フリクリ

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フリクリ
OVA
監督 鶴巻和哉
キャラクターデザイン 貞本義行
アニメーション制作 Production I.Gガイナックス
話数 全6話(6巻)
その他 2005年8月13日に3枚組DVD-BOXが発売。

2010年8月18日にBlu-Ray Boxが発売。

小説
著者 榎戸洋司
イラスト 鶴巻和哉今石洋之
出版社 角川書店
レーベル 角川スニーカー文庫
巻数 全3巻
話数 全6話
漫画
作者 GAINAX(原作)
ウエダハジメ(漫画)
出版社 講談社
掲載誌 月刊マガジンZ講談社
レーベル マガジンZKC
巻数 全2巻
その他 2007年5月、6月に新装版が講談社BOXより発売。
文庫版が星海社文庫より2012年1月、2月に発売。
テンプレート - ノート

フリクリ』(FLCL)は、ガイナックスProduction I.Gにより製作された日本のOVAシリーズ。およびそれを原作とした小説漫画

本編であるOVAは全6巻(全6話)。その本編を補完した小説は全3巻、漫画単行本全2巻がそれぞれ発売されている。また、本編が2005年にDVD-BOX化、漫画単行本2007年に新装判として再版された。2010年8月にBlu-Ray Boxが発売された。

概要[編集]

『FLCL』(フリクリ)は、2000年から2001年にかけて全6巻のOVAとしてリリースされた、日本のアニメ作品である。『新世紀エヴァンゲリオン』の次作品である『彼氏彼女の事情』以降は、原作付のアニメ化しか制作していなかったガイナックスによる、久々のオリジナル作品[1]。また、『FLCL』は『新世紀エヴァンゲリオン』で副監督を務めていた鶴巻和哉の初監督作品である。 一般的にビデオ・DVDのパッケージには作品解説・あらすじなどが記載されるものであるが、『FLCL』のパッケージはそれらを徹底して排したデザインになっており、同様にテレビコマーシャルでも内容に関する言及は全く無かった。

本作品の大きな特徴として、非常に凝った演出が挙げられる。唐突に全く異なる絵柄に切り替わるシーンや、本編途中から数分間にわたり漫画雑誌風の画面構成で進行する回があるなど、随所に実験的ともいえる演出が盛り込まれている。またアクションシーンでのテンポの良いカット割り、デザインやアニメーションの質の高さなど、映像としての評価も高い[誰?]。かつてTSUYATAの「映画監督が選ぶ良作」として岩井俊二監督他から評価を得ている。 その一方で本作品はOVAのみのリリースであったため、同じガイナックスが製作に携わった『新世紀エヴァンゲリオン』と比較すると日本国内での知名度は低い(ただしこれは『新世紀エヴァンゲリオン』が稀有な大ヒット作品である点を考慮する必要がある)。しかし日本国外の市場ではかなりの成功を収めており、特にアメリカなどでは人気・知名度共に高いアニメ作品の一つである。アメリカのアニメ専門チャンネル、カートゥーンネットワークでは、英語吹き替え版がシリーズ放送(2003年8月)され、その後も再放送されている[2][3][4]。また、カナダモントリオールで開催される国際映画祭、ファンタジア映画祭において2003年度アニメーション部門で銅賞を受賞している[5][6]

『FLCL』には挿入歌が多くあり、かつ印象的、効果的な使い方がされていることも特徴。これら挿入歌とテーマ曲は一部を除き全て日本出身のロックバンドthe pillowsが担当した。このアニメ曲の人気にあやかり、the pillowsは、米テキサス州オースティン市SXSWフェスティヴァルにおいて米国コンサートデビューを果たすなどしている[7]。北米版およびオーストラリア版DVDでは副音声で監督を務めた鶴巻和哉とアメリカ人スタッフによる日本語の音声解説が収録されている。作品制作における裏話や、場面ごとの解説が語られている。

『FLCL』は2006年5月15日からバンダイチャンネルにおいて有料配信もされている。

また『FLCL』で登場する機関名フラタニティは、同じ鶴巻和哉監督作品である『トップをねらえ2!』にも登場している。さらに『トップをねらえ2!』でエキゾチックマニューバという言葉が登場するが、それと似たシステムが『FLCL』にもあり、両作品の世界観には若干の共通点が見られる。

登場人物[編集]

ナンダバ・ナオ太
- 水樹洵
小学6年生。常にクールに振舞い、時折生意気な発言や攻撃的な言動をするが、根は純情かつ繊細で照れ屋な極普通の少年。当たり前の日常に辟易しながらも、普通でない事は起こらないのだと半ば諦観し、普通であることを望んでいる。アメリカへ野球留学中の兄・タスクの元恋人であるマミ美から真意の掴めない誘惑をされ、マミ美の傍にいつもいることを決意していることもあり、それを流されるままに受け入れている。ハル子にベースギターで殴られてから額に奇妙な角が生え、そこから様々な物が出てくるようになってしまう。いつもバットを持っているが振ろうとはしない。マミ美からは「タッくん」と呼ばれている。
カンチ
ハル子と共にナンダバ家にやって来たロボット。元々はナオ太の額から出現した物体の一つである。密かに高い戦闘能力を持っているが、家では雑用としてこき使われている。名前は炎の神「カンティード」から。
ハルハラ・ハル子
声 - 新谷真弓
ナオ太の前に突然現れた謎の「ベスパ女」。本名はハルハ・ラハル。自称19歳の「宇宙人」(マミ美の見立てでは20歳を過ぎている)。常にテンションが高く傍若無人で天然な性格。所持するベースギター(Rickenbacker 4001 Azureglo)は武器にもなり、その他様々な用途に使用される。ナオ太を利用して自らの野望の達成を目論んでいるが、少々内向的な面を持つナオ太を元気付けようとするなど、意外と世話好きな一面も時折見せている。看護師メイドバニーガールなど、劇中で最も多彩なコスチュームを着用する人物。左利き。
ハル子の愛車のベスパの型式はVespa180ss(Super Sport)[8]。1960年代に数年間のみ生産されていた(約35000台)希少車種であり、生産中止から約40年が経過した現在では入手困難なスクーターの一つになっている。ただしハル子が乗るVespa180ssはサスペンション周りに若干だが改造が施されており、車体の色もイタリアンイエローと呼ばれるオレンジ色に近い黄色に塗装されているカスタム仕様である。なお、車体前部にある「P!」のマークについては「なぜ『P!』にしたのかはよく憶えていない」と監督である鶴巻本人が発言している(形状的にはピップフジモト株式会社の商標との類似性が見られる)[2]。ナンバープレートは「マバセ56-56」。対して後記にあるアマラオの富士重工・ラビット301Bは「マバセ03-03」。ちなみに、EDに出てくるベスパは監督鶴巻和哉の私物である(撮影中に何度も倒したりしたため、壊れてしまったとのこと)。
サメジマ・マミ美
声 - 笠木泉
何かとナオ太に連れ添う女子高生。17歳。語尾に「っす」を付ける独特の口調で話す。未成年にもかかわらず喫煙者である。ナオ太の兄であるタスクと交際していたが、タスクが留学先で新しい恋人を作ってしまった事で事実上失恋。その影響からか度々自暴自棄にも見える言動を繰り返し、ナオ太に"遊び"と称してちょっかいを出す。少々変わった性格のせいか孤独な一面があり、同級生から酷いいじめを受け、小学校に放火する。タスクと知り合うきっかけもまた放火事件であった。作中ではなぜかよくパンツが脱げる。写真撮影が趣味で、第二話ではオリンパスのカメラを使用、回によってカメラが異なる。
ニナモリ・エリ
声 - 伊藤実華
ナオ太のクラスメイトで学級委員長。父は市長というお嬢様だが、家庭は数々の問題を抱えている。一時ナオ太を意識していた。
マナベ・ガク & マサムネ・マサシ
声 - 宮島章 & 鈴木和人
両者共にナオ太のクラスメイト。好きである。
ミヤジ・ジュンコ
声 - 福井裕佳梨
ナオ太の担任教師。生徒達からは「ミヤジュン」と呼ばれている。「下品禁止!」が口癖
ナンダバ・カモン
声 - 松尾スズキ
ナオ太の父。ちゃらんぽらんな性格の人物。時折テンションが上がり意味不明な発言を連発するが、根はオタク中年かつアナーキーであり、市長批判のミニコミ紙を発行するという硬派な一面を持つ。初対面のハル子に骨抜きにされてしまう。実は婿である。
ナンダバ・シゲクニ
声 - 糸博
ナオ太の祖父。元パン職人。
アマラオ
声 - 大倉孝二
特殊入国管理官。海苔のようなまゆ毛が特徴(実は本当に海苔を貼り付けている)。ハル子と過去に因縁を持つ。
キツルバミ
声 - 千葉千恵巳
アマラオ管理官の部下。そばかすがチャームポイント。

OVA[編集]

キングレコードからDVDVHSで同時リリースされた。各巻1話25分(最終巻のみ31分)収録で全6話。DVDの初回盤は紙製パッケージにパッケージ色に合わせたジュエルケースに入ったDVDと解説書が同梱されていた(通常版はプラスチック製のトールケース)。

  • Vol.1「フリクリ」(2000年4月26日発売、DVD:KIBA-478、VHS:KIVA-478)
    副題は、スタジオミュージシャンの作ったアルバム『Fooly Cooly』より。
  • Vol.2「ファイスタ」(2000年6月21日発売、DVD:KIBA-479、VHS:KIVA-479)
    副題は、The Prodigyの「Firestarter」から引用した劇中のゲームタイトルから。
  • Vol.3「マルラバ」(2000年8月23日発売、DVD:KIBA-480、VHS:KIVA-480)
    副題は、『長靴をはいた猫』に登場するカラバ公爵をフランス読みにした架空の領主「マルキ・ド・カラバ」より。
  • Vol.4「フリキリ」(2000年10月25日発売、DVD:KIBA-481、VHS:KIVA-481)
    副題は、「振り切り」より。
  • Vol.5「ブラブレ」(2000年12月21日発売、DVD:KIBA-482、VHS:KIVA-482)
    副題は、「Brittle Bullet」(もろい弾丸)、ナオタの言動から。
  • Vol.6「フリクラ」(2001年3月16日発売、DVD:KIBA-483、VHS:KIVA-483)
    副題は、「FLCLimax」より。
  • フリクリ MUSIC DVD(2005年5月11日発売、DVD:KIBA-1195)
    the pillowsの曲にフリクリの映像つけたオリジナルのミュージッククリップ集
  • フリクリ DVD-BOX(2005年8月13日発売、3枚組DVD:KIBA-91196〜8)
    第1話から第6話及び各種特典を付けたDVD BOXセット
  • FLCL Blu-ray BOX(2010年8月18日発売、2枚組BD:KIXA-90046〜7)
    第1話から第6話及び各種特典(映像特典としてMUSIC DVDの映像含む)を付けたBD BOXセット
    紙製パッケージにお菓子のようにパッキングされてジュエルケースが入っているなど凝った作りになっている。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

Ride on shooting star
作詞・作曲 - 山中さわお / 編曲 - the pillows、吉田仁、鈴木淳 / 歌 - the pillows

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 フリクリ 榎戸洋司 鶴巻和哉
今石洋之
吉成曜
大塚雅彦 平松禎史
2 ファイスタ 摩砂雪 安藤健 今石洋之
3 マルラバ 佐伯昭志 平松禎史
4 フリキリ 小倉陳利 大塚雅彦 小倉陳利
庵野秀明(友情メカ作監)
5 ブラブレ 今石洋之 佐伯昭志 今石洋之
6 フリクラ 鶴巻和哉
平松禎史
今石洋之
大塚雅彦 平松禎史

受賞歴[編集]

2003年のファンタジア映画祭において、観客投票部門でベストアニメーション映画賞の銅賞を受賞[5][6]

関連商品[編集]

サウンドトラックCD[編集]

いずれもキングレコードから発売。

  • フリクリNo.1 アディクト (2000年10月4日発売、KICA-518) - Vol.1からVol.3で使用された楽曲集。
  • フリクリNo.2 海賊王 (2001年7月25日発売、KICA-544) - Vol.4からVol.6で使用された楽曲集およびCDドラマ。
  • フリクリNo.3 (2005年6月8日発売、KICA-695) - the pillowsが自ら選曲した楽曲集。日米同時発売。

ムック[編集]

  • 原画集「GROUNDWORK OF FLCL」
ガイナックスより2001年7月13日発売。A4判、約200ページ。
  • フリクリズム フリクリ デザインワークス
角川書店より2001年9月25日発売。ニュータイプ編集。2冊組。ISBN 4-04-853208-1
  • フリクリ画(え)コンテ集
ガイナックスより2005年9月30日発売。A5判、888P。

小説[編集]

角川スニーカー文庫(角川書店)から全3巻が刊行された。企画・原作:GAINAX、著:榎戸洋司、イラスト:鶴巻和哉・今石洋之。アニメでは明かされなかった設定が披露されている。

漫画[編集]

月刊マガジンZ」(講談社)に連載された後、マガジンZKCから全2巻が刊行された。原作:GAINAX、漫画:ウエダハジメ。アニメとは設定やストーリーが異なる上、雑誌掲載時とも内容が異なる。2007年には新装版が講談社BOXから、2012年には文庫版が星海社文庫から発売。新装版および文庫版には、DVD-BOXに収録された書下ろしである“The Fourth Studio”が収められている。

マガジンZKC版
講談社BOX版
星海社文庫版
アニメ版との相違点の一部
  • ナオ太の攻撃的な面と繊細な面が強調されている。
  • ナオ太は何者かに命を狙われている。
  • ナオ太の義祖母(シゲクニの旧友)が登場する。
  • シゲクニと義祖母の過去が追加されている。
  • カモンは物語の途中で死亡する。
  • アマラオとキツルバミが数コマ(連載時は1コマ)しか登場しない。

その他[編集]

  • フリクリックノイズ
鶴巻和哉・貞本義行著、2010年8月11日発売、太田出版ISBN 978-4778312220
監督・鶴巻和哉とキャラクターデザイン・貞本義行による、フリクリを振り返る座談会の記録。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 沿革”. GAINAX NET (2013年). 2013年11月8日閲覧。
  2. ^ Hale, Mike (2008年9月30日). “Tormenting the Tormentors in an Anime World”. New York Times. http://www.nytimes.com/2008/09/30/arts/television/30hell.html?_r=0 2013年11月8日閲覧。 (紙版では9月30日のE7面に掲載)和訳すると「2000年から2005年にかけてアメリカの視聴者は『カウボーイビバップ』、『フリクリ』、『鋼の錬金術師』、『ナルト』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『妄想代理人』、『サムライチャンプルー』を初放送で見た。ここ数年『BLOOD+』や『DEATH NOTE』などエンターテインメント性の高い作品も紹介はされているが、それでもやはり今テレビでいちばんの見もののアニメと言えば、第一の波で上陸した各番組の再放送である」という一文がある。
  3. ^ Ruh 2006, p. 153。和訳すると「アメリカではDVDが3枚セット構成で2002年8月~2003年7月にかけて発売された。多々なるジョーク、だじゃれ、カルチャー的な言及などが日本人以外には通じない[等].. コミュニケーション障壁にもかかわらず(そのファンタジックかつ混沌的な動画に負うところ多く).. 当シリーズはアメリカのアニメファンのあいだで、たちまちカルト的最大人気作品のひとつ("cult favorite")となった。人気のあまり、番組は[米国の]ケーブルテレビ放送『カートゥーンネットワーク』チャンネルで2003年8月放送が開始された」
  4. ^ Camp Davis, p. 119。「カートゥーンネットワーク」チャンネルの深夜「Adult Swim」枠で2003年8月に初放送された。
  5. ^ a b FanTasia 2003 : an awesome success”. Fantasia (2003年8月12日). 2012年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月8日閲覧。
  6. ^ a b FLCL”. IMDB (2003年8月12日). 2013年11月8日閲覧。
  7. ^ Richardson, Ken (June 2005). “Myths busted at SXSW” (snippet). Sound and Vision 70 (5): 102. http://books.google.co.jp/books?id=CWxUAAAAMAAJ. 抜粋和訳すると「アグレッシブなインディー系ロック曲に、アメリカンキッズの集団が合わせて合唱したが、それもそのはずFLCLのためにthe Pillowsが書いた歌曲が満載だったのだ」とある。
  8. ^ [1]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]