草薙素子

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草薙素子(くさなぎ もとこ)は、『攻殻機動隊』の登場人物。声優は田中敦子がシリーズの大部分を担当。『攻殻機動隊 ARISE』では坂本真綾が、またPlayStation用ゲーム版は鶴ひろみが担当する。英語吹き替え版の声優は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』ではミミ・ウッズ。それ以降の作品ではメアリー・エリザベス・マクグリンが演じているが、『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』と『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven』のみアリソン・マシューズ が担当。

人物[編集]

幼少の頃に、脳と脊髄の一部を除く全身を義体化した女性型サイボーグで、公安9課の実質的なリーダー。冷静沈着な性格に加え、判断力、統率力、身体能力(義体制御能力や戦闘能力)において突出した才能を発揮する他、高度なハッキングスキルから、荒巻には「エスパーよりも貴重な才能」と評されている。押井守による映画版での押井個人の設定では、年齢は47~48歳[1][2]神山健治による『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズでは、第1作の時点で25~26歳[3]

直感による判断を「ゴーストの囁き」と称している。

世界でも屈指の義体使いであり、事件を解決するためならば非合法な手段を使うことも躊躇せず、必要とあらば課員にもゴーストハックを仕掛けたり、枝(電脳への侵入経路)を付けたりする。遠隔操作式の予備義体である「デコット」を複数所持している。過去に軍に所属していた経歴から、課員からは「少佐」と呼ばれており、パーティーや法廷等の公の場では略綬のついた礼服仕様の軍服を着用している[4]。女性型の義体を使っていることもあって、身長は168cmと9課の中では小柄であるが、これは任務上、外見的な支障をきたさないように配慮しての事である。ただし、外観は一般流通している量産型義体と同様であっても、メンテナンスを始め、ボディの素材や義体制御ソフトは通常では手に入らない超高品質の物ばかりで、骨格には強化や高出力化が施してあり、中には法に触れるようなマテリアルまで採用している。

なお、サイボーグ化した経緯と時期についてはシリーズにより異なり、『攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE』エピローグでは、幼少時に事故か病気で生身の身体を失い義体化した事が示されている[5]。『2ndGIG』では、幼い頃に「航空機事故」に遭って家族を失い、生き延びるために全身義体を選んだ事が明らかにされている。『東のエデン』において2011年2月14日に、羽田沖で「11発目のミサイル」が旅客機に直撃し、6歳児の男女2名を除く乗客乗員236名が死亡する大惨事が起きているが、この時に奇跡的に救出された男女2名の6歳児は、幼少時の素子とクゼ・ヒデオである事が示唆されており[6]、小説版『攻殻機動隊 S.A.C. SSS』では、素子本人の回想で、幼いころにミサイル攻撃を受けた飛行機墜落事故に巻き込まれ、乗客乗員236名が死亡し、当時6歳の素子と、もう一人同じ歳の男の子だけが生き残り、生きるために素子が全身義体化したことが本人の回想で明らかにされている[7]。 『攻殻機動隊 ARISE』では、まだこの世に生を受けていない胎児の状態で、母親ともども化学兵器テロに巻き込まれる。母体は既に死亡していたが、その際に救助に訪れた特殊部隊が「全身義体サイボーグの生命維持装置を他人の救命のために流用する」という技術「ドクトル・バケルの緊急医療システム」を有していたことにより、胎児の草薙の脳を全身義体に組み込むことで命を救われた。以来、軍の特殊機関「501機関」に所属し、年齢に相応しい義体に換装しながら生きている。

同性のセックスフレンド達(電脳ドラッグを用いた違法ヴァーチャルソフトの編集や販売の共犯者)がおり、原作1巻では電脳空間上のベッドで全裸になり、違法ソフト作成を行なっているシーンがある。

原作1巻の最後では人形使いと融合、2巻では既に4人以上のゴーストと融合しており、同様に「素子」の要素を持った同位体も20体以上存在し、かつての草薙素子という個人ではなくなっている。

『S.A.C.』3部作では、基本的な人物像は変わらないものの、コミカルな表情や反応、冗談や軽口をたたくことはやや少ない。服装も、原作1巻では私服は露出度を抑えたパンツルックで軍服以外ではスカートは着用していなかったが、『S.A.C.』3部作においては露出度の高い服装をとっていることが多く、私服の時にはスカートも履いている。常用している義体の瞳は赤く、予備義体も赤い瞳をしたものが多い。原作と同じ顔ぶれのセックスフレンドが登場するシーンがあるが、彼女達とそういう間柄であるという具体的表現はない。

映画版では、『S.A.C.』3部作以上にストイックな性格、言動になっている。原作と同様露出度の低い服装だが、遠目では全裸に見えるインナースーツ状の光学迷彩服をまとっていても、あまり気にしていない様子である。原作で行なっていた違法電脳ソフトの編集や販売といった副業は行なっていない。

各作品での特徴[編集]

攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL
後述の映画版とは異なるプロセスで人形使いと融合する。
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
自らのゴーストを探求している。人形使いと融合するが、原作とはプロセスが異なる。人物像も各シリーズの中で最もストイックな性格として描かれており、表情の変化もほとんどない。
イノセンス
ほとんど登場しないが、後半バトーを手助けするために現われる。ただし従来の義体ではなく、衛星を経由して、ガイノイド「ハダリ」の電脳に自分の一部をダウンロードした状態である。
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
作品の舞台が「もし、草薙素子が人形使いと遭遇していなかったら」という設定のパラレルワールドであるため、『S.A.C.』3部作では人形使いと融合していない。
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG
幼少期に「航空機事故」で重体になった少年と少女のエピソードとして、草薙が義体化した経緯が明らかになり、他のコンテンツでは明確に描かれなかった異性に対する意識も描かれた。
当時、最先端技術としてまだ一般化されていなかった電脳化、義体化を、生命を救う唯一の方法として施されており、それに伴って自身も義体化を決意した少年が、後に戦うことになるクゼとされている。この時、左手しか動かせなかったクゼが草薙のために折鶴を渡しており、劇中でメタファーとして扱われている。
「少佐」と呼ばれるのは、第4次非核大戦時の軍歴による。メキシコへの派兵時には国連軍としてイシカワと同じ部隊に属しており、イシカワはバトーに対して少佐の「メスゴリラ」という渾名を披露している。この時サイトーは敵対していた部隊「赤いビアンコ」に傭兵として従軍していたが、草薙と対決して敗北し、後に9課に属する[8]
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
前作『2nd GIG』の最終話ラストで任務を放棄し失踪して以来、2年間ネットに介在し単独で行動している。その卓越した能力から、今回の事件の黒幕である傀儡廻の正体ではないかとバトーに怪しまれた。性別、年齢、容姿も様々な複数のデコットを操り、様々な組織(ビジネスの相手)と内通して活動していた。
攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER
「DRIVE SLAVE」にて以前とは違う容姿のデコットを操り、トグサバトー達の前に現れる。クロマ[9]と名乗りマイクロテレメータ社勤務の黒沢博士から失踪した愛人の捜索を依頼されており、その過程でバトーと共闘することとなる。
攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE
宇宙にある託体施設の創立メンバー。その電脳戦能力や素子同位体のナンバーを把握していることから、オリジナルないしそれに近い存在だと推測され、認知限界を拡大するためにミレニアムを使役してポセイドン・インダストリーに干渉してくる。ゴースト内で意思決定がアンタレスとスピカに分裂していたが、荒巻素子が持ち込んだラハムポル博士の珪素生命体の設計図を入手したことにより意思決定を統合、荒巻素子と協定を結ぶ。
攻殻機動隊 ARISE
公安9課が結成される前日談であるため、これまでのシリーズより若い頃の時代が描かれている。ストイックさの中に若さ故の未熟さや反骨精神を織り交ぜた性格が描かれ、自らの記憶の齟齬に恐怖したり、幻肢痛に苦しんだりする様子が散見される。幼少時より軍の特殊機関「501機関」に、エージェント兼研究対象として所属。義体が軍から提供されていること、そのメンテナンス費用が健康保険でまかなえる額をはるかに超過することから、個人としての自由が著しく制限されており、貯金の引き落としや外出にも上層部の許可がその都度必要なほどである。恩師のマムロ中佐が殺された一件を調査する過程で、荒巻やバトー、パズ、トグサといった後の9課メンバーと知り合う。このシリーズではキャスト陣が一新されており、坂本真綾がキャストを務める。

コドモトコ[編集]

声:坂本真綾

『S.A.C.』第12話「タチコマの家出映画監督の夢 / ESCAPE FROM」及び第25話「硝煙弾雨 / BARRAGE」に出てくる草薙の少女型デコット。『2ndGIG』では、全身義体化してから2年経過した幼少時の素子が登場している。

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』のラストでは、素子の義体が著しく破壊されたため、バトーが急いで闇ルートで手に入れた義体という設定で、声が坂本だが、途中で田中に切り替わる。

『攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE』エピローグでは、サイボーグ化した直後の幼少の素子が登場している。 

受賞歴[編集]

第5回東京スポーツ映画大賞主演女優賞受賞

脚注[編集]

  1. ^ ニコ生トークセッション『押井​守×夏野剛 時事砲弾~​コミュニケーションはいる?​いらない?』(押井守の発言、2012年10月23日)
  2. ^ あくまで押井守個人の設定。押井曰く「現場の連中はみんな、(素子は)20代だと言っていた」という。
  3. ^ 2011年の素子が6歳であることから。
  4. ^ 『2nd GIG』第1話「再起動」などで見ることができる。
  5. ^ 小説『攻殻機動隊 灼熱の都市』では成人後に訓練中の事故でサイボーグ化したとされている。
  6. ^ 『東のエデン フィルムコミック』より。
  7. ^ 小説版『攻殻機動隊 S.A.C. SSS』P.78
  8. ^ 2nd GIG』第14話「左眼に気をつけろ POKER FACE」より。ちなみに関連は不明だが、原作『攻殻1.5』の「DRIVE SLAVE Part.1」で、草薙(クロマ)が「メキシコで小型核を使った時」という発言をしている。
  9. ^ 後に『S.A.C.』3部作でもこの名称とデコットの容姿を受け継いだアバターやデコットが登場している。

関連事項[編集]

  • 『S.A.C.』のPPV限定実写特典映像にて当作品への出演実績は無いが、同じく声優の田中理恵が草薙に扮したナビゲーターとして、複数回にわたって実写特典映像に出演しているが、これらの映像はDVD化されていない。
  • 『イノセンス』では鈴木敏夫プロデューサーが草薙素子役に山口智子を起用しようと画策したが、押井守大塚明夫山寺宏一の猛反対と山口が出演オファーを断ったため、田中敦子の続投となった。

関連項目[編集]