ぬいぐるみ

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たくさんのぬいぐるみ

ぬいぐるみ(縫い包み)とは、型紙に合わせて裁断された布を縫合し、綿プラスティック片、蕎麦殻などを内部に詰め、動物やある特定のキャラクター等に似せて成型したもの。

または、各種催事イベントなどにおける、布やボア、プラスチック素材などで表面を形成した、人間が中に入るマスコット、衣装のこと。

または、東宝の『ゴジラシリーズ』などに代表される、おもに「特撮映画」に登場する、特殊ゴム素材などを用いた、演技者が中に入る形式の怪獣ロボット宇宙人などの異生物の造形物の、現場における用語。 後二者はマスコミなどから「着ぐるみ」と呼ばれることも多い。

愛玩物としてのぬいぐるみ[編集]

テディ・ベアのぬいぐるみ

販売物としての『ぬいぐるみ』は、一説にはテディーベアで有名なドイツマルガレーテ・シュタイフ1880年に発売したものが一番初めのものと言われている。

癒し効果があり、愛嬌のあるぬいぐるみは、老若男女問わず人気があり、UFOキャッチャーくじ引きなどの様々な景品としても利用されている。

“大きいものから小さいもの”までいろいろな形やサイズがあり、全身で抱きつくことが可能なサイズのぬいぐるみを、特に抱きぐるみと呼ばれている。 素材によっては洗えるものとそうではないものがあるが、洗えない物でもオゾンで洗うタイプの洗濯機除菌や消臭が可能とされている。

手触りの良いぬいぐるみや、寝ている物、お座りしている物などいろいろある。

素材は手触りや質感を大きく左右するので、さまざまなものが使用されている。毛並みを再現するために、天然素材のモヘヤアルパカを使った本物指向や、フェイクファーやアクリルボアなど化学繊維を使用したものがある。また、タオルのような質感のパイル生地を使用したものなどがある。

有名なぬいぐるみ愛好家としては、SF作家新井素子、作家で政治家新党日本の代表でもある田中康夫など。

特撮映画界におけるぬいぐるみ[編集]

アメリカ映画『ロスト・ワールド』に登場する、猿人のぬいぐるみ(1925年)

映画界においては、日本・海外ともに戦前からSF・特撮題材の映画に、全身を覆う衣装小道具として、ぬいぐるみは見られているが、「怪獣」という題材での本格的なぬいぐるみ使用は、日本では東宝1954年(昭和29年)に制作公開した、『ゴジラ』が元祖とされている。

日本初の巨大怪獣を映像化するにあたり、円谷英二特撮監督は、撮影日数を鑑みて、海外で主流であった人形アニメの手法をあきらめ、人間が中に入って演技を行う「縫いぐるみ」の手法を選んだ。ぬいぐるみを被って演技する役者は「ぬいぐるみ役者」と呼ばれる[1]

記念すべき初の「縫いぐるみ怪獣役者」は中島春雄手塚勝巳の両人である。内部演技者の視界は極端に制限され、火薬などを使う現場では危険も多く、また殺陣の心得も要求される特殊なものであり、高度な演技力が要求される。中島春雄は、「怪獣演技者」として「ミスター・ゴジラ」と呼ばれるほど海外でもその名が知られている。

こういった異生物の造形素材は、様々な手法で作られるが、『ゴジラ』などの怪獣の場合、特殊ゴムであるラテックスで表皮を作り、番線の鉄骨で補強し、内側にスポンジを張ったものが多い。この怪獣のパーツは制作進行に合わせて、「縫い合わされ、成形されていく」ものなのであり、たいていの場合、背中にファスナーで開閉する出入り口が設けられている[2]

よく知られた日本の技術者としては、ゴジラ以前からの先駆者である大橋史典、一作目『ゴジラ』から連綿と東宝の怪獣を手掛けた利光貞三らの「特殊美術部」をはじめ、高山良策や、開米栄三開米プロダクション)、エキスプロダクションなどが草分けとして知られている。

この映画の「ぬいぐるみ」は、現在においても映画やさまざまなメディアにおいての一表現手法として現役であり続けている。ハリウッドなどでは、一般に「スーツ」と呼ばれている。近年、日本ではこの縫いぐるみ役者を「スーツアクター」と呼ぶことが多い。

「ぬいぐるみ」の呼称は映画の現場用語であり、「スーツ」は演技者が使う用語である。近年、一般的な場では「着ぐるみ」と言い換え呼称される場合が多いが、造形家である品田冬樹は、この怪獣の「ぬいぐるみ」の「着ぐるみ」呼称への言い換えについて、「間違いであり、本来の映画現場用語としてはぬいぐるみが正しい」と述べている[3]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『怪獣人生』(中島春雄、洋泉社)、『ウルトラマンになった男』(古谷敏、小学館)
  2. ^ 『大ゴジラ図鑑』(ホビージャパン)
  3. ^ 『ずっと怪獣が好きだった』(岩波書店、2005年)

外部リンク[編集]