M-346 (航空機)

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M-346

2007年、プラティカ・ディ・マーレ基地にて行われた"Giornata Azzurra"(イタリア空軍航空ショー)に参加した試作1号機。

2007年プラティカ・ディ・マーレ基地にて行われた"Giornata Azzurra"(イタリア空軍航空ショー)に参加した試作1号機。

M-346は、イタリアアレーニア・アエルマッキ社の練習機。軽攻撃機としての利用も考慮されている。

開発[編集]

1990年代にA・S・ヤコヴレフ記念試作設計局とのジョイント・ベンチャーで行われた練習機開発計画が、市場の変化に伴いロシアと西側向けに分離した[1]。ロシア側に分離したものがYak-130であり、イタリアで設計されたものが本機である。

Yak-130との分離後、2004年に初飛行、2008年1月24日には試作2号機により、トーネード IDSからのプローブ式の空中給油に成功した。同年4月10日には、生産型1号機がロールアウトした[1]。生産型は降着装置をAMXと同様のものとし、縦通材を省き機体構造の見直しとチタニウム及び複合素材の使用で380kg以上の軽量化を果たし、これに加えてテスト用の機材や標準化システムが占める物を含めて700kg程の余裕が持たされた。空力設計に基づき、燃料タンクは前方に80cm移動、航法システムはアレーニアSIAとSelexコミュニケーションズの機材をアレーニア・アエルマッキのソフトウェアで制御するものに強化された。

2008年11月19日、ハネウェルとの間に520億ドル分のエンジン供給契約が締結された。2009年には公式試験が終了し、アレーニア・アエルマッキは「マスター」(Master)と命名した[2]。2009年6月、パリ航空ショーの後、イタリア空軍と初期6機、オプション9機の契約を締結し、航空軍備総局よりT-346の型式が与えられた[1]。2010年12月21日、最初の2機がロールアウト[3]、2011年3月31日に初飛行[4]、6月20日に型式認証された[5]。11月には受領が正式に決定している[6]

イタリア国外への販売[編集]

2006年、ポーランド空軍に提案を行ったが[7]、ポーランドは2011年に練習機導入計画自体を中止している[8]。その後2014年2月27日に8機を正式に発注した[9]

2009年、アラブ首長国連邦空軍ノックダウン生産を含む48機(軽攻撃機型20機を含む)の導入を決定したが[10]、その後の契約交渉が進まず2011年の段階では停止状態となっている[11][12][13]

2010年9月、シンガポール空軍に練習機として12機の導入が決定した[14][15]

2012年2月16日、イスラエル空軍TA-4更新計画に際し、T-50との受注争いに勝利し、約30機の導入見込みとなった[16][17]

特徴[編集]

曲技飛行を披露するM-346

高等練習機と軽攻撃機を兼ねる機体として設計されており、双発エンジンによる安全性の確保、システム冗長性の獲得をおこなっている。デジタルコントロールは四重化され、これによって実用機の特性を模することが可能とされている。コクピットには、ヘッドアップディスプレイとカラー液晶ディスプレイ3面の合わせて4面のディスプレイが設けられ、ヘッドマウントディスプレイ暗視ゴーグルの運用にも対応している[18][19]射出座席には、イギリス製のMk16を採用している[19]

高アングル・高G(+8から-3まで)の機動、遷音速までの速度域に対応している[20]。対空、対地の訓練内容を地上から随時変更可能とし、合成素材の多用や機体構造の標準化、F124エンジンの採用などによって訓練費用や維持費用の低減にも配慮している[18]

軽攻撃機型はレーダーデータリンクを装備し、近接航空支援(CAS)・ヘリコプター等の低速目標迎撃(SMI:Slow Mover Interceptor)・対艦攻撃に用いられる。FLIR/レーザー照準器/ECM/偵察ポッド等の携行も可能である。練習機型との差異は、乗員1名で全ての機能を制御可能であることと、機材の即時適応性であり、実運用に際しては練習機型との混成でも支障は無いとされている[18]

事故[編集]

2011年11月18日、ドバイ航空ショーに出展の後、アラブ首長国連邦からサウジアラビア経由でイタリアへの帰国の途についた試作機がドバイ近郊で墜落、搭乗者は脱出に成功し死者・重傷者はなかった[21][22][23]

要目[編集]

Aermacchi MB-346 three-view silhouette.png

出典:Alenia Aermacchi Brochures 2011 M-346P16

  • 乗員:2名
  • 全長:11.49m
  • 全幅:9.72m
  • 全高:4.91m
  • 翼面積:23.52m2
  • 空虚重量[1]:4,625kg
  • 運用時重量:7t
  • 最大離陸重量:10t
  • ペイロード:3,000kg
  • エンジン:ハネウェル F124-GA-200英語版 2基
  • 最大出力:2,850kg x 2
  • 機内燃料搭載量:2,000kg(2,500リットル
  • 増槽:1,515kg(630リットルタンク3本)
  • 最高制限速度:590ノット(1,092km)
  • 最高速度:572ノット(1,059km)
  • 失速速度:90ノット(166.6km)
  • 上昇率:22,000フィート/分
  • 上昇限度:45,000フィート
  • 航続距離:1,070nm(1,981.6km)
  • フェリーレンジ:増槽3本使用時、1,470(2,722.4km)
  • 行動半径[1]:185km(AIM-9L2発と、訓練用ポッド搭載時)
  • 離陸滑走路長:420m
  • 着陸滑走路長:550m(残燃料20%時)
  • ハードポイント:9ヶ所(翼端各1、翼下各3、胴体1)[18][19]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e イタリア空軍
  2. ^ 但しこの名称は、アレーニア・アエルマッキのパンフレットや公式サイトでは2010年12月以降は使用されていない。
  3. ^ Alenia Aermacchi: roll-out of first two Italian Air Force T-346A trainers
  4. ^ Alenia Aermacchi Announces the First Flight of the Italian Air Force T-346A
  5. ^ The Alenia Aermacchi M-346 trainer aircraft receives its Type Certificate from the Italian Defence Ministry
  6. ^ Acceptance of the first T-346A for the Italian Air Force completed
  7. ^ Alenia Aermacchi (Finmeccanica): the new advanced trainer aircraft M-346 presented to the Polish Air Force
  8. ^ Polish Defence Ministry Cancels Training Aircraft Tender
  9. ^ ポーランド、M-346ジェット練習機8機を発注 FlyTeam ニュース
  10. ^ The United Arab Emirates Government selects Finmeccanica for 48 M-346 advanced lead-in fighter trainer aircraft
  11. ^ UAE Gives M346 a LIFTDefense Industry Daily
  12. ^ UAE stops talks with Alenia Aermacchi on M-346 contractFlightglobal(記事は、Flight Internationalからの提供)
  13. ^ なお、2011年の交渉でアレーニア・アエルマッキとの間に成立した契約は、MB-339の導入に関するものである。
  14. ^ Alenia Aermacchi Alenia Aermacchi: finalised contracts with ST Aerospace worth about EUR 170 million for the logistic support of the fleet of 12 M-346s for the Republic of Singapore Air Force
  15. ^ New Generation Advanced Fighter Trainer for the RSAFシンガポール国防省
  16. ^ Alenia Aermacchi: Israel selects the Italian M-346 trainer aircraft
  17. ^ <EMeye>イスラエル次期ジェット練習機、イタリアが韓国に勝利モーニングスター
  18. ^ a b c d Alenia Aermacchi Brochures 2012 M-346
  19. ^ a b c M-346 Master, Italyairforce-technology.com
  20. ^ アフターバーナーを持たないため自力での音速突破は不可能だが、急降下による音速突破は可能。これによって純イタリア製実用航空機として初めて音速突破を達成した機体となった。
  21. ^ Press Note
  22. ^ Italian air-show plane headed to Saudi Arabia crashes in Dubai Al Arabiya News
  23. ^ Aviation Safety Network

参考文献[編集]

  • 航空ファン 2012年4月号、第61巻第4号・通巻712号 (24p-31p)、文林堂 ISBN 4910037430427

関連項目[編集]

外部リンク[編集]