やまぐも型護衛艦
| やまぐも型護衛艦 | |
|---|---|
「ゆうぐも」
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| 艦級概観 | |
| 艦種 | 対潜護衛艦(DDK) |
| 建造期間 | 1964年 - 1977年 |
| 就役期間 | 1966年 - 2005年 |
| 前級 | DDK:あやなみ型護衛艦 DD:あきづき型護衛艦 |
| 次級 | (前期型)みねぐも型護衛艦 (後期型)はつゆき型護衛艦 |
| 主要諸元 | |
| #諸元表参照 | |
やまぐも型護衛艦(やまぐもがたごえいかん、JMSDF DDK YAMAGUMO class)とは、1966~68年及び72~78年に計6隻が建造された、海上自衛隊第2世代の対潜護衛艦(DDK)である。4番艦以降の後期型3隻(44/46/49DDK)を、「あおくも型」と称する場合もある。後に4隻は老朽化に伴いアスロック弾薬庫を撤去して実習生講堂を設け、練習艦に種別変更されている。
目次 |
来歴 [編集]
本級は続くみねぐも型を挟み、前期型(37〜39DDK)と後期型(44〜49DDK)の各3隻に分けられる。性格的には護衛艦隊のワークホースであり、先のあやなみ型(30DD)、後のはつゆき型(52DD)などと同様である。
前期型は第2次防衛力整備計画(2次防)に於いて計画され、1962年(昭和37年)度計画より建造が開始された。
船体・機関 [編集]
本型の設計は、多くの点できたかみ型(35DE)に基づいていて、船型も遮浪甲板型(平甲板型)を踏襲している。CODAD(マルチプル・ディーゼル)という主機方式も同様であるが、本型では高出力2サイクルV型中速ディーゼルエンジン6基による構成が採用されている。当時、世界最速・最大出力のディーゼル推進水上戦闘艦として注目された[1]。
搭載機関には三菱方式と三井方式がある。三菱方式は「きたかみ」の搭載機(12UEV30/40)を4,650馬力に出力増強したものを使用する。これに対し、三井方式は「おおい」の搭載機(1228V3BU-38V; 出力4,250馬力)を4基と、これを16気筒化して5,600馬力に出力増加した1628V3BU-38Vを2基使用する。機関配置はシフト配置を採用しているが、配置方法はきたかみ型とは異なり、タービン艦と同様に左軸用が前に、右軸用が後側に配されている。前・中・後部の3つの機械室を有し、前機室の2機と中機室の左舷機で左軸を、同様に中機室の右舷機と後機室の2機で右軸を駆動する[1]。このような機関構成であるため、戦闘速力を使う場合は主機の使用台数を増やす準備のための時間が必要とされていた。また、第1戦速以上を使用すると振動と騒音が大きく、熟睡している乗員の目が覚めるほどだったといわれる[2]。
なお後期建造型においては、艦首外舷に凌波性向上のためのナックル・ライン、艦尾にオーバーハングを付し、艦橋上部に防空指揮所を設け、後部マストがラティス構造とされるなど各部に改正が施され、船体寸法も若干大型化している[3]。
装備 [編集]
本型の装備は、あやなみ型(30DDK)およびきたかみ型(35DE)のそれをベースとしているが、多くの点で刷新されたものとなっている。
センサー [編集]
レーダーとしては、対空捜索用として国産のOPS-11を初搭載している。これはアメリカ製のAN/SPS-40をモデルとして国内開発されたもので、八木式ダイポール・アレーを配置した特徴的なアンテナを使用していた[4]。
またソナーでも、前期型ではアメリカ製のAN/SQS-23が初搭載され、これを艦首底に配置して護衛艦初のバウ・ソナー艦となった。これは大出力・低周波(4.5〜5.5キロヘルツ)で、探知距離9100メートルを狙った新世代のソナーであり、後期型では国産化されたOQS-3に更新された[5]。また可変深度ソナー(VDS)としてSQS-35(J)も後日装備している。
電波探知装置(ESM)としては、前期型ではあやなみ型より装備化されたものの改良型であるNOLR-1B、後期型では性能向上型のNOLR-5が搭載されている[4]。
武器システム [編集]
主砲としては、あやなみ型以来の50口径3インチ連装速射砲が踏襲されているが、前期型では従来通りの57式であったのに対し、後期型では改良型の68式とされた[6]。
また前部の砲射撃指揮装置(GFCS)としては、アメリカ製最新式のMk.56を初搭載した。これはXバンドのMk.35レーダーを備え、自動追尾・盲目射撃が可能な高性能の機種であり、はるかぜ型(28DD)で一度装備を要求したものの、アメリカ側に認められずに断念されたという経緯がある。なお後部GFCSは、あやなみ型と同じMk.63とされているが、国産の風防覆が付加されている[7]。さらに後期建造型では、国産の72式射撃指揮装置1型B(FCS-1B)に変更された[4]。
対潜兵器としては、きたかみ型で導入されたスウェーデン製のM/50 375mm対潜ロケット砲をライセンス生産した71式ボフォース・ロケット・ランチャー、うみたか型駆潜艇およびみずとり型駆潜艇の後期建造艇(36PC)で導入された68式3連装短魚雷発射管が搭載されたのに加えて、より長射程のアスロック対潜ミサイルとその8連装発射機を護衛艦として初搭載している[8]。また、続くみねぐも型3隻には、アスロックに代えてQH-50 DASH(無人対潜ヘリコプター)が搭載されたが、その使用実績はいまひとつで、アメリカ海軍でも生産を中止したため、第3次防衛力整備計画(3次防)~第4次防衛力整備計画(4次防)でのDDK 3隻は、再びやまぐも型として建造された。
幻の新DDK [編集]
詳細は「2500トン型護衛艦」を参照
当初、1974年(昭和49年)度計画で建造される艦(49DDK)は、本型を発展させた2,500トン型DDKとなる計画であった。主機にガスタービンエンジンを護衛艦として初採用、CODOG方式で速力32ノットを発揮する予定であり、兵装も個艦防空ミサイル(PDMS)発射機の後日装備を予定するなど強化が図られていた[9]。
しかしオイルショックに伴う物価高騰の直撃を受け、結局、49DDKは、従来通りのあおくも型の設計に基づいて建造された。これが「ゆうぐも」である。この2,500トン型DDKに予定された新機軸は、ポスト4次防でのはつゆき型で実現されることとなる[9]。
諸元表 [編集]
| やまぐも型 前期型 (37〜39DDK) |
あおくも型 後期型 (44〜49DDK) |
|
|---|---|---|
| 建造期間 | 1964年 - 1967年 | 1970年 - 1978年 |
| 就役期間 | 1966年 - 1998年 | 1972年 - 2005年 |
| 排水量 | 基準: 2,050 トン | 基準:2,150 トン |
| 全長 | 114m | 115m |
| 全幅 | 11.8m | |
| 深さ | 7.9m | |
| 機関 | CODAD方式(26,500 ps), 2軸推進 | |
| ディーゼルエンジン× 6基 | ||
| 速力 | 最大: 27kt ※ 「ゆうぐも」のみ 28kt | |
| 航続距離 | 12,975 km (7,006 nmi) / 20kt[10] | |
| 乗員 | 210名 | 220名 |
| 兵装 | 50口径3インチ連装速射砲 ×2基 | |
| 74式アスロックSUM 8連装発射機 ×1基 | ||
| 71式ボフォース・ロケット・ランチャー × 1基 | ||
| 68式3連装短魚雷発射管×2基 | ||
| GFCS | Mk.56 | FCS-1B(72式) |
| Mk.63 | ||
| レーダー | OPS-11 対空捜索用 | |
| OPS-17 対水上捜索用 | ||
| ソナー | AN/SQS-23 艦首装備式 | OQS-3 艦首装備式 |
| - | AN/SQS-35 可変深度式 | |
| ESM | NOLR-1B | NOLR-5 |
同型艦 [編集]
| 建造時期 | 艦番号 | 艦名 | 建造 | 起工 | 進水 | 就役 | 練習艦・特務艦への 艦種変更 |
除籍 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前期型 | DD-113 TV-3506 |
やまぐも | 三井造船 玉野造船所 |
1964年 (昭和39年) 3月23日 |
1965年 (昭和40年) 2月27日 |
1966年 (昭和41年) 1月29日 |
1991年 (平成3年) |
1995年 (平成7年) |
| DD-114 TV-3507 |
まきぐも | 浦賀重工業 | 1964年 (昭和39年) 6月10日 |
1965年 (昭和40年) 7月26日 |
1966年 (昭和41年) 3月19日 |
|||
| DD-115 ASU-7018 |
あさぐも | 舞鶴重工業 | 1965年 (昭和40年) 6月24日 |
1966年 (昭和41年) 11月25日 |
1967年 (昭和42年) 8月29日 |
1993年 (平成5年) |
1998年 (平成10年) |
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| 後期型 | DD-119 TV-3512 |
あおくも | 住友重機械工業 浦賀工場 |
1970年 (昭和45年) 10月2日 |
1972年 (昭和47年) 3月30日 |
1972年 (昭和47年) 11月25日 |
1999年 (平成11年) |
2003年 (平成15年) |
| DD-120 TV-3514 |
あきぐも | 1972年 (昭和47年) 7月7日 |
1973年 (昭和48年) 10月23日 |
1974年 (昭和49年) 7月24日 |
2000年 (平成12年) |
2005年 (平成17年) |
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| DD-121 | ゆうぐも | 1976年 (昭和51年) 2月4日 |
1977年 (昭和52年) 5月31日 |
1978年 (昭和53年) 3月24日 |
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登場作品 [編集]
- 漫画
- 『沈黙の艦隊』
- コミックス第9巻に収録の「軍事同盟Ⅰ」にて日本との友好条約締結の為、海江田が要求した上陸用の護衛艦として、第1護衛隊群所属艦として架空DD「DD-119やまぐも」が登場。さらに同巻収録の「海から来た男」にて、「やまと」に帰艦(国?)する海江田の送迎として「DD-113やまぐも」が登場する。前記の架空艦と名称が被るが、これは恐らく作者が艦番号若しくは艦名を間違えた可能生がある。ちなみに艦名が間違っているとするなら「軍事同盟Ⅰ」に登場する艦は「DD-119あおくも」である。
- 『ジパング』
- コミックス第14巻に収録の「ジパング外伝 守るべきもの」に、後期やまぐも型に該当する架空DD「DD-243ゆきぐも」及び「DD-244」が登場。呉地方隊第22護衛隊所属艦として1995年の阪神・淡路大震災に災害出動する。
参考文献 [編集]
- ^ a b 阿部 安雄「2.推進システム (護衛艦の技術的特徴)」、『世界の艦船』第742号、海人社、2011年6月、 106-111頁、 NAID 40018815745。
- ^ 勝山 拓「日米対潜特別訓練の思い出」、『世界の艦船』第671号、海人社、2007年3月、 108-111頁、 NAID 40015258784。
- ^ 「写真特集 海上自衛隊の護衛艦 全タイプ 1953-2011」、『世界の艦船』第742号、海人社、2011年6月、 21-66頁、 NAID 40018815738。
- ^ a b c 多田智彦「4 レーダー/電子戦機器 (海上自衛隊の艦載兵器1952-2010)」、『世界の艦船』第721号、海人社、2010年3月、 100-105頁、 NAID 40016963809。
- ^ 多田 智彦「3. 兵装 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」、『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、 130-135頁。
- ^ 多田智彦「3. 兵装 (自衛艦の技術的特徴)」、『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 246-253頁。
- ^ 坂田 秀雄「海上自衛隊FCSの歩み」、『世界の艦船』第493号、海人社、1995年3月、 70-75頁。
- ^ 「3.水雷兵器 (海上自衛隊の艦載兵器1952-2010)」、『世界の艦船』第721号、海人社、2010年3月、 94-99頁、 NAID 40016963808。
- ^ a b 「幻に終わった4次防のガスタービンDDK」、『世界の艦船』第479号、海人社、1994年4月、 102-108頁。
- ^ Christopher Chant (1987). A compendium of armaments and military hardware. Routledge. ISBN 9780710207203.
関連項目 [編集]
| GlobalSecurity.org | |
- 海上自衛隊 / 自衛艦
- ブロンシュタイン級フリゲート - 同時期にアメリカ海軍が整備していた航洋護衛艦
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