天使のたまご

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天使のたまご
OVA: 天使のたまご
監督 押井守
キャラクターデザイン 天野喜孝
アニメーション制作 スタジオディーン
製作 徳間康快
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天使のたまご』(てんしのたまご)は、1986年に制作された日本のオリジナルビデオアニメである。原案・監督・脚本は、押井守。71分。発売元は徳間書店DVD版も2001年パイオニアLDCから販売されている。2007年1月に徳間書店よりDVD版再発。

目次

[編集] スタッフ

[編集] 作品概要

生死や世界の変化は描かれるものの起伏のあるストーリーはほとんど存在せず、言ってしまえば芸術映画か前衛映画である。押井が言うに、ストーリーではなく、見所はたまごの中に何が入っているのかという点であるという。

聖書に登場するノアの方舟のエピソードを独自に解釈した物語をベースにしている。キーワード「方舟」は押井の複数の後作に形を変えて登場しており、押井の作品世界を語る上で重要な一作である。萩尾望都宮台真司など一部ではこの作品をして「押井守の最高傑作」と語る人もいる。なお「はこぶね」の一般的な漢字表記としては「箱船」「箱舟」等複数の表記があるが、押井はこの作品以降「方舟」に統一した。

天野のキャラクターデザインを担当した線の多いキャラクターが動き、小林の美術によるその幻想的な世界の風景があり、その情景に魅せられる。しかしこの作品の中身は何なのかと訊かれると答えられない。芸術性の高さについての評価は非常に高いが、娯楽性についてはかなり乏しい内容となっている。

当初押井はこの作品を、「わけのわからない連中がたむろするコンビニに、卵を抱えた少女が突如やってくる」[1]という、コミカルで軽い雰囲気に仕上げよう考えていた(押井曰く「このままいったら『御先祖様万々歳!』になっていた」という)そうだが、天野の絵を見た途端に「これはまっとうなファンタジーでやらないと駄目だ」と考えを改めた。

押井はスポンサーの徳間書店に対し、この作品のことを「単純な、男と女の物語」であると説得したという。結果徳間書店の後押しを受け、この『天使のたまご』が世に出ることになった。押井と鈴木敏夫が組んだ初めての作品である。

一方で押井はこの作品を作ったことにより、「訳の解からない物を作る監督」というレッテルを貼られ、『機動警察パトレイバー』の企画が来るまでその後の仕事の依頼がさっぱりなくなってしまったという。ちなみに監督本人も通して見ると疲れるらしく、TVプロデューサーの堀越徹は一回目に寝てしまい、讀賣テレビ放送諏訪道彦も訳の解らないままテレビで放送したという。宮崎駿は本作に対し、努力は評価するが、他人には通じないと述べている(絵コンテへの寄稿)。

この作品自身もビデオソフト(VHSBetamaxレーザーディスク)が後に廃盤になり、DVDなどで再発されるまでの間、作品の入手手段が完全になくなる不遇の時代を経験している。

製作中、監督料はいらないから印税が欲しいと頼んだが、印税はほとんど入らなかったので貧乏生活を送った。

[編集] あらすじ

ノアの方舟が陸地を見つけられなかったもう1つの世界。巨大な眼球を模し、中に複数の人型の彫像が鎮座する宗教の象徴のような太陽が海から昇り、世界は朝を迎える。

方舟の中の動物がすべて化石になった頃、忘れ去られた街で一人の少年と一人の少女が出会う。

[編集] 登場人物

少年 (根津甚八
十字架にも見える大きな武器を担いだ少年。赤い戦車に乗って、どこからともなく廃墟の町へやって来る。
少女 (声:兵藤まこ
廃墟の町でガラスビンを集めながら、独りで暮らす幼い少女。たまごを抱きかかえている。

[編集] 関連書籍

いずれも絶版であったが、2004年『イノセンス』公開時に再版された。

[編集] サウンドトラック

  • 天使のたまご 音楽編菅野由弘)JAN 4988008534030

1. プレリュード 2. 卵のみる夢 3. 機械仕掛けの太陽 4. 天使のたまごメインテーマ 5. 水の記憶 6. 窓の向こうに 7. 水底の街 8. 魚狩り 9. オペラハウス 10. 時の堆積 11. 天使の化石 12. 夜盗の如く 13. 転生 14. 異神と共に

[編集] 本作の登場する作品

篠田節子の小説『聖域』には、登場人物が本作のビデオを鑑賞する場面がある。描写されている内容から見て、作者が本作を実際に鑑賞した上で執筆していることが窺える。

ベルギー出身の映画監督カール・コルパートの作品『In The Aftermath: Angels Never Sleep』(日本未公開)では新撮の実写シークエンスと『天使のたまご』のアニメーションをミックスし、最終戦争後の荒廃した世界が描かれている。

[編集] 脚注

  1. ^ 別冊宝島 「押井守ワークス スカイ・クロラ」より