長いお別れ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

長いお別れ』(ながいおわかれ、The Long Goodbye)は、アメリカの作家レイモンド・チャンドラーハードボイルド小説1953年に刊行された、私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第6作目。

この作品に対する評価は賛否両論であり、チャンドラー作品の最高峰に位置づけられることも多いが、その一方で、『大いなる眠り』や『さらば愛しき女よ』に及ばないと評されることもある[要出典]ハードボイルド小説によって社会批評を行ったことは注目すべきであり、また本作はチャンドラー自身の自伝的要素を持っていることでも有名である。ハメットらと比べ文体が感傷的すぎるなどの難点もあげられているがその独特の文体、世界観がいいと言われている[要出典]

ギムレットには早すぎる」や「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」、「警官はけっしてさよならをいわない。機会があったら容疑者の首実検の列のなかで顔を見たいと思っているのだ。」(いずれも清水俊二訳)などのセリフで知られる。

ロング・グッドバイ』のタイトルで、1973年ロバート・アルトマン監督により映画化。2014年にも日本でテレビドラマ化される予定。

あらすじ[編集]

フィリップ・マーロウは、偶然知り合ったテリー・レノックスにどこか惹かれるものを感じ、酒場で杯を傾けるようになる。しかし、ある長日、レノックスは資産家の娘である妻殺しの容疑をかけられ、マーロウに助けられて逃れたメキシコの町で自殺を遂げてしまう。彼はその死に疑問を抱くが警官にのされさんざんな目にあう。テリーからの手紙には「コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ」(清水俊二訳)と書かれていた。やがて、別の事件でレノックスの隣人達の失踪と関わるようになったマーロウは、酒に溺れた小説家とその妻、ハウスボーイや出版社の編集者などを巻き込みながら事件の意外な真相にたどり着く。

登場人物[編集]

  • フィリップ・マーロウ - 探偵
  • ハーラン・ポッター - 億万長者
  • シルヴィア・レノックス - ハーランの末娘
  • テリー・レノックス - シルヴィアの夫
  • リンダ・ローリング - シルヴィアの姉
  • エドワード・ローリング - リンダの夫
  • ロジャー・ウェイド - 作家
  • アイリーン・ウェイド - ロジャーの妻
  • キャンディ - ウェイド家のハウスボーイ
  • ハワード・スペンサー - ニューヨークの出版社の代表者
  • ヘンリー・シャーマン - 「ジャーナル」紙の編集長
  • ロニー・モーガン - 「ジャーナル」紙の記者
  • ランディ・スター - クラブの経営者
  • メンディ・メネンデス - ギャングのボス
  • チック・アゴスティノ - メンディの用心棒
  • ジョージ・ピーターズ - カーン協会員
  • レスター・ヴューカニッチ - 耳鼻喉喉科の医者
  • エイモス・ヴァーリー - 医者
  • ヴァリンジャー - 医者

日本語訳[編集]

現在は以前から刊行されていた清水俊二訳の『長いお別れ』 と、村上春樹の新訳『ロング・グッドバイ』が両方とも流通している。

  • 『長いお別れ』 清水俊二訳 早川書房(世界探偵小説全集) 1958年 絶版
  • 『ロング・グッドバイ』 村上春樹訳 早川書房 2007年 ハードカバー
    • 『ロング・グッドバイ』軽装版(ノベルス) 村上春樹訳 早川書房 2009年 絶版
    • 『ロング・グッドバイ』ハヤカワ・ミステリ文庫 村上春樹訳 2010年

備考[編集]

矢作俊彦のハードボイルドシリーズ・二村永爾シリーズ第3作『ロング・グッドバイ(THE WRONG GOODBYE)』は、この作品を下敷きにしており、プロット、登場人物の相関に似通った要素が多い。

映画化[編集]

ロング・グッドバイ
The Long Goodbye
監督 ロバート・アルトマン
脚本 リイ・ブラケット
原作 レイモンド・チャンドラー
長いお別れ
製作 ジェリー・ビック
製作総指揮 エリオット・カストナー
出演者 エリオット・グールド
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ヴィルモス・スィグモンド
編集 ルー・ロンバード
製作会社 E-K-Corporation
ライオンズゲート
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 アメリカ合衆国の旗 1973年3月7日
日本の旗 1974年2月23日
上映時間 112分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
テンプレートを表示

1973年に監督ロバート・アルトマン、主演エリオット・グールドにより映画化された。邦題は『ロング・グッドバイ』(原題は『The Long Goodbye』)。

内容は1970代風にアレンジされており、エリオット・グールドが演じる探偵フィリップ・マーロウが友人テリー・レノックスの謎の死をきっかけにある事件に巻き込まれていく。

キャスト(映画)[編集]

トリビア[編集]

松田優作がこの映画にインスパイアされ、TVでは『探偵物語』、映画では『ヨコハマBJブルース』を生み出したことで知られている[要出典]

モダーンズ』の監督アラン・ルドルフが第二助監督を務めた[2]

脚本家のリイ・ブラケットは、フォークナーと共作したチャンドラー原作の『三つ数えろ』など、ハワード・ホークス監督作品の常連ライター。

恋人をビンで殴るシーンが強烈な印象を残しているチンピラのボス・オーガスティンを演じたマーク・ライデルは、『黄昏』の監督でオスカー候補になった。

テレビドラマ[編集]

ロング・グッドバイ
ジャンル テレビドラマ
放送時間 土曜21:00 - 21:58(58分)
放送期間 2014年4月19日 -(5回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 NHK
演出 堀切園健太郎
原作 レイモンド・チャンドラー
「ロング・グッドバイ」
脚本 渡辺あや
プロデューサー 城谷厚司
谷口卓敬
出演者 浅野忠信
時代設定 1950年代
外部リンク 公式サイト
テンプレートを表示

ロング・グッドバイ』のタイトルで2014年4月19日よりNHK土曜ドラマ」枠で放送予定。全5話。1950年代東京を舞台に描かれる。主演は浅野忠信で、デビュー26年にして初の連続ドラマ主演となる[3][4]キャッチコピーは「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ。」。

キャスト(テレビドラマ)[編集]

スタッフ(テレビドラマ)[編集]

NHK 土曜ドラマ
前番組 番組名 次番組
足尾から来た女
(2014年1月18日 - 1月25日)
ロング・グッドバイ
(2014年4月19日 - 予定)
--

脚注[編集]

  1. ^ 元メジャーリーガー。
  2. ^ a b c The Long Goodbye (1973) - Full cast and crew” (英語). IMDb. 2013年1月30日閲覧。
  3. ^ 浅野忠信さん連続ドラマ初主演!『ロング・グッドバイ』”. NHK (2014年1月14日). 2014年1月14日閲覧。
  4. ^ 浅野忠信 : デビュー26年で初の連ドラ主演”. まんたんウェブ (2014年1月14日). 2014年1月14日閲覧。

学術的参考文献[編集]

  • 小野智恵「ポスト・ノワールに迷い込む古典的ハリウッド映画 ― 『ロング・グッドバイ』における失われた連続性」、『交錯する映画 ― アニメ・映画・文学』、映画学叢書(加藤幹郎監修、杉野健太郎編、ミネルヴァ書房、2013年3月)所収。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]