シースパロー (ミサイル)
| 種類 | 個艦防空ミサイル |
|---|---|
| 製造国 | |
| 設計 | ジェネラル・ダイナミクス |
| 製造 | レイセオン |
| 性能諸元 | |
| ミサイル直径 | 0.203 m |
| ミサイル全長 | 3.66 m |
| ミサイル全幅 | 1.02 m |
| ミサイル重量 | 231 kg |
| 弾頭 | WDU-27/B 爆風破片効果弾頭 40 kg |
| 射程 | 26 km |
| 推進方式 | 固体燃料ロケット |
| 誘導方式 | セミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH) |
| 飛翔速度 | M 4 |
RIM-7 シースパロー (Sea Sparrow) は個艦防衛用の艦対空ミサイル。空対空ミサイルであるスパローを元に開発された。なお、艦隊防衛用の艦対空ミサイルとしてはスタンダードミサイル等がある。
目次 |
概要 [編集]
シースパロー艦対空ミサイル・システムは、旧西側諸国でもっとも一般的な個艦防空ミサイル・システムである。
もっとも初期に配備された応急的なBPDMS (Basic Point Defense Missile System)、改良型のIBPDMS (Improved BPDMS) があり、また、使用するRIM-7ミサイルも性能向上を続け、最新発展型の発展型シースパロー (ESSM:Evolved Sea Sparrow Missile RIM-162)では僚艦防空・近接防御が可能なまでになった。
アメリカ海軍を始め、NATOなど複数の西側諸国で採用され、日本の海上自衛隊や韓国海軍でも運用されている。
来歴 [編集]
1940年代後期より顕著になったジェット機の発達により、艦隊の防空は重大な危機に直面することとなった。これに対しアメリカ海軍はRIM-2 テリア、RIM-8 タロス、RIM-24 ターターの3Tファミリーと通称される対空ミサイル・システムを開発したが、これらはいずれもかなり大がかりなシステムで、専用艦しか搭載できなかったため、多くの艦は短距離の防空火器として第二次大戦中に採用されたボフォース 40mm機関砲の搭載を続けていた。しかし、これらの火器は1960年代には性能的に新しい航空脅威に対処しえないことが明白になっていた。
一方、アメリカ陸軍も同様の問題に直面しており、1959年よりイギリス陸軍と共同で、新型の前線エリア防空システム (FAAD) として、短射程地対空ミサイルXMIM-46モーラーの開発を開始していた。アメリカ海軍もその開発に参加することとし、その派生型であるRIM-46Aシーモーラーを基本個艦防空システム (Basic Point Defense Missile System :BPDMS)として採用する予定であった。海軍はシーモーラーに多大な期待を寄せており、このとき整備計画が進んでいたノックス級護衛駆逐艦は、シーモーラーの搭載スペースを確保した状態で就役していた。しかし、モーラー計画は技術的な困難に直面し1965年に中止された。
モーラー計画の挫折によりアメリカ海軍は窮地に立たされることとなった。陸軍は、空対空ミサイルのサイドワインダーをもとにしたMIM-72チャパラルを選択し、海軍もごく少数を購入したが、これは目標正面における交戦能力がなかったために海軍の用途には全く適さないことが判明したことから同じく空対空ミサイルのAIM-7スパローを艦載化することを決定した。計画名は、シーモーラー時代のBPDMSが継続的に用いられることとなった。
BPDMS [編集]
構成 [編集]
シースパローBPDMSは、その経緯から応急的なシステムとなった。発射機は、アスロック用のMk 16 GMLSで使われていた八連装発射機Mk 112を76mm連装砲のマウントに組み込んだMk 25 GMLSを使用する。ここから発射されるのはRIM-7Eミサイルで、これは事実上、空対空型のAIM-7Eスパローそのものであった。また、イルミネーターとしては、手動式のMk 115が使用されるが、これはF-4 ファントム戦闘機のそれを転用したものである。
運用 [編集]
シースパローBPDMSは、まずガーシア級護衛駆逐艦の2番艦に搭載されて試験されたが、これは後に撤去された。続いて、本来シーモーラーBPDMSを搭載するはずだったノックス級護衛駆逐艦へ搭載された。これは、アメリカの護衛駆逐艦(DE)としては初めての艦対空ミサイル装備であった。
シースパローBPDMSは、決して理想的な防空兵器ではなかった。RIM-7Eのロケット・モーターは、高速で高高度より投下されることを想定しており、艦上から発射される場合、不十分な加速能力しか提供できず、空中発射型の4分の1の射程にしかならなかった。また、イルミネーターは手動式だったので、夜間や荒天時には能力が落ち、さらに高速の目標に対する追随性にも問題があった。
しかし、1967年に発生したエイラート事件によって対艦ミサイルの脅威が強く印象付けられたことから、その対処策として、シースパローBPDMSの配備は継続され、1975年より就役を開始したスプルーアンス級駆逐艦にも搭載された。ただし、改良型のIBPDMSの配備と、BPDMSの防空能力の不足から、のちにスプルーアンス級の搭載システムはIBPDMSに変更され、ノックス級の一部の艦は20mmファランクスCIWSに換装した。
IBPDMS (NSSMS) [編集]
1968年、デンマーク、イタリア、ノルウェーの各国は、個艦防空システムとしてシースパローBPDMSの改良型を採用することで合意した。数年後、NATOの諸国は、NATOシースパロー・プロジェクト・オフィス (NSPO)を立ち上げた。この計画のもと、改良型BPDMS (IBPDMS)の開発が開始された。この時点で、従来のBPDMSの配備はなお進行中であったが、その限界点も既に明らかになっていたためである。この計画に基づいて開発されたIBPDMSは、1973年にNATOシー・スパロー・ミサイル・システム (NSSMS) Mk 57として制式化された。
IBPDMSは、従来のシースパローBPDMSの欠点を全般に改良する形で開発された。発射機としては、新開発で追随性・整備性に優れたMk 29を用いる。また、のちには自動再装填装置が開発され、日本のあさぎり型護衛艦など一部の艦に装備された。使用するミサイルは、新型のシーカーを採用し、ロケット・モーターを改良して弾頭も大型化、翼の折りたたみによって小型の発射機での運用を可能にしたRIM-7F/Hに変更された。これにより射程は26kmに延伸された。
イルミネーターとしては、自動化されたAN/SPS-65が開発され、これは後にMk 91 FCSに発展した。また、NSSMSは多国間で開発されたため、オランダや日本など、自国で開発されたMFCS (ミサイル射撃指揮装置)を用いる国も少なくなかった。
さらに、1983年からは、AIM-7Mに対応して改良されたRIM-7Mが採用された。これは新型のモノ・パルス・シーカーを採用し、迎撃可能範囲が大幅に拡大している。さらに、RIM-7Mの採用に伴って、アメリカ海軍はMk 91 MFCSの性能強化策として、Mk 23 TAS (Target Acquisition System)を導入した。これは、Mk 91にシステム固有の二次元対空レーダーおよび敵味方識別装置を組み込むもので、Mk 91の交戦能力を劇的に向上させた。
また、NSPOは、RIM-7MをVLS(垂直発射装置)に対応するように改修した。VLS対応版は、推力偏向ノズルが装備して垂直発射に対応している。その後、本家スパローがAIM-7Pに発展するのに伴って、RIM-7Pが配備された。これが従来型のRIM-7シースパロー・ミサイルの系譜の最後となるものと見られている。
ESSM [編集]
詳細は「ESSM」を参照
RIM-7Pの後継ミサイルとして開発されていたRIM-7Tは、最終的にRIM-162 ESSMに発展した。これは、従来のRIM-7シースパロー系列のミサイルから大幅に設計を変更しており、ストレーキと尾部の操舵翼を採用した外形は、むしろRIM-66スタンダードSM-1/2MRに近い。推力偏向制御機構の導入によって極めて高い運動性を有し、近接防御にも使用できるようになったほか、射程もほぼ倍増した。また、SM-2と同様に中途航程に慣性誘導を導入して、同時多目標対処が可能となった。
ESSMは、Mk 48 VLSではDP-48キャニスターにより2発、Mk 41 VLSではMk25キャニスターにより1セル当たり4発搭載可能で、アメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の一部はこれをファランクスCIWSの代わりに装備している。一方、ノルウェー海軍のイージス艦であるフリチョフ・ナンセン級フリゲートは、艦対空ミサイルとしてESSMのみを搭載するが、これは僚艦防空 (Local Area Defense) も視野に入れた装備であるとされている。
登場作品 [編集]
- 漫画・アニメ
- 『ジパング』
- 映画
- 『亡国のイージス』
- ゲーム
- 『大戦略シリーズ』
- 西側諸国の艦艇ユニットの対空装備として登場。