遠い接近

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遠い接近』(とおいせっきん)は、松本清張の長編推理小説。『週刊朝日』1971年8月6日号から1972年4月21日号に、「黒の図説」第9話として連載され、1972年7月に光文社カッパ・ノベルス)から刊行された。

1975年にテレビドラマ化されている。

概要[編集]

旧日本軍における召集・軍隊生活や終戦後の闇市の様子を交えつつ、戦争で家族を失った者の悲しみと完全犯罪計画を描く推理長編。

あらすじ[編集]

1944年、色版画工の山尾信治のもとに召集令状が来た。身体検査に赴き、仕事が忙しく教育教練にあまり出席していなかったことを話すと、在郷軍人の一人から「ハンドウを回されたな」と言われる。佐倉第五十七聯隊第六中隊第二班に入隊後、私的制裁に遭った補充兵が同じ言葉を呟くのを聞いた山尾は、その意味が「仕返し・腹いせ・懲らしめ」であると気づく。しかし、山尾にそのような意思を働かせた者は、具体的には誰なのか? 軍隊生活を送りながら、山尾はひそかに調査を開始する。手段を尽くした探索の末、「犯人」を突きとめたと思った山尾。やがて終戦を迎える。

主な登場人物[編集]

終戦直前の東京
闇市(写真は新橋付近)
  • 原作における設定を記述。
山尾信治
神田小川町在住の自営色版画工。妻と三人の子に加え、老いた両親を扶養する。
山尾良子
山尾の妻。人付き合いがうまく近所から好かれている。
山尾英太郎
山尾の父。広島に従弟の太一がいる。
白石
町内の酒屋。教育訓練の助教で予備陸軍伍長。
安川哲次
山尾と同じ班内の万年一等兵。召集兵苛めを鬱積の捌け口にしている。
山崎英夫
山尾と同じ班の銀行員。優等生的な振る舞い。
森田
龍山基地医務室内の軍医。法医学の本を所有する。
細井
上等兵で釜山市役所の吏員。
河島佐一郎
山尾の住む地域の区役所の兵事係長。妻は小学校の教員。
与田喜十郎
雑誌「真実界」編集長。

関連項目[編集]

御在所岳

参考文献[編集]

  • 森史朗 『松本清張への召集令状』(2008年、文春新書
    • 著者は元『文藝春秋』編集長。清張と著者との関わりの中で生まれた本作執筆の背景・裏話を伝える。

テレビドラマ[編集]

松本清張シリーズ
遠い接近
ジャンル テレビドラマ
放送時間 20:00 - 21:10(70分)
放送期間 1975年10月18日
放送国 日本の旗 日本
制作局 NHK
演出 和田勉
原作 松本清張『遠い接近』
脚本 大野靖子
出演者 小林桂樹ほか

特記事項:
第30回芸術祭優秀賞受賞
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松本清張シリーズ・遠い接近」。1975年10月18日20:00-21:10、NHKの「土曜ドラマ」第1回として放映。視聴率15.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。プラハ国際テレビ祭金賞受賞作品、第30回芸術祭優秀賞(ドラマの部)受賞作品。

キャスト
貧しいながらも一家で幸せに暮らしていたが、ある日召集令状を受け取り一兵卒として朝鮮へ赴く。戦後復員すると日本に残した家族は全滅していた。ふとしたことで召集令状が出されるからくりを知り、自分に令状を出した人物への復讐を計画する。
山尾が日本に残した家族。召集後、一家で広島疎開する。
隊内で山尾をいびり抜き、復員後もしつこくつきまとう。
山尾が住んでいた町の役場の職員。
山尾の取り調べを担当する。
スタッフ
NHK 土曜ドラマ
前番組 番組名 次番組
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松本清張シリーズ
遠い接近
(1975.10.18)