マカロニ・ウェスタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

マカロニ・ウェスタンとは、1960年代 - 1970年代前半に作られたイタリア西部劇のことである。大半のものはユーゴスラビア(当時)やスペインで撮影された。イギリスアメリカ合衆国・イタリアなどでは、これらの西部劇をスパゲッティ・ウェスタン (Spaghetti Western) と呼んでいるが、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』が日本に輸入された際に、映画評論家の淀川長治が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」ということで「マカロニ」と改名した(中身がないという暗喩も含んでいるという説もある)。日本人による造語であるため、マカロニ・ウェスタンという言葉は他国では通用しない。ただし、例外として韓国では両方の呼称が使われており、より多く用いられているのは「マカロニ・ウェスタン」の呼称である。ドイツでは、イタロ・ウェスタンという呼称もある。

目次

[編集] 発祥とその特徴

1948年から行われた米国での「赤狩り」で国外へ逃れた映画監督を救ったのがヨーロッパ(主にイタリア)であった。後に、イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの撮影スタジオ『チネ・チッタ』が映画産業の斜陽から経営危機に陥り、恩義を感じていた米国映画産業がチネ・チッタの倒産回避のためにスタジオを借り受けて映画を撮影したのが始まりである。 1960年代初期からイタリアでは西部劇が作られていたが、それが世界的に知られるようになったのは、セルジオ・レオーネによる『荒野の用心棒』だった。制作費を安く上げるために、当時のユーゴスラビア南部やスペインなどでロケをし、ハリウッドの駆け出し俳優などを使って、残忍で暴力的なシーンを多用した斬新な作風が、当時の西部劇の価値観を大きく変えた。

本場アメリカ製西部劇には、ドラマ性、叙情性などが見られたのに対し、マカロニ・ウェスタン(以下マカロニ)は、正義感のない主人公、残虐性、乾いた作風、激しいガン・ファイトなどを売り物にしている。また、本場西部劇の劇中音楽がフル・オーケストラ演奏だったのに対し、マカロニのそれはエンニオ・モリコーネによるエレキギターサウンドのスコアが特徴である。

役者として招いていたハリウッドのB級俳優の中には、まだ売り出し中のクリント・イーストウッドバート・レイノルズの姿もあり、また、ハリウッドでは悪役専門だったリー・ヴァン・クリーフが主人公に据えられたりした。イタリア人の俳優では、フランコ・ネロジュリアーノ・ジェンマが有名である。

[編集] 黄金期と衰退期

『荒野の用心棒』が世界中で爆発的な人気を博すると、イタリアでは1965年頃からマカロニ作品が量産されるようになる。後年、セルジオ・レオーネは「マカロニは通算500本ほど製作されたと思う」と語っている。

量産体制となると、ハリウッドの俳優だけではローテーションを回すことが困難になり、イタリア本国の俳優も使われるようになった。そこからスターになったのが、ジュリアーノ・ジェンマフランコ・ネロたちである。また、近隣のヨーロッパ諸国の俳優も招かれ、フランスからはジャン=ルイ・トランティニャン、西ドイツからはクラウス・キンスキー、イギリスからはリンゴ・スター、日本からも仲代達矢が招かれた。

年に1、2本は大型予算を投じた作品も撮られるようになり、その代表的なものに、レオーネ監督の『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』、そしてハリウッドからヘンリー・フォンダチャールズ・ブロンソンらのA級スターを招いた『ウエスタン』などがある。

しかし、1970年代に突入すると、急速にそのブームは失速していった。あまりにも量産されて観客が食傷気味になってしまったためである。

2005年には、全盛期に映画の撮影が行われたスペインの村が、ロケセットを西部村として観光化するも、それすら寂れていくというマカロニ・ウェスタンの楽屋落ちのようなストーリーを描いた『マカロニ・ウェスタン 800発の銃弾』 (800 Bullets (film)というスペイン映画が製作されている。

[編集] 主な監督

  • セルジオ・レオーネ - マカロニ・ウエスタンの父。海外の映画作家に多大な影響を与えた。
    • 主な作品 - 『荒野の用心棒』(1964)、『夕陽のガンマン』(1965)
  • セルジオ・コルブッチ - マカロニ・ウエスタン独特のスタイルを確立し、アイディアに富んだ娯楽作品を多数連発した。
    • 主な作品 - 『続・荒野の用心棒』(1966)、『さすらいのガンマン』(1966)、『殺しが静かにやってくる』(1968)、『ガンマン大連合』(1970)
  • トニーノ・ヴァレリ (en:Tonino Valerii) - 『夕陽のガンマン』でレオーネの助監督を務め、『さすらいの一匹狼』でデビューした。
    • 主な作品 - 『さすらいの一匹狼』、『怒りの荒野』、『ミスター・ノーボディ』

[編集] 主な作品

[編集] 邦題に関して

配給会社ごとに邦題に特徴がつけられた。 東和は「用心棒」、ユナイトは「ガンマン」、ヘラルドは「無頼」、松竹は「一匹狼」などである。

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語