フリクリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

OVA
監督 鶴巻和哉
キャラクターデザイン 貞本義行
アニメーション制作 Production I.Gガイナックス
話数 全6話(6巻)
その他 2005年8月13日に3枚組DVD-BOXが発売。
小説
著者 榎戸洋司
イラスト 鶴巻和哉今石洋之
出版社 角川書店
レーベル 角川スニーカー文庫
巻数 全3巻
話数 全6話
漫画
作者 GAINAX(原作)
ウエダハジメ(漫画)
出版社 講談社
掲載誌 月刊マガジンZ講談社
レーベル マガジンZKC
巻数 全2巻
その他 2007年5月、6月に新装版が講談社BOXより発売。
テンプレート使用方法 ノート

フリクリ』(FLCL)は、ガイナックスProduction I.Gにより製作された日本のOVAシリーズ。およびそれを原作とした小説漫画

本編であるOVAは全6巻(全6話)が、また小説で全3巻、漫画単行本全2巻がそれぞれ発売されている。また、本編が2005年にDVD-BOX化、漫画単行本が2007年に新装判として再版された。

目次

[編集] 概要

『FLCL』(フリクリ)は2000年から2001年にかけて全6巻のOVAとしてリリースされた日本のアニメ作品である。『新世紀エヴァンゲリオン』以降、原作モノのアニメ化しか制作していなかったガイナックスによるオリジナル作品として注目された。また、『FLCL』は『新世紀エヴァンゲリオン』で副監督を務めていた鶴巻和哉の初監督作品である。

一般的にビデオ・DVDのパッケージには作品解説・あらすじなどが記載されるものであるが、『FLCL』のパッケージはそれらを徹底して排したデザインになっており、同様にテレビコマーシャルでも内容に関する言及は全く無かった。そのような「観てみなければ一体どういう作品なのか分からない」という独特なプロモーションで期待を煽った。

本作品の大きな特徴として、非常に凝った演出が挙げられる。唐突に全く異なる絵柄に切り替わるシーンや、本編途中から数分間にわたり漫画雑誌風の画面構成で進行する回があるなど、随所に実験的ともいえる演出が盛り込まれている。またアクションシーンでのテンポの良いカット割り、デザインやアニメーションの質の高さなど、映像としての評価も高い。

その一方で本作品はOVAのみのリリースであったため、同じガイナックスが製作に携わった『新世紀エヴァンゲリオン』と比較すると日本国内での知名度は低い(ただしこれは『新世紀エヴァンゲリオン』が稀有な大ヒット作品である点を考慮する必要がある)。しかし日本国外の市場ではかなりの成功を収めており、特にアメリカなどでは人気・知名度共に高いアニメ作品の一つである。これはアメリカのアニメ専門チャンネル、カートゥーンネットワークで英語吹き替え版がシリーズ放映された事が大きい。[1]また、カナダモントリオールで開催される国際映画祭、ファンタジア映画祭において2003年度アニメーション部門で銅賞を受賞している。[2]

『FLCL』には挿入歌が多くあり、かつ印象的、効果的な使い方がされていることも特徴。これら挿入歌とテーマ曲は全てthe pillowsが担当した。日本国外での『FLCL』の人気は、the pillowsの、日本国外での知名度をも高めることとなった。

『FLCL』は2006年5月15日からバンダイチャンネルにおいて有料配信もされている。

また『FLCL』で登場する機関名フラタニティは、同じ鶴巻和哉監督作品である『トップをねらえ2!』にも登場している。さらに『トップをねらえ2!』でエキゾチックマニューバという言葉が登場するが、それと似たシステムが『FLCL』にもあり、両作品の世界観には若干の共通点が見られる。『トップ2』の主人公・ノノの声は、『FLCL』に登場するミヤジ・ジュンコ役の福井裕佳梨が演じている。

[編集] あらすじ

平凡な地方都市・疎瀬(まばせ)に住む小学生、ナンダバ・ナオ太は、兄の元恋人である女子高生、サメジマ・マミ美から誘惑的なちょっかいを受けながらも、その日常に退屈さを感じていた。その二人の前にベスパに乗った謎の女、ハルハラ・ハル子が現れ、初対面のナオ太を突然エレキベース(リッケンバッカー)で殴り飛ばし去っていく。それから間もなく、ナオ太の額からは奇妙な角らしきものが生えるようになってしまった。その後「ベスパ女」ハル子は家政婦としてナンダバ家に転がり込み、ナオ太の額から出現した謎のロボットカンチと共に居候する事になる。

それ以降、平凡で退屈だったはずのナオ太の日常は、ハル子が巻き起こす騒動と不思議な現象に満ちた非日常の連続へと一変した。ナオ太は破天荒なハル子の言動に振り回されながらも、彼女に憧れにも似た感情を抱くようになっていく。そしてある日、何も無いこの街に謎の医療組織「メディカルメカニカ」がやってきた。

[編集] 登場人物

ナンダバ・ナオ太(水樹洵
小学6年生。当たり前の日常に辟易しながらも、普通でない事は起こらないのだと半ば諦観し、普通であることを望んでいる。常にクールに振舞い度々生意気な発言をするが、根は純情で照れ屋な普通の少年。アメリカへ野球留学中の兄・タスクの元恋人・マミ美から真意の掴めない誘惑をされ、それを流されるままに受け入れている。ハル子にベースギターで殴られてから額に奇妙な角が生え、そこから様々な物が出てくるようになってしまう。いつもバットを持っているが振ろうとはしない。マミ美の傍にいつもいることを決意する。マミ美からはナオ太の太から「タッくん」と呼ばれている。
ハルハラ・ハル子(声:新谷真弓
ナオ太の前に突然現れた謎の「ベスパ女」。本名はハルハ・ラハル。自称19歳の「宇宙人」(マミ美の見立てでは20歳を過ぎている)。常にテンションが高く傍若無人。所持するベースギターは武器にもなり、その他様々な用途に使用される。ナオ太を利用して自らの野望の達成を目論んでいるが、少々内向的な面を持つナオ太を元気付けようとするなど、意外と世話好きな一面も時折見せている。看護師メイドバニーガールなど、劇中で最も多彩なコスチュームを着用する人物。左利き。
サメジマ・マミ美(声:笠木泉
何かとナオ太に連れ添う女子高生。17歳。ナオ太の兄であるタスクと交際していたが、タスクが留学先で新しい恋人を作ってしまった事で事実上失恋。その影響からか度々自暴自棄にも見える言動を繰り返し、ナオ太に"遊び"と称してちょっかいを出す。少々変わった性格のせいか孤独な一面があり、同級生から酷いいじめを受け、小学校に放火する。タスクと知り合うきっかけもまた放火事件であった。また、未成年にも関らず喫煙者である。
語尾に「~っす」を付ける独特の口調で話す。写真撮影が趣味。
カンチ
ハル子と共にナンダバ家にやって来たロボット。元々はナオ太の額から出現した物体の一つである。密かに高い戦闘能力を持っているが、家では雑用としてこき使われている。名前は炎の神「カンティード」から。
ニナモリ・エリ(声:伊藤実華
ナオ太のクラスメイトで学級委員長。父は市長というお嬢様だが、家庭は数々の問題を抱えている。一時ナオ太を意識していた。
マナベ・ガク(声:宮島章) & マサムネ・マサシ(声:鈴木和人
両者共にナオ太のクラスメイト。好きである。
ミヤジ・ジュンコ(声:福井裕佳梨
ナオ太の担任教師。生徒達からは「ミヤジュン」と呼ばれている。「下品禁止!」が口癖
ナンダバ・カモン(声:松尾スズキ
ナオ太の父。時折テンションが上がり意味不明な発言を連発するが、根はオタク中年。ややアナーキーであり、市長批判のミニコミ紙を発行するという硬派な一面を持つ。初対面のハル子に骨抜きにされてしまう。婿である。
ナンダバ・シゲクニ(声:糸博
ナオ太の祖父。元パン職人。
アマラオ(声:大倉孝二
特殊入国管理官。海苔のようなまゆ毛が特徴(実は本当に海苔を貼り付けている)。ハル子と過去に因縁を持つ。
キツルバミ(声:千葉千恵巳
アマラオ管理官の部下。そばかすがチャームポイント。

[編集] 備考

  • メインタイトル『フリクリ』の由来は元々本編中の台詞の一節(ナオ太の祖父とハル子の会話シーン)だが、これをローマ字にした『Furi kuri』は英語圏の人々にとって正確に発音し難いという問題があった。そのため、英語吹き替え版製作の際『Fooly Cooly』という英語圏向けの読み仮名が作られている。[3]
  • 上記の通り『フリクリ』という言葉に語意は無く、擬音が変化した単なる造語である。しかし日本語の擬音を英訳する事は非常に困難であったため、『フリクリ』とは女性のに関する愛情表現のスラングである、と勘違いしてしまった日本国外のファンが多数いた模様。[4]
  • 前述した通り作品の随所にみられる実験的演出は、実は作業上で非常に手間がかかるものが少なくなかったようである(OVAの映像特典でその一部を観る事が出来る)。
  • ハル子の愛車のベスパの型式はVespa180ss(Super Sport)。[5]1960年代に数年間のみ生産されていた(約35000台)希少車種であり、生産中止から約40年が経過した現在では入手困難なスクーターの一つになっている。ただしハル子が乗るVespa180ssはサスペンション周りに若干だが改造が施されており、車体の色もイタリアンイエローと呼ばれるオレンジ色に近い黄色に塗装されているカスタム仕様である。なお、車体前部にある「P!」マークについては「何故「P!」にしたのかはよく憶えていない」と監督である鶴巻氏本人が発言している。[6]ナンバープレートは「マバセ56-56」。対して後記にあるアマラオのラビットは「マバセ03-03」。
  • また本作品にはRickenbacker4001(ハル子のベースギター)やシトロエンDSエステートc182(カモンの愛車)、ラビット301(アマラオの愛車)など、かなり通好みなアイテムが随所に登場した。これらは監督の鶴巻氏の趣味が色濃く反映されたものと思われる(ハル子のギターについては企画段階でフライングVという別案もあった)。余談だが、ハル子は左利きであるため前述のリッケンバッカーもレフティーモデル(左利き用)を使用する。また、鶴巻氏の言葉によればカモンの愛車は上記の通りだが、作中の1カットやビジュアルコンセプトを担当した貞本義行氏の初期デザインではシトロエン・GSブレイクとなっている。
  • 「観てみなければ一体どういう作品なのか分からない」という製作・プロモーション姿勢は、巻末の次回予告に至るまで徹底されている。シリーズ全体を通して、ハル子(新谷真弓)のナレーションによる世間話に終始するというパターンが多い。
  • 英語翻訳・吹き替えを担当したスタジオ、Synch-Pointは本作品の他に『天使になるもんっ!』『デ・ジ・キャラット』などの英語版も手がけている。
  • 北米版およびオーストラリア版DVDでは副音声で監督を務めた鶴巻和哉とアメリカ人スタッフによる日本語の音声解説が収録されている。作品制作における裏話や、場面ごとの解説が語られており非常に楽しめる内容になっている。

[編集] OVA

キングレコードからDVDVHSで同時リリースされた。各巻1話25分(最終巻のみ31分)収録で全6話。

  1. Vol.1 『フリクリ』 (2000年4月26日発売、DVD:KIBA-478、VHS:KIVA-478)
  2. Vol.2 『ファイスタ』 (2000年6月21日発売、DVD:KIBA-479、VHS:KIVA-479)
  3. Vol.3 『マルラバ』 (2000年8月23日発売、DVD:KIBA-480、VHS:KIVA-480)
  4. Vol.4 『フリキリ』 (2000年10月25日発売、DVD:KIBA-481、VHS:KIVA-481)
  5. Vol.5 『ブラブレ』 (2000年12月21日発売、DVD:KIBA-482、VHS:KIVA-482)
  6. Vol.6 『フリクラ』 (2001年3月16日発売、DVD:KIBA-483、VHS:KIVA-483)

またこれらをまとめたDVD-BOX(3枚組)が2005年8月13日にリリースされている。

[編集] スタッフ

[編集] 主題歌

[編集] 受賞歴

2003年のファンタジア映画祭において、観客投票部門でベストアニメーション映画賞の銅賞を受賞。[7]

[編集] 関連商品

[編集] サントラCD

いずれもキングレコードから発売。

  1. 「フリクリNo.1 アディクト」 (2000年10月4日発売、KICA-518) - Vol.1からVol.3で使用された楽曲集。
  2. 「フリクリNo.2 海賊王」 (2001年7月25日発売、KICA-544) - Vol.4からVol.6で使用された楽曲集およびCDドラマ。
  3. 「フリクリNo.3」 (2005年6月8日発売、KICA-695) - the pillowsが自ら選曲した楽曲集。日米同時発売。

[編集] ムック

  • 原画集「GROUNDWORK OF FLCL」
    • ガイナックスより2001年7月13日発売。A4判、約200ページ。
  • 「フリクリズム フリクリ デザインワークス」
  • 「フリクリ画(え)コンテ集」
    • ガイナックスより2005年9月30日発売。A5判、888P。

[編集] 小説

角川スニーカー文庫(角川書店)として全3巻が刊行されている。企画・原作:GAINAX、著:榎戸洋司、イラスト:鶴巻和哉・今石洋之。アニメでは明かされなかった設定が披露されている。

  1. 第1巻 2000年6月1日発売 (ISBN 4-04-423601-1
  2. 第2巻 2000年10月1日発売 (ISBN 4-04-423602-X
  3. 第3巻 2001年3月1日発売 (ISBN 4-04-423603-8

[編集] 漫画

月刊マガジンZ」(講談社)に連載された後、マガジンZKCとして全2巻が刊行されている。原作:GAINAX、漫画:ウエダハジメ。雑誌掲載時とは内容が異なる。2007年には新装版が講談社BOXから発売された。新装版には、DVD-BOXに収録された書下ろしである”The Fourth Studio”が収められている。

  • マガジンZKC版
  1. 第1巻 2000年10月23日発売 (ISBN 4-06-349034-3
  2. 第2巻 2001年8月23日発売 (ISBN 4-06-349062-9
  • 講談社BOX版
  1. フリクリ(上) 2007年5月7日発売 (ISBN 978-4-06-283616-6
  2. フリクリ(下) 2007年6月4日発売 (ISBN 978-4-06-283617-3

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク