パラレルワールド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

パラレルワールドとは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界並行宇宙並行時空ともいう。

異世界(異界)」、「魔界」、「四次元世界」などとは違い、パラレルワールドは我々の宇宙と同一の次元を持つ。

概要[編集]

「この現実とは別に、もう1つの現実が存在する」というアイディアは、「もしもこうだったらどうなっていたのか」という考察を作品の形にする上で都合がよく、パラレルワールドはSFにおいてポピュラーなアイディアとなっている[1]

作家の野阿梓は、架空戦記歴史改変SF作品に見られるような、「もう1つの歴史」を扱う作品と、現実とは異なる次元を扱うパラレルワールドは、SFにおいてはほとんど同じようなものとして扱われてきたとする。その理由として、2つのジャンルはいずれも「あり得るかもしれない世界」を描くことを目指しており、それがSF作家の「究極の夢」だからだと主張する[1]。また、ファンタジー小説の中にも現実を含んだ世界で仮説を述べるというパラレルワールドを扱った小説が登場してきており、認知心理学者の下條信輔は、ファンタジーの基本枠組みそのものとしてパラレルワールドという概念が受容されていると述べている[2]

タイムトラベルとパラレルワールド[編集]

タイムトラベルを扱ったフィクションにおいて、タイムパラドックスの解決法としてパラレルワールドが用いられる場合がある。すなわち、タイムトラベルで行き着いた先は実際は現実に酷似したパラレルワールドであり、どの時間軸で歴史を変えようとしても自分がいた元の世界には影響しない。物理学者のデイヴィッド・ドイッチュは、多世界解釈と絡めてパラドックスを解決するモデルを提唱した[3]

パラレルワールドは実在するか[編集]

パラレルワールドはSFでよく知られた概念であるだけでなく、実際に物理学の世界でも理論的な可能性が語られている。例えば、量子力学多世界解釈や、宇宙論の「ベビーユニバース」仮説などである。ただし、多世界解釈においては、パラレルワールド(他の世界)を我々が観測することは不可能でありその存在を否定することも肯定することも出来ないことで、懐疑的な意見も存在する[4]

理論的根拠を超弦理論の複数あるヴァージョンの一つ一つに求める考え方も生まれてきている。現在の宇宙は主に正物質、陽子電子などで構成されているが、反陽子陽電子などの反物質の存在が微量確認されている。この物質の不均衡は、ビッグバンによって正物質と反物質がほぼ同数出現し、相互に反応してほとんどの物質は消滅したが、正物質と反物質との間に微妙な量のゆらぎがあり、正物質の方がわずかに多かったため、その残りがこの宇宙を構成する物質となり、そのため現在の既知宇宙はほぼ全ての天体が正物質で構成されているのだと説明されている。ビッグバンの過程において、この宇宙以外にも他の宇宙が無数に泡のごとく生じており、他の平行宇宙では、逆に反物質のみから構成される世界が存在するのではないかという仮説も提示されている。

パラレルワールドを主題とした作品[編集]

パラレルワールドを取り入れている作品は多いが、ここでは主題とした作品のみを記述する。

アメリカの作品[編集]

航時軍団
1938年、SF小説
発狂した宇宙
1949年、SF小説[5]
住宅難(Living Space
アイザック・アシモフ地球は空き地でいっぱい』所収、1956年)、SF小説
パラレルワールドの自由な往来が可能になった未来。人々は生命が誕生しなかった他の世界の地球を自宅として所有するようになった。そして、一つの世界だけに住んでいては起こりえなかった事態が到来する。
流れよ我が涙、と警官は言った
1975年、SF小説[6]
Sliders
1996年、SFテレビドラマ
ザ・ワン
2001年、SF映画
BioShock Infinite
2013年、コンピュータゲーム
FRINGE
2008年、SFテレビドラマ
第一シーズン最終回から、この世界とよく似ているが微妙に違う「もう一つの世界」が登場し、第三シーズンでは「もう一つの世界」が舞台となるエピソードも登場する。
トランスフォーマー シャッタード・グラス
2008年、コミック
G1』の登場人物であるクリフが、「彼が本来居た世界とは善悪が逆転した『悪のサイバトロン』と『正義のデストロン』が戦うパラレルワールド」に迷い込む、という筋書き。

日本の作品[編集]

次元を駈ける恋
1965年、平井和正のSF短編。恋人を喪った主人公が、恋人が生存しているパラレルワールドを探して渡り歩く。
時をかける少女
1967年、筒井康隆のジュブナイルSF小説。小説のほかにもドラマや映画など、メディア展開も多い。
アメリカひじき
1968年、野坂昭如の小説で「火垂るの墓では亡くなった清太が生き残り戦後を生き抜いたら?」というコンセプトで作られている。
緯度0大作戦
1969年、東宝とドン・シャーププロの日米合作映画。本多猪四郎によれば「緯度ゼロの世界はパラレルワールド」というコンセプトで作られている。
パラレル同窓会
1979年、藤子・F・不二雄のSF短編
パラレルワールドから自分たちだけが集まるという同窓会が開かれる。
超時空世紀オーガス
1983年、ロボットアニメ
ある兵器により、パラレルワールドが融合してしまう所からストーリーが始まる。
星空のむこうの国
1984年、ファンタジー小説
ドラえもん のび太の魔界大冒険
1984年、SFアニメ
もしもボックスを使って作られたパラレルワールドが舞台になっている。また、劇中では「もしもボックスによって作られた世界を取り消した場合でもその作られた世界はパラレルワールドとして続いていく」と言及されている。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
1985年、小説
If もしも
1993年、テレビドラマ
さよりなパラレル
1993年、SF漫画
五分後の世界
1994年、村上龍の長編小説。通常世界の日本人である主人公が、太平洋戦争で日本が降伏しなかった平行世界に迷い込む。
この世の果てで恋を唄う少女YU-NO
1996年、SF、コンピュータゲーム
時は可逆であるが歴史は不可逆であり、時間を遡って物語をやり直したとしても、それは現在までの歴史の延長線上へと刻まれていくことが作中において言及される。アドベンチャーゲーム中の選択によって生じるシナリオの分岐(因果律)がパラレルワールド(並列世界)と関連付けられており、セーブされていた箇所へと時間を遡って物語をやり直したとしても、歴史は不可逆であるため、時間を遡る直前まで進めていた物語の延長線上に、以前とは異なるパラレルワールドとしてロードされる。そして主人公(プレーヤー)だけがそれまでの物語がどのような内容だったかを知っている。そのため、元は同じであったはずの物語が別の内容として繰り返されることで徐々に真実が明らかになっていき、クライマックスである一つのストーリーへと繋がっていく。
超光戦士シャンゼリオン
1996年、特撮
最終回で唐突に夢の世界で別世界の物語が描かれており、現実と夢が交錯する形になっている。
フルメタル・パニック!シリーズ
1998年、 ウィスパードと呼ばれる者達によってもたらされた超技術( ブラックテクノロジーと呼ばれる)によって技術レベルが大きく変わってしまった20世紀後半から21世紀初頭が舞台。世界情勢が大きく変わっており、中国の分断やソ連崩壊時期が現実より遅いなど相違点がある。主人公の宿敵の目的は「変わってしまった世界を戻す」事である。
ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦
1999年、特撮映画
ウルトラマンガイア』という作品そのものが架空の物語であるパラレルワールドに、一人の少年の願いで本物のウルトラマンガイアが呼び出され、怪獣と戦うという物語。さらに、クライマックスではガイアの危機に別の平行世界からウルトラマンティガウルトラマンダイナが呼び出され、最終決戦を繰り広げる。
クロノ・クロス
1999年、コンピュータゲーム
作品そのものが『クロノ・トリガー』のパラレルワールドという側面も持つ。
破壊魔定光
1999年、SF漫画
並行宇宙の主人公たちが変貌した怪物「流刑体」との戦いを描いた作品。
RAVE
1999年、ファンタジー漫画
終盤で主人公たちの存在する世界そのものが本来の人類が絶滅した歴史から分岐したパラレルワールドであることが明らかになる。
ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
2000年、コンピュータゲーム
時空のクロス・ロード
2000年、SF小説
TYPE-MOON作品
2000年 -
TYPE-MOON作品の多くは時代の差はあるが、同じ世界を舞台としており、多少の違いは生みの親奈須きのこにより『微妙にズレた並行世界』とされている。共通した設定で第二魔法『並行世界の運営』があり、担い手であるキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグは複数の作品で出演、もしくは存在が示唆されている。同作品の中でも並行世界に関わりの深い作品を列挙。
Fate/stay night
2004年、サウンドノベル
ヒロインの1人、遠坂凛は前述の平行世界の運営に至ることを目標としている。ルートによって並行世界に干渉できる魔術霊装宝石剣ゼルレッチが出てくる。
Fate/hollow ataraxia
2005年、サウンドノベル
様々な可能性を持つ並行世界から生存している人間・サーヴァントを呼び出し、4日間限定の箱庭を繰り返す。
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
2007年、漫画
並行世界から無限の魔力と無限の可能性を呼び込むステッキを使った魔法少女物。ツヴァイで美遊が並行世界から逃れてきた人間であることが判明し、ドライで主人公イリヤを含め数名が並行世界に渡っている。
エンジェルハート
2001年 - 、漫画、アニメ
北条司の過去作品『シティーハンター』の終了から約10年が経過した後日談と思われる部分も存在するが、時代設定やキャラ設定は変更されている。
スーパーロボット大戦A
2001年、コンピュータゲーム
作品を通じて戦争の火種をまいて回っていた敵組織であり、主人公の所属していた組織「シャドウミラー」は、パラレルワールドにおいてクーデターに失敗し、逃れてきた組織であるという設定である。
スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS
スーパーロボット大戦OG外伝
無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ
無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ
スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター-
2010年、テレビアニメ
以上の作品のほか、『無限のフロンティア』ではさらに『ゼノサーガ』『NAMCO x CAPCOM』ともつながりを示したほか、『OG2』『OGS』『ジ・インスペクター』では『ヒーロー戦記』との関係も示唆されている。
ひぐらしのなく頃に
2002年、サウンドノベル
共通の設定を持つが、異なる結末を迎える物語を見比べることで推理するという仕組みを持つサウンドノベル。
アベノ橋魔法☆商店街
2002年、アニメーション
世にも奇妙な物語 02'秋の特別編「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」
2002年、テレビドラマ
結婚し平凡な主婦としての人生を選んだことを後悔し始めていた主人公が、パソコン画面を通して結婚せずキャリアウーマンとしての人生を選択したもう一人の自分と交流をするというストーリー。
マブラヴ
2003年、コンピュータゲーム
2章アンリミテッド編では主人公・白銀武が朝起きると、突然並列世界に飛ばされている。
マブラヴ オルタネイティヴ
2006年
続編にあたる終章オルタネイティヴ編では、並列世界を数度渡り歩くことで計画達成に尽力している。
ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-
2003年、漫画
一部例外はあるが作者の歴代作品のキャラクターを「違う世界の同一人物」として同じ名前で何度も登場させており、登場人物の役割が各世界によって異なっている。
ぼくらの
2004年、漫画
主人公たちがロボットに乗って戦う敵はパラレルワールドの地球人であると判明する。なるべく自分の地球とは近い歴史の地球が対戦相手に選出されるが、極稀に同一の人間も存在する。
雲のむこう、約束の場所
2004年、アニメーション
日本が分割占領された別の戦後の世界が舞台。現実世界を平行世界と書き換える「塔」という兵器が登場する。
スティール・ボール・ラン
2004年、漫画
登場人物の1人が平行世界の自分と入れ替わることによって不死になる能力を持っている。また、作品そのものが『ジョジョの奇妙な冒険Part1Part6』のパラレルワールドという側面も持つ。
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者
2005年、アニメ映画
世にも奇妙な物語 秋の特別編「越境」
2005年、テレビドラマ
FAIRY TAIL
2006年、ファンタジー漫画
ゼレフ書の魔法で造り出した時門『エクリプスの扉』からやってきた二人の未来人により、現代から7年後の世界がドラゴンに支配されていることが知らされる。しかし、それぞれ別の時間軸から現れた存在であり、さらにそこから本編の時間軸が分岐する。
スーパーロボット大戦Z
2008年、コンピュータゲーム
上記の『超時空世紀オーガス』の世界の影響で複数の平行世界が融合した多元世界が舞台となる。
第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇/再世篇
2011年 - 2012年
『Z』とは別の多元世界が舞台の作品で、『Z』の続編。
大決戦!超ウルトラ8兄弟
2008年、特撮映画
各ウルトラ作品の主人公達が普通の人間として暮らしている世界。ウルトラマンとして戦うパラレルワールドの自分の記憶が彼らに宿り、変身して怪獣と戦う。
四畳半神話大系
2008年、SF小説
PSYREN -サイレン-
2008年、漫画
パララバ -Parallel lovers-
2009年、SF小説
仮面ライダーディケイド
2009年、特撮テレビドラマ
多数の仮面ライダーごとに存在する平行世界を、主人公・門矢士が巡る。ただし、それぞれの世界はそれぞれの原典作品通りというわけではない。
紫色のクオリア
2009年、SF小説
STEINS;GATE
2009年、コンピュータゲーム
リアル鬼ごっこ / リアル鬼ごっこ2
現実世界と未来世界を行き来することを題材とした映画。
スーパーマリオギャラクシー2
2010年、コンピュータゲーム
未来日記 (漫画)
2006年 - 2011年(漫画)、2011年 - 2012年(アニメ)、2012年(ドラマ)
魔法少女まどか☆マギカ
2011年、アニメ
イナズマイレブンGOクロノ・ストーン
2012年 - 2013年
未来からやって来たサッカーを消去しようとする組織・プロトコル・オメガに対抗すべく、同じく未来からサッカーを守るべくやって来た少年フェイ・ルーンと共に時間を旅しながら「時空最強イレブン」を作る。
ローゼンメイデン
2008年 - (漫画〈ヤングジャンプ移籍以降〉)、2013年(アニメ)
謎のダイレクトメール「まきますか まきませんか」との問いに対し、まいた世界のジュンとまかなかった世界のジュンが存在している。
〈物語〉シリーズ傾物語
2010年(小説)、2013年(アニメ
『まよいキョンシー』では事故死するはずの八九寺真宵を助けたために大きく変わった世界が登場している。

その他の作品[編集]

紅衣の公子コルム
1971~74。英国の小説。
ライラの冒険
1995年、ファンタジー小説
対決スペルバインダー
1995年、SFテレビドラマ
チャーリー・ジェイド
2005年、SFテレビドラマ

:2014年 Dr.Jin

脚注[編集]

  1. ^ a b 野阿梓「SF、ある幻実世界」 文藝1994年冬号
  2. ^ ルネッサンス・ジェネレーション '09 「パラレルワールド!」プログラムリポート - 金沢工業大学
  3. ^ タイムパラドックスを回避する方法 - Wired.jp(2010年7月29日).2013年12月15日閲覧。
  4. ^ 佐藤勝彦『「量子論」を楽しむ本』PHP文庫、2000年4月 ISBN 978-4569573908
  5. ^ 世界大百科事典第2版「パラレルワールド」に作品例として挙げられている。
  6. ^ 世界大百科事典第2版「パラレルワールド」に現代SFでのパラレルワードの使用例として挙げられている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]