビアパキスタンなどが多くを保有するが、イタリアには特殊潜航艇時代からの老舗メーカーが存在している。また、60年代に起きた潜水艦沈没事故をうけ、沈没した原潜などから乗員を救助する『深海救難艇』も開発され、潜水艦隊を運用してる先進国で万一に備え配備されている。

潜水艇は基本的に航洋性・居住性が低く、燃料も多くは積めないため、基本的に母艦(母船)が必要となる。

米海軍はこの種の装備に消極的であったが、昨今は特殊作戦の必要性からSDVおよびASDSと呼ばれる一種の潜水艇を開発・運用している。これらは原子力潜水艦を母艦として離発着する事ができる。

同海軍のNR-1は西側諸国最小[1]の原子炉を搭載した珍しい小型『核動力推進潜水艇』で、海軍引き渡し当初は「原潜用原子炉の研究」や「学術的深海探査」等が目的とされていたが、最近になり情報公開や書籍[2]の登場により、実は建造当初より『極秘作戦専用原子力潜行艇』として開発されており、米海軍及びNATO海軍潜水艦隊のための「海底ロラン」の設置、空母での発着訓練中に海没したF-14と共に深海に沈んだAIM-54 フェニックス空対空ミサイルの回収など「軍事機密保持作戦」や諜報活動に当たっていた事も明らかになっている。

近年では南米の麻薬密売組織などが、米沿岸警備隊の目をかいくぐるため「ボート型可潜艇」を使っての麻薬密輸事件が増えている。

非軍事目的[編集]

遊覧用潜水艇
可潜領域が水深50メートル未満の潜航艇。ハワイなど、海水透明度が高く、ダイビングも盛んな所で運航されている場合が多い。
ホビータイプのものは2人乗りだが、10数名以上で「水面下まで潜る事の出来る船」は、下記、観光用潜水艇の項目にある通り世界20か所ほどでしか運用されていない(「水中観光」と銘打っていても、大半は半潜水艇による運航)。
深海探査船
耐圧操縦室と資料回収用ロボットアームなどを持つ小型艇、バチスカーフ下記各「海底探査船」参照。可潜領域が500メートルを超えるものは、チタンなどで出来た球形の耐圧殻となっており、その非常に限られた容積の中に操作ユニットなどが収められているため、定員は多くても3名までのものが多い。

深海探査艇[編集]

深海探査船トリエステ

1970年代までは各国で有人潜水調査艇が建造されたが、1980年代以降は遠隔操作無人探査機の性能が向上し、有人潜水調査艇の建造数は減った。遠隔操作無人探査機の支援母船等も含めた運用経費は同深度の潜水能力を持つ有人潜水艇と比較して1/10以下であるとされる。また、技術の進歩により、従来有人でなければ不可能だった分野でも無人機で可能になりつつある。また、タイタニック号の調査のように有人潜水艇から無人潜水艇を制御する運用も実施される。

観光用潜水艇[編集]

世界各地で観光用潜水艇が運行されている。観光用半潜水艇については、半潜水艇を参照。

  • もぐりん - 1989年から2002年まで沖縄県の恩納村沖で運行していたが廃業した[3]。美しい景色を見ることが出来た。
  • 韓国(済州島) - 西帰浦、馬羅島、遮帰島、牛島の4箇所で、それぞれ別事業者によって計4艘が運航。
  • アトランティス・サブマリン(観光用潜水艇事業者)[4]
    • アルバ、バハマ諸島、バルバドス、グランドケイマン、グアム、メキシコ(コスメル)、サンマルタン、アメリカ領セント・トーマス、ハワイ諸島(オアフ、マウイ、ハワイ)の計8か所で10艘の潜水艇が運航され、その中の5艘がハワイ諸島で運航されている。
  • サイパン - ディープスター・サブマリン[5]が運航
  • バリ島(アムック湾) - オデッセイサブマリン[6]が運航

操作[編集]

  • 日本の場合、1級小型船舶操縦士免許を持っていれば法的には特に問題はない。

運用[編集]

潜水艇は潜水艦とは違い航続距離が短い。その為、活動範囲は限られる。多くの無人潜水艇は電線やアンビリカル(へその緒)で母船とつながっている。自律型無人潜水機は6マイル (10km) 以上の運行が可能である。

遠隔操作無人探査機[編集]

小型の無人潜水艇は遠隔操作無人探査機"marine remotely operated vehicles" またはMROVsと呼ばれ、今日ではダイバーにとって深海や危険な分野で広範囲に使用されている。遠隔操作による (ROVs) は油田の整備や沈没船を引き上げる用途に供される。これらの遠隔操作による運行は海上の母船からの有線(動力と通信)で行われる。母船からは画像を見てジョイスティックでプロペラやマニピュレーターを操作する。タイタニック号の捜索では有人機に負けず劣らずROVが活躍した。もっとも有名な潜水艇はアルビンである。近年では行動範囲の限られる有線操縦から無線操縦のものも登場しているが動力、(海中では電波が届かない為)画像の転送帯域が制限される問題がある。自律運行型ROVの開発も進行中である。

ネーレウス[編集]

ネーレウス (Nereus) はウッズホール海洋研究所で開発された自律型無人潜水機遠隔操作無人探査機でもあり、広範囲を調査する為の自律航行モードと特定の範囲を詳しく調査する為の光ファイバーリンク式有線式遠隔操作モードの両方を備える。2009年5月31日にマリアナ海溝最深部のチャレンジャー海淵の深度10,902 mに到達した[7]

出典[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 旧ソ連が同種の原潜を開発したかどうかは当然不明
  2. ^ リー・ヴィボニー&ドン・デイヴィス、翻訳:三宅真理 (2004). 暗黒水域 知られざる原潜NR-1. 文藝春秋. ISBN 4-16-365620-0. 
  3. ^ もぐりん
  4. ^ アトランティス・サブマリン
  5. ^ ディープスター・サブマリン
  6. ^ オデッセイサブマリン
  7. ^ [1]

外部リンク[編集]