アメリカ合衆国議会議事堂

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議事堂の正面(西側)
議事堂

アメリカ合衆国議会議事堂(アメリカがっしゅうこくぎかいぎじどう、: United States Capitol)は、アメリカ合衆国議会議事堂。地理的にはワシントンD.C.のやや東部に位置するが、首都の中心とみなされ、ワシントンD.C.の住所の東西南北は議事堂を基準に定められている。高さ288フィート(88m)、直径96フィート(29m)の巨大なドームが特徴的な新古典主義建築である。議事堂(キャピトル)を囲む一帯の住宅街や地域名はキャピトル・ヒル(Capitol Hill)と呼ばれている。

名称[編集]

英語の「Capitol」(キャピトル)は古代ローマの「カンピドリオの丘(ラテン語:Capitolinus Mons)」に由来している。また各州の議会も「State Capitol」と呼ばれる。

沿革[編集]

アメリカ合衆国議会の議事堂としては正確には4代目。

1783年1784年には、メリーランド州アナポリスの現在州議会議事堂として使用されている建物が、最初の合衆国議会議事堂だった。その後、二代目として、1789年1790年ニューヨークフェデラル・ホール。三代目として、1790年1800年フィラデルフィア独立記念館が使用された。

米英戦争で破壊された後の議事堂(1814年頃の図)

現在の議事堂の建設は、初代議事堂建築監ウィリアム・ソーントン(Dr. William Thornton)の設計により1793年に開始され、初代大統領となるジョージ・ワシントンが棟上式を行ったことで知られている。議事堂建設の多くは黒人奴隷が使用されたといわれている。当初は大工をヨーロッパから募集する予定だったが思うように集まらず、奴隷や元奴隷の黒人達が材木を切り、レンガを焼き、石を積む建設作業の大半を担った。

上院側は1800年に完成し、下院側は1811年に完成する。アメリカ合衆国議会議事堂として最初に使用されたのは1800年11月17日からの通常会期である。完成のすぐ後に、米英戦争のイギリス軍のワシントンD.C.攻撃によって1812年に一部が消失したが、1815年に再建が始まり、1830年には終了した。

1846年撮影の議事堂(現在の東側正面の中央部分にあたる)
ジョージ・ワシントンを神格化した天井画

アメリカ合衆国の加盟州も議員数も19世紀には大きく増えたため、議事堂は1850年代に両翼を大規模に拡張された。この際にも黒人奴隷が建設に使役された。この際にドームも立てなおされた。もともとロタンダの上にあった円形ドームは再建途上の1818年に材木を組み合わせてできたものだったが、拡張後の議事堂のサイズに比べると小さすぎた。拡張計画の責任者だったトーマス・U・ウォルターはパリの廃兵院マンサード屋根を参考に、従来の木製ドームの三倍の高さで直径も30m大きい、鋳鉄でできたウェディングケーキ状のドームを設計した。廃兵院のドーム同様、内部は二重になっており、内側の石造ドームには天頂に大きな天窓をあけ、その向こうに外側ドームを支える鋳鉄の肋骨材(リブ)から吊るされたジョージ・ワシントンを賛美する天井画が見えるようになっている。ドーム上には円形構造が設置され、その上に1863年に「フリーダム」と名づけられた高さ19と1/2フィート(6m)のブロンズの巨大な女神像が置かれた。ドームは1855年に着工し、1866年に完成した。

ドームは計画より巨大になったため、今度は1828年建設の東翼の柱廊が小さく見えるようになった。このため、1904年に議事堂の東正面棟が改築された。しかし議事堂には巨大化した合衆国議会の機能のすべてを収容する大きさはないため、上下両院議員オフィスは道路を挟んだ南北に建設された議会オフィスビル群に分散している。アメリカ合衆国最高裁判所は、1935年まで東正面棟や地下階など議事堂各所で会合を開いていた。

構造[編集]

ライトアップされたドーム(西側)

議事堂には西側と東側の二つの正面がある。このうち、東側の正面が来館者や高官らの入口として当初は想定されていたが、現在は両方が正面である。

ドームとロタンダを中央に、正面右手(南側)が下院の棟で、左手(北側)上院の棟である。議事堂のすべての部屋名には「S」(Senate、上院)か「H」(House、下院)の区別が表示されているが、これはドーム下の大空間であるロタンダの南(下院側)にあるか北(上院側)にあるかで決まっている。

議事堂とその周辺の議会ビルの配置

議事堂の建つ区画(キャピトル・グラウンドと呼ばれる1平方キロメートルあまりの芝生の公園)は、北はコンスティテューション・アヴェニュー、南はインディペンデンス・アヴェニューという大通りで囲まれているが、その大通り沿いに建つ議会オフィスビル群の部屋名にもすべて南北別に「HOB」(House Office Building、下院ビルディング)と「SOB」(Senate Office Building、上院ビルディング)の表示がつけられている。さらに、議事堂と南北の大通りをはさんだ両議会のオフィスビル群とは長いトンネルで結ばれ、トンネル内は地下鉄がシャトル運転して議員や職員、来訪者が行き来しており(アメリカ合衆国議会地下鉄)、非常時には避難路ともなる。

ワシントンD.C. の住所には全て、NE、NW、SE、SW (北東、北西、南東、南西)がつけられているが、これも議事堂のロタンダを中心としている。議事堂はワシントン市街の中心ではなくやや東寄りになるため、4つの区域の面積は同じにならない。

下院の議場には、アメリカのみならず世界の歴史上有名な立法者の浮き彫り肖像が時計回りに設置されている。

議事堂(東側正面)

影響[編集]

丸いドームを頂く連邦議会議事堂の建物の様式は各州の多くの州議会議事堂の雛形となっている(ルイジアナ州議会議事堂ニューヨーク州議会議事堂アイオワ州議会議事堂など例外はある)。

詳細はアメリカ合衆国の州会議事堂の一覧およびcommons:State Capitols in the United Statesを参照。

関連[編集]

キャピトル・グラウンドに建つ議事堂、西側から

外部リンク[編集]