顔 (松本清張)

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』(かお)は、松本清張1956年10月に出版した短編集。及び当該短編集に収録された表題作の短編小説、またはそれを原作とする映画テレビドラマ

短編集『顔』[編集]

  • 松本清張による初めての推理短編集。1956年10月、講談社ロマン・ブックスより刊行された。
  • 収録作品は『顔』『殺意』『なぜ「星図」が開いていたか』『反射』『市長死す』『張込み』。
  • 本短編集により1957年3月、第10回日本探偵作家クラブ賞を受賞した。日本探偵作家クラブ会長・木々高太郎は、清張の作品のいずれを選ぶか種々意見は分かれいろいろ議論された結果、『顔』その他として、圧倒的な支持により全会一致で受賞が決定した旨を述べた、という[1]

小説『顔』[編集]

  • 小説新潮』1956年8月号に掲載、1956年10月短編集『顔』に収録された。

あらすじ[編集]

劇団員の井野良吉は、石井監督の新作映画「春雪」に出演するよう指名を受けた。映画俳優としての成功を望む井野は昂奮したが、同時にある破滅的な不安があった。映画は成功し、井野は賞賛を受けるが、幸福感と共に、絶望感も増大してゆく。9年前の石岡貞三郎と山田ミヤ子の記憶が甦る……。

映画[編集]

監督 大曽根辰夫
脚本 井手雅人
瀬川昌治
製作 岸本吟一
出演者 岡田茉莉子
大木実
音楽 黛敏郎
撮影 石本秀雄
配給 松竹
公開 日本の旗 1957年1月22日
上映時間 104分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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1957年1月22日に松竹系にて公開された。松本清張原作の初映画化作品。現在はDVD化されている。主役は新進のファッションモデル・水原秋子となっている。

ストーリー[編集]

東海道線上を走る夜行列車から、男が転落し死亡する事件が発生した。病院の死体置場に花束が届けられるが、奇怪なことにその送り主は不明であった。

花束を送ったのは水原秋子であった。秋子は水商売で働いていたが、あるきっかけからファッション・モデルになるチャンスを得、成功をつかもうと必死になっていた。秋子にはプロ野球選手・江波彰との結婚を望んだ。しかし、秋子の過去を知る男・飯島哲次がその障害であった。同じ夜行列車内で秋子と飯島は言い争いになり、飯島は列車から転落した。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

エピソード[編集]

  • 『顔』の映画化権は『張込み』と同時に買われている。このうち『張込み』の映画化は大船調を志向する城戸四郎が難色を示したために遅れたが、本映画は、東宝から松竹への移籍を控えた岡田茉莉子を主演とするため、主人公を女性に変更、このため『張込み』より早く城戸のゴーサインが得られ、ひと足早い公開となった[2]
  • 公開前の岡田の誕生日(1月11日)には、大雪の降る中、原作者が岡田のもとを訪れ、伊万里焼のつぼを贈った。岡田はその後も清張原作の映像作品に出演したが、原作者から「何が一番気に入っている?」と聞かれ、「みんな好きだけどやはり最初の作品の『顔』でしょうか」と答えている[3]

テレビドラマ[編集]

1958年版[編集]

1958年7月29日日本テレビ系列の「名作劇場」枠にて放映。

キャスト
スタッフ

1959年版[編集]

1959年8月27日フジテレビ系列の「木曜観劇会」枠(20:00-21:45)にて放映。

キャスト
スタッフ

1960年版[編集]

1960年11月7日11月14日(20:30-21:00)、KRテレビ(現:TBS)系列の「ナショナル ゴールデン・アワー」枠、「松本清張シリーズ・黒い断層」の一作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ
KRT(現:TBS)系列 ナショナルゴールデンアワー
(松本清張シリーズ・黒い断層)
前番組 番組名 次番組
地方紙を買う女
(1960.10.24 - 31)

(1960.11.7 - 14)
蒼い描点
(1960.11.21 - 12.26)

1962年版[編集]

1962年10月25日10月26日(22:15-22:45)、NHKの「松本清張シリーズ・黒の組曲」の1作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ

1963年版[編集]

1963年9月15日、NET(現・テレビ朝日)系列の「シオノギ日本映画名作ドラマ」枠(22:00-23:00)にて放映。1957年公開映画のテレビ版リメイク。主演は映画同様大木実。

キャスト
スタッフ
NET(現・テレビ朝日)系列 日本映画名作ドラマ
前番組 番組名 次番組

(1963.9.8)

(1963年版)
鯉名の銀平
(1963.9.22)

1966年版[編集]

1966年3月29日関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30)にて放映。

キャスト
スタッフ
関西テレビ制作・フジテレビ系列 松本清張シリーズ
前番組 番組名 次番組
愛と空白の共謀
(1966.3.22)

(1966.3.29)
通訳
(1966.4.5)

1978年版・1[編集]

松本清張おんなシリーズ
心の影
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 21:55
放送期間 1978年6月4日
放送国 日本の旗 日本
制作局 TBS
監督 坂崎彰
原作 松本清張『顔』
脚本 服部佳
プロデューサー 石井ふく子
出演者 大空眞弓
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松本清張おんなシリーズ・心の影」。1978年6月4日TBS系列の「東芝日曜劇場」枠(21:00-21:55)にて放映。視聴率19.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。新劇の女優・良枝を主人公としている。

キャスト
スタッフ
TBS系列 東芝日曜劇場
前番組 番組名 次番組
女の指輪
(1978.5.28)
松本清張おんなシリーズ3
心の影
(1978.6.4)
六月の風にのって
(1978.6.11)

1978年版・2[編集]

松本清張の「顔」
死の断崖
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 22:24
放送期間 1978年11月18日
放送国 日本の旗 日本
制作局 テレビ朝日
監督 水川淳三
原作 松本清張『顔』
脚本 吉田剛
出演者 倍賞千恵子
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松本清張の「顔」・死の断崖」。1978年11月18日テレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」枠(21:00-22:24)にて放映。視聴率14.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

キャスト
スタッフ
テレビ朝日系列 土曜ワイド劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張の「顔」
死の断崖
(1978.11.18)

1982年版[編集]

松本清張の「顔」
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 21:55
放送期間 1982年9月3日 - 9月24日(4回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 TBS
監督 合月勇
原作 松本清張『顔』
脚本 安本莞二
出演者 烏丸せつこ
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松本清張の「顔」」。1982年9月3日から1982年9月24日まで、TBS系列の「金曜ミステリー劇場」枠(21:00-21:55)にて全4回の連続ドラマとして放映。平均視聴率18.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ライブハウスの人気歌手・夏川ケイを主人公に設定している。

キャスト
スタッフ
TBS系列 金曜ミステリー劇場
前番組 番組名 次番組
過去のない女たち
(原作:高橋玄洋
(1982.7.30 - 8.27)
松本清張の「顔」
(1982.9.3 - 24)
-

1999年版[編集]

松本清張特別企画
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 22:54
放送期間 1999年10月7日
放送国 日本の旗 日本
制作局 TBS
演出 大岡進
原作 松本清張『顔』
脚本 大石静
プロデューサー 野添和子(大映テレビ)
大西明子(TBS)
松本陽一
出演者 戸田菜穂
斉藤慶子
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松本清張特別企画・顔」。1999年10月7日21:00-22:54、TBS系列にて放映。視聴率15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。女優を目指す井野良子を主人公に設定している。

キャスト
スタッフ

2009年版[編集]

松本清張ドラマスペシャル
「顔」
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 22:13
放送期間 2009年12月29日
放送国 日本の旗 日本
制作局 NHK
演出 伊勢田雅也
原作 松本清張『顔』
脚本 中園健司
出演者 谷原章介
原田夏希
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松本清張ドラマスペシャル・顔」。2009年12月29日21:00-22:13、NHKにて放映[4]DVD化されている。

キャスト
スタッフ

2013年版[編集]

松本清張スペシャル
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 23:14(134分)
放送期間 2013年10月3日
放送国 日本の旗 日本
制作局 フジテレビ
演出 澤田鎌作
原作 松本清張
『顔』
脚本 根津理香
プロデューサー 清水一幸
出演者 松雪泰子
田中麗奈
坂口憲二
武田真治
稲森いずみ
外部リンク とれたてフジテレビ

特記事項:
フジテレビ開局55周年特別番組
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松本清張スペシャル 顔」は2013年10月3日の21:00 - 23:14、フジテレビ開局55周年特別番組として放送。時代設定は昭和22年とその9年後としている。主演は松雪泰子[5]

キャスト
スタッフ
  • 原作 - 松本清張『顔』(「傑作短篇集5 張込み」所収 / 新潮文庫)
  • 脚本 - 根津理香
  • 音楽 - 眞鍋昭大
  • 演出 - 澤田鎌作
  • 演出補 - 渡邉昭寛
  • VFX - 小林一博、古川雄大
  • フードコーディネーター - 市原智津子
  • 方言指導 - 仲野元子
  • 撮影協力 - 京都市フィルムオフィス、大井川鐵道学士会館昭和電工川崎事業所
  • 企画協力 - 菊地実
  • 協力 - 北九州市立松本清張記念館、エス・エヌ企画、日本文学振興会松本清張賞事務局
  • プロデュース - 清水一幸
  • プロデュース補 - 見戸夏美
  • 制作著作 - フジテレビ

脚注・出典[編集]

  1. ^ 山前譲「『点と線』以前の初期単行本」(『松本清張研究 vol.2』(1997年、砂書房)に収録)中に引用された記録「探偵小説界展望」を参照した。なお、クラブ賞選考決定会は、2月24日江戸川乱歩邸で行われた。
  2. ^ 白井佳夫・大木実・西村雄一郎「映画『張込み』(野村芳太郎監督)撮影現場からの証言」(『松本清張研究』第2号(1997年、砂書房)収録)参照。
  3. ^ 『松本清張の世界』(1992年、文藝春秋臨時増刊、2003年、文春文庫)に掲載された岡田のアンケート回答を参照。
  4. ^ 谷原章介さん主演!松本清張ドラマ”. ドラマトピックスブログ. NHKブログ (2009年9月25日). 2014年10月16日閲覧。
  5. ^ navicon (2013年10月3日). “3日、フジ開局55周年特別番組で松本清張SP、松雪泰子ら豪華キャストで「顔」放送!予告動画”. 2013年10月4日閲覧。

外部リンク[編集]