渡された場面

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渡された場面』(わたされたばめん)は、松本清張の長編推理小説。『週刊新潮1976年1月1日号から1976年7月15日号に、「禁忌の連歌」第1話として連載、1976年11月に新潮社から刊行された。後に電子書籍版も発売されている。

これまでに3度テレビドラマ化されている。

概要[編集]

九州で起こった女中の失踪と、四国で起こった未亡人殺害事件。地方の文学青年の屈折を交えつつ、離れた場所で起こった別々の事件の、思わぬ繋がりを描く推理長編。

あらすじ[編集]

玄界灘に面した漁港の町の大旅館・千鳥旅館に、作家の小寺康司が滞在していた。係女中の真野信子は、小寺の不在中に、好奇心にひかれて未完の原稿を読み、書き写した。恋人の下坂一夫の役に立てばとの思いからであった。下坂は小寺の文章を陳腐・古臭いとして、まったく興味を示さないように見えたが……。

四国の県警捜査一課長・香春銀作は、好きで時々文芸雑誌を拾い読みしていたが、ある時、下坂一夫という人物の作品が同人雑誌評で取り上げられているのを目にする。読み終えて、起訴になっている未亡人・山根スエ子殺害事件の実況見分調書の一部と、下坂の文章の一部がそっくりであるのに気づく。香春は下坂一夫が作品創作のために現場付近に行ったことがあると考え、懸案の山根スエ子殺害事件解決の手がかりになればと、下坂に確認をとろうとするが……。

主な登場人物[編集]

玄界灘(写真は唐津市肥前町)
  • 原作における設定を記述。
香春銀作
四国の県警捜査一課長。文学好きで県警部内の同人雑誌に小説を投稿している。
下坂一夫
唐津の同人雑誌『海峡文学』に作品を発表している。抽象的な文学理論を云い、非文学的なものを軽蔑している。29歳。
真野信子
下坂の恋人。千鳥旅館の女中。
小寺康司
中堅どころとして期待の声もあがっている小説家。千鳥旅館に滞在している。39歳。
古賀吾市
『海峡文学』同人。漁船員。
景子
博多のバーの女。東京出身。下坂の子を身篭る。
越智達雄
四国の県警捜査一課警部補。

関連項目[編集]

  • 呼子町…本作「坊城町」のモデル[1]。現在は唐津市の一部。なお、小説中の千鳥旅館のモデルは「旅館金丸」(2014年現在も営業中)[2]
  • 織幡神社…本作の舞台。

テレビドラマ[編集]

1978年版[編集]

1978年4月27日から1978年5月18日まで、テレビ朝日系列の「ナショナルゴールデン劇場」枠(21:00-21:54)にて、全4回の連続ドラマとして放映。

キャスト
スタッフ
テレビ朝日系列 ナショナルゴールデン劇場
前番組 番組名 次番組
竹の子すくすく
(1977.12.1 - 1978.4.20)
渡された場面
(1978.4.27 - 5.18)
敵か?味方か?3対3
(1978.5.25 - 7.6)

1987年版[編集]

松本清張スペシャル
渡された場面
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:02 - 22:51
放送期間 1987年7月7日 - 7月14日
放送国 日本の旗 日本
制作局 日本テレビ
監督 松尾昭典
原作 松本清張『渡された場面』
脚本 大野靖子
出演者 古谷一行
坂口良子
京本政樹ほか
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松本清張スペシャル・渡された場面」。1987年7月7日7月14日日本テレビ系列の「火曜サスペンス劇場」枠(21:02-22:51)にて、前後編放映。視聴率は前編が19.3%、後編が20.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。山根スエ子殺害事件の舞台を秩父市に設定している。

キャスト
スタッフ
日本テレビ系列 火曜サスペンス劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張スペシャル
渡された場面
(1987.7.7 - 14)

2005年版[編集]

松本清張特別企画
渡された場面
ジャンル テレビドラマ
放送時間 21:00 - 23:18
放送期間 2005年4月17日BSジャパン
2005年4月20日テレビ東京
放送国 日本の旗 日本
制作局 テレビ東京
BSジャパン
監督 杉村六郎
原作 松本清張『渡された場面』
脚本 中岡京平
出演者 三浦友和
佐野史郎
高岡早紀ほか
テンプレートを表示

松本清張特別企画・渡された場面」。2005年4月17日BSジャパンの「BSミステリー」枠(21:00-23:18)にて放映。地上波では、同年4月20日テレビ東京系列の「水曜ミステリー9」枠(21:00-23:18)にて放映。

キャスト
スタッフ
テレビ東京系列 水曜ミステリー9(第1期
前番組 番組名 次番組
人情刑事・宮本清四郎
(原作:笹沢左保)
(2005.3.30)
【前作まで女と愛とミステリー
松本清張特別企画
渡された場面
(2005.4.20)
検察官キソガワ
(原作:鈴木あつむ)
(2005.4.27)

脚注・出典[編集]

  1. ^ 「創作ヒント・ノート」(『作家の手帖』(1981年、文藝春秋)に収録)参照。
  2. ^ 唐津観光協会 特集:小説や紀行に出てくる唐津~呼子編~