貞本義行

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貞本 義行
生誕 1962年1月29日(52歳)
日本の旗 日本 山口県周南市
国籍 日本
活動期間 1981年 -
ジャンル 少年漫画青年漫画
代表作 新世紀エヴァンゲリオン
受賞 第16回週刊少年チャンピオン新人まんが賞入選
(『FINAL STRETCH 最後の疾走』)
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貞本 義行(さだもと よしゆき、1962年1月29日 - )は、日本アニメーター漫画家山口県徳山市(現・周南市)出身。血液型はA型。同人誌でのペンネームにY.S・イレブンなどがある。

徳山市立住吉中学校、山口県立徳山高等学校東京造形大学造形学部美術学科絵画領域専攻(絵画専攻前はデザイン学科産業デザイン専攻)卒業。カラー取締役。愛知県高浜市在住。妻は漫画家のたかはまこ

略歴[編集]

高校時代は美大を目指し、画家の藤永俊雄に師事。東京の大学に進学したのはアニメや漫画などの仕事がしやすいからという理由である。ただし、もともとはプロになるつもりはなく、卒業後には故郷で美術教師になることを志望していたという。1981年、在学時にオートバイの購入資金目当てに『週刊少年チャンピオン』の「第16回週刊少年チャンピオン新人まんが賞」に応募、入選を果たした。受賞作の自動車レース漫画『FINAL STRETCH 最後の疾走』でデビュー。

大学2年次に漫画研究会の後輩の前田真宏に誘われ『超時空要塞マクロス』の原画をアルバイトで担当し、そこで庵野秀明山賀博之と出会う。4年次には前田とともにアマチュアアニメーション製作グループ「DAICON FILM」(ガイナックスの前身)に属してSF大会のオープニング・アニメーションの製作などに携わっている[1]。その為、この頃は大学の授業にはあまり出ておらず、課題でも短時間で完成度が高く見せられるように、前に描いた絵を上塗りして提出したりもしている。また生活に余裕がなかったようで、東京から大阪へ移動するのにバイクを使っている。ちなみにこのバイクは一度盗まれており、大阪には良いイメージがないという。

1984年、大学卒業後にテレコム・アニメーションフィルムへ入社し、大塚康生にアニメーションを学ぶ。同期には田中達之、滝口禎一、横堀久雄がいたが、アニメの経験を隠していた貞本の新人離れした技量に自信喪失した同期生まで出たという。大塚康生も自分より上手いと脱帽し、新人時点の上手さでは宮崎駿月岡貞夫と並ぶ存在だったと評価を下している[2]。ただ、絵コンテを切るのは苦手だという。

テレコムでは原画マンを務めていたが、その後、ガイナックスが劇場アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年公開)を製作することとなり、ガイナックスへと移籍し同作でキャラクターデザインを務めた。無名のアニメーターをキャラクターデザイナーとして起用するのは当時としては異例であった。以後、『トップをねらえ!』、『ふしぎの海のナディア』など、ガイナックスの中核メンバーとして活躍。

1991年から1992年にかけてアニメ雑誌『ニュータイプ』誌に漫画『R20 歯車のある街』を連載し、9年ぶりに漫画家としての活動を再開した。さらに1995年から『新世紀エヴァンゲリオン』の漫画版を『月刊少年エース』にて連載を開始して以降、アニメの仕事から漫画とイラストへと仕事の比重が移った。

趣味は映画鑑賞、車、バイク、アイドルなど。影響を受けた漫画家は松本零士永井豪福山庸治。好きな映画にテリー・ギリアム監督の全作品と答えている。ロックバンドのムーンライダーズのファンで、作中でもその影響が見られ、その縁でベストアルバム『ANTHOLOGY 1976-1996』のジャケットを手がけた。なお、ムーンライダーズの弟バンドとも言われたカーネーション直枝政広とは大学の同期であり、交友がある。

イラストレーターとしての人気も高く、画集も出版されている。貞本の画集『ALPHA』(1993年)を偶然書店で見て感動したギタリストのエリック・クラプトン(Eric Clapton)が自身のアルバムのジャケットデザインを依頼。1998年のクラプトンのアルバム『ピルグリム』は貞本がイラストを描いたジャケットで発売された。

備考[編集]

  • 『DAICON IVオープニングアニメ』で、女性キャラクターの胸が揺れる「乳ユラシ」を日本で初めて行ったとする説があり[3][4]、一時期「乳揺らしの貞本」と呼ばれていた。
  • 貞本のキャラクターは顔の描き分けが乏しく、髪型や服装を変えることでしか違いを表現できていない。これは本人も自認しており、ナディアの髪型を変え、まつげを取り除くだけで碇シンジになるとか[5]、間宮千昭も、油断すると渚カヲルになってしまうと語っている[6]。もともとエヴァのキャラクターデザインの際はシンジやミサトといったプレーンな顔を描く際は苦労したといい、特にシンジはこれという要素がないため日によってまちまちになってしまったという。プラグスーツのデザインに悩んだ時は自らフィギュアを作成して参考にした[7]
  • ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の作画監督を務めていた時、同じく作画監督を務めていた松原秀典の絵柄について、「松原の描いたシンジの鎖骨が綺麗だ」と言っている。貞本と松原が初めて出会ったのは『王立宇宙軍』の時であり、貞本は新人であった松原の実力を最初に認めた人物である。
  • 男性キャラクターは筋肉隆々の俗に言うマッチョキャラが少なく、細身な体型のキャラが多い。体育会系のキャラである鈴原トウジも細身である。
  • 天野喜孝の大ファンであり、天野と押井守がどういうセッションをしてイメージボードを描いているのかに興味を持ち「仕事を手伝うかわりに現場を見せて欲しい」と押井に頼んで天野の仕事場で作業させてもらった。これが貞本が『天使のたまご』の制作に関わるきっかけといわれている。しかし、「天野さんは黙々と仕事を進める方で、結局ジャマをしにいっただけで終わった」という。「『天使のたまご』の頃の描き方を特に気に入っていて、カラーインクの使い方を含めて大きな影響を受けている」とのこと。
  • 現在は妻の生まれ故郷である愛知県高浜市に本籍を置いている。『エヴァ』が大ブームを巻き起こした際には一躍市内のトップ納税者となった。
  • TM NETWORKが1988年に発表したアルバム『CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』のビジュアルディレクターを担当した。
  • 黄瀬和哉は貞本の作風を「リアル(実写)と漫画(アニメ)のどちらにも傾くことができる絶妙なバランスだ」と評している。
  • 少年向けで好きな作品は楳図かずおの『漂流教室』、斎藤惇夫原作の『ガンバの冒険』・松本零士の『銀河鉄道999』であるという。貞本は「自分の居場所を求めて旅をして物事を果たしてからも元には戻らずまた旅を続けるところがかっこいいんですよ」と言った。事実、漫画版『エヴァ』にも上記の作品へのオマージュがあるという。

主な作品[編集]

テレビアニメ[編集]

OVA[編集]

劇場アニメ[編集]

ゲーム[編集]

  • .hack (キャラクターデザイン)
  • .hack//G.U. (デザイン監修・パッケージデザイン)
  • 餓狼伝説 (メガドライブ版パッケージイラスト)
  • 餓狼伝説2 (メガドライブ版パッケージイラスト)
  • 餓狼伝説SPECIAL (ゲームギア版パッケージイラスト)

漫画[編集]

作品名 原作 掲載誌 掲載号 発表形式 話数
1 FINAL STRETCH 最後の疾走 - 週刊少年チャンピオン 1981年35号 読み切り 1話
2 LONELY LONESOME NIGHT
ふりむいた夏
- 週刊少年チャンピオン 1981年41号 読み切り 1話
3 CRAZY RIDER 大垂水の鷹 - 週刊少年チャンピオン 1981年45号 読み切り 1話
4 18R(ヘアピン)の鷹 - 週刊少年チャンピオン 1982年11号 - 14号 週刊連載 4話
5 ROUTE20 歯車のある街 - 月刊ニュータイプ 1991年12月号 - 1992年4月号 月刊連載 5話
6 孤島の鬼 たかはまこ 月刊ニュータイプ 1994年2月号 - 3月号 月刊連載 2話
7 新世紀エヴァンゲリオン GAINAXカラー 月刊少年エース 1994年12月号 - 2007年12月号 月刊連載 96話[8]
ヤングエース Vol.1(2009年7月) - 2013年7月号
8 DIRTY WORK たかはまこ COMIC CUE vol.4(1997年12月) 読み切り 1話
9 System of Romance たかはまこ COMIC CUE vol.8(2000年4月) 読み切り 1話
10 アルカイック スマイル たかはまこ コミックチャージ 創刊号(2007年3月)、
2008年11号 - 12号
不定期掲載 3話

その他[編集]

画集[編集]

すべて角川書店より

  • 貞本義行画集 ALPHA (1993年4月1日発行)
  • 貞本義行画集 DER MOND [限定版] (1999年9月30日発行)
  • 貞本義行画集 DER MOND [普及版] (2000年1月31日発行)
  • 貞本義行画集 CARMINE [限定版] (2009年3月26日発行)

脚注[編集]

  1. ^ 大泉実成編『スキゾ エヴァンエリオン』太田出版、1997年
  2. ^ 大塚康生、森遊机『大塚康生インタビュー アニメーション縦横無尽』実業之日本社、2006年、p289-p290
  3. ^ 小黒祐一郎「アニメ様の七転八倒 第16回 オッパイと芸術」 WEBアニメスタイル 2005年6月6日
  4. ^ 岡田斗司夫、山本弘、小牧雅伸「オタクの歴史徹底大研究」『空前絶後のオタク座談会1 ヨイコ』音楽専科社、2001年、p75.
  5. ^ 漫画『新世紀エヴァンゲリオン』第2巻のあとがきより。
  6. ^ ニュータイプ編『時をかける少女 NOTE BOOK』角川書店、2006年、p.90.
  7. ^ 「eve 2015年の女神たち」インタビューより
  8. ^ 雑誌掲載時に前後編もしくは2話に分かれていたものが7話あり、連載回数では103回となる。