精子バンク

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精子バンク(せいしバンク)とは、ドナーから採取した精子を格納保存する施設、機関のこと。血統を重んじる、肉質が求められる、などの動物では、生産地のブランドを守るために厳重な管理の下に精子を保存している。人間の精子では、主に不妊症者、同性愛者、非婚の希望とともに提供されている。

歴史[編集]

精子バンクはハーマン・J・ミュラーによって提唱された。1964年に不妊の人工授精のために、最初の精子バンクが米国:アイオワ市と日本:東京で誕生した。これにより、子供の求める性質を精子の段階で選択できるようになった。以後、精子バンクの利用者は増え続け、1980年にはミュラーの影響を受けたロバート・グラハムがノーベル賞受賞者専用の精子バンク「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」(ジャーミナル・チョイスはミュラーの言葉である)を開設し、大きな話題を呼んだ。現在ではアメリカだけで100万人以上の子どもが精子バンクの人工授精によって誕生している[1]

方法[編集]

採取された精子は、0.4~1.0mlほど小さなガラス瓶やストロー容器に入れ、液体窒素で凍結する。保存期限はなく、20年以上経った精子を使って健康な子が生まれた例もある。

法規制[編集]

日本における状況[編集]

主に不妊治療として精子バンクが利用されている。非婚を希望する女性による利用も多い[2]。 精子提供により生まれた者として、全国では唯一、横浜市立大学医学部付属病院の加藤英明医師が、DIであることを公表している。

米国における状況[編集]

米国では、2005年5月24日より新しいガイドラインを伴ってFDAによって管理・規制されている。匿名ドナーと公開ドナーのいずれを使っても安全性は確かめられている。ドナーは頻繁にテスト、監視され、全ての精子は最低6ヶ月間ドナーの健康性の確証が得られない限り公開されない。検査は、HIV-1,HIV-2,HTLV-1,HTLV-2、白血病梅毒クラミジアクロイツフェルトヤコブ病、核型分析46,XY、海綿状脳症、サイトメガロウイルス淋病に及ぶ。無償提供の団体も多々あるが、全く個人的に精子を販売している人もいる。

精子は人気ごとに異なる値段がつけられ、ランキング上位にはスーパーモデル、(TV、新聞、雑誌や、ホームページなどで活躍する)モデル、成功を収めた商人、優秀な医者弁護士数学者等の専門家、スーパーハッカーなどが名を連ねる。

米国では精子提供者の匿名性保持が不可能となったため、提供者は減少している。また所得の少ない女性には、自宅でのセルフ受精を行っている企業もある。冷凍されて送られた精子を室温で解凍し、専用の注射器で子宮口付近に自己注入する手順である。注入後15-30分横になっていることが推奨されている。また注入後、腟への異物の挿入を伴わないオルガズムは、子宮口が腟内の精子プールに動くことを助け、受精率を上げるとされている。

生命倫理上の問題点[編集]

精子バンクは、優生学人種差別に繋がる等と指摘されており、問題視する声も上がっている[3]。先述の「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」(胚の選択のための倉庫)は、そもそも創設者ロバート・クラーク・グラハムの公言する設立主旨[4]はマスコミや世論から轟々たる非難を浴びた。一方、社会学者シュテファン・キュールは著書『ナチ・コネクション』の中でデザイナーベビーの問題ともあわせ、現代アメリカで人間を対象としている遺伝子産業とナチスが進めていた優生学研究との関連性について指摘している[5]

書籍『ジーニアス・ファクトリー』によれば、「結果として言うのであれば、ノーベル賞科学者の精子を元に子供を生んでも、同じノーベル賞科学者は生まれなかった。ある程度の優秀さを持つ人間から、人生を棒に振った者まで、すべて”天才”というわけではなく、そこに様々な人生の成功者から失敗者が存在した」(あとがきより)という記述がある。

脚注[編集]

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  1. ^ 『ジーニアス・ファクトリー』 デイヴィッド・プロッツ 著
  2. ^ 「結婚はイヤ、でも子供は欲しいという女たちをどう考えるべきか」、『週刊ポスト』2013 8/2号
  3. ^ 斎藤貴男『機会不平等』(文藝春秋)、米本昌平『遺伝管理社会 ナチスと近未来』(弘文堂
  4. ^ 「みなさんは現在の世の中をどう思いますか?ろくに教育も受けていない愚か者が、自由に繁殖を繰り返し、その結果、知的な一握りの人類の生存が脅かされているんです。このままでは、優秀な遺伝子が、劣等な遺伝子に駆逐されてしまいます。私は最良の遺伝子を、少しでも多く残すために、ノーベル賞精子バンクを、起ち上げたのです。」。
  5. ^ 「現在、優生思想は復活しつつある」。「民族的少数派と障害者に対するヒトラーの政策を支持した人物たちによって創設され、合衆国にナチスの人種プロパガンダを導入するために資金を提供した『パイオニア財団』は、現在もナチスの措置に科学的根拠を与えた初期の諸研究と酷似した研究に財政援助を行なっている。」。

参考文献[編集]

関連項目[編集]