スチームパンク

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スチームパンク英語:Steampunk)とは、サイバーパンクより派生したSFのサブジャンルのひとつ。

目次

[編集] 概要

スチームパンクは、一般的な意味あいとしては産業革命の原動力となった蒸気機関が、現実の歴史の絶頂期のありようを超越して発展した技術体系や社会を前提としたSF作品と概説することができる。

その世界観の基本として、一般的には動力源として(内燃機関と比較した際に小型化がより困難な外燃機関である)蒸気機関の普及があり、よりコンパクトな内燃機関や大出力の電動機などが発展・普及した現実の技術史を参考にしながらも、これら制約の大きな動力をどのように発展させ、またそれらによって成立する社会を描くかというものがある。言ってしまえば、どのようにして有り得たかもしれない蒸気科学を描くかが、スチームパンク作品の面白さの一つと言える。

一方、これらの作品や舞台を単にそのスタイルのみ模倣した作品がスチームパンクを名乗ることもあり、現在では(とくに日本の漫画やアニメ、ゲーム作品などにおいては)スチームパンクを標榜していながら内燃機関や電力などが用いられるなど、単にレトロ風の技術やスタイル・デザインの記号として「スチームパンクという造語」が用いられる例も少なくない。

これらの現状を内包する「広義としてのスチームパンク」においては、時系列としてはおおむね19世紀から20世紀初頭にかけて、産業革命から世界大戦頃までの社会を舞台とする作品が多い。主要な動力源として蒸気機関が用いられており、人体改造(人体への歯車埋め込み、インプラント)、歯車式計算機階差機関解析機関)や機械式アナログコンピュータ飛行船などの飛行機以前の飛行機械、マスコミュニケーションの存在(ニュースペーパーラジオ放送)などがガジェットとして登場する例が多く、また作品によっては、当時の未発達な科学的知見にもとづく誤解や後に修正ないし撤回された学説(例えばエーテル宇宙論など)をネタとして採用する作品のほか、オカルト的な魔術霊魂ホムンクルスなどと呼ばれる人造人間を取り扱う作品も存在する。

このように、現実の歴史や技術史を超越したテクノロジー(技術体系)を前提とした世界や社会を描く作品は俗にテックパンク(Tech Punks)とも呼ばれ、サイバーパンクから派生したサブジャンルがいくつも生まれている。例えば、鉄塔や電線、真空管などの電気工学的なガジェットに傾倒するエレクトリックパンクや、歯車ぜんまい仕掛けの前近代的な機械装置に傾倒したクロックパンク(日本の作品では『ぜんまいざむらい』や『がんばれゴエモン』などの作品がこれに当たる)といったマイナーなサブジャンルが存在する。

[編集] スチームパンクの歴史と系譜

マイケル・ムアコックはスチームパンクの先駆けと言われ、70年代に『The Dancer at the End of Time』『A Nomad of the Time Streems』を発表した。ブライアン・オールディス『Frankenstein Unbound』、ハワード・ウォルドロップスティーヴン・アトリーによる『Custer's Last Jump』『Black as the Pit』も欧米圏ではプレ・スチームパンク作品とされている[1]

本格的なサブジャンルとしてスチームパンクが注目されるのは80年代に入ってのことである。SF翻訳家山岸真の解説[2]によれば、ジェイムズ・P・ブレイロック『ホムンクルス』、ティム・パワーズ『アヌビスの門』、 K・W・ジーター『悪魔の機械』の三作品がスチームパンクを成立させたという。この三作品はいずれも80年代後半に登場した。当時はサイバーパンクが流行していた時代であり、それに対してこの三人(三作品)がそれをもじってスチームパンクという語を造ったとのことである。ちなみにこの三作品については「マッド・ヴィクトリアン・ファンタジー」という呼称も存在した。

90年代に入ると、サイバーパンクの主要な作家として知られるウィリアム・ギブスンブルース・スターリングが『ディファレンス・エンジン』を共著する。邦訳書のアオリから引くならば「サイバーパンクの教祖と煽動者が紡ぐ記念碑的傑作」とされ、現代科学を参照した蒸気ガジェットや世界観に溢れる同作はスチームパンクの代表的作品と今日ではみなされている。著者の一方であるスターリングは同作について「きわめてサイバーパンク的でもある」と明言していた[3]が、現在ではスチームパンク作品の代表的作者の一人として扱われている[4]。SF評論家の巽孝之は同作に寄せた解説[5]で「サイバーパンク史上にもスチームパンク史上にも残る」としている。

ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』はスチームパンク成立以前に書かれた作品だが、現在ではスチームパンクのイメージ源のひとつと見なされている。

また、1960年代に制作されたアメリカのテレビシリーズ『ワイルド・ワイルド・ウェスト』はスチームパンクとは見なされていないが、これを原作として作成された1999年の映画『ワイルド・ワイルド・ウェスト』はスチームパンク作品のイメージの一環と見なされている。これらのイメージをもとに「スチームパンクとは『ワイルド・ワイルド・ウェスト』のような世界を描いた作品である」と言われる事もある。

[編集] 代表的なスチームパンク作品

[編集] 海外小説

[編集] 日本小説

[編集] 漫画・アニメ・映画・ゲーム

[編集] 脚注

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  1. ^ Nick Gevers『Extraordinary Engines』
  2. ^ ジェイムズ・P・ブレイロック、『ホムンクルス』、早川書房、387p〜396p
  3. ^ ウィリアム・ギブスン/ブルース・スターリング、『ディファレンス・エンジン』、角川書店からの出版時に収録された巽孝之による解説。現在では早川書房から再版された下巻421p〜429pにて再録
  4. ^ ジェフ・ヴァンダミア編著『Steampunk Bible』にファーストエイジ・スチームパンクの旗手として寄稿している
  5. ^ ウィリアム・ギブスン/ブルース・スターリング、『ディファレンス・エンジン』、早川書房版の下巻、433p〜446p

[編集] 参考文献

  1. Nick Gevers、『Extraordinary Engines』、Solaris、2008年ISBN 978-1844166008
  2. ジェフ・ヴァンダミア、『Steampunk bible』、Abrams Image、2011年ISBN 978-0810989580
  3. ジェイムズ・P・ブレイロック、『ホムンクルス』、早川書房、1989年ISBN 4-15-020123-4
  4. ウィリアム・ギブスン/ブルース・スターリング、『ディファレンス・エンジン(下)』、早川書房、2008年ISBN 978-4-15-0116781

[編集] 関連項目


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