岩井俊二

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
いわい しゅんじ
岩井 俊二
生年月日 1963年1月24日(51歳)
出生地 日本の旗 日本宮城県仙台市
血液型 O型
職業 映画監督
主な作品
映画

Love Letter
スワロウテイル
リリイ・シュシュのすべて
花とアリス

岩井 俊二(いわい しゅんじ、1963年1月24日 - )は、宮城県仙台市出身の映画監督映像作家脚本家音楽家脚本家としては、網野 酸(あみの さん)というペンネームを用いることもある。血液型O型。

経歴[編集]

仙台市立西多賀中学校宮城県仙台第一高等学校を経て、1987年横浜国立大学教育学部美術学科卒。学生時代から小説家を目指し、美術の学科に入ったのもその道に影響すればいいと思ったためである。絵はあくまでも趣味で描き、漫画の持込みなどもした。卒業前にも就職活動をせず、とにかく映像関係の仕事に就くためアルバイトをしながら人脈を広げる。

小学時代、ほかに家にレコードがなかったため、百科事典のオマケについていた『世界の名曲』というレコード集でシューベルトショパンを聴き込んでいたという。ターンテーブルは幼稚園の頃から家にあった[1]

1988年ビーイングなどのミュージック・ビデオの仕事を始める。1993年テレビドラマif もしも打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を演出し、日本映画監督協会新人賞を受賞。テレビドラマでの受賞はきわめて異例である。同作品は再編集され、1994年劇場公開される。1995年、初の長編映画『Love Letter』を監督。日本や中国でも好評だったが、韓国では特に爆発的な人気を呼んだ。これに続く『スワロウテイル』は賛否両論あったが、岩井の知名度を大きく上げた作品である。

その後長編・短編作品を順調に公開し、独特な映像美から「岩井美学」などと呼ばれるようになる。初めてドキュメンタリーを発表した1999年頃から劇映画の監督業以外にもフィールドを広げ、2000年には庵野秀明監督作の『式日』に俳優として出演。新しい技術にも夢中で、日本で最初にAVIDによるノンリニア編集を取り入れ、『式日』と同じ年にはインターネット上のBBSを使った大衆参加による小説『リリイ・シュシュのすべて』を完成、映画化する。この映画もまたHD24Pという、フィルム表現に近いデジタル撮影による新しい方法で行われ、仮編集はApplePowerBookが用いられた。この撮影法をいち早く取り入れた一人である。また、2003年にはWEB配信という新しい上映方法で『花とアリス(ショートフィルム)』を公開。

2004年4月1日からオフィシャルのウェブページでシナリオ募集していた『しな丼』のコーナーを閉鎖し、「戯作通信」こと『playwoks(プレイワークス)』というウェブサイトを開設、また合わせてラジオ番組、『円都通信』がスタート。この『playwoks』(『しな丼』)で扱われたシナリオがラジオドラマとして毎週放送されていた。その中の作品「虹の女神」(2006年)、「BANDAGE バンデイジ」(2010年)が映画化。プロデューサーとしての手腕も見せる。

2005年よりロサンゼルスに拠点を移し活動している[2]。2009年にはフランス・アメリカ合作映画である「ニューヨーク、アイラブユー」に監督の1人として参加。ハリウッドにて初の長編映画「vampire」を撮影した。

映画監督の市川崑へのリスペクトを示している事でも知られており、『市川崑物語』の監督も務めた。

フジテレビの深夜枠であるJOCX-MIDNIGHTのアイキャッチ「音楽美学」を製作した。

なお、2009年横浜開港150周年記念テーマイベント(開国博Y150)において、プロデュース及び、初のアニメ脚本『BATON』を手がけている。

作品[編集]

映像作品[編集]

テレビドラマ[編集]

  • 見知らぬ我が子 (1991年4月17日放映、関西テレビ「DRAMADOS」、監督・脚本)
  • 殺しに来た男 (1991年12月11日放映、関西テレビ「DRAMADOS」、監督)
  • マリア (1992年3月8日放映、関西テレビ「DRAMADOS」、監督・脚本)
  • 夏至物語 (1992年9月16日放映、関西テレビ「薔薇DOS」、監督・脚本)
  • オムレツ (1992年10月19日放映、フジテレビ「La cuisine」、監督・脚本)
  • 蟹缶 (1992年12月7日放映、フジテレビ「世にも奇妙な物語」、監督)
  • GHOST SOUP (1992年12月21日放映、フジテレビ「La cuisine」、監督・脚本)
  • 雪の王様 (1993年1月6日放映、関西テレビ「TV-DOS-T」、監督・脚本)
  • FRIED DRAGON FISH (1993年3月22日放映、フジテレビ「La cuisine」、監督・脚本)
  • 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? (1993年8月26日放映、フジテレビ「if もしも」、監督・脚本)
  • ルナティック・ラヴ (1994年1月6日放映、フジテレビ「世にも奇妙な物語」、監督・脚本)
  • 賢者の贈り物 (2001年12月24日放映、広島ホームテレビ、監修)
  • なぞの転校生(2014年1月10日- テレビ東京 連ドラ)

映画[編集]

ドキュメンタリー[編集]

  • 少年たちは花火を横から見たかった (1999年8月発売、監督・企画)
  • 六月の勝利の歌を忘れない 日本代表、真実の30日間ドキュメント VOL.1/VOL.2 (2002年11月発売、監督・編集)
  • friends after 3.11 (2011年10月発表、監督)

アニメ[編集]

  • BATON (2009年4月公開、プロデュース・脚本)(北村龍平監督)

携帯配信ドラマ[編集]

  • 恋ばな〜スイカと絆創膏〜 (2009年11月配信、LISMOオリジナルドラマ、プロデュース)(萩生田宏治監督)

ビデオクリップ(ショートムービー)[編集]

  • 東京少年 陽のあたる坂道で (1991年2月発売、監督)
  • 杉本理恵 妖精のスケッチ (1991年8月発売、監督)
  • 東京少年 Getting Home (1991年10月発売、監督)
  • 東京少年 LOVE YOU SO LONG (1991年12月発売、監督)
  • Mi-Ke 白い2白い珊瑚礁 (1991年12月発売、監督)
  • DOBOCHON ORIGINAL HORROR MOVIE (1991年12月発売、監督)
  • 毛ぼうし (1997年3月発売、監督・脚本)
  • film 空の鏡 (1997年10月発売、監督)
  • 生きていた信長 (1998年3月、監督・脚本)

ミュージックビデオ[編集]

テレビCM[編集]

テレビ番組[編集]

  • 森川美穂 THEドキュメント (1988年放映、CATV、演出)
  • アイドル・アクエリアム (1989年放映、CATV、演出)
  • 文珍の歴史なんなんだ (1990年放映、東海テレビ、演出)
  • 世紀末歌姫水族館 (1990年放映、CATV、演出)
  • Jocx Midnight 音楽美学 (1993年放映、フジテレビ、演出)
  • 新アジア発見 (2000年8月放映、NHK、オープニング映像製作)
  • ドキュメンタリー オブ AKB48〜1ミリ先の未来〜 (2011年1月8日放映、NHK、製作総指揮)
  • friends after 3.11 (2011年10月1日放映、BSスカパー!、監督)
  • friends after 3.11 スペシャルエディション part1 part2 (2011年12月30日放映、朝日ニュースター、監督)
  • 映画は世界に警鐘を鳴らし続ける (2012年1月5日 - 放映、日本映画専門チャンネル、監修)
  • 岩井俊二映画祭presents マイリトル映画祭(2012年、BS日本映画専門チャンネル)

メイキング[編集]

  • behind the scene of undo (1994年、監修)
  • 円都 YEN TOWN (1996年、スーパーバイザー)
  • 呼吸「リリイ・シュシュのすべて」のすべて (2002年、監修)
  • Filming H&A (2003年、監修)
  • 崑談 とある日、崑宅にて / とある日、劇場にて(2007年、監修)
  • His Work「犬神家の一族」舞台裏 (2007年、監修)

映画予告編[編集]

自主制作映画[編集]

  • ミナ伝説 (1986年、監督)
  • 霙花 (1986年、監督)
  • Lemu(雨の日の迷宮) (1987年、監督)
  • ドンキーポピンズ・ポッキーポピンズ (監督)
  • インディポピンズ・キャンディポピンズ (監督)

著作[編集]

小説[編集]

  • ラヴレター (1995年3月発売)
  • スワロウテイル (1996年7月発売)
  • ウォーレスの人魚 (1997年9月発売)
  • リリイ・シュシュのすべて (2001年9月発売)
  • リリイ・シュシュのすべて <完全版> (2001年10月発売、CD-ROM)
  • 番犬は庭を守る (2012年1月発売)
  • ヴァンパイア (2012年8月発売)

コミック[編集]

  • ラヴレター VOL.1/VOL.2 (1995年2月発売)
  • Story Board of SWALLOWTAIL BUTTERFLY VOL.1/VOL.2 (1997年1月発売)
  • 花とアリス (2004年9月発売)

エッセイ・対談本[編集]

  • トラッシュバスケット・シアター (1997年10月発売)
  • マジック・ランチャー (1998年6月発売、庵野秀明との対談本)
  • NOW and THEN 岩井俊二(1998年6月発売、エッセイ)
  • フィルムメーカーズ17 岩井俊二 (2001年10月発売)
  • 沈黙より軽い言葉を発するなかれ(2012年9月発売、柳美里の対談集)

写真集[編集]

  • LETTERS in Love Letter (1995年発売)
  • undo 写真集 (1995年12月発売)
  • Scrap Of YENTOWN (1996年8月発売)
  • PiCNiC POSTCARD BOOK (1996年12月発売)
  • April Front 四月物語 (1998年3月発売)
  • 花とアリス寫眞館 (2004年9月発売)

音楽作品[編集]

サウンドトラック[編集]

  • 「GHOST SOUP」オリジナルサウンドトラック (1997年12月17日発売、プロデュース)
  • 「四月物語」オリジナルサウンドトラック 四月のピアノ (1998年3月21日発売、監修)
  • 「Jam Films」 オリジナルサウンドトラック (2002年12月発売)
  • 「花とアリス」オリジナルサウンドトラック H&A (2004年3月13日発売)
  • 「市川崑物語」オリジナルサウンドトラック filmful life (2007年6月29日発売)

作詞[編集]

アーティスト タイトル 作曲 初めて
発表された年
収録アルバム
(主にオリジナルアルバム)
鈴木慶一 不信心な牧師 坪井信八 1992年 GHOST SOUP
オリジナルサウンドトラック
S.YUME GHOST SOUP 土井宏紀
坪井信八
1992年 GHOST SOUP
オリジナルサウンドトラック
YEN TOWN BAND Swallowtail Butterfly
〜あいのうた〜
小林武史 1996年 MONTAGE
Lily Chou-Chou アラベスク 小林武史 2001年 呼吸
飛べない翼
LANDS オリンポス 小林武史 2010年 Olympos
元気
二十歳の戦争
勇気
花は咲くプロジェクト 花は咲く 菅野よう子 2011年
※ ただし、「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」はCHARAと小林武史との共同作詞、「飛べない翼」「オリンポス」「元気」「二十歳の戦争」は小林武史との共同作詞、「勇気」は赤西仁と小林武史との共同作詞となっている。
※ 「花は咲く」は、日本放送協会東日本大震災復興プロジェクトチャリティーソングとして製作された。

その他の作品[編集]

ラジオドラマ[編集]

  • カルシウム (2004年6月放送、脚本(共著))
  • Bandage2005年2月放送、脚本(共著))
  • MY LITTLE HONDA (2005年9月放送、脚本(共著))

ヌービー・ヌーボー[編集]

  • ヴァンパイア (2011年1月〜発表、監督)
  • リリイ・シュシュのすべて<完全版> (2011年1月〜発表、監督)
  • カメラ (2011年発表、監督)
  • 番犬は庭を守る (2012年発表、監督)
  • ライ麦畑をまちがえて (2012年発表、監督)

製作中止となった作品[編集]

  • 「番犬は庭を守る」 - 台湾のエドワード・ヤン、香港のスタンリー・クワンと共に発足させたY2Kプロジェクトの中で企画されたもので、核廃棄物処理施設がテーマの物語。内容が壮大になりすぎため予算が不足、また『ガタカ』に内容が似ているという判断から企画段階で自ら制作中止に。2011年に企画を再始動させることを発表し、2012年に小説を刊行した。
  • リリイ・シュシュのすべて - これも元々はY2Kプロジェクトの企画。台湾の少年が主人公、リリイは香港のアーティストという設定だった。初期タイトルは「リー・チェンスのすべて」。PVも制作されたがクランクイン寸前で白紙に。
  • あずみ - 小山ゆうの漫画原作、広末涼子主演で企画が進んでいたが頓挫。後に北村龍平監督で映画化。
  • ヴィヨンの妻 - 市川崑との共同監督企画。太宰治原作。この企画のために作られた田中陽造の脚本は後に根岸吉太郎監督の「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」として発表された。ちなみにこれ以前にも丹下左膳人間失格などの共同監督企画が出ていた。
  • 本陣殺人事件 - 横溝正史の原作を岩井が脚本化し、市川崑と岩井で共同監督するという企画があった。脚本は二部構成で一部は原作通り、二部はオリジナルの展開となっていたが市川が降板を申し出たため中止に。
  • 日本沈没
  • Bandage - 2006年公開予定で監督:北村龍平、脚本:岩井俊二、音楽:佐久間正英、主演:成宮寛貴という布陣で製作発表までされたが何らかの事情で製作中止に。後に小林武史監督、赤西仁主演の企画として再始動。
  • アニメ作品 - 名倉靖博が監督、岩井が脚本で準備が進んでいたが諸事情により製作中止に。
  • 火の鳥 完結編
  • 宇宙戦艦ヤマト

受賞歴[編集]

1991年

  • 「見知らぬ我が子」
    • DRAMADOS大賞

1993年

1995年

1996年

  • PiCNiC
    • ベルリン国際映画祭フォーラム部門ベルリン新聞記者審査員賞
  • スワロウテイル
    • 第11回高崎映画祭最優秀監督賞
    • 第20回日本アカデミー賞優秀作品賞・話題賞

1998年

2002年

政治的発言[編集]

2012年9月18日に自身のTwitter公式アカウントで、中国人による日本企業の工場商店に対する破壊・略奪放火が頻発した2012年の中国における反日活動に関して、「国(日本政府)があの尖閣諸島)を買うことがどれだけ挑発的か考えるべきだ」「侵略された国(中国)がまだ怒っていても当然」、「(日本が)相手国(中国)ばかり責めたのでは相手だって怒り出すのが道理」、 「日本のメディアが中国のことを悪く言い過ぎており、祖国を悪く言われたらどんな気がするかを考えなければならない」と、日本政府の尖閣諸島国有化や日本人の中国に対する態度を非難した。また、中韓で行われている反日教育については「(侵略を)忘れてしまってる日本の方がどうかしている」、「自国(日本)びいきの歴史解釈は受け入れがたい」と日本の歴史認識を批判した。

この件は各韓国紙でも報じられ、これを伝える『朝鮮日報』のコメント欄では岩井を賞賛する書き込みが相次いだ[3][4]。また、中国人民解放軍総政治部が出版する新聞『解放軍報』の「日本政府は悔い改めないと、自ら苦い結果を味わうことになる」と題する記事の中で、「日本の挑発行為を批判する正義の声」として岩井のこの発言が取り上げられた[5]

脚注[編集]

  1. ^ INLIFE 男の履歴書 岩井俊二
  2. ^ NEWS ZERO 2010年3月3日放送より
  3. ^ 「侵略忘れた日本に中国人は怒って当然」 岩井俊二監督のツイートが物議 1ページ目2ページ目、JCASTニュース 2012年9月20日
  4. ^ 「過去を忘れた日本、問題」岩井俊二監督のツイートが韓国で話題、サーチナ 2012年9月20日
  5. ^ 日本政府は悔い改めないと「苦い結果」味わう=中国・解放軍報、サーチナ 2012年9月24日

関連項目[編集]

  • 市川崑 - 岩井が最も尊敬する映画監督。
  • 篠田昇 - ほとんどの岩井作品の撮影を担当していた。2004年に死去。
  • REMEDIOS - 初期の岩井作品で音楽を担当。
  • 小林武史 - 「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」で音楽を担当、「BANDAGE」では岩井に監督に指名される。
  • 北川悦吏子 - 親交が深く、「ハルフウェイ」は岩井との共同作業で製作された。
  • 行定勲 - 初期の岩井作品で助監督を務めた。
  • 永田琴 - 何本かの岩井作品で助監督を務めた。
  • 北村龍平 - 「BANDAGE」などを監督する予定があった。企画中止になった「あずみ」、岩井脚本・製作による「BATON」を監督。
  • 高畑勲 - 血縁関係。岩井が業界入りする時に高畑に相談し、止められている。

外部リンク[編集]