新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

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新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air / まごころを、君に
The End of Evangelion
監督 庵野秀明(総監督、26話監督)
鶴巻和哉(25話監督)
脚本 庵野秀明
製作 角川歴彦
池田頌夫
山賀博之
倉益琢眞
出演者 緒方恵美
三石琴乃
林原めぐみ
宮村優子
ほか
音楽 鷺巣詩郎
撮影 白井久男
編集 三木幸子
製作会社 EVA製作委員会
配給 日本の旗 東映
アメリカ合衆国の旗 マンガ・エンターテイメント
公開 日本の旗 1997年7月19日
上映時間 87分
第25話『Air』約46分
第26話『まごころを、君に』約40分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 14.5億円(配給収入
24.7億円(興行収入
前作 DEATH & REBIRTH シト新生
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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(しんせいきエヴァンゲリオンげきじょうばん エア まごころをきみに、英題:The End of Evangelion)は、1997年7月19日に全国東映東急系で公開されたアニメ映画である。略称は「夏エヴァ[1]、「EOE[2]。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』発表から以後、「旧劇」「旧劇場版」とも呼ばれる。

概要[編集]

1995年秋から1996年春まで放送された同テレビアニメシリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』の第弐拾伍話と最終話をリメイクし、完全新作として上映されたものである(テレビシリーズとは区別するために話数を漢字からアラビア数字表記に変え、アイキャッチ画面ではそれぞれEPISODE:25’、ONE MORE FINAL:と表示された)。本作をもって『新世紀エヴァンゲリオン』は完結を迎えた。

当初は1997年春の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』で完結する予定だったが、『REBIRTH』編の制作が間に合わなかったために途中までの公開となり、同年夏に本作が公開されることとなった(詳しい経緯は『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』を参照のこと)。なお『REBIRTH』で公開されていた部分についてはアフレコSEBGMの録り直しや、画面上での若干の修正、追加が行われている[3]

第25話『Air』(エア)は、劇中BGMに使われているヨハン・ゼバスティアン・バッハ作の『管弦楽組曲第3番第2曲』の「G線上のアリア」(Air) から。また第26話『まごころを、君に』は、 ダニエル・キイスの著作『アルジャーノンに花束を』が映画化された時の邦題「まごころを君に」から。

前売券はオリジナルポスターが付いたものが発売された[4]。また『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の前売券も、未使用のものに限り使用可能な措置がとられている。公開2日前の7月17日には、よみうりホールにてテレビ東京系列試写会が開催された[4]

1997年度の第21回日本アカデミー賞話題賞を受賞。

ストーリー[編集]

第25話 Air (EPISODE:25’ Love is destructive.)[編集]

全ての使徒を倒したNERVに対し、サードインパクト発動を目論むゼーレが戦略自衛隊(戦自)を使った武力占拠を開始する。施設が次々と破壊・占拠されていく中、シンジは戦自隊員に発見され殺されそうになるが、生きる意思を失くしていたシンジは抵抗すらしなかった。それをミサトが寸前で救出するが、移動中に銃撃に遭って負傷し、シンジにEVAで戦うよう言い残して命を落とす。一方、廃人状態だったアスカは覚醒し、EVA弐号機で戦自の部隊を壊滅させるものの、ゼーレが送り込んだEVA量産機9体によって倒される。シンジがEVA初号機に乗ると、初号機は翼を現し空に浮かぶが、アスカの乗った弐号機が解体され捕食された惨状を目にしたシンジは絶叫し精神を崩壊させる。

第26話 まごころを、君に (ONE MORE FINAL: I need you.)[編集]

シンジを乗せたEVA初号機を依り代としてサードインパクトが始まる。これによって人類は個体の生命体としての姿を保てなくなり液化して崩れていき、その魂は「黒き月」に集められる。初号機はレイやカヲルの姿をとる巨人(第2使徒リリス)に取り込まれ、シンジはレイとカヲルに再会する。そこでシンジは人類が単体の生命となることを望まず、それぞれの個人がいる従来の世界を望みリリスは首から血を噴き出しながら倒れ崩れ落ちていく。

元の世界へと戻ってきたシンジは気付くと赤い海に囲まれた砂浜にアスカと横たわっていた。アスカの存在に気付いたシンジはアスカの首を絞めはじめる。その最中にアスカから頬を撫でられ、首を絞めるのを止めて嗚咽するシンジに、アスカが一言「気持ち悪い」と言い放つのだった。

解説[編集]

劇場版では、テレビシリーズの最終話では語られることのなかった、もう1つのエンディングを映像化している。使徒ではなくヒトの手によるサードインパクトの発現(無への回帰による贖罪と完全な単体生命への進化)を目指すゼーレと、それを阻止しようとするミサト達の戦い、アダムとリリスの融合によりゼーレとは異なる人類の補完を目指すゲンドウなどが描かれ、戦略自衛隊のNERV本部強襲、エヴァンゲリオン量産型の投入などが、過激な死の描写とともに描かれていく。その一方でテレビ版弐拾伍話と最終話同様にシンジの精神世界が描かれる。

大月俊倫は「あまり言うとネタバレになっちゃうんですが(笑)12年前の『エヴァ』では、あの頃の社会状況や庵野さんの内面の問題があったりして、 特に劇場版は世界が破滅して、シンジとアスカだけ生き残るという破滅的な形で終わりましたから、あの続きはありえないんですよ」とシンジとアスカのみが生存との製作側の認識を示している[5]。同様に劇場版主題歌「魂のルフラン」の歌詞についての及川眠子へのインタビューでも、「みんな死んじゃうから、というので輪廻をテーマにしたんです」、「魂のルフランはこれで終わりという歌ですから、新しい詞は書きようがないんですね。輪廻を出してしまったら次はないですよ。今度の映画ではみんな死んじゃったんでしょ」、「打ち合わせの時にみんな死んじゃうんですかって(庵野に)聞いたら、次が出来ないように殺しちゃうんです。もう疲れましたからって(笑)」としている。

また、大槻ケンヂとの対談でどういう話(テーマ)なのかと聞かれた際、庵野は「最終的には、いいじゃん、他人がいても、ということですね」と述べている。

その他[編集]

  • 第25話ではEVA初号機のもとへ送り出されたシンジが、「やっぱり来るんじゃなかった……」と呟くセリフになる予定であったが、シンジ役の緒方恵美が「ミサトもアスカも皆も一生懸命に戦っていたのに、それはないでしょう」と庵野に話し、結果「だってエヴァに乗れないんだ。どうしようもないんだ」とのセリフへ変更された[6]
  • 第26話の実写パートは、新宿ミラノ座(現・新宿ミラノ1)で撮影された。同じく商店街のシーンがあるが、こちらは千歳烏山駅前で撮られたもの。
  • 同じく第26話の実写パートでのファンレターやネットの投稿、GAINAX SHOPへの落書きなどは、実際にGAINAXに送られた手紙やメール、ネット(パソコン通信)の書き込みを元にスタッフが作成したものである[7]
  • ラストシーンは元々台本では「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ」となっていたが、のちに「気持ち悪い」へと変更された[8]。このシーンには挿入歌「Everything you've ever dreamed」が使われる予定だったがこの変更で幻となった[9]
  • シンジ役の緒方恵美は、ラストシーンの首絞めは庵野の知人の女性の体験談がモデルであると発言している[10]
  • 本映画は公開3週目から一部の映画館では『角川アニメフェスティバル'97』(同時上映:『スレイヤーズぐれえと』、『天地無用!真夏のイヴ』)として上映された。
  • テレビシリーズで副監督を務めていた摩砂雪は、今作では「ビジュアルウォーターアーティスト」という役職が充てられている。「新世紀エヴァンゲリオン絵コンテ集」3巻・4巻巻末に収録されたインタビューのプロフィールにその経緯が触れられているが、真偽は不明(内容は摩砂雪がDEATH編制作終了後の残務処理を怠ったことに激怒した庵野によって格下げされたというもの)。
  • 2003年11月27日に発売されたテレビシリーズ版リニューアルDVDの7巻と8巻には映像特典としてそれぞれ第25話『Air』と第26話『まごころを、君に』の次回予告が収録されている。
  • キャッチコピーは「だから みんな、死んでしまえばいいのに…」「では、あなたは何故、ココにいるの?」「…ココにいても、いいの?」。
  • 2014年8月26日未明の『映画天国』(日本テレビ)で地上波としては初の放送をされる予定[11]

劇場版第25話・第26話とビデオ版第25話・第26話[編集]

1998年、劇場版BOX(VHS・LD)に先行して発売されたテレビシリーズのビデオ版(VHS・LD)にはテレビシリーズ第弐拾伍話と第25話[12]が、最終話と第26話[13]が併行して収録された[14]。ビデオ版第25話と第26話の内容は劇場版と同じであるが劇場版とは異なる部分がある。

  • テレビシリーズ第弐拾四話終了後の第弐拾伍話の次回予告の後に第25話「Air」の次回予告がある[15][16]
  • テレビシリーズに併行して収録された第25話「Air」、第26話「まごころを、君に」はテレビシリーズの第弐拾伍話と最終話の同じ設定を使い、同じテーマを、別の展開で描いてリテイクしたもの[17]となるためオープニングで「劇場版」と表記されていない[18]。このためアイキャッチの時の英語表記は「THE END OF EVANGELION」ではなく「NEON GENESIS EVANGELION」となっている。
  • 第25話終了後のスタッフテロップが劇場版とビデオ版では異なる[19]。またバックで流れる「THANATOS-IF I CAN'T BE YOURS-」の曲の長さも異なる[20]
  • ビデオ版第25話にはエンディングの後に第26話の次回予告がある[21]
  • 挿入歌「Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ」が流れる直前のアスカの台詞が劇場版第26話とビデオ版第26話とでは若干異なる[22]
  • 劇場版第26話では「終劇」とクレジットされ物語は終わるが、ビデオ版第26話では「完」とクレジットされ物語が終わるとエンディングが流れる[23]

劇中音楽[編集]

リリース[編集]

  • VHS・LD
    • 新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:13 - 1998年8月12日[26]
    • 新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:14 - 1998年9月9日[27]
    • 新世紀エヴァンゲリオン劇場版BOX - 1998年12月23日
  • DVD
    • 新世紀エヴァンゲリオン Volume 7 - 1999年1月22日[28]
    • 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 - 1999年9月22日
    • 新世紀エヴァンゲリオン SECOND IMPACT BOX 下巻 - 2001年6月22日[29]
    • NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX - 2003年6月25日
    • 劇場版 NEON GENESIS EVANGELION-DEATH (TRUE)2:Air/まごころを君に - 2003年11月27日
    • 劇場版 DTS COLLECTORS Edition - 2004年11月3日
    • NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX〈復刻版〉 - 2007年4月23日
    • NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX '07 EDITION〈廉価版〉 - 2007年8月1日
    • 日テレ限定 新世紀エヴァンゲリオンDVDボックス
  • UMD®Video 新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ-another cases-10周年記念メモリアルBOX
    • (新世紀エヴァンゲリオン DEATH(TRUE)2・Air/まごころを、君に)
  • CD
  • 書籍
    • 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 フィルムブック「Air」 - 1997年10月
    • 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 フィルムブック「まごころを、君に」 - 1997年11月20日
    • 新世紀エヴァンゲリオン フィルムブック リミックス3 - 2000年11月
    • Groundworks of Evangelion The Movie(全2巻) - 2001年10月26日~2002年1月18日

脚注[編集]

  1. ^ アニメ様の七転八倒第61回,小黒祐一郎,WEBアニメスタイル_COLUMN
  2. ^ 『CUT』2009年8月号 貞本インタビュー
  3. ^ 『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のパンフレットより
  4. ^ a b テレビ東京『新世紀エヴァンゲリオン』公式サイト,internet archive
  5. ^ サイゾー2006年11月号
  6. ^ 「エヴァンゲリオンフォーエバー」より
  7. ^ 劇場版リニューアルDVD内付属ブックレット、解説より
  8. ^ 2005年3月28日放送 BSアニメ夜話
  9. ^ 曲は後に「NEON GENESIS EVANGELION: S2 WORKS」などに収録される。
  10. ^ 井手功二のエヴァンゲリオンフォーエヴァー』(アミューズブックス
  11. ^ 関東ローカルのみ放送予定。日テレ、ジブリの次は「エヴァまつり」新劇場版3週連続放送へ(庵野秀明)ニュース, -ORICON STYLE- 2014年7月18日
  12. ^ 収録:新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:13
  13. ^ 収録:新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:14
  14. ^ 1999年1月22日発売のDVD(新世紀エヴァンゲリオン Volume 7)にはテレビシリーズ第弐拾伍話、最終話と第25話、第26話の4話分を収録。
  15. ^ テレビシリーズのビデオ版と同じ30秒バージョンの次回予告
  16. ^ 収録:新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:12(VHS・LD)、新世紀エヴァンゲリオン Volume 6(DVD)※新世紀エヴァンゲリオン SECOND IMPACT BOX 中巻収録分を除く。
  17. ^ 新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:13 LD版 第弐拾伍話の解説
  18. ^ 第25話のオープニングはテレビシリーズのアイキャッチ(「新世紀エヴァンゲリオン」)、第26話のオープニングは劇場版のオープニングと同じであるが表記は「NEON GENESIS EVANGELION」となっている。
  19. ^ 劇場版ではオレンジ色のスタッフテロップ(第25話・第26話の2話分)が下から上へと螺旋状にスクロールしていく。ビデオ版では白色のスタッフテロップ(第25話のみ)が赤い雪が舞う中を下から上へとスクロールしていく。
  20. ^ 劇場版はフルバージョン。ビデオ版はショートバージョン。
  21. ^ テレビシリーズのビデオ版と同じ30秒バージョンの次回予告
  22. ^ 劇場版第26話では「イヤ」と台詞が入るがビデオ版第26話では台詞は消え、代わりに左上に縦書きで「イヤ」の字幕が出る。
  23. ^ 白色のスタッフテロップ(第26話のみ)が白い雪が舞う中を下から上へとスクロールしていく。曲は「主よ、人の望みの喜びよ」(ストリングスバージョン)
  24. ^ 収録:新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:13、新世紀エヴァンゲリオン Volume 7
  25. ^ 収録:新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:14、新世紀エヴァンゲリオン Volume 7
  26. ^ テレビシリーズ第弐拾伍話「終わる世界」と第25話「Air」を収録
  27. ^ テレビシリーズ最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」と第26話「まごころを、君に」を収録
  28. ^ テレビシリーズ第弐拾伍話、最終話と第25話、第26話を収録
  29. ^ 新世紀エヴァンゲリオン Volume 7が収録されているが第弐拾伍話と最終話のみの収録。ビデオ版第25話と第26話は未収録。

受賞歴[編集]

外部リンク[編集]