ダーティハリー
| ダーティハリー | |
|---|---|
| Dirty Harry | |
| 監督 | ドン・シーゲル |
| 脚本 | ハリー・ジュリアン・フィンク R・M・フィンク ディーン・リーズナー ジョン・ミリアス(クレジットなし) |
| 原案 | ハリー・ジュリアン・フィンク R・M・フィンク |
| 製作 | ドン・シーゲル |
| 製作総指揮 | ロバート・デイリー |
| 出演者 | クリント・イーストウッド |
| 音楽 | ラロ・シフリン |
| 撮影 | ブルース・サーティース |
| 編集 | カール・パインジター |
| 配給 | ワーナー・ブラザーズ |
| 公開 | |
| 上映時間 | 102分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 興行収入 | $35,976,000[1] |
| 次作 | ダーティハリー2 |
『ダーティハリー』(原題 Dirty Harry)は、1971年製作のアメリカ合衆国の映画。ワーナー・ブラザーズ提供。
目次 |
概要 [編集]
サンフランシスコを舞台に、職務遂行のためには暴力的な手段も辞さないアイルランド系のハリー・キャラハン刑事が、ベトナム帰還兵の偏執狂的連続殺人犯との攻防を繰り広げるアクション映画。
組織と規律から逸脱していくアウトロー的、かつ直情径行で信念を貫徹する性格の主人公をクリント・イーストウッドが演じた。
70年代のハリウッド・アクション映画を代表する作品の一つであり、その後撮影されたアクション映画にも影響を及ぼした。いくつもの続編が製作された。
ストーリー [編集]
サンフランシスコのとあるホテル屋上のプールで泳いでいた女性が、何者かによって射殺される。捜査にあたるのは通称「ダーティハリー」と呼ばれるハリー・キャラハン刑事。狙撃地点に残されたメモで犯人はスコルピオと名乗り、サンフランシスコ警察に10万ドルを要求。応じなければ、次はカトリックの司祭か黒人を殺すという。市警は支払いを拒み、次の犯行を防ぐために市内の高層ビル多数に警官を配置する。警戒のヘリが不審人物を発見したが犯人は逃がしてしまう。
さらに犠牲者を出したあと犯人は少女を誘拐、少女の場所を知りたければ金を払うよう要求する。市は10万ドルの支払を決意、金の引渡しをハリーは命ぜられ、相棒のチコ・ゴンザレスが車で後をつけることとなる。犯人は銃を捨てたハリーを殴打し殺そうとするが、そこへチコが駆けつけて銃撃戦となる。チコは撃たれたが、ハリーが隠し持っていたナイフを犯人の腿に突き立て、犯人は足を引きずりつつ逃走する。
犯人が傷の手当を受けた夜間病院の医師の話からハリーは犯人の居所を突き止めて追いつめ、刺し傷と銃創の上を踏みつけて少女の埋められた場所を吐かせたが、少女は既に死んでいた。しかし、ミランダ警告を無視した逮捕と少女の居場所を自白させたやり方が違法とされ、そのほか決定的証拠もなく結局犯人は放免される。さらに犯人は黒人の無免許医に金を渡して自分を殴らせ、それをハリーのせいだと警察に届け出る。ハリーは市長と上司のブレスラーによって、謹慎処分を受ける。
スコルピオは病院を退院すると酒屋で拳銃を強奪し、スクールバスをジャックする。橋の上からバスの屋根に飛び乗ったハリーに対して、スコルピオはバスを捨て鉱炭場に逃げ込み銃撃戦となる。鉱炭場を出て近くの池で釣りをしていた少年を人質に取ったスコルピオだったが、ハリーの銃捌きにより拳銃が手から離れ、ハリーはいよいよスコルピオを追い詰める。
スコルピオは一度拳銃に伸ばす手を躊躇するが、それに対しすごむハリー。結局スコルピオは拳銃を取ってハリーを狙うも、胴体を撃ち抜かれ池に落ちる。ハリーはポケットから警察バッジをを取り出し川に投げ込むのであった。
登場人物 [編集]
- ハリー・キャラハン
詳細は「ハリー・キャラハン (架空の人物)」を参照
ハリー・キャラハンの周辺人物 [編集]
- チコ・ゴンザレス
- 若手刑事。大学社会学部卒で教員免許を持っているインテリ。学生時代はボクシング部だった。ハリーが犯人の“スコルピオ”への身代金を運搬している所を上司には秘密で追尾。公園でハリーは射殺されそうになるがチコが間一髪の所で助けに入る。しかしその時に撃たれて重傷を負う。その後、刑事を続ける自信が揺らぎ退職する。2作目で小学校教師へと転職していることがハリーの口から明かされている。
- 使用武器はS&W M10。
- フランク・ディジョージオ
- ハリーの同僚。ハリーとコンビを組んでいたこともあり、今作ではチコが負傷し入院したため、スコルピオの住処に踏み込むときはハリーと一緒だった。競技場でスコルピオを追い詰めるときはライトを点けてスコルピオの居場所を照らし出すという見事な活躍も見せた。
- アル・ブレスラー警部補
- ハリーの上司。ハリーの捜査に閉口しているようだが手腕は買っている。犯人との交渉に臨みナイフを持参するハリーを見て「刑事が足にナイフを忍ばせるとは世も末だ」と溜息をついている。
敵 [編集]
- スコルピオ
- 市民を狙撃し市長に身代金を要求する。さらには14歳の少女を監禁し強姦した上にマンホールに閉じ込め窒息死させるという残忍かつ卑劣な殺人犯である。ハリーが一度は逮捕するがミランダ警告を行わず、令状も取らず、加えてハリーによってスコルピオに対する拷問があったとされ釈放されてしまう。釈放後も無免許医に金を払って自分を殴らせ、それをハリーの仕業だとマスコミに発表したり、スクールバスをバスジャックして国外逃亡を図る。しかし、ハリーに追い詰められ、最後の抵抗を試みるも44マグナムに体を貫かれ射殺された。
- 使用武器は二式テラ銃、MP40、ワルサーP38。
出演 [編集]
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替 ※WOWOW追加録音 |
|---|---|---|
| テレビ朝日版 | ||
| ハリー・キャラハン刑事 | クリント・イーストウッド | 山田康雄 ※多田野曜平 |
| アル・ブレスラー警部補 | ハリー・ガーディノ | 田口計 |
| スコルピオ(サソリ) | アンディ・ロビンソン | 堀勝之祐 |
| チコ・ゴンザレス刑事 | レニ・サントーニ | 仲村秀生 |
| フランク・ディジョルジョ刑事 | ジョン・ミッチャム | 勝田久 |
| マッケイ本部長 | ジョン・ラーチ | 島宇志夫 |
| 市長 | ジョン・ヴァーノン | 家弓家正 |
| ラッセル夫人 | メイ・マーサー | 藤夏子 |
| ノーマ | リン・エジングトン | 弥永和子 |
| スクールバス運転手 | ルース・コバート | 京田尚子 |
| ジャフィー | ウッドロー・パーフリー | 今西正男 |
| シド・クラインマン | モーリス・アージェント | 上田敏也 |
| ロスコ | ジョセフ・ソマー | 仲木隆司 |
| 自殺志願者 | ビル・コウチ | 徳丸完 |
| 殴り屋 | ラリー・デュラン | 木原正二郎 |
| 医師 | マーク・ハートセンズ | 緑川稔 |
| 同性愛者 | デビッド・ギリアム | 玄田哲章 |
作品解説 [編集]
それまでB級映画監督とされてきたドン・シーゲルと、テレビ西部劇(『ローハイド』)やイタリアの低予算マカロニ・ウェスタンの役者程度にしか認識されていなかったクリント・イーストウッドが組んで放ったヒット作であり、ダーティー・ヒーローものの典型と見られている。この作品でドン・シーゲルは70年代のハリウッド・アクション映画を牽引する存在となった。また、イーストウッドもこの作品でスターの地位を確立、自身の最大の当たり役となった。
愉快犯的無差別殺人や、電話で警察やマスコミを翻弄する劇場型犯罪、ミランダ警告がなかったためにデュー・プロセス・オブ・ローに反するとして凶悪犯が放免されるなど、当時のアメリカ社会の世相を反映させている[2]。
主人公のハリー・キャラハン役は、当初フランク・シナトラのために用意され、シナトラが辞退したあとも、ジョン・ウェイン、スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマンなどへオファーされたと言われている。また、ドン・シーゲル監督は、シリーズ化を予定していなかったため、第一作で、市長や警察組織に嫌気がさしたハリーがバッジを沼に投げてしまうシーンで終わらせたと言われている。
.44マグナム [編集]
主人公キャラハン刑事の使用している銃は S&W M29という、本来は狩猟用に開発されたものである。装填される弾丸は.44マグナム弾(直径11.2mm)。
プロデューサーが撮影用に調達しようとしたが、当時としては特殊な銃であったため、撮影スタジオのあるロサンゼルス周辺では入手できなかった。そこでメーカーのS&W社に直接依頼すると、S&W社は映画用として特別に組み立て、元警察官であり射撃競技選手であったA.ドゥビィアをテクニカルアドバイザーとして派遣した。
この弾薬の威力は、誇張して表現されていることが多い。映画の冒頭、ハリーに向かって突進する強盗の車に対して発砲し横転させるというシーンから、「.44マグナムは車のエンジンを破壊できる」などと言われている。実際にはハリーはボンネット部分ではなく運転手を狙って発砲しており、これは勘違いした人々による流布かと思われるが[要出典]、本作以降のゲームや映画には「拳銃にマグナム弾を装填・発砲し、車の動きを止めたり爆発を起こさせる」というシーンが多く見られる。
名台詞 [編集]
キャラハン刑事のスラングがかかったいくつかの決め台詞は有名である。本作品中で銀行強盗犯との銃撃戦後、犯人に向かって銃を突きつけたまま弾倉中にもう一発の弾丸が残っているかをあてさせるシーンと台詞「you've got to ask yourself one question:"Do I feel lucky?" Well do ya, punk!(賭けてみるか、“今日はツイてるか?”どうなんだクソ野郎!)」は有名である[3]。
スコルピオ [編集]
この映画で犯人のスコルピオを演じたアンディ・ロビンソンは、迫真の演技で見事に狂気に満ちた犯人役を演じ切った。ただ、この映画での犯人役のイメージがあまりに強烈であったため、この映画出演以後、ほかの仕事でも似た様なタイプの役ばかり依頼されるようになってしまった。
そんなイメージから脱却するため、別の役柄のオーディションを受けに行ったものの、この犯人役のイメージが映画関係者にとても強く印象に残るものであったため、門前払いされることもあったとのこと。
影響 [編集]
元来は狩猟用である大型拳銃をカーチェイスシーンなどで自在に振り回すキャラハン刑事の姿は、マンガ・アニメでも度々引用されるくらいに有名である。その後のアクション映画でも、同様の大型拳銃を持った警察官が度々描かれることになった。
注釈 [編集]
- ^ “Dirty Harry”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年11月2日閲覧。
- ^ イーストウッド本人は「私もシーゲルも特に世相を意識したというわけではなく、ただ面白い映画を作ろうと思っただけだった」とDVD収録の特典映像で語っている。
- ^ また、実際にはシリーズ続編で使われた言葉だが、「Go ahead. Make my day.(やれよ。楽しませてくれ)」は『ダーティ・ハリー』を表す表現として多用されている。
関連項目 [編集]
- ダーティハリー症候群
- ゾディアック事件 - スコルピオのモデル。
- グレナダ侵攻
外部リンク [編集]
- ダーティハリー - allcinema
- ダーティハリー - KINENOTE
- Dirty Harry - AllMovie(英語)
- Dirty Harry - インターネット・ムービー・データベース(英語)
|
|||||||||||
|
|||||||||||||||||