あさぎり型護衛艦

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あさぎり型護衛艦
JDS Sawagiri DD157.jpg
DD-157 さわぎり
艦級概観
艦種 護衛艦(DD:汎用護衛艦)
建造期間 1985年 - 1989年
就役期間 1988年 - 就役中
前級 DD:はつゆき型護衛艦
次級 DD:むらさめ型護衛艦
性能要目
排水量 基準 3,500トン (DD-155以降50トン増)
満載 4,900トン(DD-155以降50トン増)
全長 137m
全幅 14.6m
深さ 8.8m
吃水 4.4m(DD-155以降4.5m)
機関 COGAG方式,2軸推進(54,000PS)
SM1Aガスタービンエンジン 4基
速力 最大30kt
乗員 220名
兵装 62口径76ミリ単装速射砲 1基
高性能20mm機関砲CIWS 2基
シースパロー短SAM8連装発射機 1基
ハープーンSSM4連装発射筒 2基
74式アスロックSUM8連装発射機 1基
HOS-302A 3連装魚雷発射管 2基
艦載機 HSS-2B/SH-60J哨戒ヘリコプター 1機
C4I MOFシステムSUPERBIRD B2衛星通信)
海軍戦術情報システム
OYQ-6/7 CDSリンク 11/14
FCS-2-22A/23 主砲FCS
FCS-2-12E/G ミサイルFCS
SFCS-6B 水中FCS
レーダー OPS-14C二次元対空レーダー
(DD-155以降OPS-24三次元対空レーダー)
OPS-28C対水上レーダー
ソナー OQS-4A船底装備ソナー
OQR-1戦術曳航ソナー
電子戦
対抗手段
NOLR-8 ESM装置
OLR-9C ミサイル警報装置
OLT-3 ECM装置
Mk 36 SRBOC チャフフレア発射機
SLQ-25 対魚雷デコイ
言語 表記
日本語 あさぎり型護衛艦
英語 ASAGIRI type Destroyer

あさぎり型護衛艦(あさぎりがたごえいかん、: JMSDF DD ASAGIRI class)は、海上自衛隊の汎用護衛艦である。はつゆき型の拡大改良型と位置付けられる。

目次

[編集] 概要

はつゆき型12隻に続き、計20隻で、4個護衛隊群に各5隻の汎用護衛艦(DD)を配するいわゆる新「八八艦隊構想」の基準構成艦として整備された。前級にあたるはつゆき型は当初、建造費の低減を図るため上部構造にアルミ合金を使用し軽量化を図っていた。

のちに51防衛大綱が制定され、それまで重視されていた単年度会計における単艦の建造費の圧縮から、中期防衛力整備計画における艦艇定数の制約、すなわち質の重視へと移行したため、極端な排水量抑制を行う必要がなくなったことから、1981年度計画の8番艦「やまゆき」から上部構造物を鋼製に設計変更している。

その後、昭和57年(1982)11月27日に誕生した第1次中曽根内閣によって防衛費が増額されたことから(三木内閣で定められた防衛費1%枠であるが、昭和50年代前半の防衛費GNP比0.9%程度で推移しており、1割以上の増額が可能な状況にあった。中曽根内閣は防衛費の抑制を目的とした1%枠を、逆に増額可能な根拠として扱った)はつゆき型の詰め込みすぎた設計を改めることとなる。これが1983年度計画艦となるあさぎり型であり、多様な任務をこなす汎用護衛艦として、基本的にはつゆき型と同じ運用構想で建造された。

[編集] 船体・機関

はつゆき型に比して船体は7m長く、排水量は約500t大きくなった。艦首は再びクリッパー型に改められ、艦橋構造物は1層低くなり2層とされた。被弾時の生残性を高めるため、左舷軸用と右舷軸用の主機関は前後に間隔を置いて配置されている。このため煙突は主マスト後とヘリ格納庫直前の2本に変更され、それぞれ左右にシフトして設置されている。ヘリ格納庫は、哨戒ヘリコプターを必要に応じて2機収容できるよう大型化された。

また、主機構成としては、はつゆき型のCOGOG方式からCOGAG方式となり出力が増大、水中放射雑音の低化なども図られている。

[編集] 装備

[編集] C4Iシステム

本型の搭載する戦術情報処理装置は、はつゆき型のものを基本としているが、その能力は大幅に強化されている。前期建造艦が搭載するOYQ-6は、OYQ-5のUYK-20 1基に加えて2基のCP-642Bを有し、データリンクもリンク 11に対応した。

その後、後期建造型では改良型のOYQ-7が搭載されているが、これでは2基のCP-642Bにかえて1基のUYK-7が採用されている。これらは、機能が強化されたことから、CDS (Combat Direction System)と呼称されており、アメリカの文献では「full destroyer CDS」とも称される。

[編集] 対空戦闘システム

本型は、はつゆき型と同様、シースパローIBPDMS62口径76ミリ単装速射砲高性能20mm機関砲CIWS)と3重の対空火網を備えており、これらの火器は、OYQ-6/7を中核として連接され、半自動システムを構成している。そのサブシステムは下記のとおりである。

経空脅威に対しては、まずOPS-14/24対空捜索レーダーで目標を探知しOYQ-6/7戦術情報処理装置により捕捉・追尾しコンピュータからのリコメンドまたはオペレータの情勢を判断により攻撃の優先順位を決定し自動または手動によりFCSに目標を指示しシースパローIBPDMSまたは76ミリ速射砲による攻撃に至る。

射撃指揮装置としては国産のFCS-2シリーズが用いられており、76ミリ砲の射撃指揮にはFCS-2-22が、シースパローIPDMSの射撃指揮にはFCS-2-12E/Gが使用されている。なお、DD-155~DD-158はFCS-2-22に換えてFCS-2-23が装備されシースパローIPDMSを管制できる。 また、シースパローIBPDMSのGMLS-3発射装置(米海軍のMk 29と同等)には、機力による直接装填装置が後日装備された。

また、近接防空火器 (CIWS;Close-In Weapon System) としては高性能20mm機関砲2基が搭載される。なお、OYQ-6/7戦術情報処理装置から20mm機関砲に対する干渉は必要最小限であり、基本的には独立したシステムとして攻撃を実施することになる。

[編集] 対水上戦システム

本型は、はつゆき型に引き続いて、ハープーン艦対艦ミサイルによる長距離対水上打撃力を備えている。ハープーンは4連装のMk 141発射筒2基に収容されて、艦中央部の煙突脇に搭載されており、その射撃指揮を行なうSWG-1 HSCLCSを介してOYQ-6/7に連接されており、目標諸元の入力を受けることになる。

また、対水上センサーとしては、新型のOPS-28対水上レーダーが搭載された。これはCバンドで動作し、遠距離での精密捜索能力に優れており、水上の目標のみならず低空を飛行する巡航ミサイルなどの探知にも使用される。

また、レーダーを作動させることが危険な状況においては、NOLR-6C ESM装置やデータリンクからの情報に基づいて攻撃が実施されることになる。

[編集] 対潜戦闘システム

本級の対潜戦闘システムは、あらゆる面ではつゆき型搭載のものを踏襲したものとなっている。

本型の主たる対潜センサーは、船体装備のOQS-4A IIIソナー、OQR-1戦術曳航ソナー(TACTASS)、および哨戒ヘリコプター装備のディッピングソナーソノブイである。このうち、ソノブイからの情報のみが戦術情報処理装置に入力されて処理を受け、それ以外のセンサーからの情報は、いずれも水測員によって処理された上で、直接に水中攻撃指揮装置SFCS-6Bに移管される。なお、OQR-1曳航ソナーはアメリカのAN/SQR-18/19 TACTASSの日本版であると考えられており、長距離での敵潜水艦の探知が可能である。また、OQS-4は艦底装備(ハル・ソナー)であるため、艦首の形状は通常のクリッパー型となっている。

一方、対潜攻撃兵器としては、従来より使用されてきたアスロック対潜ミサイルの8連装発射システムMk 16およびHOS-302A 3連装短魚雷発射管に加え、搭載するヘリコプターの短魚雷を使用することができる。従って、本型は長射程においてはヘリコプター、中射程においてはアスロック、短射程においては短魚雷と3段構えの対潜火力を行使することができるが、これは、同世代の欧米の同級艦と比して極めて強力なものである。特に対潜ミサイルについては、オランダ海軍コルテノール級西ドイツ海軍ブレーメン級など当時盛んに建造された列国の3,000トン級フリゲート(いわゆるStandard Frigate)には無い装備である。また、従来の護衛艦装備のアスロック発射機が人力装填であったのに対し、艦橋構造物下部の弾庫から直接次発装填する方式に改められている。

これらのうち、アスロックおよび短魚雷発射管はSFCS-6B水中攻撃指揮装置によって統制を受ける。一方、本型の搭載する対潜哨戒ヘリコプターは、アメリカ海軍LAMPSとは異なり、かなり高度な独立作戦能力を有しており、固有のディッピング・ソナーからの情報に基づいて攻撃を実施することもできるが、LAMPSと同様、母艦からの統制のもとで攻撃を実施することもできる。

[編集] 電子戦システム

本型は、ESM装置としてNOLR-8、ECM装置としてOLT-3を有する。また、対ミサイルのソフト・キル用として、OLR-9C ミサイル警報装置、Mk 137 チャフ発射機および曳航式デコイを備えている。

[編集] 航空機

うみぎりのヘリ甲板に駐機するSH-60J

8艦8機体制をとる護衛隊群のワークホースとして考えたとき、本型のもっとも重要な装備と言えるのが、搭載する哨戒ヘリコプターである。搭載機種は、当初はHSS-2Bであったが、のちにSH-60Jに更新された。

搭載機数は1機であるが、緊急時には、さらにもう1機を収容できるよう、格納庫は拡大されている。

[編集] 遍歴

あさぎり型は、同型艦8隻が建造され汎用艦20隻体制が維持されてきた。むらさめ型たかなみ型の艦数増加に伴い、初期の2隻は相次いで練習艦に用途変更され、今後はあきづき型に置き換えられるが、あきづき型の建造は4隻とされており、2隻はあきづき型就役後も護衛隊群にて保持される可能性がある。

2011年3月16日に、練習艦となった「やまぎり」が護衛艦籍へ復帰した。また、あさぎり型では初めて護衛艦隊直轄護衛隊に配属されている。

今後、あさぎり型護衛艦は耐用年数延長工事が実施される予定である。

[編集] 評価

あさぎり型の設計には、いくつかの欠陥が指摘されている。

例えば、大型のヘリコプター格納庫(ステルス性の面で、極めて不利)や、後部煙突からの熱煙(後部マストとシースパロー対空ミサイル射撃指揮装置に悪影響を及ぼし、焼損事故もあったと言われる)などが挙げられる。

その他ディーゼル発電機の排煙処理に問題があるほか、竜骨の強度不足なども指摘されている。これ等の欠陥が他の艦型よりも多いという批判もある。

[編集] 同型艦

艦名 艦番号 建造 起工 進水 竣工 所属
あさぎり 旧:DD-151
現:TV-3516
石川島播磨重工業
東京第1工場
1985年
(昭和60年)
2月13日
1986年
(昭和61年)
9月19日
1988年
(昭和63年)
3月17日
「艦種変更」
2005年
(平成17年)
2月16日
練習艦
練習艦隊第1練習隊
呉基地
やまぎり 現:DD-152
旧:TV-3515
三井造船
玉野事業所
1986年
(昭和61年)
2月5日
1987年
(昭和62年)
10月8日
1989年
(平成元年)
1月25日
「艦種変更」
2004年
(平成16年)
3月18日
『練習艦』
「艦種変更」
2011年
(平成23年)
3月16日
『護衛艦』
護衛艦隊第11護衛隊
横須賀基地
ゆうぎり DD-153 住友重工
追浜造船所
浦賀工場
1986年
(昭和61年)
2月25日
1987年
(昭和62年)
9月21日
1989年
(平成元年)
2月28日
第2護衛隊群第2護衛隊
(司令部:佐世保基地
(定係港:大湊基地
あまぎり DD-154 石川島播磨重工業
東京第1工場
1986年
(昭和61年)
3月3日
1987年
(昭和62年)
9月9日
1989年
(平成元年)
3月17日
第2護衛隊群第2護衛隊
(司令部:佐世保基地)
(定係港:舞鶴基地
はまぎり DD-155 日立造船
舞鶴工場
1987年
(昭和62年)
1月20日
1988年
(昭和63年)
6月4日
1990年
(平成2年)
1月31日
護衛艦隊第15護衛隊
(大湊基地)
せとぎり DD-156 住友重工
追浜造船所
浦賀工場
1987年
(昭和62年)
3月9日
1988年
(昭和63年)
9月12日
1990年
(平成2年)
2月14日
第3護衛隊群第7護衛隊
(司令部:舞鶴基地)
(定係港:大湊基地)
さわぎり DD-157 三菱重工業
長崎造船所
1987年
(昭和62年)
1月14日
1988年
(昭和63年)
11月25日
1990年
(平成2年)
3月16日
第1護衛隊群第5護衛隊
(司令部:横須賀基地)
(定係港:佐世保基地)
うみぎり DD-158 石川島播磨重工業
東京第1工場
1988年
(昭和63年)
10月31日
1989年
(平成元年)
11月9日
1991年
(平成3年)
3月12日
第4護衛隊群第4護衛隊
(司令部:大湊基地)
(定係港:呉基地)

[編集] 画像

[編集] 登場作品

映画
小説
  • 『大逆転!ミッドウェー海戦』(檜山良昭作品 『大逆転!』シリーズ小説)
環太平洋合同演習へ参加する為、ミッドウェー島沖を航行中だった、海上自衛隊護衛艦8艦が、アメリカのタイムトラベル実験に巻き込まれ、そのうちの護衛艦4艦がミッドウェー海戦勃発直前の同沖にタイムスリップしてしまう、1艦に『あさぎり』が登場する。
アニメ・漫画
ソノラマ文庫版に「あまぎり」が登場。護衛艦「しらね」とともに「こんごう」を護衛)
大友克洋監修の、『最臭兵器』に登場。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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