守り人シリーズ

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守り人シリーズ(全10巻)
ジャンル ファンタジー
小説:精霊の守り人
著者 上橋菜穂子
出版社 偕成社
刊行期間 1996年7月 - 2007年2月
ラジオドラマ:
精霊の守り人 / 闇の守り人
演出 真銅健嗣
放送局 NHK-FM
番組 青春アドベンチャー
発表期間 (精霊の守り人)2006年8月7日 - 18日
(闇の守り人)2007年4月16日 - 27日
収録時間 各回15分
話数 各10話
アニメ:精霊の守り人
原作 上橋菜穂子
監督 神山健治
脚本 神山健治、菅正太郎
櫻井圭記、岡田俊平、檜垣亮
キャラクターデザイン 麻生我等
音楽 川井憲次
アニメーション制作 Production I.G
製作 「精霊の守り人」製作委員会
放送局 NHK-BS2
放送期間 2007年4月7日 - 9月29日
話数 全26話
漫画:精霊の守り人
作者 藤原カムイ
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 月刊少年ガンガン
レーベル ガンガンコミックス
ガンガンコミックスデラックス(愛蔵版)
発表号 2007年4月号 - 2008年8月号
巻数 全3巻 / 全1巻(愛蔵版)
漫画:ジン〜アニメ精霊の守り人外伝〜
原作・原案など 中江美紀
作画 麻生我等
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 ヤングガンガン
レーベル ヤングガンガンコミックス
発表号 2008年9号 - 17号
巻数 全1巻
テンプレート - ノート
ウィキプロジェクト アニメ
ポータル 文学ラジオアニメ

守り人シリーズ(もりびとシリーズ)は、上橋菜穂子による異世界ファンタジー小説のシリーズ作品である。旅人シリーズを含む。全10巻と短編集、作品集、短編収載本各1冊。

概要[編集]

児童文学として出版されたが、ファンの年齢層は幅広い。短槍使いバルサが主人公の物語は題名に「〜の守り人」と付き、皇子チャグムが主人公の物語は題名に「〜の旅人」と付く。両物語は最終話(天と地の守り人)で合流する。

上橋はイメージによる着想で物語が始まるので、この時は、レンタルビデオの洋画の予告編で見た、炎上するバスから子供を抱えたおばさんが脱出するシーンで、槍を担いだバルサのイメージが湧いたと述べている[1]

編集者に提案したが、当時の児童文学は一般的に子供が主人公なので、30歳の女用心棒が主人公で、型破りなので当初は抵抗を受けたが理解を得て出版された。中央アジアの生活と民俗の見聞が影響している。

2006年8月から、NHK-FM青春アドベンチャー」枠で『精霊の守り人』のラジオドラマが放送された。2007年4月より同作品の再放送と共に『闇の守り人』の放送もされた。

また、『精霊の守り人』はアニメ化された。詳細はテレビアニメを参照。

2007年3月より「月刊少年ガンガン」にて藤原カムイによる漫画版が連載し、コミック3巻にて連載完了した。

2016年春よりNHKより3年にわたりドラマ化が行われる予定。

世界観[編集]

この作品の世界には、目に見える人間の世界(サグ)と目に見えない精霊の世界(ナユグ)がある。この二つの世界は同じ時、同じ場所に重なって存在する。呪術師は呪術によってナユグを見たりそこの生き物と話したりできる。また、ごく一部の人間(主に子供)は、呪術を用いなくてもナユグが見えることがある。まれにサグとナユグの交わる場所があり、カンバルの山の底、青霧山脈の谷間などがそうである。物語に主に登場する国は、新ヨゴ皇国、カンバル王国、サンガル王国、ロタ王国の 4 国だが、後半になると海の向こうの大国であるタルシュ帝国およびそれに征服された枝国(属国)も登場する。言語は国によって異なり、国によって宗教も異なる。

あらすじ[編集]

精霊の守り人[編集]

短槍使いの女バルサは、青弓川に流された新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムを救う。彼はその身に、この世(サグ)と重なって存在する異世界(ナユグ)の水の精霊ニュンガ・ロ・イム〈水の守り手〉の卵を宿していた。チャグムの母、二ノ妃は、バルサにチャグムを連れて逃げるよう依頼する。新ヨゴの建国伝説では初代皇帝トルガルが水妖を退治したとされ、水妖に宿られたチャグムを、皇国の威信を守るため父帝が秘密裏に殺そうとしているのだ。同時に、チャグムは、ニュンガ・ロ・イムの卵を食らうナユグの怪物ラルンガからも命を狙われていた。チャグムを連れて宮から脱出したバルサは、卵がチャグムの体を離れる夏至まで、幼馴染の呪術師タンダやその師匠のトロガイと共にチャグムと暮らし始める。バルサもかつて幼い命を奪われかけ、父の親友で短槍の達人ジグロに助けられて故郷カンバルを離れた経験があった。そのころ星読博士のシュガは、チャグムに宿った卵の精霊がかつてトルガルが倒したとされる水妖と同じだと考え、過去の記録を調べはじめる。そこでシュガは、トルガルの伝説が歪曲されたものであるということと、本当はニュンガ・ロ・イムが雨を降らせて作物を助ける存在だということを知る。

闇の守り人[編集]

チャグムの護衛を無事に終えたバルサは、ジグロの供養のため自らの故郷のカンバル王国に向かう。バルサが幼い頃、王の主治医であったバルサの父親は王弟ログサムにおどされて王を毒殺させられた。口封じに自分共々バルサが殺されるのを恐れた彼は、親友で100年に1人と言われる天才短槍使いジグロにバルサをつれて逃げるように頼んだ。それ以後バルサはログサムが死ぬまでジグロと共に逃げ、短槍を習い、生き抜いてきた。その後ジグロが死に、用心棒となったバルサは、チャグムの護衛を終えて自らの過去を清算しようと思い立ったのだった。しかしカンバルに帰ってみると、ジグロは王即位の儀式に使う国宝の金の輪を盗んだ謀反人の汚名を着せられていた。黒い闇に包まれたカンバルをバルサが救う。

夢の守り人[編集]

バルサの幼馴染、タンダの師匠トロガイはかつて、農民の女としての、先の見えた鬱屈とした人生に絶望していた。そんな時、夢の中の美しい湖畔の宮殿で、彼女は一人の男と恋に落ち、子を産み落とした。バルサは、人攫いたちに追われていた旅の歌い手、ユグノを救う。彼は、リー<木霊>たちに愛された、リー・トゥ・ルエン<木霊の想い人>だった。一方、第一皇子の死により皇太子となっていたチャグムは憂鬱だった。タンダやバルサなどに出会い、民衆の暖かさを知ってしまった彼が宮の暮らしを喜ぶはずはなく、ましてや、一度は自分を殺めようとした帝を尊敬出来る訳もなかった。毎日不満を漏らすチャグムにシュガはつい、密かに自分が街におりてトロガイに呪術を習っていることを話してしまう。一気に懐かしさが増した彼は、その夜、夢の中で聞こえる声に惹かれ目覚めなくなってしまう。そのころ、皇子を亡くしたばかりの一ノ妃など目覚めなくなった者は他にもいた。タンダの兄の娘カヤもその一人であった。カヤを助けようと一人で呪術を行い、敵の罠にはまってしまうタンダ。肉体をすべて「花」に乗っ取られつつも、なんとか心を乗っ取られるのを防いだタンダは夢の中でチャグムを見つける。

虚空の旅人[編集]

新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは隣国のサンガル王国の〈新王即位ノ儀〉に出席するため、相談役のシュガを伴い望光の都〈サンガル・ヤシーラ〉にはいる。そこでサンガルの開放的な国の様子に魅了される。だが、このサンガル王国を支配しようとするタルシュ帝国からの密使、南のヨゴ人の呪術師が〈ナユーグル・ライタの目〉となった少女の体を使い、チャグムと親しくなったサンガルの第二王子、タルサン王子に呪いをかけ、次代の王となるカルナン王子に重傷を負わせる。チャグムは呪術師の陰謀を洗い出そうとする。

神の守り人[編集]

秋ごとの「ヨゴの草市」に行くタンダにつきあって、ロタ王国との国境に近い宿場町を訪れたバルサは、そこで人買いに連れられた兄妹に出会う。彼らはロタでは忌み嫌われる〈タルの民〉の子供だった。偶然にもバルサたちと同じ宿に泊まった人買いたちは、目に見えぬ何者かにのどを切り裂かれて死に、兄チキサもバルサも傷を負うが、妹アスラは無傷で気絶していた。さらに宿で火事が起こり、バルサはさらわれかけたアスラを救うが、タンダとチキサはとらわれる。兄妹を追っているのは、タンダの知り合いでロタの呪術師スファルとその娘シハナだった。はるか昔、タルの民の娘が、血を好む残酷な鬼神タルハマヤを宿してサーダ・タルハマヤとなり、全ロタ人を恐怖の圧政で支配したこと、そして幾百年を経た今、その恐ろしき神が少女アスラを通り道として束の間現われたことを、スファルはタンダに語る。ゆえにアスラは消されねばならないのだと。だがサーダ・タルハマヤの再臨を望む者たちもまた、ロタ王国に網をめぐらしていた。

蒼路の旅人[編集]

タルシュ帝国の侵略を受けたサンガルは圧倒的な国力を前に秘密裏に降伏し、新ヨゴを罠にかけようと援助を要請してきた。新ヨゴの帝は罠と知りながら、チャグムの祖父にあたる海軍大提督トーサを暗に葬るため援助に差し向け、チャグムはこれに激怒し宮中で父を怒鳴りつけるという大過を犯してしまう。暗殺される運命で祖父の艦隊へ送られたチャグムは予想通りサンガルの罠に落ちるが、海士らの助けで暗殺の危機を脱し、逃走の機会をえる。だがその先に待っていたのは、タルシュの密偵の捕囚となるという、さらに過酷な罠であった。

天と地の守り人[編集]


タルシュ帝国の脅威に対し、新ヨゴ皇国は鎖国を行っていた。密出入国の世話をしていたバルサは、山中で自らを探す狩人ジンからの使者に出会い、密書を通じて死んだとされているチャグムの生存とその目的、そしてチャグムの救助を託される。一方新ヨゴに留まっていたタンダの元にも、戦火が迫ろうとしていた。迫りくるタルシュの軍勢、そして異界ナユグの異変。いくつもの脅威を前にして、人々は大切なものを守り抜くことができるのか。

流れ行く者[編集]

王の奸計により父を殺された少女バルサと、暗殺者の魔の手から親友の娘バルサを救ったがゆえに反逆者の汚名を着ることになったジグロ。ふたりは故国を捨て酒場や隊商の用心棒をしながら執拗な追ってをかわし流れあるく。その時々にであった人々もまたそれぞれに過去を持つ流れ行く者たちであった。番外編にあたる守り人短編集。全4話収録。

13歳のバルサは、ロタ王国の酒場で、ススット(サイコロを使う遊戯)をする老ラフラ(賭事師)のアズノと知り合う。アズノは、氏族長の重臣ターカヌと 50 年に及ぶ長いススットの勝負を続けていた。そして老いたターカヌに代わり勝負を継いだ孫のサロームと、公開で勝負の決着を付けることになる。
  • 流れ行く者
  • 寒のふるまい

炎路を行く者[編集]

  • 炎路の旅人
  • 十五の我には

春の光[編集]

  • 春の光 - 短編、『<守り人>のすべて 守り人シリーズ完全ガイド』収載
最終話として結婚したバルサとタンダの穏やかな日常を描く。

年表[編集]

以下に各作品におけるバルサとチャグムの年齢を示す。なお、守り人の世界では数え年である[2]

バルサ チャグム 季節 作品
30 11 精霊の守り人 開始
31 12 精霊の守り人 終了
闇の守り人 開始
32 13 闇の守り人 終了
夢の守り人
神の守り人 開始
33 14 新春 虚空の旅人
神の守り人 終了
34 15 蒼路の旅人 開始
35 16 蒼路の旅人 終了
天と地の守り人 開始
36 17 天と地の守り人 本編終了
37 18 天と地の守り人 後日譚

主な登場人物[編集]

バルサ
カンバル人の女用心棒で、「守り人シリーズ」の主人公。物語開始時30歳。女性ながら「短槍使いのバルサ」の通り名を持つ凄腕の短槍使い。幼少時、カンバル国王の主治医だった父・カルナが政権争いに巻きこまれた事から、自身も口封じに殺されるところを、父の友人だったジグロ・ムサに助けられてカンバル国外に逃亡。以降、ジグロに育てられ、追っ手から逃れ諸国を放浪中に彼女に武術の才能を見出したジグロから短槍術を習う。ジグロの病死後は彼に習った格闘や短槍の腕を活かして各地で用心棒稼業をしている。ジグロと共にトロガイの家に居候していたことがあったためタンダとは幼馴染で、槍の稽古で怪我をする度に彼の治療を受けていた。一番大事な存在がタンダ。
チャグム
「旅人シリーズ」の主人公。物語開始時11歳。新ヨゴ皇国の第二皇子だったが、精霊の卵の事件の直後に第一皇子が死んだため皇太子となる。もともと気骨のある賢い少年であったが、数奇な経験による精神的成長を経たことにより、若くして名君の器と言われる。たまにナユグが見え、タンダのおかげで少しだけ呪術も使える。一時宮を離れ庶民の暮らしに触れたため、民を思う気持が強い。父帝との間には消せないわだかまりと相容れない気質の違いが、越えられぬ壁となっている。異母の弟妹がいる。
トロガイ
当代一と言われる呪術師でトロガイ師とも呼ばれる。物語開始時約70歳。もの凄い気力・体力の持ち主であり、とてつもない火事場の馬鹿力を発揮する場面もある。先住民ヤクーの生まれであり、各地を放浪している。
タンダ
当代随一といわれる呪術師トロガイ師の弟子で、バルサの幼馴染み。バルサより2歳年下。幼い頃から武術の稽古で傷だらけだったバルサの怪我を見てやっていたため呪術よりも薬草治療に長けている。お人好しでのんびりとした性格で、バルサを大事に思っている。幼い頃から、人の顔に死の影を見たり、人には見えない鳥が見えたりしたため、親兄弟にも変人扱いされていた。ヨゴとヤクーの混血(母方の祖母がヤクーで、いわゆるクオーター)。
ジグロ・ムサ
カンバル人。バルサの育ての親で、百年に一人といわれた天才的な短槍使い。バルサの父カルナの親友。カンバル十氏族の一つムサ氏族出身で、元々は、カンバル王国最高の武人<王の槍>九人の中で最年少ながら最高位に就いており、カンバル国王ナグルの武術指南役も務めていた。国王暗殺の陰謀に巻き込まれたカルナの頼みを受け、彼の愛娘バルサの命をまもるため、地位や名誉といった全てを捨てバルサとともに逃亡。これより、刺客として放たれたかつての友<王の槍>と戦うという苦しみを背負う。バルサとともにトロガイの小屋に身を寄せたことがある。
シュガ
新ヨゴ皇国の星読博士で聖導師見習い。チャグムの教育係も兼ね、宮廷内でチャグムが信頼を置く相手である。密かにトロガイからヤクーの呪術や世界観を学んでいる。
ヒビ・トナン
星読博士の最高位である聖導師。物語開始時74歳。
トーヤとサヤ
新ヨゴ皇国の市場の片隅で何でも屋を営む孤児たち。何でも屋の名の通り、客に頼まれたものは市場で何でも調達してくるのが職業。よく旅に出ているバルサとトロガイの橋渡し役を務めることが多い。2度目に登場したときには結婚していた。
アスラ
「神の守り人」より登場する、タルの民の少女。チキサの妹。兄妹ともに目を引くような美しい顔立ちをしている。
チキサ
「神の守り人」より登場する、タルの民の少年。アスラの兄。
アラユタン・ヒュウゴ
タルシュによって滅ぼされたヨゴ皇国の戦災孤児から身を起こし、現在はラウル王子の密偵をしている。若さに似合わぬ切れ者で、「蒼路の旅人」でチャグム誘拐を行なった。火事が苦手らしい。
少年時代の彼を主人公とした「炎路の旅人」は、『炎路を行く者』に収録されている。

主な登場国[編集]

新ヨゴ皇国
バルサ・トロガイ・チャグム・タンダ・シュガなど、物語中の中心人物ほぼ全員の住む国(バルサの場合は定住していないので最近生活している国)。モデルは日本。作中より約250年前に、海を隔てて南に位置する「ヨゴ皇国」から王位継承権争いを嫌い、海を渡って来たトルガルによって建国された移民国家。都は光扇京。
最高権力者は帝(みかど)で、彼は3人の后をめとることができる。また、皇族は<天ノ神>の子孫と信じられており、その目には神通力が宿ると信仰されている(実際はそのような力は無い)。一般の国民が皇家の者を見ると、目がつぶれると信じられている。この国では、王位継承権は基本的には第一子が継ぐ。また、継承権は自分から破棄することはできず、継承権から逃れる方法は死ぬ(病死か事故死、またはそれに見せかけた暗殺)以外ほとんどない。
この国において最も特徴的な制度が、星読博士の制度である。この制度は、新ヨゴ建国を担った大聖導師カイナン・ナナイが作った制度で、星の位置や空の様子を見ることによって未来を占う、「天道」という学問を学ぶことに基づいた出世制度である(身分を問わず、広く才能のあるもののみを選び出す)。作中に出てくる人間でこれに関わる人間は、星読博士のシュガと聖導師ヒビ・トナンである。聖導師は政治にも深く関わる重要な役職で国の闇の部分にも深くかかわっている。
帝直属の暗殺者を、狩人という。それらは末子継承の世襲制で、いずれ劣らぬ武術の達人であり、また暗殺もこなす凄腕の武人たちからなる。その他の兵力は、あまり強力ではないらしく、屈強な軍という表現はされていない。建国以来戦を経験しておらず、数百年前にヨゴ皇国で著された「戦法百覧」という兵法書が現在でもそのまま重んじられている。
カンバル王国
新ヨゴ皇国の北、青霧山脈を越えていった向こうにある国。十の氏族があり、それぞれを氏族長が治め、それを束ねるのがカンバル王で、王都に住む。氏族長筋の男たち(氏族長の息子あるいは弟。カンバルでは武人の血は父から息子に流れるとされる)から選ばれた槍の使い手が、〈カンバル王の槍〉として、王を補佐する。貧しい国で、自給できる食糧は痩せた土地でも栽培できるガシャ(芋)と、カンバル・ヤギの乳くらいしかないため、唯一の財源、ルイシャ(青光石)によって近隣国から穀物を買い入れている。この宝石は《山の王》からの贈りもので、およそ二十年ごとに《山の底への扉》が開き、王と〈王の槍〉とその従者が山の底の闇へ下って持ち帰るものだが、《ルイシャ贈りの儀式》の内容は固く秘密にされており、余人が知ることはない。兵数は決して多くはないが、短槍を操る騎兵の屈強さは近隣諸国に知れ渡っている。
ロタ王国
新ヨゴ皇国の隣国である。国内から輸出できる財産が実質鉄鉱石などしかなく、北部の氏族は貧しく、南部はサンガルとの交易のため豊か、と格差が激しく、たびたび衝突が起きる。ヨーサム王が統治し、その弟イーハンが兄を助ける。また、ロタ人のほかに、〈タルの民〉という、おそろしい神(タルハマヤ)を招く力のある〈異能者〉がうまれ、ロタを支配するという言い伝えがある民がいる。美しい顔立ちが特徴。彼らは深い森の奥で、陰(タル)に隠れて生きている。ロタは騎馬民族で、強力な軍隊を持っている。モデルの明言はないが、インド風である。
タルシュ帝国
南の大陸にある超大国。帝国主義で、ヨゴ皇国をはじめとする他の国々を次々と併呑し北へ迫る。サンガルはおとされ、新ヨゴ、ロタ、カンバルと狙いをさだめている。身分は関係せず、能力しだいで出世できる。圧倒的な軍事力を誇る。兵役があり、国獲りにより豊かになった国である。タルシュ人は赤銅色の肌をし、銀色の目と髪をもち、大柄である。しかし民族による差別はなく、枝国(従属国)の様々な肌の色の者が重要な官職に就いている。二人の王子、長男のハザールと次男のラウルがおり、手柄を競っている。帝都はラハーン。モデルの明言は無いが、オスマン帝国風である。
サンガル王国
新ヨゴ皇国の南に位置し海に面している国。半島と多くの島からなる。海洋国家で、貿易や漁業が盛ん。王はカルナン。国風は自由だが、祖先は海賊であったため、みな計算高く利に聡い。家庭の主導権などは(妻)が握るのが特徴で、王家の姫たちは、他国の深窓の姫君とは違い、幼い頃から各島をめぐって国の現状を教えられている。

用語[編集]

短槍
武術に用いる槍で、バルサやジグロなどが使用する。北のカンバル王国で盛んであり、同国の王の護衛である「王の槍」は最強の短槍使いとして名高い。
ヤクー
現在新ヨゴであるナヨロ半島に昔から住んでいた人種。ヨゴ人が海を渡って来た際には戦いを避け、山間部へ退いたが次第にヨゴ人と交わるようになっていった。トロガイはヤクーであり、タンダは混血である。ヨゴ人との混血を繰り返しているため、純粋なヤクーは現在ではそれほど多くない。サグやナユグという独自の世界観を持つ。
サグ
ヤクー達の世界観で言う「こっちの世界」で、人々が普通に生活している世界。ナユグと重なって存在しており、場所によってナユグとの重なりが大きい場所がある。
ナユグ
ヤクー達の世界観で言う「あっちの世界」で、精霊などがいる世界。サグと重なって存在する。カンバルなど他国にも、「あっちの世界」を指すノユーク、ナユーグルなど、似たような呼び名がある。呪術を用いて見ることができるが、普通に見ることができる者もたまにいる(アスラやチャグムなど)。季節のサイクルが非常に長い。
ルイシャ(青光石)
カンバル原産の青く発光する宝石。非常に高価で、カンバルの国庫を担う重要な輸出品である。どのように産出するかは秘密にされ、ごく一部の者しか知らない。

ラジオドラマ[編集]

青春アドベンチャー」(NHK-FM)でラジオドラマ化。各回15分、全10話。

放送日
  • 2006年8月7日 - 18日「精霊の守り人」全10話、2007年4月2日 - 13日再放送
  • 2007年4月16日 - 27日「闇の守り人」全10話
スタッフ
  • 脚色 - 丸尾聡
  • 選曲 - 伊藤守恵
  • 演出 - 真銅健嗣
声の出演

テレビアニメ[編集]

2007年4月7日 - 9月29日に、NHK-BS2衛星アニメ劇場枠で放送された。全26話。また、2008年4月5日に、NHK教育テレビが土曜日午前9時からの枠で、再放送を開始した。

本来感じるだろう作者のここが違うというものがまるでなくこのアニメが好きで幸福だ、と作者は発言している[1]。また、放送に先立ち、2007年1月19日放送のNHK総合テレビにんげんドキュメント」に、監督の神山健治が出演している。

第1話の川の風景は、神山監督の故郷である秩父の風景がモデルである。

声の出演[編集]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

オープニングテーマ[編集]

SHINE
作詞 - hyde / 作曲 - tetsu / 編曲 - L'Arc〜en〜Ciel・西平彰 / 歌 - L'Arc〜en〜CielKi/oon Records

エンディングテーマ[編集]

愛しい人へ
作詞・作曲 - タイナカサチ / 編曲 - 安部潤 / 歌 - タイナカサチSISTUS RECORDS

挿入歌[編集]

「ナージの唄」
歌 - 不明 / 作詞 - ジョン・ナージル / 作曲・編曲 - 川井憲次

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督 放送日
1 女用心棒バルサ 神山健治 河野利幸 後藤隆幸 2007年
4月7日
2 逃げる者 追う者 岡田俊平、神山健治 別所誠人 佐山聖子 杉光登 4月14日
3 死闘 櫻井圭記、神山健治 橘正紀 新留俊哉 中村悟 4月21日
4 トロガイの文 檜垣亮、神山健治 吉原正行 高橋幸雄 山中正博 4月28日
5 秘策、青い手 岡田俊平、神山健治 別所誠人 上田繁 近藤圭一 5月5日
6 青霧に死す 菅正太郎、神山健治 河野利幸 杉光登 5月12日
7 チャグムの決意 檜垣亮、神山健治 増井壮一 佐山聖子 熊谷哲矢 5月19日
8 刀鍛冶 櫻井圭記、神山健治 新留俊哉 後藤隆幸 5月26日
9 渇きのシュガ 岡田俊平、神山健治 橘正紀 ながはまのりひこ 中村悟 6月2日
10 土と英雄 菅正太郎、神山健治 増井壮一 上田繁 大久保徹 6月9日
11 花酒をタンダに 檜垣亮、神山健治 河野利幸 近藤圭一 6月16日
12 夏至祭 櫻井圭記、神山健治 佐山聖子 馬越嘉彦 6月23日
13 人でなく虎でなく 岡田俊平、神山健治 橘正紀 石川健介 6月30日
14 結び目 菅正太郎、神山健治 増井壮一 丸山宏一 7月7日
15 夭折 檜垣亮、神山健治 新留俊哉 後藤隆幸 7月14日
16 ただひたすらに 櫻井圭記、神山健治 橘正紀 初見浩一 井川麗奈 7月21日
17 水車燃ゆ 岡田俊平、神山健治 佐山聖子 杉光登
小谷杏子
7月28日
18 いにしえの村 菅正太郎、神山健治 横山彰利 鹿島典夫 後藤隆幸 8月4日
19 逃亡 檜垣亮、神山健治 増井壮一 山崎浩司 中村悟 8月11日
20 狩穴へ 櫻井圭記、神山健治 笹木信作 柿本広大 大久保徹 8月18日
21 ジグロ・ムサ 岡田俊平、神山健治 新留俊哉 近藤圭一 8月25日
22 目覚めの季(とき) 菅正太郎、神山健治 増井壮一 初見浩一 山中正博
飯野利明
9月1日
23 シグ・サルアを追って 檜垣亮、神山健治 横山彰利 河野利幸 杉光登
小谷杏子
9月8日
24 最後の希望 櫻井圭記、神山健治 河野利幸 佐山聖子 窪田康高 9月15日
25 岡田俊平、神山健治 錦織博 橘正紀 中村悟 9月22日
26 旅立ち 菅正太郎、神山健治 石山タカ明 吉原正行 後藤隆幸
近藤圭一
9月29日

実写ドラマ[編集]

放送90年 大河ファンタジー 「精霊の守り人」』(ほうそう90ねん たいがファンタジー せいれいのもりびと)は、NHK総合テレビジョンで2016年春から3か年に渡って全22回で放送される予定[3]。主演は綾瀬はるか。映像は4Kで撮影される。2014年7月28日に制作発表が行われた[4]

キャスト[編集]

〈〉内はドラマ設定年齢。

スタッフ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 『守り人シリーズ』完結インタビュー 2007年 楽天ブックス2013年8月5日閲覧
  2. ^ 「精霊の守り人 コミュニケーションボード(2008年2月24日時点のアーカイブ) 48 上橋菜穂子: 「新ヨゴ皇国では、昔の日本と同じように、年を越す度に、ひとつ年をとるという感覚です。ですので、「誕生日」のような意識はないと思っています。」
  3. ^ 綾瀬はるかさん主演「精霊の守り人」ドラマ化決定!、NHKドラマトピックスブログ、日本放送協会、2014年10月24日閲覧。
  4. ^ 放送90年 大河ファンタジー「精霊の守り人」制作発表 NHK 2014年7月28日

参考文献[編集]

外部リンク[編集]