ジュラシック・パーク
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『ジュラシック・パーク 』(Jurassic Park)は、1990年に出版されたマイケル・クライトンによる小説、またはそれを原作とする映画シリーズ、ラジオドラマ、もしくはその作品に登場する娯楽施設。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 『ジュラシック・パーク』(小説・1990年)
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マイケル・クライトンのSF小説(上下2分冊)。後に制作された映画版よりも設定が細かく、ストーリーはリアリティ溢れるものになっている。恐竜を現代に蘇らせるべくバイオテクノロジーを駆使してクローンを作り出し、これらを公開するための完全自動化されたテーマパーク「恐竜王国」を秘密裏に建造したインターナショナル・ジェネティック・テクノロジーズ社(通称InGen社、インジェン社)。しかし、そのシステムは破綻をきたし、囲いから逃れた肉食恐竜達がスタッフやゲストを襲うというパニックサスペンス。
映画版に比べサスペンス的な色彩が強く、ハモンド(作者によると、原作のハモンドは節操を欠く人物として描かれた)他、多くの登場人物が恐竜に襲われ死亡する。映画版ではティラノサウルスの活躍が目立ったのに対して、小説版では知恵が回るヴェロキラプトルを最大の脅威として描いている。これは続編『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』でも同様である。
ヴェロキラプトルは知能が高く獰猛であり、恐竜を管理しようとするスタッフから見てとても厄介な存在とされている。空腹でなくとも獲物を襲い、殺戮そのものを好むと設定される。巨大なティラノサウルスは、自動車を樹に放り投げたりゴムボートで川を下るグラント達を泳いで執拗に追跡したりと、大いに活躍し物語を盛り上げはするものの、実際にやったことはマルカムを咥え上げた程度であった。それに対してヴェロキラプトルは多くの登場人物を殺害し、単に暴力的であるだけではなく、チームを組んでの見事な攻撃まで披露する。ヴェロキラプトルの登場により、『ジュラシックパーク』は、単なる「人間 v.s. 恐竜」の戦いではなく「現代と白亜紀のそれぞれの選抜メンバーによる死力を尽くしての戦い」という様相を見せることになる[要出典]。
登場する恐竜も映画より多く、ケアラダクティルスなどの翼竜(恐竜ではない)も含まれている。映画版では映像化されなかった翼竜ドームやジャングルリバーライドなどのエリアも登場する。翼竜ドームは、後の『ジュラシック・パークIII』で映像化される。ジャングルリバーライドはユニバーサルスタジオのアトラクションである「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」として再現されている。
ストーリーは単なるサスペンスではなく、生命倫理や生命の進化、歴史に対する哲学的テーマが全体を貫いている。
[編集] 映画版
| ジュラシック・パーク JURASSIC PARK |
|
|---|---|
| 監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
| 製作 | キャスリーン・ケネディ ジェラルド・R・モーレン |
| 脚本 | マイケル・クライトン デヴィッド・コープ |
| 出演者 | リチャード・アッテンボロー |
| 音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
| 撮影 | ディーン・カンディ A.S.C |
| 編集 | マイケル・カーン |
| 配給 | UNI=UIP |
| 公開 | 1993年7月 |
| 上映時間 | 127分 |
| 製作国 | アメリカ合衆国 |
| 言語 | 英語 |
| 興行収入 | $914,691,118 |
| 次作 | ロスト・ワールド |
| allcinema | |
マイケル・クライトンによる小説はスティーヴン・スピルバーグにより1993年に映画化された。米国をはじめ日本など世界各地で大ヒットし、以降、恐竜を扱った映画の代名詞とも言える存在感を持つことになる。
[編集] 製作まで
スピルバーグはもともとクライトンの『5人のカルテ』を監督するつもりで居たのだが、他に企画は無いかとクライトンに訊ねたところ本作の話が出て、スピルバーグも惚れ込んだ。スピルバーグが監督する事を条件に映画化権を譲るという事でクライトン自身は承諾していた。
このように監督は内定していたのだが、原作は各映画会社に配布され争奪戦が展開。各社が候補監督として提示したのは以下のような面々である。
- ジョー・ダンテ(20世紀フォックス)
- ティム・バートン(ワーナー・ブラザーズ)
- リチャード・ドナー(グーバー=ピーターズ・エンターテインメント)
『5人のカルテ』は『ER緊急救命室』としてシリーズ化され、スピルバーグとクライトンは製作にまわった。
恐竜の映像化には高い視覚効果技術が求められ、ストップ・モーション・アニメの第一人者であるフィル・ティペット、特殊メイクのトップ・アーティストであるスタン・ウィンストン、そしてILMのデニス・ミューレンが招聘された。ILMとスタン・ウィンストンは『ターミネーター2』製作期間から本作のための準備を始めていた。
デジタル音響システムの『dts』映画第一号でもある。
[編集] 解説
原作者マイクル・クライトンが脚本に加わっているので、おおまかなストーリーは原作に準拠したものとなっている。しかし原作での大きな魅力となっている数学者イアン・マルカムの自然に対するテーゼが分かりやすいように変えられている。原作で生き残る登場人物(ドナルド・ジェナーロ、ロバート・マルドゥーン)が死亡し、原作で死亡する登場人物(ジョン・ハモンド、イアン・マルカム、ヘンリー・ウー)が生き残る点も異なる。
また原作では兄であったティムが弟に変更されている。これはティム役のジョゼフ・マゼロの演技が素晴らしく、スピルバーグを感心させたからである。ジョセフは元々『フック (映画)』のジャック役のオーディションを受けたが、役の年齢からは幼く見えすぎると言う理由から外されてしまった(役はチャーリー・コースモに渡った)。しかしオーディションでスピルバーグは「君の演技には感心したよ。次回は君に演じてもらうよ」と言ったという。そしてティムの年齢を変更し、ジョセフを起用した。
原作で多くのページの割かれた翼竜の飼育ドームの場面が登場せず(後に3作目で登場)、さらに当初登場が予定されていた恐竜(メリアカントサウルス、ステゴサウルス)も登場が見送られ、実際作中で登場する恐竜は原作よりずっと少なく7種に落ち着いた。だが、続編の『ロストワールド・ジュラシックパーク』と比較すれば本作は原作に忠実であるとは言え、脚本家デビット・コープによってうまく要約されている。
[編集] スタッフ
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 制作:キャスリーン・ケネディ、ジェラルド・R・モーレン
- 原作:マイケル・クライトン
- 脚本:マイケル・クライトン、デヴィッド・コープ
- 撮影:ディーン・カンディ、A.S.C
- プロダクション・デザイナー:リック・カーター
- 編集:マイケル・カーン
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- 視覚効果:インダストリアル・ライト&マジック、ティペット・スタジオ
- VFXスーパーバイザー:デニス・ミューレン
- 恐竜スーパーバイザー:フィル・ティペット
[編集] ジュラシック・パークの登場人物
- アラン・グラント博士(サム・ニール・富山敬)
- 主にモンタナで発掘をする古生物学者。モンタナで多数の恐竜の卵の化石を発見し、恐竜に母性本能があった可能性を主張した人物。インジェン社から恐竜の育て方について助言を求められていた。発掘の最中ということで(モンタナは気候の関係上発掘できる期間がかなり限られている)パークへの視察には乗り気でなかったが、一日2万ドルの顧問手当てに目がくらみ引き受けてしまう(映画版では3年分の発掘資金と、より過剰に演出されている)。小説版では子供好きの設定でティムとも当初から親しくしているが、映画版では一転して子供嫌いとなっている。
- 小畠郁生は小説版の解説にて、グラントのモデルはモンタナ州立大学ロッキーズ博物館のジョン・ホーナーであると述べている(ビールのすすめ方もうり二つらしい)。ただ彼の著作には絵が多いという設定はグレゴリー・ポールを想起させる(映画では発掘地の研究トレーラーの壁に、ポールが描いたティラノサウルスとヴェロキラプトルの骨格図及び復元図が貼られている)。ちなみにポールは、デイノニクスとヴェロキラプトルを同属とする見解の持ち主である(これはあまり支持されておらず、現在では2種は別の種だという見解が大半を占めている)。
- エリー・サトラー博士(ローラ・ダーン・弥永和子)
- グラントの研究助手。古植物学が専門。映画版と小説版でかなり設定が違うキャラクター。映画では恋人という設定だが、小説ではグラントの研究室の若い大学院生である(別の男性とすでに婚約しているとグラントがティムに話す場面がある。なお映画『III』では夫と幼い息子が登場しており、小説版の設定を継承している)。また映画ではトリケラトプスの病気の原因が物語の進行上明らかにされなかったが、小説では(ステゴサウルスの)病気の原因を突き止める。さらに小説では映画より「勇気のある女性」という設定を強調して描かれているのに対し、映画での彼女は非常にジェンダー・フリーを意識するフェミニストである。ジェナーロは彼女と対面するまでずっと男性だと思っていた(名前でしか知らなかったため)。
- イアン・マルコム博士(マルコム)(ジェフ・ゴールドブラム・大塚芳忠)
- テキサスの数学者。複雑系、いわゆるカオス理論の専門家。自然を模倣しようとするパークの複雑なシステムは、必ず破綻すると視察前から主張し続ける。小説版と映画版共に皮肉屋でハモンドとは犬猿の仲。映画では、エリー・サトラーを口説こうとしたり、マルコムに顧問を依頼した弁護士のジェナーロを「君はロックスターを連れてきたのか?」とハモンドがなじるなど、小説版に比べ軽い面も持つ人物像として描かれている。小説版では第二の主人公的に描かれている。自分の生活様式をとことん追求する性格で、服装はすべて黒でまとめる等、ファッションをはじめとしてコーラの飲み方にすら彼にはこだわりがある。
- ジョン・ハモンド(リチャード・アッテンボロー・永井一郎)
- インジェン社、ハモンド財団創始者。映画ではインジェン社という社名は台詞に出なかったものの、ジェットヘリにインジェンのロゴが施されている。
- 主人公サイドから批判される立場に変わりはないが、映画では子どもに夢を与える夢を持った人物に描かれていたのに比べて原作小説では悪辣な人物としての度合いがより強い。典型的な山師であり、その商才は一方的に弁舌を振るう強引な金集めの面で強力に発揮された。ジュラシックパーク建設に際しては、遺伝子操作で造り上げた手の平サイズのゾウを持参して出資者を説得してまわった。自己中心的かつ頑迷なその性格から、ネドリーはおろかアーノルド、マルドゥーン、ウーといったほとんどのスタッフに信頼されていない。マルカムは続編で「ハモンドは単なる詐欺者だった」と言い切った。恐竜を「自分の高価な財産」と考え、凶暴なラプトルの処分、緊急時、恐竜に対抗する武器の装備、性質をおとなしくするための遺伝子改良はおろか[1]、生態解明のための解剖すら許さない。ラプトルが脱走した際にも、マルドゥーンに「わしの恐竜に何をするつもりだ」と食って掛かり「(この状況では)主語が逆ですね」と返されている。小説版では哀れな最期を遂げたが、映画版では生き残り、一転して島の恐竜達を保護する立場に廻る。
- ドナルド・ジェナロ(マーティーン・フェレロ・納谷六朗)
- インジェン社顧問弁護士。映画では最初に恐竜に襲われる損な役回りであるが、小説ではかなり狡猾な性格で最後までしっかり生き残る。自分の手は決して汚さないという利己主義者であり、パークの失敗も責任転嫁しようとした。最後は半ば強引にグラント一行のラプトルの調査につき合わせられる(マルドゥーンに電気棒で脅された)。しかしお金が大好きという点では映画も小説も一緒である。パークのスタッフが皆マルカムの主張を無視していたのに対して、パークがマルカムの理論どおりになることをかなり不安に思っていた。
- ヘンリー・ウー(B・D・ウォン・中村大樹)
- 映画では船で本土に帰ってしまうので出番は少なかったが、小説では主要人物。恐竜を現代に復活させた最大の功労者であり、コンピューターにもかなり強いので問題が起きたときにはかなり重宝された。アーノルドが見落としたミスもいち早く気づく。だがハモンドにとっては(恐竜クローンは完成したので)もはや利用価値はないと思われており、物語後半であっけなくラプトルに生きながら食べられてしまった。恐竜にソフトウェアのようにヴァージョンをつけて改良を重ねるが、そのやり方にグラントは違和感を覚えた。
- デニス・ネドリー(ウェイン・ナイト・桜井敏治)
- ハーバードのシステムエンジニア。巨漢。事件のキーパーソン。映画ではただの間抜な悪党というイメージだったが、実際には契約の問題でインジェンに散々な目(不法な脅しもあった)に合わされた人物。塩基解読用のスーパーコンピューターの並列処理をやってのけた。彼の仕事は膨大でとても一人で行うような内容ではないのだが、ハモンドは彼の仕事を一切評価しなかった。見かねたアーノルドが彼を庇うこともあった。
- 映画内では、恐竜の胚を他の会社(映画には一切登場しないがバイオシン・コーポレーション)に手渡すというスパイ的取引を企んでいたが、パーク内で途中、ディロフォサウルスに襲われ、盗んだサンプルも泥に飲み込まれていた。また、スタッフやハモンドからは有能だが扱いづらい厄介なシステム管理エンジニアとして描かれている。
- ロバート・マルドゥーン(ボブ・ペック・田中信夫)
- 恐竜監視員。ケニア生まれで元はアフリカのハンターのガイド。80年以降は野生動物コンサルタントとして実績を重ねる。動物園における各種動物区の境界を指示していた。動物の恐ろしさを知らないハモンドを「口うるさい小男」とかなり嫌っている。パークの一部の恐竜は動物園で管理できる代物でないと主張し、対戦車誘導ミサイル(TOW)といった強力な兵器を管理本部に要求する。システムがダウンし、恐竜が逃げ出した後は「一度あのでか物に一発打ち込んでみたかった」とT-REXをランチャーで倒す。さらにラプトルをミサイルで一頭殺し、一頭に重傷を負わせるが、自身も足に怪我を負う。その後は酒を飲みサトラーにくだを巻いていた。身を削って恐竜と戦うかなり豪快な人物である。映画ではスパス12でラプトルに勝負を挑むが死亡。小説では生き残る(映画版もシナリオでは生きていて最後にグラント達を救う事になっていたが、CGティラノサウルスに出番を奪われてしまった)。
- レイ・アーノルド(サミュエル・L・ジャクソン・梁田清之)
- 小説では名前がジョン。恐竜王国のチーフエンジニア。兵器開発に携わった後、ディズニーワールドをはじめとする大手アミューズメントパーク建設に次々に参加。ハモンドさえも[2]彼の経歴は輝かしいものだと認めていた。口癖は「9月オープン」。「あなたは現場を見てないからそんなことが言えるんだ」などと、マルドゥーンと並んで現場の立場からハモンドにかなり積極的に意見する人物。神経質な性格で映画と小説の人物像に相違はない。仕事のしすぎなのか少しミスが目立つ。マルドゥーンには「アーノルドの馬鹿が」と毒づかれていた。カオス理論はある程度理解しており、ジェナーロに解説するほど。しかし本人はマルカムの理論は完全否定している。
- レックス(アリアナ・リチャーズ・坂本真綾)
- ハモンドの孫。両親は離婚している。映画版ではしっかりもののお姉さんだが、小説ではわがままで手を焼かせるティムの妹となっている。男勝りな性格で野球好き。口が悪く、ケアラダクティルスにお気に入りのグローブを奪われた際には「(グローブを)のどに詰まらせて死ねばいいのに」と罵っている。まだ幼いので場の空気を読めない言動をする。尚、映画版ではティムの姉という扱いで、コンピューターにかなり明く、ヴィジター・センターのドアロックの復旧を行ったのも彼女である。
- ティム(ジョゼフ・マゼロ・大島一貴)
- 同じくハモンドの孫。恐竜博士なのは一緒だが、小説ではグラントやマルドゥーンも感心するほどの知恵を持った賢いレックスの兄として描かれている(終盤でパークの全システムを再起動させるのも彼)。目上の人にはしっかりとした敬語で話し、恐竜の知識も大人顔負けである。パークの恐竜の解説には細かな誤りがあり、彼はとても気になるのだが、大人びているのであえて指摘はしなかった。尚、映画版ではレックスの弟で、知識はあったが年頃の少年ということもありかなり饒舌で、グラントは当初そこに大分苛立ちを募らせていたようである。
- ルイス・ドジスン(キャメロン・ソア)
- インジェン社のライバル会社バイオシン・コーポレーションの遺伝学者。しかし汚い仕事を引き受けることが多く、ほぼ産業スパイである。映画では気弱そうな性格でちょい役だったが、小説ではかなりの悪役ぶりであり、続編ではリベンジを懸け自身が直接島に乗り込み恐竜の卵を強奪する(映画『II』のハモンドの甥の役回り)。
- ミスター・DNA(グレッグ・バーソン・江原正士)
- 映画のみのキャラクター。クローン再生の概要を解説するアニメ映画に登場する。カートゥーン調のデザイン。
- ジュラシック・パーク音声ガイド(リチャード・カイリー)
- 小説の設定どおりカイリー本人が実際に音声を提供している。スタッフのこだわりを感じることができる。
[編集] 恐竜の再生
原作の小説版では、琥珀に閉じ込められた蚊の腹部の血液から恐竜のDNAを採取し、これを解析・復元した上で欠損部位を現生のカエルのDNAで補完し、さらにこれを現生爬虫類(ワニ)の未受精卵に注入することで恐竜を再生する手法が描かれる。これは原作当時に勃興しつつあったバイオテクノロジーを背景として、恐竜を現代によみがえらせるという一見非現実的なテーマに大きなリアリティを与えることに成功している。ただし、2009年現在では、琥珀化して地質年代を経た血液のDNAは損傷が激しく、元の生物の遺伝情報を復元することは不可能であると考えられている。 琥珀中ではなく、剥製や永久凍土中に保存されている絶滅生物のDNAから情報を復元することは2009年現在の技術でも可能であると考えられており、絶滅生物のクローニングを目指す研究が行われている。
なお、小説版ではDNAの欠損部位の補完に使われたカエルが周囲の個体の雌雄比率にしたがって性転換をする種であることが示される。これが発生時にメスのみを生み出すことで恐竜の個体数をコントロールしようとしたパークスタッフの意図に反して恐竜が自ら繁殖を始めてしまう理由となっており、続編のロスト・ワールドに繋がる伏線ともなっている。 映画版ではこの描写は省略されているが、続編のロスト・ワールドの映画版では、小説版同様に恐竜が人間の管理を離れて自生するようになったことが描かれている。
(なぜDNA欠損部位の補完に(原作当時もっとも恐竜と近縁と考えられていた)爬虫類ではなく、両生類のカエルを用いたのかについては原作中に説明がない。おそらくは性転換する性質を小説のプロットに織り込むための原作上の都合と思われるが、爬虫類であるワニなどにも成長中の周囲の環境によって性転換する種のいることが知られている。また、2009年現在の学説に基づけば、恐竜の直系の子孫である鳥類をベースとして用いるのがより適切かもしれない。)
[編集] 映画に登場する恐竜
映画化に際して、登場する恐竜の種類は、原作の15種から7種(ブラキオサウルス、トリケラトプス、ティラノサウルス、ディロフォサウルス、ガリミムス、ヴェロキラプトル、パラサウロロフス(遠景にわずかに登場))に減った。
以下のリストには映像として現れる恐竜だけでなく、台詞・表示などで存在のみが確認できる恐竜も含めた。また、劇中で種小名が出ているものは属名と中黒(・)で繋ぎそれも記した。原則として劇中での登場順に並べてある。
- ヴェロキラプトル(ベロキラプトル) Velociraptor
- 原作文中の記述によればヴェロキラプトル属のモンゴリエンシスである模様。ただし、劇場版での造形は顔がよりズングリとしており、デイノニクスに近いものになっている。これは当時ヴェロキラプトルとデイノニクスは同一種とする説があったためである(現在はこの説は否定されている)。呼称は「ラプトル」、もしくは「ラプター」(二作目)。この呼称はT-REXと共に以後メジャーになった。空腹でなくとも殺戮をし、霊長類をも凌ぐ高い知能を持つ動物であると設定されている。主に後肢の大きく鋭い鉤爪を使って獲物を襲う。パークでのこの恐竜を表す標識のデザインは、鉤爪の骨格。作中の独特の鳴き声はイルカ、セイウチといった海生動物を混ぜ合わせたものである。ちなみに、実際のヴェロキラプトルは、長い尾を除けば中型犬程度のサイズであり、本作における「ラプター」はユタラプトル等の大型種と同等のサイズとなっている(映画のムック本[3]にて、スピルバーグ自ら確信犯的に大きなサイズにしたとの言及あり)。尚、デイノニクスやヴェロキラプトルは近年において羽毛恐竜であったと考えられているため、現在主流となっている想像図と本作での造形では異なる印象を与える。
- ブラキオサウルス Brachiosaurus
- 作中では後ろ足で立ち上がり、また、顎を左右にスライドさせて咀嚼する描写があるが、双方共に実際は骨格の構造上不可能だと考えられている。標識は二頭の首の骨格。続編ではそのポジションをマメンチサウルス・シノカナドルムに譲るが、『III』で再登場する。本作のブラキオサウルスの正面顔は、にっこり微笑んでいるようであり可愛く「巨大なペット」というコンセプトに基き造形されている。
- パラサウロロフス Parasaurolophus
- 遠景にのみの登場だが続編以降ではしっかり存在感をアピールする。
- トリケラトプス Triceratops
- 呼称は「トライク」(Trike)。標識は正面を向いた頭骨。病気で倒れている一頭だけが登場。作中の設定では群れを成して行動する恐竜とされていたが、そういった場面は以後のシリーズ作品でも一度もなく(一応『III』で少しながら確認できる)、群れで行動するシーンはステゴサウルスが主に引き受けている(小説では全く逆)。撮影ではトップバッターだった。
- プロケラトサウルス Proceratosaurus
- 映像には現れない。マイナーな肉食恐竜。小説にも登場しない。胚保存室で登場。
- ステゴサウルス Stegosaurus
- 映像には現れない。また、劇中の表示では「Stegasaurus」と誤記されている。胚保存室で登場。
- メトリアカントサウルス Metriacanthosaurus
- 映像には現れない。プロケラトサウルスと同じくマイナーな肉食恐竜。小説にも登場せず。胚保存室で登場。
- ティラノサウルス・レックス Tyrannosaurus rex
- この映画を象徴する動物的な鳴き声は 「ゾウの赤ん坊の鼻息」、「ワニの唸り声」、「虎の咆哮」といった強大な動物を混ぜ合わせたもの[4]。スピルバーグの音に関するこだわりは強く、『ジョーズ』においても同様の演出が見られる。標識のデザインは本作のロゴにもなっている有名な上半身の骨格。T-REXという呼び名は、学問上用いられる二名法に基づく略称である。この映画の影響でティラノサウルスのみ属名、種小名がメジャーなものになったが、勿論他の恐竜・動物に対しても用いる。パラサウロロフス・ワルケリ(Parasaurolophus walkeri)、未同定のプロケラトサウルス(Proceratosaurus SP)など。作中では静止している獲物を視認できないとされている。この設定は、続編小説では読者の指摘もあってか変更されたが、映画版では『III』までしっかり継承されることとなる。また時速50キロ以上で疾走し、ジープに追いつく場面があるが、続編映画では走る速度がかなり抑えられて、人間になかなか追いつけなくなっている。動きが素早いという設定は、視覚の設定とは逆に小説版においてのみ継承された。
- ディロフォサウルス Dilophosaurus
- 映画ではサイズが実物よりかなり小さいが、幼体かもしれない。呼称は「スピッター」(唾吐きの意)。吐く毒は、素早く蛇毒血清で処置しなければ失明の可能性がある強力なもの。映画の設定ではより強力で致死性。登場する恐竜の中では最もデザイン、習性などが脚色されている。鳴き声は白鳥。威嚇時はガラガラヘビとタカとサルを混ぜ合わせたもの。標識は作中にも登場しており、頭骨。
- ガリミムス Gallimimus
- 鳴き声はウマが基となっている。この恐竜のみ標識が骨格でなく、しかも全身のシルエットである。
[編集] 舞台となった島
ジュラシック・パークの舞台となったのはイスラ・ヌブラル島という架空の島であり、スペイン語で『雲の島』という意味を持つ。イスラ・ヌブラル島は中米にあるコスタリカの沖から約200km離れた所に位置している。
原作のイスラ・ヌブラル島は水滴を逆さにした形に似ていると記されている。島の長さは12kmで最も幅が広い部分は約5km。面積が35平方kmと、イメージされるよりも小さく、最も標高が高い位置は高度600mしかない。
映画が撮影されたハワイの島々同様、イスラ・ヌブラル島は海底火山によって興り、火山は尚も活発。そのため、部分的に地熱が非常に高いこの島は濃い霧に覆われ、ジュラシックパークの施設などはこの島から発生する地熱をエネルギーに変えて利用している。
イスラ・ヌブラル島は熱帯雨林に覆われており、二つの川が島の東と北に伸びている。原作では島の中心には広大な人造湖と大きな鳥小屋があるとされているものの作中では描写されなかった。
[編集] コンピューターグラフィックス
当初、遠景の恐竜の映像は主にフィル・ティペットによるゴー・モーションで製作し、CG恐竜はガリミムスの大群の場面などごく一部のみで使用される予定だったが、ILMの一部のメンバーが密かに開発していたフルCGのティラノサウルスを見たスピルバーグが、全面的にCGを使う事に方針変更した。その意気込みは、ライブアクションのシーンを削ってCG製作に予算を回すほどであった。
恐竜映画の製作に意欲的だったティペットは大いに落胆したが、CG恐竜の動作の監修を行うに当たって、自身のストップモーションの動きをデジタル入力するツールを開発、アカデミー視覚効果賞を受賞した。またこのときの彼の台詞「ぼくらはこれで絶滅(失業)だ。」は作中でグラントの台詞として使用された。CGスタッフは恐竜の動作の表現に苦心し、ティペットがスタッフ自身に恐竜の動作をさせてみたり、また動物園に足を運んで観察を重ねるといった努力がされた。
スピルバーグはハワイとユニヴァーサル・スタジオでの実写部分撮影終了後ポーランドに飛び次作『シンドラーのリスト』の撮影を開始したため、盟友ジョージ・ルーカスが視覚効果、音響効果、編集などのポストプロダクションを統括。パラサウロロフスの水場としてルーカスの制作拠点スカイウォーカー・ランチに実在する池が映る。
スピルバーグはまたグラント、レックス、ティムがガリミムスの群れと並んで疾走する場面をステディカムで撮影する事に固執し、揺れの激しい手持ち撮影の場面にCGを合成するプロセス上にマッチムーヴという概念を生んでいる。
ちなみにCG使用シーンの合計時間はわずか7分で、それ以外の大部分の恐竜のシーンはアニマトロニクスを使用して製作されている。
[編集] 不自然な個所
この映画には、不自然に感じられるシーンがいくつか存在する。
- ヴェロキラプトルの孵化シーンでアームが卵を押さえるが、次のカットでは消えている。ハモンドの立ち位置も変わっている。
- ツアー中ゲストが外に出て電流フェンスに触れないようツアーカーのドアにはロックがされるはずなのだが、なぜかT-REXのフェンス付近に公衆トイレが存在している。
- T-REXがツアールートに侵入してしまうシーンで、T-REXがフェンスを破る時点とツアーカーが落下する時点で崖の高さのつじつまが合っていない。
- スピッター(ディロフォサウルス)がいつの間にかネドリーの先回りをして車内に潜伏している。
- ヴィジター・センターの天井裏を逃げるシーンでレックスをヴェロキラプトルが天井ごと押し上げるが、真下にそれを可能とするような足場はない(天井に張り付いていたとしても首の角度が不自然)。
- ラストシーンでT-REXが物音立てずヴィジターセンターのメインエントラスにいる。
などである。
[編集] ラジオドラマ版
1993年6月14日から7月2日まで、NHK-FMの『青春アドベンチャー』にて放送(全15回)。日本国内で映画版が公開される前に放送されたため、先取りする形となった。
原作に沿った登場人物の言動、ストーリー進行、演出となっているのが特徴である。
出演: 海津義孝(グラント)、大輝ゆう(エリー)、小須田康人(マルカム)、川久保潔(ハモンド)、古田新太(ジェナーロ)、渡辺いっけい(ネドリー)、前田悠衣(レックス)、あづみれいか(ティム)
[編集] その他
- 劇中のコンピュータ
- 劇中にて「Unixなら分かるわ!」とレックスが操作するコンピュータは、SGIの実在するファイルナビゲーターソフト・fsnの画面である。なおCGを作成するのに利用されたコンピュータもSGI製だった。ちなみにパークのコントロールセンターにあるコンピュータはほとんどがMacintosh。クライトン自身がMacユーザーである。
- フィルムは24コマ/秒なので通常のコンピューター画面にはチラつきが入ってしまう。スピルバーグはシャッタースピードは変更せずに、コンピューターのほうを24コマモニターに調整して使用した。
- コンピュータ・ディスプレイ画面を監修したマイケル・バッケス(Michael Backes)は原作者マイケル・クライトンの友人で、恐竜について多大な興味を持っていたクライトンに小説化を勧めた人物である。クライトン原作の映画化作品には『ライジング・サン』では脚本、『コンゴ』でも製作補佐として関わっている。
- 競演による婚約
- イアン・マルカム役のジェフ・ゴールドブラムとエリー・サトラー役のローラ・ダーンはこの作品の共演がきっかけで一時期婚約していたことがある。
- ゲーム作品
- 映画版をベースとしたアーケードゲームが、セガから93年ごろ登場した。映画版の後日談のようである。次々に襲い来る恐竜を、麻酔銃で打ち倒し進む。稼動筐体を採用し、迫力あるプレイが楽しめたため、好評を博した。また、続編のアーケード専用ガンシューティングゲームもセガによって開発され、こちらはさらにリアルな恐竜との対決ができる。
- こちらのゲームのパワーアップヴァージョンは、セガのアミューズメントパークのジョイポリスで『ロスト・ワールドスペシャル』として遊ぶことができる(ルールやステージ構成が若干変更)。また、続編の映画には、マルカムの娘ケリーの台詞で「彼女はセガも持ってない原始人よ」というものがある。
- グラントの台詞
- 映画版にて、アラン・グラントはトリケラトプスを発見し、「子供の頃から1番好きな恐竜だ」と語っているが、『メイキング・オブ「ジュラシック・パーク」』にてスピルバーグが同様の発言をしている。
[編集] 関連項目
- ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-(小説・1995年)
- ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(映画・1997年)
- ジュラシック・パークIII(映画・2001年)
- CRジュラシックパーク(パチンコ=京楽産業.版=・2002年)
- CRジュラシックパーク(パチンコ=藤商事版=・2008年)
- ジュラシック・パークIV(映画・製作中止)
米映画サイトComingsoon.netによると、『IV』の製作者であるキャスリーン・ケネディは2009年製作予定で準備を進めてきたが、原作者のマイケル・クライトンが亡くなったことにより、「今後製作されないだろう」と明かした。 ケネディは、「続編についても考えたけれど、彼の死はもうシリーズに手を出すのはやめよう、というサインなのかもしれない」と続編製作から手を引くことを明言した。
[編集] 脚注
- ^ この件は、「『本物』とは何か?」というハモンドとウーの哲学的見解の相違によるもので、必ずしもハモンドの頑迷さが原因ではない。
- ^ 関係のこじれているネドリー以外のスタッフは、概ね一様にハモンドから高評価されている。
- ^ 『メイキング・オブ・ジュラシック・パーク』ドン・シェイ、ジョディ・ダンカン著 扶桑社
- ^ 『スクール・オブ・フィルム』#19
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