アーノルド・シュワルツェネッガー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アーノルド・アロイス・シュワルツェネッガー(Arnold Alois Schwarzenegger[ˈaɐ̯nɔlt ˈaloɪ̯s ˈʃvaɐ̯ʦənˌʔɛɡɐ]、1947年7月30日 - )はオーストリア生まれでアメリカ人の俳優、ボディービルダー、政治家および実業家。現在、カリフォルニア州知事を勤める。身長187cm。
目次 |
[編集] 人物
2003年8月にカリフォルニア州知事のグレイ・デイヴィス(Gray Davis)がリコールされたことを受け知事選へ出馬し、10月7日にカリフォルニア州知事に選出された(対抗馬の一人に「アーノルド坊やは人気者」で主人公のアーノルドを演じたゲーリー・コールマン)。
「オーストリアン・オーク(The Austrian Oak)」の愛称で呼ばれた彼は、最近はその出演作から「ガバナーター(The Governator)」(知事(Governor)とターミネーター(Terminator)の合成語)、「コナン・ザ・リパブリカン」(コナン・ザ・グレートの原題は「コナン・ザ・バーバリアン(野蛮人コナン)」である)などと呼ばれる。その青年時代は成功したボディビルダーとして名を広く知られ、続くハリウッド時代の経歴で世界中に名を知られるようになった。彼の主演作のうち、成功した物には『ターミネーター』『プレデター』『コナン・ザ・グレート』『トゥルーライズ』『コマンドー』などが挙げられる。
日本でも数度の来日でバラエティ番組や各種のCMに出演した。
同性愛及び同性婚には反対の立場をとっている。葉巻を愛喫し、好きな銘柄はコイーバ(Cohiba)である。
日本においては、その独特かつ長い苗字からとった『シュワちゃん』という愛称もある。
[編集] 生い立ち
シュワルツェネッガーはオーストリアのシュタイアーマルク州の州都グラーツから6km離れた地のタール・バイ・グラーツ(Thal bei Graz) で、警官のグスタフ・シュヴァルツェネッガー(Gustav Schwarzenegger、1907 - 1972)と、アウレーリア・ヤドルニー(Aurelia Jadrny、1922 - 1998)の間に生まれた。 彼の父がナチス党員(突撃隊員)であったことが判明し、論議を呼んだこともあった。
シュワルツェネッガーは1968年にボディビルの関係で渡米、アメリカ合衆国に移り住む。彼は英語が流暢でなく、その時の所持金は僅か20ドルであった。彼は1983年にアメリカ国籍を取得したが、オーストリアの国籍もなお持っている。UCLAで心理学を学び、1979年にウィスコンシン大学から国際市場と経営管理に関してB.A.(Bachelor of Arts)を得た。
1971年に彼の異父兄弟マインハルトは自動車事故で死亡した。また、父親のグスタフは翌年死亡した。1977年に彼は自叙伝『Arnold: The Education of a Body-Builder』を出版している。1986年にはケネディ元大統領の姪でCBSのテレビ・ジャーナリスト、マリア・シュライヴァー(Maria Shriver)と10年越しの交際の末 結婚した。2人の間には4人の子供(キャサリン、クリスティーナ、パトリック、クリストファー)がいる。
[編集] 話し方
彼はそのドイツ語訛りの話し言葉のアクセントをしばしば物真似され、そこから「Ah-nuld」と呼ばれる。
新作映画のプロモーションなどでドイツなどを訪れるときはドイツ語で挨拶することがあるが、典型的な高地ドイツ語(オーストリア訛り)なので「何を言っているのかわからない」とドイツ人から言われることがある。
[編集] ボディービルダーとしての経歴
シュワルツェネッガーはボディービルダーとしてその名が広く知られるようになった。その鍛え抜かれた肉体は「オーストリアン・オーク(オーストリアの樫の木)」の愛称をもたらし、ジュニア・ミスター・ヨーロッパ、ミスター・ワールド、五回のミスター・ユニバース、七回のミスター・オリンピア(ボディビルディングの世界最高峰)のタイトルを得ることとなった。ミスターオリンピアでは一度セルジオ・オリバに敗北しているもののそれ以降は無敗であり、結果、6連覇+1回の合計7度のミスター・オリンピアの受賞の記録を1980年に達成した。その記録はリー・ヘイニーが1991年に、ロニー・コールマンが2005年に8度目のミスター・オリンピア(二人とも連覇である)を受賞するまで破られなかった。彼はボディービルの歴史に於いて重要な人物と見なされ、その業績は毎年開催されるアーノルド・クラシック・ボディービル大会で称えられる。現在もマッスルアンドフィットネス等、フィットネス関連の雑誌にトレーニング理論の記事を執筆中。20世紀最高のボディービルダーと評されることもある。
[編集] 役者としての経歴
全米ボディビルダーで優勝を飾った後、専門のボディービルダーとして皆に飽きられることから、危機感を感じた彼は俳優への転身を図る。筋肉質な体格故、役に恵まれ、1970年の『SF超人ヘラクレス』でのヘラクレス役でデビューする。同作では彼はアーノルド・ストロング(Arnold Strong)という役者名で、そのアクセントが強かったため台詞はアフレコがなされた。その後『ロング・グッドバイ』『ステイ・ハングリー』に出演後、1977年にドキュメンタリー『鋼鉄の男』に出演する。1991年に彼はこの映画を政界進出の障害と見なし、映画の権利、未使用フィルム、スチル写真を購入した[1]。シュワルツェネッガーはこの映画に関しての議論を拒絶しているが、批評家は写真を根拠に彼は目とあごに少なくとも一回の美容整形手術を行っていると主張する[2]。
映画俳優としては、1982年の『コナン・ザ・グレート』でブレイクを果たす。続いてジェームズ・キャメロンのアンドロイド・スリラー、『ターミネーター』(1984)に出演し、彼は「ターミネーター」として最も有名になりアクション映画俳優として確固たる地位を築き上げる。シュワルツェネッガーの演技力は多くのジョークの元となった。彼は役柄上必要なくとも、強いオーストリア訛りで話した。しかしながら彼の作品のファンのほとんどはそのことを気にかけないでいる。彼はまた自らの演技の幅に、アクションものだけでなくコメディのセンスを取り入れることに成功し、それまでのアクション役者にない「知的」な印象を持つ俳優として人気が出始め、スターとしての地位を確立した。
彼は『コマンドー』(1985)、『ゴリラ』(1986)、『バトルランナー』(1987)、『レッドブル』(1988)等、短期間に多くの作品へ主演した。『プレデター』(1987)にはミネソタ州知事ジェシー・ヴェンチュラ(『バトルランナー』にも出演)とケンタッキー州知事選に出馬経験のあるソニー・ランダムが出演している。アクション映画以外にも、名優ダニー・デビートとの競演によるコメディー『ツインズ』(1988)にも出演、役柄を広げた。『トータル・リコール』(1990)は当時における史上最高額の制作費が投入された映画であり、その多くは特殊効果を含む美術面と、この時点で1,000万ドルを突破した彼の出演料に費やされた。『キンダガートン・コップ』(1990)はもう一つの喜劇であった。彼の出世作である『ターミネーター』の続編『ターミネーター2』では、役柄が悪役からヒーローへと変わった。1作目とは全てが大きく異なる環境の中で拡大上映された結果、本作は全世界での興行収入が5億6千万ドルを超え、スターとしての地位を不動のものにした。ちなみに『ターミネーター』のワンシーンの台詞「I'll be back」(また戻ってくる)が決め台詞となり、来日した際や日本のマスメディアのインタビューの際には必ずこの台詞を発言している。『ターミネーター3』(2003)以降、下記のカルフォルニア州知事選などの政治活動をメインに行うため俳優業を暫くの間休業することになる。『ターミネーター4』には出演しないことが決定した。
心理学者によって、米国各地で起きたハイスクールにおける高校生の銃乱射事件が、『コマンドー』などの乱射シーンの影響によるものではないかとする見解が示され、以後、同様の内容の作品への出演を控えている。
なお、最低の映画を決めるゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)は8回ノミネートされたが1回も受賞しなかったため、2004年度のラジー賞25周年記念賞の1つ、最低ノミネート賞を受賞している。
2008年1月24日、シルヴェスター・スタローンが主演・監督・脚本・製作総指揮を務めた映画「ランボー/最後の戦場」のワールドプレミアを米・ラスベガス市内のホテル『プラネットハリウッド・リゾート&カジノ』で行い、シュワルツネッガーも14歳と10歳の息子2人を連れて出席した。舞台挨拶に立ったスタローンは「今日はターミネーターが来ているんだ」と、会場に向かって嬉しそうにシュワルツェネッガーを紹介したという。スタローンとは、お互い肉体派俳優と呼ばれ、公の場ではツーショットを見せたことがなかったため、不仲説も囁かれたが、関係者によると、アクション映画の双璧をなした好敵手同士でお互いを認め合い、実は親友だったという。レストランチェーン『プラネットハリウッド』と同ホテルの共同出資者というビジネスパートナーでもあり、会場を同チェーンのラスベガス店にした理由も、そこにあった。両者はガッチリと固い握手を交わし、肩をたたき合うなど約5分間の交流に、スタローンは「アーノルドも来てくれたし、素晴らしい夜だ。気分は最高だよ」と述べていた。シュワルツェネッガーは、2006年12月にロサンゼルスで行われたスタローンの「ロッキー・ザ・ファイナル」の試写会場にも足を運んでおり、1年ぶりのツーショットとなった。
[編集] 政治経歴
リベラルな風土で知られるカリフォルニアで、保守政党である共和党からの立候補だったが、投票者の約半数の支持を受けて当選した。一部の民主党支持者の票や、ヒスパニック系の有権者の票をも獲得しての当選であったとされる。これはシュワルツネッガーの立場(同性愛者の権利や妊娠中絶などについての考え方)が民主党のそれに近いこと、彼が移民であること、などから部分的には説明されたが、同時に民主党候補、ヒスパニック系の候補から票を奪う形での成功だったとも言われる。当選した際、「当選したからには私に休みはない。24時間、州知事だ」と声明した。
カリフォルニア電力危機などによって60億ドルにも上る負債を抱えた州の財政をどう再建するか、経済をどのように活性化させるかが特に重要とされ、シュワルツネッガーは増税なき財政再建を掲げたことで注目された。と同時に、その公約を裏打ちするだけの具体的な政策がないことを指摘、批判する声もあった。
2005年9月、シュワルツェネッガーは10代の肥満防止対策として州立高校での炭酸飲料の販売を禁止する法案に署名した。これにより今後州立高校の敷地内で販売できる飲料は水、牛乳、果汁50%以上のジュースなど一部のものに限られる。
2005年11月、シュワルツェネッガーは財政改革のための州憲法改正など、4項目を問う住民投票を行ったが、4項目とも大差で否決されてしまった。これにより、シュワルツェネッガーの政治力低下は避けられないという指摘もなされた。
また2005年12月13日にはスタンリー・ウィリアムズ死刑囚の恩赦請求を拒否することを発表した。ウィリアムズは4人を殺害した元ギャングの死刑囚で、収監後、改心し反ギャング活動を行い2001年から2005年の間ノーベル平和賞にノミネートされ、多数の減刑嘆願書が出されていた。しかしシュワルツェネッガーは、ウィリアムズが自身の犯した殺人事件を依然として否認し、謝罪も行っていないことから「証拠を検討したが、恩赦を出す余地は見いだせなかった」と今回の決定を説明した。この決定に従い、予定通り12月13日午前0時1分(現地時間)にウィリアムズへの薬物注射による死刑が執行された。
これに伴い、2005年12月27日までにシュワルツネッガーの出身地であるオーストリア南部のグラーツで、1997年に改名されたサッカー競技場アーノルド・シュヴァルツェネッガー・スタジアムから彼の名前が撤去された。オーストリアでは1950年に死刑制度を廃止し、今回のシュワルツェネッガーの死刑執行命令に批判が高まっていた。
2006年9月8日、非公式の場で共和党のヒスパニック系女性議員に対し差別的な発言を行ったことを記者会見で謝罪した。ただし、彼はこの発言の証拠となるテープの出所が中間選挙での対立陣営からだったとしてその信憑性を疑問視している。
総じて1期目は民主党主導の議会や労組との対立に苦慮し続けたが、ケネディ家に連なる妻の人脈や中道寄りの政治路線によって困難な政治局面を乗り切り、2006年11月の州知事選で再選にこぎつけた。従来から環境問題等に力を入れて、女性票や民主党票を取り込んだ事に成功したためだと言われている。2007年1月5日スキー事故で骨折するが、松葉杖で夫人と2期目の知事就任式に臨んだ。
2007年10月にカリフォルニアを襲った山火事は、州知事就任後最大の試練となったが、災害対応において卓越した指導力を発揮し、党派を越えた賞賛を得た[3]。
2008年1月31日に、ロサンゼルス市内で同じ共和党で大統領候補のジョン・マケイン上院議員と共に記者会見を開き、2008年アメリカ合衆国大統領選挙においての支持を表明。マケイン上院議員とは地球温暖化問題などで協力するなど古くからの友人で、マケイン上院議員はシュワルツネッガーが計画する州独自の排ガス規制に賛意を示している。
しかし、シュワルツネッガーの妻であるマリア・シュライバーは2月3日、民主党のバラク・オバマ上院議員の支持を表明したため、夫婦で別々の政党の候補を支持する形となった。
[編集] 交通事故
2006年1月8日午後、カリフォルニア州ロサンゼルスの路上で、大型オートバイを運転中に乗用車と衝突事故を起こし、唇を15針縫う怪我を負った。
同10日には、今回の事故はサイドカー付きのオートバイであり、同州では自動車の運転免許で運転できるが、米国での大型二輪免許の取得歴はなく、これまでの映画やテレビ中でのシーンはもとより、現在に至るまでの二輪車の運転は全て無免許運転であったことが発覚した。ヨーロッパでの二輪免許は取得している。
しかし11日、ロサンゼルス市警察は審議の結果、警察官が運転を現認しておらず、処罰は困難との結論に至ったため、知事を処罰しない方針を決めた。
なお、2001年12月にもオートバイで転倒し肋骨を6本折っている。
[編集] 主な出演作
- 『SF超人ヘラクレス』 - Hercules in New York(1970)
- 『ロング・グッドバイ』 - The Long Goodbye(1973)
- 『ステイ・ハングリー』 - Stay Hungry(1976)
- 『鋼鉄の男』 - Pumping Iron(1977、ドキュメンタリー)
- 『サボテン・ジャック』 - The Villain(1979)
- 『愛しのジェーン・マンスフィールド』 - The Jayne Mansfield Story(1980)
- 『鋼鉄の肉体/カムバック』 - The Comeback(1980、ドキュメンタリー)
- 『コナン・ザ・グレート』 - Conan the Barbarian(1982)
- 『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPart2』 - Conan the Destroyer(1984)
- 『ターミネーター』 - The Terminator(1984)
- 『レッドソニア』 - Red Sonja(1985)
- 『コマンドー』 - Commando(1985)
- 『ゴリラ』 - Raw Deal(1986)
- 『プレデター』 - Predator(1987)
- 『バトルランナー』 - The Running Man(1987)
- 『レッドブル』 - Red Heat(1988)
- 『ツインズ』 - Twins(1988)
- 『トータル・リコール』 - Total Recall(1990)
- 『キンダガートン・コップ』 - Kindergarten Cop(1990)
- 『フィアーナイト』 - Tales from the Crypt(1990、監督・出演)
- 『ターミネーター2』 - Terminator 2: Judgment Day(1991)
- 『ラスト・アクション・ヒーロー』 - Last Action Hero(1993)
- 『ゴリラ2』 - Beretta's Island(1994)
- 『トゥルーライズ』 - True Lies(1994)
- 『ジュニア』 - Junior(1994)
- 『イレイザー』 - Eraser(1996)
- 『ジングル・オール・ザ・ウェイ』 - Jingle All the Way(1996)
- 『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』 - Batman & Robin(1997)
- 『エンド・オブ・デイズ』 - End of Days(1999)
- 『シックス・デイ』 - The 6th Day(2000)
- 『コラテラル・ダメージ』 - Collateral Damage(2002)
- 『ターミネーター3』 - Terminator 3: Rise of the Machines(2003)
- 『80デイズ』 - Around the World in 80 Days(2004)
[編集] CM出演
- カップヌードル(日清食品) - 両手に巨大なやかんを持った「やかん体操」編が有名。振り付けはラッキィ池田。
- アリナミンV(武田薬品工業) - CMキャラクターの「魔人V」に扮した。宮沢りえとの共演も話題になった他、池乃めだか、島木譲二ら吉本新喜劇の俳優と共演したバージョンもあった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 公式サイト
- シュワルツェネッガー公式サイト(英語)
- State of California - Office of Governor Arnold Schwarzenegger
- Arnold Schwarzenegger's Official Political Website
- Citizens to Save California, a broad-based committee supporting the reform agendas of Governor Schwarzenegger and others
- Arnold Schwarzenegger's Official Italian Website
[編集] その他
- アーノルド・シュワルツネッガー (asahi-net内の情報)
- Arnold and the American dream(BBC News)
- Greg Palast Arnold Unplugged(expose on the Schwarzenegger-Enron connection)
- Video: Arnold's victory speech(BBC News)
- Arnold Schwarzenegger news and related links
- Arnold Schwarzenegger: King of bodybuilding, movies, politics and media
- globalarnold.com(Global Arnold Schwarzenegger fan community)
- Arnold Schwarzenegger Governor
|
|
|

