利得 (電気工学)

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利得(りとく、: gain[1])とは、電気回路における入力出力のことである。英語のままゲイン とも呼ばれる。

一般的な利得という言葉と異なり、出力の方が入力よりも小さい場合も利得と呼ぶ。その場合、利得を1より小さい値で表す。デシベルならば0dB以下となる。

概要[編集]

電圧であれば電圧利得電流であれば電流利得と呼ぶ。しかし、断りなく利得と書いてある場合は、一般的に電力の利得(電力利得)をさす。比なので、単位をつけずに表す。

電気工学では、常用対数を10倍にしたデシベルで表すことが多い。ただし、電力を基準にしているため、電圧で計算する場合は20倍となる。電力以外で考える場合には、比較する場所双方のインピーダンスが等しいことが前提になってはいるが、慣習的に入出力でインピーダンスの異なる回路においても、換算せずにそのままの電圧比の常用対数の20倍をデシベルで表して、その回路の電圧利得とすることもしばしばで行われている。

電力利得[編集]

電力利得をデシベルを用いて表すと以下のように表せる。

Gain=10 \log \left( {\frac{P_{out}}{P_{in}}}\right)\ \mathrm{dB}

Pin と Pout はそれぞれ入力及び出力電力を表す。

常用対数の代わりに自然対数を使って表すこともできる。この場合、単位はデシベルではなく、ネーパになる。

電圧利得[編集]

電力利得の代わりに (P=V 2/R) を用いた計算式で電圧利得を計算する場合は、以下のようになる。

Gain=10 \log{\frac{(\frac{{V_{out}}^2}{R_{out}})}{(\frac{{V_{in}}^2}{R_{in}})}}\ \mathrm{dB}

多くの場合、入出力インピーダンスは等しいので、上記の方程式は以下のように単純化できる。

Gain=10 \log \left( {\frac{V_{out}}{V_{in}}} \right)^2\ \mathrm{dB}

及び

Gain=20 \log \left( {\frac{V_{out}}{V_{in}}} \right)\ \mathrm{dB}

電流利得[編集]

同様に、(P=I 2R) を用いた計算式で電流利得を計算する場合、以下のようになる。

Gain=10 \log { \left( \frac { {I_{out}}^2 R_{out}} { {I_{in}}^2 R_{in} } \right) } \ \mathrm{dB}

多くの場合、入出力インピーダンスは等しいので、上記の方程式は以下のように単純化できる。

Gain=10 \log \left( {\frac{I_{out}}{I_{in}}} \right)^2\ \mathrm{dB}

および

Gain=20 \log \left( {\frac{I_{out}}{I_{in}}} \right)\ \mathrm{dB}

4端子回路の利得[編集]

入力として非反転入力と反転入力をもつ4端子回路における利得の用語について説明する。

差動利得(さどうりとく、Differential gain
入力の非反転入力と反転入力の差をどれだけ増幅できるかを表すものである。オペアンプなどの差動増幅器の重要な特性のひとつである。現実のオペアンプでは入力する周波数によって変化する。
同相利得(どうそうりとく、Common mode gain
入力の非反転入力と反転入力の差を0にして接地に対して電圧をかけたとき、出力端子と接地の電圧の比である。
同相信号除去比(どうそうしんごうじょきょひ、Common Mode Rejection RatioCMRR
差動利得を同相利得でわったもので、オペアンプの性能を表す指標である。CMRR が大きければ大きいほど性能のよいオペアンプであり理想オペアンプでは無限大となる。

脚注[編集]

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  1. ^ 文部省日本物理学会編 『学術用語集 物理学編』 培風館1990年ISBN 4-563-02195-4

関連項目[編集]

  • 利得
  • デシベル
  • オペアンプ
  • 増幅回路
  • 利得余裕 - 負帰還回路の位相特性において、位相が180度(πrad)変化する周波数で振幅の利得が0dB(1倍)より下回れば回路は安定し、発振しない。この時の周波数での利得を0dBより引いた値を「利得余裕」(単位:dB)と言う。類似語として位相余裕がある。