翻案権

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翻案権(ほんあんけん)とは、著作権の支分権の一つであり、著作物を独占排他的に翻案する権利をいう。

翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現形式を変更して新たな著作物を創作する行為であると解されている[1]。翻案の例としては、小説を映画化やゲーム化する行為、一話完結形式の漫画の連載において同一のキャラクターを用いて新たな続編を創作する行為[2]などが挙げられる。翻案権は独占排他権であるから、翻案権者に無断で著作物を翻案する行為は、原則として翻案権の侵害となる。

複製権と同様に制限があり、私的使用や学校教育など一定の目的の元で使用する場合には自由に翻訳、編曲、変形、翻案を行うことができる[3]

翻案権で問題となるのは、既存の著作物のアイデアを用いて新たな著作物を創造することとの区別(翻案権侵害にならない)である。翻案に当たるのは、あくまで著作物となる思想又は感情を創作的に表現した部分の表現上の本質的な特徴を直接感得できる場合だけであり、思想・感情・アイデア・事実・事件などが酷似していてもそれだけでは翻案には当たらない[1]

また、プログラムの翻案について、文化庁の第2小委員会(コンピユーター関係)報告書では"プログラムの翻案とは、既存のプログラムの基本的な筋、仕組等に変更を加えず、表現を変えて新たなプログラムを創作することである。"とされている[4]

著作権法の改正によって、検索サービスは必要範囲内で複製と翻案ができるようになった (許可されている改変はあくまで翻案のみ)。ただし、「当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行つてはならない」とされている。

著作権管理団体においては、翻案権の管理をしていない団体が存在する (JASRAC[5]など)。

なお、著作物の改変を禁止する権利は、著作権ではなく著作者人格権同一性保持権によって定められており、一身専属性となっている。私的改変も同一性保持権の侵害となり、それを惹起するツールの提供は不法行為となる[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b  最高裁判所第一小法廷判決  平成13年6月28日 民集55巻4号837頁、平成11年(受)第922号、『江差追分事件』。判決全文 (PDF, 13KB)
  2. ^ 最高裁判所第一小法廷判決 平成9年7月17日 民集51巻6号2714頁、平成4年(オ)第1443号、『著作権侵害差止等』。判決全文 (PDF, 19KB)別紙1 (PDF, 65KB)
  3. ^ 著作物が自由に使える場合”. 文化庁. 2013年6月28日閲覧。
  4. ^ 第2小委員会(コンピユーター関係)報告書 昭和48年6月 文化庁[リンク切れ]
  5. ^ JASRACネットワーク課 JACRAC
  6. ^ 『デッド オア アライブ 2』著作権侵害事件 ~最高裁判所の決定により、テクモ完全勝訴確定~ (PDF)”. テクモ (2004年10月5日). 2014年8月21日閲覧。

関連項目[編集]