大地の子

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大地の子』(だいちのこ)は、山崎豊子小説、また小説を原作としたテレビドラマ中国残留孤児・陸一心(りくいっしん)の波乱万丈の半生を描いた物語である。

1987年5月号から1991年4月号まで文藝春秋の月刊誌『文藝春秋』に連載された。1991年に同社から単行本が全3巻で刊行され、1994年に単行本と同じく同社から文春文庫版が全4巻で刊行された(ちなみに山崎豊子の作品の中、文藝春秋で文庫版を刊行したのは『運命の人』と本作だけであり、他の作品は全て新潮文庫新潮社)で刊行されている)。

この小説内における表現の一部が、『卡子(チャーズ) 出口なき大地』(文春文庫ほか)の盗作であるとして、著者の遠藤誉から提訴されたが、遠藤の敗訴が確定した。


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


目次

[編集] あらすじ

信濃郷満州開拓団の長男・松本勝男は、日本の敗戦後、ソ連軍の攻撃などにより祖父と母を失い、妹とも生き別れになってしまう。父親は徴兵されており、勝男のいる満州にはいなかった。

過酷な体験のあまり、自分の身分や言葉など全ての記憶を失った勝男は、放浪中に人買いに捕まり、中国人農家に売られて酷使される日々を送ることになる。度重なる虐待に耐えかねて逃げ出したものの、再び人買いの手にかかり売られそうになった勝男を助けたのは、小学校教師の陸徳志(りくとくし)であった。子供のない陸徳志夫妻は勝男に一心という名を与え、貧しいながらも実の子のように愛情をこめて育てる。

優秀な青年に育った一心は大連にある大学に進学。恋人である趙丹青に日本人であるがゆえに別れを切り出される等差別を受けながらも、中国の発展のため尽くそうと決心する。しかし、彼の背後には文化大革命の嵐が押し寄せつつあった。やがて一心は、日本人であるという理由で槍玉に挙げられ、囚人として労働改造所に送られるが、そこで日本語を話す男と知り合い、母国語である日本語を習得する。5年後、徳志の命がけの嘆願と、共産党幹部となった親友の奔走の甲斐あり釈放された一心は、労働改造所時代の命の恩人である看護師・江月梅と結婚、日中共同の一大プロジェクトである製鉄所建設チームの一員として働くことになる。

一方、中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、一心(勝男)の実父である松本耕次を上海事務所長に派遣する。松本はかつて自分の徴兵中に満州で消息を絶った妻子の行方を今も求め続けていた。苦労の末、ようやく一心の妹であるあつ子(中国名:張玉花)を見つけ出した松本だが、寒村の農家に嫁がされた彼女は過労の果てに病(脊椎カリエス)を得て、すでに死の床にあった。同じ頃、一心もまた唯一の肉親である妹を探し、村にたどりついていた。あつ子の死を契機に、間近にいながら親子とは気づかなかった一心と松本は、ここで初めて互いの関係を知り、確執を越えて数十年ぶりの再会を喜び合う。

その後、プロジェクトの一環で日本に出張した一心は、松本の家を訪れる。しかし、この訪問が原因で、一心はほどなくして以前から彼を快く思っていなかった同僚(趙丹青の夫)の策略により産業スパイとして告発され、プロジェクトから外された上に内蒙古の製鉄所へ左遷させられてしまう。初めは失意に暮れていた一心だったが、やがて製品の改良などを通じて内蒙古の仲間達と深い絆で結ばれる。

時を経て、丹青は一心を陥れた夫の策謀を知り、共産党幹部に告発。冤罪が解けた一心は再びプロジェクトに復帰、7年がかりで完成した製鉄所の高炉に火が入り、日中の参画者の心は一つになる。

プロジェクト終了後、一心は徳志の勧めで松本と父子水入らずの長江下りの旅行に出かける。雄大な長江を下る船の上で、松本は一心に日本へ来て一緒に暮らさないかと持ちかけた。日本の父と、中国の父。二人の父への愛情に一心の心は揺れ動くが、彼は苦悩の末、涙ながらに「私はこの大地の子です。」と答え、中国に残ることを決意するのであった。

なおドラマ版では、その後自ら左遷時代の仲間達が待つ内蒙古の製鉄所への転属を志願する後日談が付け加えられており、家族ぐるみの移住に先立ち駅で一足先に内蒙古に向かった一心が製鉄所でかつての仲間達と再会するシーンで物語は幕を閉じる。

[編集] 刊行書籍

  • 『大地の子(上・中・下)』 -文藝春秋、1991年
  • 『大地の子(1~4)』 -文春文庫、1994年
  • 『山崎豊子全集(19.20)大地の子』 -新潮社、2008年
  • なお『「大地の子」と私』(文藝春秋 1996年、文春文庫 1999年)で、取材の一端を記している。
  • 2009年10月刊の『山崎豊子自作を語る1 作家の使命私の戦後』(新潮社)でも、(当時新日鉄会長で経団連会長の斎藤英四郎が、取材に際し拙い態度を取り、著者が面と向かって怒るなど)、取材の裏側の苦労も明かしている。

[編集] テレビドラマ

[編集] 概要

NHKの放送70周年記念番組として日中の共同制作によりドラマ化され、1995年11月11日から同年12月23日まで土曜ドラマ枠にて放送された(全7回。各話共に89分で、最終回のみ109分)。ドラマが好評だったため、当時省略されていた40分が新たに加え、再編集したアンコール版が1996年3月11日から同年3月21日まで毎日22:00に放送された(全11回。初回のみ90分で、第2回以降60分)。中国語タイトルは『大地之子』。2001年に全7回の放送を15話に分けたDVDが発売された。またそれまでにも数年に一回、NHK衛星放送などで再放映された。

日本では名作の呼び声高い本作であるが、中国では一般に放映されておらず、一部で評価を得るにとどまっている。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

  • 原作:山崎豊子『大地の子』
  • 脚本:岡崎栄
  • 音楽:渡辺俊幸
  • 演出:松岡孝治、潘小揚、榎戸崇泰
  • 翻訳:李珍
  • 時代考証:竹内実
  • 制作:NHKエンタープライズ21・中国中央電視台

[編集] 陸一心役

  • 原作者の山崎は当初、本木雅弘を一心役に考えていたが、後に「彼(上川)でよかった」と語っている[1]。NHK側は「シーンの3分の2が中国のため、通算128日間という長期に渡って、(中略)広範囲な地域で行う大規模なロケだ。有名俳優ではOKをもらえない。」としている[2]
  • 全体のセリフの約8割が中国語だった。上川隆也は、全く中国語を解しなかったが、1ヶ月間の短期集中学習によりほぼ完璧な発音を身につけ、中国人共演者と遜色ない中国語での演技を披露した。

[編集] 中国との関係等

中国側への配慮から、主人公が文化大革命中に受けた拷問や、主人公の妹が夫と姑から虐待される描写がカットされたり、[3]一心の訪日時に彼を陥れる同僚にも言い分や立場があるようにフォローされるなど、全体的に原作よりもソフトな内容に修正されている。

[編集] 備考

運命の人(本木雅弘主演) - 2012年に放送されているTBS制作のテレビドラマ。同じく山崎豊子原作の小説であり、本作で少年期の主人公・陸一心(松本勝男)を務めた笠原秀幸が毎朝新聞社の政治部記者役(役者名:仲村明)として出演している。ちなみに原作者の山崎は同作も、主人公・弓成亮太役を本木雅弘と考えていた。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ チャンネル銀河
  2. ^ NHKブログ
  3. ^ ドラマ版では夫は既に故人となっている設定で、姑との仲も良好であるように描写されている
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