ルー=ガルー 忌避すべき狼

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ルー=ガルー 忌避すべき狼
ジャンル SF
漫画:ルー=ガルー
原作・原案など 京極夏彦
作画 樋口彰彦
出版社 徳間書店講談社
掲載誌 月刊COMICリュウ
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ルー=ガルー 忌避すべき狼』(ルーガルー きひすべきおおかみ)は、京極夏彦によるSF小説である。

それを原作とした樋口彰彦による漫画、アニメ映画『ルー=ガルー』、及び続編『インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』(インクブススクブス あいいれぬむま)についてもこの項で記す。

小説[編集]

作品名について[編集]

公募による近未来設定[編集]

1998年から開始された「F・F・N」(フューチャー・フロム・ナウ)という企画の取組みで、アニメ雑誌アニメージュ」や漫画雑誌Chara」、またインターネット上で募集した、近未来における様々な着想が作中に登場している。

あらすじ[編集]

近未来、ヒトはヒトと端末(モニタ)によって繋がっていた。管理社会に統制された都市に住む住民達は、常に現在地情報が監視された状態であり、物理接触(リアルコミュニケーション)が希薄になっていた。少年少女にとっては学校だけが唯一のコミュニケーションの場だった。

ルー=ガルー[編集]

少年少女を対象とした連続殺人事件が起こったことによって、リアルに人と関わり合うことがなかった気弱な少女牧野葉月、天才少女都築美緒、人と関わることを避ける少女神埜歩未らは偶然被害者の一人、矢部祐子と接触[2]したことから事件の渦中に巻き込まれていく。真相に近付いていく中で次第に葉月は、今まで知っていたモニタの中だけの世界とは違うものが世界には広がっていることに気付き始める。

インクブス×スクブス[編集]

『ルー=ガルー』での事件から3か月。あの時の出来事が未だに現実とは思えない来生律子は、ある日共に事件の被害者となった作倉雛子と接触。会話をするうちに幼馴染であり殺人者であった中村雄二に対して疑問を抱き始める。一方元刑事となった橡兜次は神埜歩未を訪ね、事件の際に殺された者の中に同級生の霧島タクヤがいたことを告げる。二人の死者の奇妙な共通点、そして雛子が律子に託した「毒」。やがて事件は再び少女たちの周りで動き出す。

登場人物[編集]

声優は映画版のもので、誕生年月日と血液型のデータは映画版の設定。

未成年者[編集]

牧野 葉月(まきの はづき)
声 - 沖佳苗
2021年8月15日生まれ、AB型、14歳。
他人との接触・対話を苦手とする「コミュニケーション障害(「対人恐怖症」とは別物)」で、漫画版では興奮すると鼻血を出すことが多い。引っ込み思案だが仲間思いで、親友(仲間)が危機に瀕した際、その危機に対して一緒に立ち向かう意志の強さを見せる。4歳の時に県議の養女となり、戸籍上のきょうだいが6人いる。黒いストレートのロングヘア(映画版では肩までのショート)。122エリアA地区のセキュリティシステムが完備された家に普段は一人で住んでいる。親(養父)である牧野議員は家には滅多に帰らないものの、テレビ電話で頻繁にコミュニケーションを重ねている。動物に詳しい。健康レベルはB(映画版ではAダッシュ)。
二作目では登場人物の一人として登場。律子に「本当はコミュニケーション障害ではないのではないか」と言わせるほどに対人関係には少し強くなっている(ただし少女たちの前のみ)。
小説(一作目)は彼女と不破静枝の視点で、漫画版及び映画版では葉月・歩未・美緒の3人と麗猫を中心に物語は展開する。
神埜 歩未(こうの あゆみ)
声 - 五十嵐裕美
2021年10月24日生まれ、A型、14歳。
牧野と同じコミュニケーション研修クラス。物語開始から5年前に転入してきた。寡黙で、他の少女とは違う独特の雰囲気を放っている。一人称は「僕」。余計なものを嫌っているためか、髪はベリーショートにしている。服装も語り口も無駄がない。姉と2人で暮らしているが、その姉は長期出張中で不在のため、実質一人暮らしの状態。普段は122エリアA地区にある(登録住居である)家には入らず、屋上に増築(違法建築)した離れ小屋で動物のと一緒に暮らしている(映画版では自宅敷地内にある廃墟で過ごすことが多い)。健康レベルはダブルA(映画版ではトリプルA)。
作中では「狼」と比喩的に呼ばれることが多い。自らの性質に悩み、犯した罪を裁いて欲しいと願い続けている。
都築 美緒(つづき みお)
声 - 井上麻里奈
2021年5月16日生まれ、O型、14歳。
14歳にして既に海外の大学院博士課程のカリキュラムまで進んでいる天才少女でプラズマ工学に関しては世界的な権威だが、自分の興味の範疇にないことは一般常識でも知らないことが多く、たまに間違えることがある。特に生物に関してはカメ以外はほとんど知らない。手先は器用だが、絵だけはものすごく下手。ことわざや慣用句を頻繁に間違える。猫科の小動物のような眼をしていて、髪型はショートボブ(漫画版ではセミロング、映画版ではポニーテールなど数種)である。122エリアの経済的に恵まれていない居住者が多い「C指定地区(旧カンラク街)」にある通称ツヅキビルの2階にある自宅の部屋を、巨大な端末に改築した。両親がいるが、ずっと帰ってきていない。ハッキングを「魔法」と呼び、天才的ハッカーとしての自分を「魔法使い」に例えている。その技能を生かし、自分と歩未、葉月の間で秘密のホットラインを作り通信に利用している(二作目で律子も加入した)。漫画版では後頭部につけているウミガメ型の携帯端末を利用して学校や外出先でハッキングすることも少なくない。「カイジュー」が登場する20世紀の動画フィルムを好み、その中に登場する火の玉を吐くカメに影響され「カメにできて人間にできないはずがない」というだけの単純な動機で法律違反の武器となるプラズマ発生装置とその発射装置(プラズマ砲)を自作している。漫画版では、年齢の割にプロポーションがいい。麗猫とは幼馴染。健康レベルはA+(映画版ではB)。
二作目ではカメのブームは終わり、次はバッタの改造人間に影響を受けバイクに興味を持ち出す。また祖父(賢章)が未登録住民の保護に昔から関わった恩人とされる人物で父(賢太郎)もその仕事に就いており、それ故登録住民にも関わらずC指定地区で生活していることが明かされた。律子から「毒」の解析を依頼されることとなり、神崎ケミカルの研究室に侵入するが、何者かに自宅を爆破される。
映画版ではグループ研修の自由課題として、21世紀初頭に結成された4人組ユニット「SCANDAL」のプロモーションビデオの演奏を再現しようと持ちかける。また、「SCANDAL」のマスコットキャラクター「キャン太」のポーチを愛用しており、その中に端末などを入れて持ち歩いている。
矢部 祐子(やべ ゆうこ)
声 - 植竹香菜
2021年6月11日生まれ、A型、14歳。
青白い肌で、ピンクのコンタクトレンズ・ピンクのピアス(漫画版ではピンクの髪と薔薇のピアス)が特徴。絵が上手で、DC(デフォルメーション・キャラクター)のイラストコンテストである「DCビエンナーレ」で賞を取ったこともある(映画版ではDCイラスト投稿サイトの常連となっている)。通常の人よりもモノがデフォルメされて見える「形状認識異常」のため、写真と絵の区別が困難という認識障害を抱えていること(映画版では彼女のオリジナルイラストが半世紀前のとあるアニメーションのキャラクターに酷似していたこと)が原因で川端、中村に命を狙われることになる。歩未の手で保護されてから、美緒の作戦で葉月の家の前でエリア警備に引き渡されたはずだったが、その翌日内臓の一部を抜かれた惨殺体となって発見される。その際、エリア警備の情報が改竄されていたことが発覚し、少女たちは警察内部に犯人がいる可能性に思い至ることとなる。漫画版では自身の障害を雑誌記者に嗅ぎつけられ付きまとわれていたところを葉月たちに助けられたのがきっかけで深い交流が始まった。健康レベルはトリプルA(身体能力のみD)。
作倉 雛子(さくら ひなこ)
声 -
2021年10月9日生まれ、AB型、14歳。
おかっぱに近いショートヘア(映画版ではウェーブがかかったロング)で、黒いゴシック・ファッションに身を包んでいる。その服装から「葬式娘」と呼ばれている。灰色の口紅をしている。占いを嗜むために勘違いされがちだが、偶然に対してライプニッツ的な形で理解しているだけである。矢部に頼まれて彼女を占い、良くない結果が出たため忠告した。聡明で、記憶力も優れている。122エリア在住で、養父母と兄がいる。人を寄せ付けないような独特の雰囲気を漂わせているが、次第に「自分が知らないことを造詣が深い人に尋ねる」と立場や年齢の枠を無視して頼ってきた不破を信頼するようになり、“運命”すら破壊してしまうほどの活躍を見せる葉月たちに興味を示すようになる。映画版での健康レベルはダブルA。
二作目では「毒」を手にしており、事件に深く関係する。前作と変わらずモノクロなゴシック・ファッションだが、本作では更に人形のようであるとも表現されるようになる。
来生 律子(きすぎ りつこ)
声 -
2021年11月22日生まれ、B型、14歳。
ツインテールで、関西弁に似た独特のイントネーションで話す。2年前に、306エリアから122エリアに転入してきた。足の不自由な祖父と2人暮らしで、祖父の口癖をよく引き合いに出す。幼少期に中村との交流があり、中村の身を案じている。健康レベルはB。
二作目では主人公となり、物語は律子と橡 兜次の視点で交互に進んでいく。現在は違法とされる二輪の移動機械をワークスペースで組み立てている。共に脳神経外科医だった両親を殺害されたことで引越しをしているが、そのことに関して上手く感情を持つことが出来ずにいる。雛子から「毒」の小瓶を受け取ったことから事件に関わることとなる。
漫画版ではメディカルチェックの直前に葉月らのクラスに編入してきた。誰とでもうち解ける性格だが、胸が小さいことにコンプレックスを抱いており、美緒と会うたびに胸を見てはあからさまな発言を繰り返す。父親は医者ではなくエンジニアで転勤が多いという設定。

その他[編集]

麗猫(レイミャオ)
声 - 沢城みゆき
誕生日不明(推定年齢15歳前後)、B型。
美緒の幼馴染で、戸籍をもたない「未登録住民(ゴースト)」の一人。長身。ストレートのロングヘア(漫画版では三つ編み)に中国服というスタイルで、拳法に長けている。野良猫に餌をやって可愛がっている。川端、中村に襲われていた矢部を助け、匿っていた。最初のうちは体制側(管理社会)で恵まれた生活を送る葉月ら「端末持ち」を嫌悪し、幼なじみの美緒さえも遠ざけようとしていたが、事件に深く関わるうちに美緒と和解し、葉月らとも打ち解けるようになる。川端、中村が殺された後、石田に殺人容疑をかけられる。漫画版では、6年前に父親が「紫苑エンタープライズ殺人事件」の犯人とされて処分されたという過去を持つ。
二作目では未登録民であるために唯一公安からの監視を受けていないが、他の事件関係者の少女たちに監視がついたため接触できずにいた。相次ぐ未登録民の失踪について調べていたが図らずも橡と行動を共にし、嫌悪していた体制側かつ(元)刑事の橡への理解を徐々に示し始める。
川端 リュウ(かわばた リュウ)
声 - 坂巻学
2019年11月12日生まれ、O型、16歳。
保健衛生局員の息子。セル式(旧式)動画である「アニメ(20世紀アニメーション)」の信奉者。中村と共謀し、エリア内で連続殺人を繰り返す。
中村 雄二(なかむら ゆうじ)
声 - 勝沼紀義
2019年4月10日生まれ、AB型、16歳。
川端のクラスメート。「アニメ」の信奉者で、この時代の主流であるDC(デフォルメーション・キャラクター)とアニメが新旧問わず一括りで呼ばれるようになったことを嫌悪している。川端と共謀し、エリア内で連続殺人を重ねる。矢部裕子を襲った。父の前任地が306エリアで、律子の家の隣に住んでいたため、彼女とは幼なじみ。漫画版では原作より出番が多く、律子と言葉を交わす場面もあり、幼少期に父親から虐待されて育ち父の死後施設に引き取られる前に絶望の中でアニメに出会い救われたという設定になっている。
二作目には名前のみ登場。律子に一作目の事件への疑問を抱かせる要因となった。また、父親がKSSの幹部として登場する。

成年者[編集]

不破 静枝(ふわ しずえ)
声 - 平田絵里子
2007年12月14日生まれ、A型、28歳。
中央からの派遣カウンセラー。指定エリア内の、未成年者の生活環境の管理とメンタルケアを行うのが仕事で、牧野のクラスを担当している。消毒用ウエットペーパーを手放せないが、そのウェットペーパーの消毒臭にすらも抵抗を感じる極度の潔癖症。母・幸枝は著名な児童精神病理学者だったが、4年前(漫画版では10年前)に連続殺人事件に巻き込まれ殺害されている(映画版では「連続殺人犯との逃避行の果てに心中した」ということになっている)。その母を嫌いながら、自分も母と同じ仕事をしている現実に対し、自己嫌悪に陥っている。猟奇殺人解決の名目で県警から児童の情報公開を求められ、データベースを作成することになる。
二作目ではカウンセラーを休職中。硬かった表情は笑顔が浮かぶようになったが、生真面目な性格は変わらない。小山田からは名前ではなく「カウンセラー」と呼ばれる。
映画版では母が巻き込まれた事件の捜査を担当して以来、腐れ縁が続く橡のことを憎からず思っているらしい。
橡 兜次(くぬぎ とうじ)
声 - 河本邦弘
1995年3月29日生まれ、B型。
県警刑事課の地方公務員。巡査部長。四十歳半ば過ぎ(映画版では40歳)で、屈強そうな出立ちをしているが見た目とは裏腹に喧嘩は弱く、仕事以外ではだらしない部分があり、潔癖性の不破からは不潔がられている。バツイチ。119エリア出身だが、15年近く実家に帰っていない。川端、中村が犯行を繰り返していたDCに関わる連続殺人事件とは別に、臓器の一部を持ち去る別の連続殺人事件が同時進行している事実に迫った矢先、石田の指示で捜査から外され謹慎させられてしまうが、それを機に事件の核心へと迫るべく不破と手を組むことになる。また、物語から1年前に起こった「紫苑エンタープライズ」の連続殺人事件で一部の被害者に見られる臓器の欠損という関連性にも気づいていた。
二作目では一作目の事件の結果、県警をほぼ免職のかたちで自主退職している。同級生であった霧島タクヤについて調べるうちに怪我を負い、麗猫に半ば守られつつ共に行動をするようになる。
映画版では過去に不破の母が自殺(?)した事件を担当していたことを通じて、不破とはそれなりに親しい関係にある。
石田 理一郎(いしだ りいちろう)
声 - 青山穣
1999年7月19日生まれ、AB型。
県警刑事部R捜査課強行犯担当管理官。橡の上司だが、橡より2、3歳年下(映画版では36歳)。不破たちカウンセラーに「連続殺人事件の再発を防止するための超法規的措置」を口実に本来なら違法行為となる担当児童の個人情報提供を要請する。合成食品産業の創始者である「SVC」初代会長・鈴木 敬太郎の曾孫で、政財界にも強い影響力を持つエリート官僚。また、エリア警備を経営する「D&S」創始者の孫でもある。幼少期から成績は119エリアで一番だった。
事務局長
声 - 西村知道
牧野議員/養父
声 - 佐藤晴男
県議。葉月の養父。6人の養子たちをそれぞれ別の家で養っているが、多忙のためなかなか彼らに会いに行くことができない。
司馬 佑子(しば ゆうこ)
カウンセラー。連続殺人事件の6番目の被害者である相川亜寿美を担当していた。
アルヴィル
フランス人のエリア警備。元傭兵。スキンヘッドに孔雀のヘッドアートをしている。
漫画版では「紫苑エンタープライズ殺人事件」の容疑者だったが、証拠不十分とされた。現在は鰐淵勇雄の名で122エリアのエリア警備課長の職に就いている。
高杉 章治(たかすぎ しょうじ)
県警刑事部R捜査課課長待遇の警部。橡の後輩だが階級は上。橡を信用しているため出世できないといわれている。童顔。
鈴木 敬太郎(すずき けいたろう)
SVCの前身である『鈴木食品化学』の創業者。自然保護を旗印にしている代議士のほとんどに彼の息がかかっているという。物語の時点で生誕115周年を控え(漫画版では生誕160周年)、20年ほど前に死亡している。
霧島 タクヤ(きりしま タクヤ)
橡の(「児童の頃」の)同級生。30数年前に少女と両親と兄を殺害し、未成年かつ犯行時に責任応力がなかったとして医療施設に収容されたが、出所後行方不明となっていた。
一作目で殺害されているが、そのことに橡が気付くのは二作目になってからである。少女と家族とで犯行の手口が違ったこと(少女を撲殺したのに対し、家族は刺殺している)や、犯行前後に橡にコンテンツの録画を直接頼みに来たことに不審を覚えたことがきっかけで橡はこの事件の再調査を開始した。
作倉 遼(さくら りょう)
神崎ケミカルコーポレーションの主任研究員。雛子の兄。
小山田(おやまだ)
全国統合警察機構公安部十課の警部。遮光ゴーグルを着け黒いスーツに黒いグローブ、髭を生やした外見のため律子に怪しまれ続ける。
GIDだったが、同性愛者の親類に襲われて心に傷を負ったことがきっかけで、カウンセリングを受け生物学的性別に自己を矯正した過去を持つ。
一作目で事件を起こし不問とされた少女たちを監視していた。神崎ケミカルの調査を進めており、その過程で律子や橡らを陰ながら助ける。
秀朧(しゅうろう)
非合法の医者。禿頭の老人。123エリアに長年住む未登録住民。様々な怪我や病気を治し、未登録住民たちから尊敬されている。一作目で銃弾を受けた猫の治療をした。
宋冲(そうちゅう)
若い未登録住民。頭に血が昇りやすく、感情で物事を判断してしまいがちな性格。

世界設定[編集]

児童(じどう)
本作では「全ての未成年者」を指す言葉。
物理接触(リアルコミュニケーション)
「端末」などを介せずに、人々が直接対話をすること。作品世界では「端末」の普及などにより、物理接触は一種の特別な行為とされており、煩わしいとして嫌悪する者も珍しくない。
端末モニタ
この世界で使用される複合型情報機器の総称。漫画版では手首に装着するリング状の端末から立体映像で画面やキーボード等を表示するシステム、映画版では現実世界のデジカメに似た外見の携帯端末が描かれている。ネットワークに常時接続されており、人々はこれを常に携帯することで現在地情報・健康状態などを監視されている。また監視以外にも多くの機能を兼ねており、買い物や学業、自宅のセキュリティなど生活のほぼ全てをこの端末だけで済ませることができるため、この世界においてはモニタ越しでない「物理接触」は希薄となっている。なお呼び名の「モニタ(Monitor)」は「監視する」という意味だが、「旧世代の端末で使われていた用語の名残」でもあると登場人物らによって解説される場面がある。
登録住民/未登録住民(ゴースト)
国に住民登録をされている者/いない者の総称。未登録住民はかつて移民と呼ばれた人々であり、安価な労働力として扱う国もあれば「ルー=ガルー」の舞台のように腫れ物のように扱う国もある。登録住民は端末を用いて生活できるが、未登録住民は端末を手に入れることも出来ず、入手したとしても情報が無いため使うことはできない。また未登録住民はC指定地区にしか事実上住むことができない。端末がないため一切の買い物が出来ず、食事は天然食品で賄い服装も一昔前の格好のことが多い。
合成食品
この世界の人々が主食とする食品群の総称。原料は全て植物性であり、「生物の命を奪う必要のない安全安心の食品」と謳われている。この世界での食生活は合成食品のみで完結することが常であり、嗜好品である煙草(現代における違法薬物と同じ扱い)や、動物性原料からなる「天然食品」は過去の遺物として葬り去られている。
学校(コミュニケーションセンター)」
「ルー=ガルー」の世界では従来の「学校」というものは存在せず、「コミュニケーションセンター」として機能する程度になっている。この施設にはカウンセラーが常駐しており、精神面におけるコミュニケーション能力の育成を目的とした「物理接触」の研修を中心に行い、一般的な学業は「端末」を通じた通信教育を中心に行われている。
あらゆる「児童」は「端末」を通じて、個人の学力や健康状態などの情報を管理され、それぞれの適性を考慮したカリキュラムが自動で組まれるシステムとなっている。
リアルショップ
現実世界に存在する商店。作品世界では日常的な買い物は「端末」で済ませるのが常態化しているためリアルショップの必要性は薄く、「マニアックな需要を満たす」だけの存在となっている。
動物保護区
現存する生物を保護するための施設。内部には厳然たる弱肉強食が存在するため、都市部で捕獲され保護区に送られた生物は餌の取り方や点滴の存在を知らないため、その生存率は極めて低い。この世界では虎や狼は人間の狩猟によってすでに絶滅しているが、一方で鯨は捕鯨の中止によって増加しているらしい。
エリア警備
警察の業務内容の変化とセキュリティシステムの普及により、警察機構内の交通部・警備部・警邏部と防犯部の一部を民営化し、自警団的な民間組織が発展する形で物語から15年前に誕生した組織。旧警察機構の一部を母体とし、各エリアで認可を受けたセキュリティシステム管理会社が経営を行っている。
SVC
バイオ産業の中心にある、世界で初めて合成食品を作った老舗会社。創業者は鈴木敬太郎。前身である『鈴木食品化学』は1965年に創業の食品加工会社。本社は119エリアにあり、そこの住人の70%は何らかの恩恵を受けている。DNA情報登録事業のごたごたに乗じて急成長した。傘下には「D&S」や「紫苑エンタープライズ」など、様々な会社がある。
創立記念センタービル
119エリアにある社名変更30周年を記念して建造された本社別館のインテリジェントビル。1階はコミュニティセンターの代行機関、14階はSVCの差異高級食材を提供するレストラン、15階から19階は最先端メディカルセンターとなっており、その他の階にも創業者のコレクションを所蔵するミュージアムや宿泊施設など様々な施設が存在する。エリア内の住民には無料開放されている。エリア外の人々には有料だが、この時代では珍しく相当数の集客がある。
D&S
民間のエリア警備の経営をしている会社。旧社名は「イシダ警備保障」で、SVCの傘下に入り、現在の社名になった。創業者は石田理一郎の祖父。
カメ
美緒が火の玉を吐くカメからインスピレーションを受けて発明したプラズマ発生装置。一号機は巨大すぎて持ち運べず、プラズマを発射することができず爆発すると半径2㎞が吹き飛ぶような失敗作で、二号機はジュラルミンケースに入る程度に小型化された。さらに改良されて3号機は持ち運びできるようになった。
カメ三号
カメシリーズの三号機。携帯型のプラズマ砲だが、プラズマ自体を発射するわけではなくより実用的なものらしい。ビルの壁を粉砕するほどの威力を持ち、砲撃が人体に当たると電磁調理器のように内側から焦げて死亡する。ヴァージョン1は大量のケーブルにつながれた機械やバッテリーと巨大な砲身付きの携帯型としても大きすぎるものだったが、改良品のヴァージョン3(V3)は小型化によりバッテリーの効率が上昇したうえ、性能も120%向上している。また、V3には自作の万能端末よりも高性能でな端末も搭載され、高度なハッキングも可能である。
バッタ1号
カメ三号V3を応用した動力装置。律子が修理したバイクのエネルギー供給系に搭載され、化石燃料の問題を解決し少ない充電でも走行できるように改造された。
パイド・パイパー
2040年代に発生した世界的規模のパンデミック。10億人が感染(うち8億人が死亡)したが、2050年にWHOによって収束宣言が出されている。このパンデミックによって児童の数が激減したため、「児童を厳正な管理下で保護し、健全な育成を目指す」ものとして「新児童保護法」が制定された。
血液などの体液によって感染する病原菌だったことから、血清(抗体)によって感染しないとわかっていても、血液などの体液に触れることに強い恐怖心を抱き、それ故に「物理接触」を嫌悪する者も少なくない。
なお、映画版ではこの「パイド・パイパー」が発生したという設定はなく、舞台として設定されている年代も前後している(漫画版はWHOによって「パイド・パイパー収束宣言」が出された2050年以降、映画版は登場人物の誕生日と年齢の設定などから2035年前後と推測される)ことに注意を要する。
由来はハーメルンの笛吹き男
ルー=ガルー
漫画版に登場する赤い錠剤型の殺人誘発剤。「プレデター因子」の適合者の精神の箍を外させ、凶暴性を発揮させる効果を持つ。後に改良され、筋力や反射神経を動物並みに増幅する効果が付与された。
神崎グループ
123エリアにある製薬会社を中枢とした一大企業。100年以上の歴史があり、系列会社は数えきれないほど存在する。
製薬部門の神崎ケミカルコーポレーションは国内の製薬シェアの三分の一を占める。旧社名は「神崎製薬」。エリア警備とは契約しておらず、自前で警備部門を備えている。

漫画[編集]

ルー=ガルー
2006年から2009年まで漫画雑誌月刊COMICリュウ」(徳間書店)上で、樋口彰彦により漫画化された。その後、2010年にKCデラックスで完全版が発行された。

単行本[編集]

  1. 2007年11月01日発売 ISBN 978-4-19-950051-0
  2. 2008年01月01日発売 ISBN 978-4-19-950061-9
  3. 2008年08月01日発売 ISBN 978-4-19-950082-4
  4. 2009年01月01日発売 ISBN 978-4-19-950101-2
  5. 2009年08月01日発売 ISBN 978-4-19-950129-6

完全版[編集]

  1. 2010年08月17日発売 ISBN 978-4-06-375968-6
  2. 2010年08月17日発売 ISBN 978-4-06-375969-3
  3. 2010年09月17日発売 ISBN 978-4-06-375984-6

劇場アニメ[編集]

ルー=ガルー
Loups=Garous
監督 藤咲淳一
脚本 後藤みどりハラダサヤカ
出演者 沖佳苗
音楽 SCANDAL
主題歌 SCANDAL『Midnight Television
編集 植松淳一
製作会社 プロダクション I.G
トランス・アーツ
配給 東映
公開 2010年8月28日
上映時間 99分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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ルー=ガルー』(Loups=Garous)は2010年8月28日公開のアニメ映画、SFサスペンス・アニメーション。新宿バルト9丸の内TOEI2ほか19スクリーンで公開。キャッチコピーは「近未来の監視社会、少女たちは立ち上がる。」。ぴあ初日満足度ランキング(ぴあ映画生活調べ)では第3位と好評価された。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

SCANDALは、主題歌、挿入歌、エンディングテーマの3曲をタイアップ、新曲PVアニメとして劇中にも登場しており、アフレコとモーションキャプチャーも挑戦した[3]

関連作品[編集]

本作は京極夏彦による他シリーズと密接にリンクしている。

  • 『忌避すべき狼』は百鬼夜行シリーズの『魍魎の匣』及び、短編集『百鬼夜行――陰』の一編『鬼一口』(『鬼一口』の登場人物が登場)。
  • 『相容れぬ夢魔』は百鬼夜行シリーズの『邪魅の雫』(『邪魅の雫』での事件が『相容れぬ夢魔』で言及され、また2作中で共通の大会社と経営者一族〈一世紀近い時間が過ぎているので細かい社名は変わっているが〉が登場する)。

脚注[編集]

  1. ^ 単行本・ノベルス・文庫・電子書籍の4形態での同時発売は出版史上初のことである。
  2. ^ 映画版では葉月・歩未・美緒の3人と同じ班になった矢部祐子を探すうち、矢部が人身売買事件に巻き込まれそうになったところを救出したという設定になっている。
  3. ^ アニメ『ルー=ガルー』ガールズ・バンドSCANDALが3曲タイアップ週刊シネママガジン 2010年8月30日

外部リンク[編集]