Jailbreak

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Jailbreak(ジェイルブレイク)とは、ユーザー権限に制限を設けているコンピュータ(携帯電話やゲーム機など)に対して、セキュリティホールを突くなどしてその制限を取り除き、開発者が意図しない方法でソフトウェアを動作できるようにすること。また、その状態のこと。日本語脱獄(だつごく)とも呼ばれる。

この語は、一般的にはアップル社iOS機器(iPhoneなど)に対して、アップルの認可を受けていないソフトウェア(App Storeで流通していないアプリ)を動作可能にすることを指す。

その他、家庭用ゲーム機PlayStation 3においても、専用のUSBドングルを挿してソフトのバックアップや起動、自作ソフトの起動等を可能にするソフト及びUSBドングルそのものの名称として使われている。

iOSのJailbreak[編集]

iPhoneまたはiPod touchにインストールできるソフトウェア(アプリケーションと呼ばれる)は、アップルが認可したアプリケーションを販売している窓口(App Store)で入手したソフトウェアのみである[1]。Jailbreakツールは 非認可のソフトウェアをインストール可能にし、またソフトウェアのインストーラを追加するように端末のOSを書き換える。

この行為は、アップル社のソフトウェアライセンス及びソフトウェア利用許諾契約に違反する改造行為であり、アップルからのサポートを受けられなくなる。また、端末自体の故障や自由にアプリケーションを追加できる故にコンピュータウイルスなどのマルウェアの標的にされ、感染の拡大を大幅に増やす危険性がある[2]

最近では、脱獄を検知して起動しないなどのアプリ内部への改造対策を取るアプリが増えてきている。再びアップルのサポートを受けるには、ファームウェアの復元が必要になる。

アンロックとの相違点[編集]

SIMロック版のiPhoneは購入後、販売している地域でiPhone専用の料金プランを契約しなければ緊急電話としてしか機能しない。このロックを解除する行為がアンロックである。

アップルの見解[編集]

アップルはJailbreakについてこれまでコメントを避けていたが、2009年2月に「Jailbreakが、著作権で保護されているファームウェアを無効にする行為は、アップルの著作権デジタルミレニアム著作権法に違反する」というコメントをアメリカ著作権局に提出した[3]

ただし、アメリカの非営利組織であるElectronic Frontier Foundation(EFF)が、Jailbreak行為をデジタルミレニアム著作権法から免除する要請をアメリカ著作権局に2008年12月申請し[4]、2010年7月に「ユーザーが合法的に入手したアプリケーションなどを実行するためにJailbreakする行為」や「携帯電話を他の携帯キャリアに接続させるためのJailbreak」などは合法との判断を下している[5]。また、アップルが米国特許商標庁に提出したiPhone関連の特許出願図の中に、Jailbreak後に利用できるiPhoneアプリの名称が掲載されており、物議をかもした[6]。 Appleはこの現状(Jailbreak)する事に対して、対策を行おうとアップデートを繰り返すが、プログラミングの都合上あるセキュリティーホール・脆弱性を塞ごうとするとまた、新しい脆弱性が生まれてしまうので今の所いたちごっこ状態になっている。

Jailbreak関連ツール[編集]

iPhone/iPod touchを接続したMacintoshまたはWindows上でJailbreakを行うことのできるツールがいくつか発表されている。わずか1クリックでJailbreakできるよう工夫されたものも存在する。

また、Jailbreak後に非純正アプリを内蔵無線LAN経由でインストールするiPhone/iPod touch向けツールも存在する。 ここでは現在主流なツールのみを取り上げておく。

Spirit
iPhone/iPod touch/iPadをワンクリックでJailbreakするツール。iPod touch 3G(late 2009)およびiPad(Wifi版、Wifi+3G版含む)の完全なJailbreakが可能。Safariのセキュリティホールを使う。
jailbreakme
iOS4対応。PDFのセキュリティホールを使うため、このツールにPCは不要。iPad、iPhone4を含むiOS 3.1.2~4.0.1までの全デバイスの完全なJailbreakに対応。今年7月に出たjailbreakme3.0では、iPod touch 3G/4G、iPhone3GS/4、iPad/2のデバイスのうち、iOSが4.3から4.3.3(iPod touch 3GはiOS 4.3、4.3.2~4.3.3、iPad2はiOS 4.3.3)のものをJailbreakできる。
limera1n
iOS4.1対応。iPod touch3G/4G、iPhone3GS/4、iPad(Wifi版、Wifi+3G版含む)の完全なJailbreakが可能。BootRomのセキュリティホールを使う。
Greenpois0n(RC4まで)
iOS4.1対応。limera1nと同様のセキュリティホールを使用している。Jailbreakに必須なDFUモードに入る方法を親切にガイドする機能が入っている。すべてのiPodtouch(第1世代はiOS4.1が入らないので対象外)、iPhone3G/3GS/4、AppleTVの完全なJailbreakが可能、Greenpois0nのリリース前にリリースされないと思われたlimera1nが急遽リリースされ、Greenpois0nのリリースが延期になった過去がある。
Greenpois0n(RC5以降)
iOS4.2.1対応。操作方法は今までのものと同じ。iPod touch3G/4G、iPhone3GS/4、iPad(Wifi版、Wifi+3G版含む)の完全なJailbreakが可能。RC6からApple TV(第二世代)にも対応。
redsn0w
iPhone/iPod touchをJailbreakするツール。iPhone 5にも対応。現状、iPhone 4のみ可能なダウングレードファームウェアの作成やそれに伴うshshの取得などの機能もある。バージョン0.9.12bよりiOS5.1.1の完全なJailbreakに対応。最新版は0.9.15b4。
PwnageTool
CFW作成ツール(for Mac) iOS5.1.1まで対応している。
sn0wbreeze
CFW作成ツール(for Windows) iOS3.1.3~6.1.3 に対応している。
Absinthe
ワンクリックでJailbreakできる。DFUモードにする必要がなくなった。バージョン2.0.2よりiOS5.1.1の完全脱獄に対応(Apple TV第3世代は未対応)。
evasi0n
iOS6.0~6.1に対応。最新版ではiOS6.1.5の完全脱獄にも対応している。Absinthe同様DFUモードへの突入は不要。
evasi0n 7
iOS7.0に対応。iOS 7.0.0~7.0.6、iOS 7.1のBeta1~3までの完全脱獄に対応している。
p0sixspwn
iOS6.1に対応。iOS 6.1.3~6.1.6までの完全脱獄に対応している。
Pangu
iOS7.1に対応。iOS 7.1~7.1.2までの完全脱獄に対応している。

リリースされたJailbreakツール[編集]

ソフトウェアの名称 公開日 デバイス iOSのバージョン 紐なし脱獄である? デベロッパー
JailbreakMe 3.0 2011年7月5日 4.2.6–4.2.8
4.3–4.3.3
Yes comex
Seas0npass 2011年10月18日 2nd generation Apple TV 4.3–4.4.4 Yes FireCore
redsn0w 0.9.15 beta 3 2012年10月1日 4.1–6.1.6 紐なし: 4.1–4.3.3, 4.2.6–4.2.8, 5.0.1, 5.1.1 ,5.0/5.1 (旧ブートロムのiPhone 3GSのみ)

紐付き: 4.2.9–4.2.10, 4.3.4–4.3.5, 5.0, 5.1, 6.0, 6.0.1, 6.1, 6.1.2, 6.1.3, 6.1.5, 6.1.6 (iPhone 4, iPad, iPod touch 4より新しいデバイスでは不可)

iPhone Dev Team
Absinthe 2012年5月30日 5.1.1 Yes pod2g, Chronic Dev Team, iPhone Dev Team
evasi0n 2013年2月4日 6.0-6.1.2 Yes pod2g, MuscleNerd, pimskeks, and planetbeing (evad3rs)
evasi0n7 2013年12月22日 7.0-7.0.6 Yes pod2g, MuscleNerd, pimskeks, and planetbeing (evaders)
p0sixspwn 2013年12月30日 6.1.3-6.1.6 Yes winocm, iH8sn0w, and SquiffyPwn
Pangu 2014年6月24日 7.1-7.1.2 Yes dm557, windknown, ogc557, Daniel_K4, and 曾半仙 (PanguTeam)

純正ファームウェアのアップデートへの追従[編集]

2007年[編集]

  • 10月: 内蔵Safari経由から直接iPhone・iPod touchをJailbreakするサイトが公開された。このサイトはiOS 1.1.1の脆弱性を利用したものなので、1.1.2以降では実行できない。
  • 12月: iOS1.1.2をJailbreakするOktoPrepが公開された。

2008年[編集]

  • 1月: iOS 1.1.3をJailbreakするツール、iBrickrが公開された。
  • 2月: iOS 1.1.4をJailbreakするツール、ZiPhone2.5が公開された。
  • 7月: iOS 2.0をJailbreakするツール、PwnageTool2.0(Macのみ対応)が公開された。

2009年[編集]

  • 3月: iPod touch 2GをJailbreakするツール、QuickFreedomが公開された。
  • 6月: iOS 3.0をJailbreakするツール、redsn0w 0.7(Windows版は0.7.1)が公開された。

2010年[編集]

  • 5月: iOS 3.1.3と3.2をJailbreakするツール、Spiritが公開された。iPod touch 3GおよびiPadに対応。
  • 8月: iOS 4.0.1までのすべてのデバイスに対応したJailbreakするツール、Jailbreakme 2.0 Starが公開された。iPhone・iPod touch・iPadのSafariのPDFに関する脆弱性を利用している。なお、この脆弱性はiOS 4.0.2によって塞がれた。
  • 10月: iOS 4.1をJailbreakするツール、limera1nが公開された。同月、Greenpois0n(~RC4)も公開された。

2011年[編集]

  • 2月: iOS 4.2.1をJailbreakするツール、Greenpois0n(RC5~)が公開された。
  • 7月:iOS 4.3.3までのすべてのデバイスに対応したJailbreakするツール、JailbreakMe 3.0 Saffronが公開された。iPhone・iPod touch・iPadのSafariのPDFに関する脆弱性を利用している。なお、この脆弱性はiOS 4.3.4によって塞がれた。

2012年[編集]

  • 1月: iOS 5.0.1と5.1.1(5月)をJailbreakするツール、Absintheが公開された。

2013年[編集]

  • 4月: iOS 6.0~6.1.2のJailbreakに対応した、evasi0nが公開された。
  • 12月: iOS 7.0~7.0.4のJailbreakに対応した、evasi0n 7が公開された。iOS 6.1.3~6.1.5のJailbreakに対応した、p0sixspwnが公開された。

2014年[編集]

  • 6月: iOS 7.1~7.1.1のJailbreakに対応した、Panguが公開された。

非公式インストーラ[編集]

  • Cydia - 現行インストーラ

以前は他にもあったが、現在はCydiaが主流となっており、他のインストーラは買収されたか統合された。

PlayStation 3におけるJailbreak[編集]

PS3 JailbreakのUSBドングル

PS Jailbreakとは、PlayStation 3を「脱獄」し、Homebrewを起動させる事の出来るUSBドングルとそのソフトの名称である。2010年8月にオーストラリアからバックアップ起動を可能にすると謳うUSBドングルの動作映像が公開され、販売も開始された事で、PS3でのバックアップ起動や自作ソフトの起動が可能となった。

当初、PS Jailbreakは公式の修理などで使用されるサービスモード起動用のUSBドングルがどこかで流出したものを複製したものだと考えられており非合法性を疑われていたが、後に独自に発見したセキュリティホールを使用してサービスモード起動用ドングルをエミュレートするという構造である事が判明した[要出典]

これを受けてソニーは翌月となる9月に「システムソフトウェアの脆弱性の解決」という名目でシステムソフトウェアの更新版を提供し[7]、これを受けてPS Jalibreakをはじめとした同類のツールは動作しなくなったという意見が寄せられた[8]

2011年1月にはシステムソフトウェアの脆弱性およびセキュリティの初歩的な実装ミスを利用したカスタムファームウェアのインストール動画が公開され[9]、 特別なドングルなどを必要としないJailbreakソフトウェアがリリースされた[10]

脚注[編集]

  1. ^ 開発環境(iOS Developer Program)による方法で開発中(非認可)のソフトウェアのインストールが可能。
  2. ^ Jailbreak された iPhone のウイルス感染に関する注意喚起 | 慶應義塾 三田ITC
  3. ^ JailbreakはDMCA違反 - Appleが初めて法的見解をコメント | パソコン | マイコミジャーナル
  4. ^ 携帯電話のアンロックやJailbreakをDMCA免除に - EFFが請願 | 携帯 | マイコミジャーナル
  5. ^ 米国著作権局が勧告――iPhoneのジェイルブレイクはユーザーのためにならない ただし連邦著作権法に抵触しないとの見解も - コンピュータワールド日本語版(電子版) 2010年7月27日閲覧。
  6. ^ アップル、iPhone生体認証特許を出願、なぜか脱獄アプリ名も:engadget Japanese
  7. ^ Guy Cocker (GameSpot UK) / GameSpot Japan 編集部 (2010年9月8日). “ソニー、PS3のシステムソフトウェア最新版3.42を公開”. 朝日インタラクティブ. 2010年9月30日閲覧。
  8. ^ せかにゅ:豪でPS3ハッキングツール販売禁止に Webにはモバイル版も”. ITmedia (2010年9月7日). 2010年9月30日閲覧。
  9. ^ 動画:PS3にカスタムファームウェア作成ツール、自作アプリを起動可能”. engadget日本版 (2010年1月5日). 2011年1月10日閲覧。
  10. ^ ハッカーGeohot、PS3のソフトウェアJailbreakを公開。署名ツールも提供”. engadget日本版 (2010年1月9日). 2011年1月10日閲覧。

関連項目[編集]