マリーンワン

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マリーンワン(VH-3D)
マリーンワンに搭乗するロナルド・レーガン大統領とナンシー夫人
内部の様子(搭乗しているのはオバマ大統領と政権幹部)

マリーンワン: Marine One)は、アメリカ合衆国大統領アメリカ海兵隊機に乗った時に使われるコールサイン

概要[編集]

通常この「マリーン・ワン」というコールサインは、大統領が国内の短距離間を移動するときに利用するヘリコプターに対して使われる。大統領専用ヘリは、大統領がホワイトハウスアンドルーズ空軍基地(多くはエアフォース・ワンに搭乗するため)、あるいは別荘であるキャンプ・デービッドを往復する際に利用されることが多い。一般的に大統領が利用するが、副大統領閣僚などの移動の際に使われることも多く、副大統領が搭乗した際のコールサインは、マリーン・ツー: Marine Two)となる(エアフォース・ワンにおける副大統領搭乗時のコールサインの取扱いと同様)。

日々の運用に当たるのは、バージニア州クアンティコにあるクアンティコ海兵隊航空施設(Marine Corps Air Facility Quantico、クアンティコ海兵隊基地内にある)に拠点を置く、HMX-1こと第1海兵ヘリコプター飛行隊(Marine Helicopter Squadron One)である。本飛行隊は、「ナイトホークス」(The Nighthawks)の通称でも知られる。

専用機として現在就役しているのは、VH-3DシーキングVH-60N プレジデントホークである。前者はSH-3 シーキングを、後者はUH-60 ブラックホークをベースに改造が施された派生型である(ともにシコルスキー・エアクラフト社製)。ヘリコプターゆえ空間的制約はあるものの、これらのヘリコプターは内装が通常の海兵隊機とは異なり、衛星電話ホワイトハウス直通電話など大統領など政府高官が搭乗するうえで必要な装備が設備されている。またVH-3Dについては、大統領の紋章(Seal of the President of the United States)をマーキングした専用機も存在する。

このヘリコプターが行動するときは、1機単独で運用されることは少なく、海兵隊の武装兵を乗せた複数の予備機とともに利用されることが多い。このように大統領の搭乗機の特定を困難にすることで、テロ攻撃によるリスク低減が図られている。

歴史[編集]

大統領がヘリコプターによる輸送を受けるようになったのは、1957年に当時のドワイト・D・アイゼンハワー大統領がH-13を利用したのが最初である。この機体は1958年にH-34に、さらに1961年にVH-3A(現在運用されているVH-3Dと同系列)へと更新された。その後は20年近くVH-3Aが運用されていたが、1978年に一部の機体が改良型であるVH-3Dへ更新され、さらに約10年後の1989年に残るVH-3AがVH-60Nへと更新され、現在の機材体制となった。

なお、1976年まで、大統領のヘリコプター輸送は陸軍と海兵隊の共同運行管理であったため、この時期の専用ヘリコプターのコールサイン・名称には「アーミー・ワン」が用いられた。現在の「マリーン・ワン」のコールサイン・名称となるのは、運行管理が海兵隊単独となった1976年以降である。

また、2009年1月20日には「エグゼクティブ・ワン」というコールサイン・名称を使用する機会も得ている。このコールサイン・名称は、同日付で退任したばかりのジョージ・W・ブッシュ前大統領が、連邦議会議事堂で行われたバラク・オバマ新大統領の就任式に出席した後、ローラ夫人と共に連邦議会議事堂を離れ、アンドルーズ空軍基地に移動する際に使われた。

次期大統領専用機選定[編集]

大統領専用ヘリ、特にVH-3Dの老朽化に伴い、「マリーンワン」用要人輸送ヘリコプター後継機として、ベル/ボーイングV-22シコルスキーS-92アグスタウェストランドUS-101が候補に挙がった。

2006年2月、最終的にS-92とUS-101に絞られ「居住性」「安全性」でUS-101が高い評価を受け「マリーンワン」用要人輸送ヘリコプター後継機に決まった。US-101は、VH-71 ケストレルとして23機が納入される予定であった。

しかし、軍用機をも大幅に超える防弾性能や対衝撃性能が調達要件として追加されたうえ、計画は遅延を繰り返すうちに費用が当初の倍の112億ドルにも達したため一旦中止する事が発表された[1]。後継機計画の再開は未定の状態である。計画中止の後、VH-71にはこうした過剰ともとれる性能要求に加え、キッチンが装備されようとしていたことが「アメリカが核攻撃を受けている時に、食事を摂ろうなどとは決して思わないだろう」と大統領のジョークにより明らかになった[2][3]。 シコルスキー社は、VH-3のアビオニクス、エンジン・ローター類を改修しての延命案を提案している。

次期大統領専用ヘリコプター(通称:マリーンワン)の開発を任せるメーカーを選定中だったアメリカ海軍が、ヘリコプター製造会社シコルスキー・エアクラフトを新型マリーンワンの開発メーカーに選んだことを発表しました。マリーンワンは大統領が乗り込んだ時のみ使われる大統領専用ヘリコプターのコードネームになっています。シコルスキーは既に開発済の機体S-92をベースに、内部に特殊な装置を導入するなどして、6台のテスト用ヘリコプターを開発する予定です。そのうち4機は海軍の軍事作戦に使用される可能性があります。

歴代「マリーンワン」用要人輸送ヘリコプター[編集]

  • H-34
  • VH-3
  • VH-60N プレジデントホーク(ブラックホーク):同機は、主に予備的に使われる場合が多く、大統領外遊時に使われる場合も多い
  • VH-71(EH101):次期「マリーンワン」用要人輸送ヘリコプター(計画中断中)

登場作品[編集]

作中の会話シーンでのみ登場実際の登場は無し傭兵部隊によってエアフォースワンとともに破壊された模様

脚注[編集]

  1. ^ NBCナイトリーニュース、2009年5月17日
  2. ^ 「調達中止の米大統領専用ヘリ、キッチン付きの予定だったと判明」 (日本語) ロイター通信の配信記事。2009年8月18日配信・2012年4月18日閲覧。
  3. ^ ただし、固定翼機も含めれば、大統領専用機にキッチンが装備されることが異常・例外的というわけではない。これはあくまで短距離輸送を担うヘリコプターでの話であり、同じく大統領専用機を務め、特に中長距離輸送を担うVC-25エアフォースワン)にはキッチンが装備され、給仕担当の要員が搭乗して食事や飲み物を提供している。(VC-25の機内での食事については当該ページを参照のこと。)

関連項目[編集]