惣流・アスカ・ラングレー

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惣流・アスカ・ラングレー(そうりゅう・アスカ・ラングレー、Soryu Asuka Langley)は、『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する架空の人物。声優宮村優子。英語版吹き替えはティファニー・グラントが担当している。なお、新劇場版に登場する式波・アスカ・ラングレー(しきなみ・アスカ・ラングレー)についてもこの項で説明する。

プロフィール[編集]

  • 生年月日:2001年12月4日
  • 血液型:A型[1]
  • 年齢:14歳[2]
  • 所属:NERV/EVA弐号機専属操縦者第3新東京市立第壱中学校2年A組

人物[編集]

本作品のヒロインの1人。ドイツ3/4、日本1/4の血を持つ混血児。髪色は金[4]。二人目の適格者=セカンドチルドレン。国籍はアメリカ。活発明朗だが、勝気な性格でプライドが高く、エース・パイロットとしての能力を誇示して生きてきた。一人称は基本的に「あたし」。口癖は「あんたバカぁ?」。4歳の時にエヴァンゲリオン操縦の二番目の適格者として選出され、以降、セカンドチルドレンとして英才教育を受けたエリートである。14歳にして大学を卒業。EVA弐号機とのコンタクトはドイツ語を基準にしているが、日本語も流暢に話すことができる。

母親は惣流・キョウコ・ツェッペリン父親はキョウコの死後、再婚している。

終盤には複雑な生い立ちと、内包していた脆さから、悲惨な運命をたどる。

性格[編集]

自信にあふれていてプライドが高く、非常に高飛車であり傲慢かつ自己中心的な性格。ただし社交性は他のパイロットと比較して高い。

EVAシンクロ用のインターフェイスヘッドセットを髪留めとして常に着用するほど、EVAパイロットの適格者、チルドレンであることに拘りを持つ。碇シンジにシンクロ率を追い抜かれてしまったことが引き金となり、次第に自信を失っていき、使徒に敗北することで自分の存在理由を見失う。初号機の凍結中に起こった第15使徒アラエルとの戦闘で、使徒の攻撃によって精神的侵食を受け、封印していた自分の辛い過去を曝し出されて精神に強いダメージを負ってしまう。その時の対応から、ネルフが自分の価値をレイより軽視していると感じ、自己を見失う。EVAとのシンクロ率は2桁を切るという状態になり、弐号機の起動すら不可能になる。さらに加持の死を知り心の拠り所を失った彼女は、生きていく理由や自身の存在価値さえも見失い、完全に精神崩壊を起こし物言わずベッドに横たわるだけの廃人と化した。

母親は、EVA接触実験の失敗による後遺症で精神を病んだことで、人形を実の娘であると思い込み、自分を全く見てくれなくなった。その母親を自分に振り向かせようと努力を重ねていたが、弐号機のパイロットに選ばれたその日に母親は自殺した。その深いトラウマにより、「もう泣かない」「誰にも負けられない」と決意したことで、転じて、周りから必要とされる価値ある自分でいなければならない、という一種の強迫観念を根底に持ち、脆さと紙一重の強さを兼ね備えた人格に。結果的に、物語の後半(主に第拾九話以降)でその強迫観念で自分自身を苦しめてしまうことになる。

レイとシンジの関係を気にしていた面があり、2人の関係を間接的に問うている。零・初号機のパイロット互換テストの実験中にも、シンジの「綾波の匂いがする」との発言に自覚のない嫉妬心を覗かせた。駅ホームで談笑する2人を見かけた際も、「元の鞘」と評して以前からの不愉快さを示している。

宮村優子はアスカについて「今で言うところのツンデレ。異性として気になるのはシンジだけど、なかなかそれを表に出すことが出来ない[5]」と評している。

交流[編集]

主にテレビ版での対人関係を記述する。

碇シンジ
ミサトの家で同居を始めたシンジとはユニゾン特訓以降、馬鹿にした態度をとりつつも、同年代の異性として意識していると見られる姿勢・言動もある。呼び捨て、または「バカシンジ」(新劇場版では「七光り」、のちに「バカシンジ」、Qでは「ガキシンジ」)呼ばわりする。
サンダルフォン戦勝利直後にそのまま落下しかけた際、通常装備で救助に来た初号機に対しては笑顔を見せた。ミサトと加持の関係回復時、暇つぶしにという名目で自分から持ちかけ、シンジとキスをする。
第14使徒ゼルエル戦において、弐号機および零号機が完敗した前後を契機に、決定的に関係が悪化。以後から劇場版へ至るまで、シンジへは愛憎入り交じった敵愾心と執着を見せ始めるようになり、補完計画の最中における対話では独占欲を前面に押し出した想いを見せた。
ビデオフォーマット版での追加シーンなどを中心に示唆されたアスカのシンジに対する思慕と、シンジの曖昧な態度は温度差が激しく、シンジを渇望するがゆえに反発せざるを得ない、後の凄惨なやりとりに繋がっていった。
綾波レイ
同じEVAパイロットのレイに対しては、「優等生」・「人形」もしくは「ファースト」などと呼び、敵視する。
2人きりのエレベーターにてレイの「心を開かなければ、EVAは動かない」という発言に激昂し、レイとの関係は決裂した。
葛城ミサト
同居人かつ保護者。元々面識があるようで、呼び捨てにしている。来日以降、ミサトの家にシンジと共に住む。加持との関係に気をもみ、復縁が明確化されてくると嫌悪感を見せる。
加持リョウジ
強い憧れを抱く男性。加持はアスカが子供であると言い、真面目に相手をしようとはしない。

漫画版[編集]

ガキエル戦は、簡略化されており、太平洋艦隊の援護があったとはいえ単独で撃破しており、その様子を後にシンジ達がビデオで観るという形になる。それに伴い、シンジとの出会いも、トウジとケンスケ共々街を歩いている時にゲームセンターで出会うという話に変更されている。

シンジとは衝突しながらも親交を深めており、自分の出自を告白したり、シンジが自らアスカに説教したりと、テレビ版以上に自然体で打ち解け合っている。しかし、テレビ版で示唆されたシンジへの想いについては曖昧に描かれている[6]。テレビ版に比べ、猫かぶりな面が表面化していると同時に、加持への想いが強調されており、彼に向かって面と告白するシーンがあるが、受け入れてはもらえなかった。

正式な父親はおらず、精子バンクにより生まれている。実は、母親が夫との子に恵まれなかった結果、夫が他の女性との間に子をもうけ、その代償行為として不妊治療でもうけている。ドイツに養母(親戚)がいるが、「うわべだけは仲がいいだけ」である。

テレビ版と同じく心理的に追い詰められていき、渚カヲルの早期の登場によりEVAパイロットとしての地位の危うさを思い知らされた直後、使徒アラエルの精神攻撃により廃人となる。病室で彼女を起こそうとしたシンジに襲いかかって首を絞めようとするが、これはかつて幼い彼女自身が廃人となった母親に絞め殺されそうになったことの繰り返しとなった。

戦略自衛隊のNERV侵攻の際、旧劇場版と同じく弐号機の中に自らの母の存在を見つけ復活。量産機を単騎で迎え撃つも多勢に無勢で危機を迎える。その時、シンジの初号機が駆けつけて事なきを得るが、再起動した量産機が弐号機に再び襲い掛かり、右腕を引きちぎられ、背中を両刃剣で刺されるなど再び死の危機に陥る。これに激怒したシンジは彼女を救出する為に奮闘するが、その行動によって初号機のシンクロ率が250%まで跳ね上がり、暴走してしまう。劇場版のように弐号機ごと嬲り殺されることは無かったものの、その際に巻き起こった爆風に弐号機ごと飲まれた後、L.C.L還元時に加持の幻想に抱きしめられ補完された。

最終回では補完が拒否された新世界において、以前の記憶を失っている状態で復活。シンジと同じ明城学院を受験している様子で、電車で転びそうになったところを彼に助けられ、手を繋ぐ形[7]での再会を果たした(シンジはアスカのことを朧気だが覚えている模様)。

パラレル作品[編集]

新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd』では、原作とは変わらぬ立場にあるが、レイとは不仲ではなくなっている。

碇シンジ育成計画』では、シンジの幼馴染として登場。彼に好意を抱いているが素直にそれを表せない、所謂ツンデレの部分が強調されている。レイとは互いに恋のライバルとして認識しあっているが、不仲というわけではなく親しい友人同士にある。

新劇場版[編集]

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』に初登場するアスカは、日本姓が「式波」と改められた。旧作の明るく社交的な性格とは異なる、一種の武人のような無骨さを持った性格であり、NERVでも学校でも一貫して他者に無愛想である。独りでいることを好み、プライベート時には携帯ゲーム機をプレイしているシーンが多い。

一方でテレビ版ではレイとは終始疎遠だったが、当作では気を配る描写などもあり微妙に異なっている。また、テレビ版では大きな依存心を持っていた加持に対しては、全くといっていいほど興味を示しておらず、異性への興味はシンジのみとなっている。

新劇場版:破[編集]

ユーロ空軍のエースで、階級は大尉。使徒との戦いのみを心の拠り所としており、当初はレイを「えこひいき」、シンジを「七光り」と呼び馬鹿にする。その後、第8の使徒との戦いなどを経てシンジ達への見方や人生観を変化させ、他者とのふれあいによって笑うことができるようになった自分を発見する。転居当初、自室でパペットを用いて「私は特別」「1人でやるしかない」と自分に語りかけるシーンがあった。このパペットは3号機の起動実験の時も待機室に持ち込まれており、「ASUKA」の刺繍が入っている。

第8の使徒戦後、独りでは何も出来なかったことを認め、徐々に心を開くようになり、シンジに対して、呼び方を「バカシンジ」とし、自分を「アスカ」と呼ぶことを許す。さらにレイにも弁当を渡すシンジの姿を見て露骨な焼きもちを見せたり、シンジ好みの味の料理を作ろうとするなど、シンジへの好意や独占欲を見せるようになった。本部エレベーター内でのレイとの対話では、「碇司令のおすまし人形」と思っていた彼女が、シンジに真摯な思いを寄せていると考えるようになる。その後、レイがシンジとゲンドウの和解のために食事会を予定したその日がEVA3号機の機動実験と重なることを知り、自ら3号機の実験パイロット役を志願する。3号機搭乗の直前、自分は孤高に生きているが、他人と触れ合うのも悪くないとの考えをミサトに打ち明け、起動直前のエントリープラグの中では「そっか、私笑えるんだ」とつぶやく。その直後3号機は第9の使徒によって侵食され、ダミーシステム制御に切り替えられた初号機によって使徒として処理され、アスカはエントリープラグごと初号機に噛み砕かれた。この戦いの後、生存は確認され、身体の侵食痕は消えたものの精神汚染の恐れがあるとの理由により厳重に隔離され、その後本編内での登場は無かった(五体満足かどうかの描写もなかった)。

ちなみに『ヱヴァンゲリヲン:破 全記録全集』に収録の途中稿の第9使徒による侵食シーンには、テレビ版と同様の過去(母親に関するトラウマ)を匂わせる記述がある。

新劇場版:Q[編集]

『破』から14年経過しているが、アスカ曰く「エヴァの呪縛」の影響により、外見年齢は14歳のまま。左目を黒い眼帯で隠しているが、その下はただ潰れているわけではないようで、Mark.09との戦いの時には青い光を帯びていたが詳細不明。『破』から14年後、現在はフォースインパクトを目論むNERVへ反抗する武装組織「WILLE(ヴィレ)」に所属し、改修されたエヴァ改2号機γのパイロットを務める。エヴァ正規実用型8号機βのパイロットである真希波・マリ・イラストリアスとは、任務においてパートナーを組んでおり、お互いに「コネメガネ」「姫(お姫さま)」と呼び合う関係。

『破』の終盤(14年前)にサード・インパクトを引き起こしてしまったシンジに対しては、他の旧NERVのメンバー同様に怒りを見せ、また自らの立場を理解しないシンジを「ガキシンジ」「バカガキ」と呼ぶが、その一方で危機的状況に陥った際には思わずシンジの名を呼んだり、脱出したシンジのエントリープラグに肩で息をしながら駆けつけたりなど、シンジへの思慕を示唆する描写もなされている。

シンジがカヲルと共に第13号機でセントラルドグマに向かおうとしていた際には、マリと共に追撃し、第13号機およびアヤナミレイ(仮称)の駆るEVANGELION Mark.09と交戦。AAAヴンダーの乗っ取りを画策するMark.09を阻止するため、2号機を獣化第2形態へ変形させる。しかし、乗っ取りまでの時間が差し迫っていたため、やむなく2号機を自爆させた。自身はエントリープラグでの脱出によって、フォースインパクトの停止後も生き延びている。マリによって13号機から強制射出されたシンジを発見すると、WILLEによる救助を求めるため、虚脱状態に陥ったシンジに喝を入れつつ腕を引いて徒歩で荒野へ旅立った。

『Q』の予告編には左目を眼帯で覆い、『破』で着用していたものとは若干異なるプラグスーツで、青空をバックに笑顔で登場した。監督の鶴巻は「あれがないとアスカファンに殺されるかもしれませんから」と自分から予告編の復活カットを入れることを要望したという[要出典]

ゲーム版[編集]

レイ同様、SEGAからセガサターン用ソフトとして発売されていたゲームシリーズを始め、多くのゲーム作品では原作(アニメ版)の印象を忠実に再現したキャラクターとして登場しており、イメージもほぼ同一となっている一方、『新世紀エヴァンゲリオン 綾波育成計画withアスカ補完計画』など、原作の印象とは全く異なるアスカをメインに据えたキャラクターゲームも登場している。

名前の由来[編集]

「惣流」は旧日本海軍の艦船から、「ラングレー」はアメリカ合衆国海軍の艦船から、「アスカ」は和田慎二の漫画の主人公から[8]。またアスカ(=明日)の母キョウコ(=今日)との言葉遊び[要出典]

新劇場版の「式波」については、旧日本海軍の駆逐艦に敷波型の敷波(初代)、綾波型とも呼ばれる吹雪型駆逐艦特II型敷波(2代目)から[要出典]

その他[編集]

  • テレビ版第弐拾弐話でアスカが踏みつけた猿のぬいぐるみは、宮村優子のイラストを基にデザインされている。同弐拾弐話のビデオフォーマット版での追加シーンでは、アスカが5人の自分によく似た自分じゃない誰かを見せつけられるシーンがある。この5人の誰かの声優は、アスカ以外のエヴァンゲリオンの女性メインキャラクターの声優が務めている(最初から三石琴乃→林原めぐみ→長沢美樹→山口由里子→岩男潤子)。
  • テレビ版から3年後を描いたパラレルワールド的続編である小説『エヴァンゲリオン ANIMA』では、使徒との戦いや補完計画を乗り越えたことで再び自信を取り戻し、トラウマも解消されている。また、レイとの関係も修復されている。

脚注[編集]

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  1. ^ 企画段階ではO型のこともあった。
  2. ^ The description of characters, on a site of Gainax
  3. ^ 『少年エース7月号増刊 新世紀エヴァンゲリオンコミック総集編』753ページ。
  4. ^ 設定では金髪であるが、それに従った場合実際に塗る色は黄色や黄土色になり、特にテレビ画面では見栄えが汚くなるため茶色に変更された。色の心配がない漫画版でも特に金髪であることは意識されていない[3]。新劇場版ではテレビ版よりも薄く明るい茶色に描かれた。
  5. ^ 2007年9月の「FLASH EX」のエヴァ特集他より
  6. ^ シンジとの同居はアニメと違い、イスラフェル戦後にアスカの希望で同居している。その一方で、NERV本部が停電し、二人きりになった際、テレビ版のようにシンジにキスを迫るシーンがあるが、そちらでは未遂で終わっている(アスカ曰く「ただの遊び」)。ただし、前述の同居の希望やキスを持ちかけたことや、「シンジがエヴァに溶け込んだ際には心配する」、「レイとの仲をテレビ版ほどではないが気にしている」描写も存在し、好意が存在するのは間違いなく、多少の気があるのではという見方は出来る。
  7. ^ 貞本によれば、「手を繋ぐ」という演出には交流における大事な意味を持たせている。
  8. ^ 雑記”. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月1日閲覧。