機動警察パトレイバー 2 the Movie

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機動警察パトレイバー2 the Movie』(きどうけいさつパトレイバー ツー ザ ムービー)は1993年8月7日に公開されたアニメーション映画作品である。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] あらすじ

1999年東南アジア某国で、PKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊ゲリラ部隊と接触、発砲許可を得られないまま壊滅する。しかし、一人の生存者がいた。破壊されたレイバーから脱出した彼がそこで見たのは、異教の神像が見下ろす古代遺跡であった。そして、彼は「彼岸の人」となった。

「方舟」の一件から3年後の2002年、かつての特車二課第2小隊の面々は、隊長の後藤と山崎を除いて、新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日横浜ベイブリッジで爆破事件が起こり、それは自衛隊の戦闘機F16Jらしき物体から放たれた一発のミサイルによるものであることがテレビによって報道される。そして、これがすべての始まりであった。

事件に関する様々な情報が錯綜する中、南雲と後藤の下に陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が現れ、「柘植行人(つげ ゆきひと)」という人物の捜索協力を依頼する。後藤は荒川の真意を測りかね、依頼を断るものの、直後にバッジシステムへのハッキングによって、自衛隊三沢基地所属機による幻の東京爆撃が演出されるという事件が発生する。これに過剰反応した警察の露骨な自衛隊への対抗行動により、一部自衛隊部隊の駐屯地篭城という事態にまで発展する。そんな中、ベイブリッジ爆破事件を調べていた松井刑事は、後藤から渡された荒川の資料を元に柘植と彼の組織を調べ始める。

その後も状況は悪化の一途を辿り、在日米軍の圧力もあって事態の早急な収拾を図ろうとした政府は、警察に事態悪化の責任を押し付け、自衛隊に東京への治安出動命令を下す。

そしてある雪の朝、埋立地から3機の戦闘ヘリが飛び立つ。その後、都内の通信施設・橋梁は次々に破壊され、さらに東京上空を周回する3機の無人飛行船から妨害電波が流され、都内に展開した自衛隊部隊は情報が途絶し”孤立”していった。戦闘ヘリの襲撃により特車二課は壊滅し、警察の通信設備も破壊されていく。東京を舞台にした仮想的な「戦争」が、現実のものとして創り出されていく。

同じ朝、後藤と南雲は海法警視総監列席の下で緊急招集された警備部の幹部会議に召喚されていた。緊迫した情勢下で南雲と警視庁上層部の対立が決定的となる中、特車二課壊滅を知った後藤は、この期に及んでもなお権力闘争と責任転嫁に汲々とする上層部を見限り、南雲と共に自らの手で事態を収拾する覚悟を固める。そして壊滅した特車二課に代わり、かつての第2小隊メンバーがAV-98「イングラム」と共に呼び集められた。

戦争という状況下に置かれた東京を舞台に、この「情況」を演出したテロリストを逮捕するため、特車二課第2小隊最後の任務が始まる。

[編集] 本作品の特徴と評価

監督の押井守は『西武新宿戦線異状なし』や『機動警察パトレイバー』OVA第1期で、すでに自衛隊のクーデターをモチーフとした作品を手がけている。本作品も自衛隊の治安出動テロを取り上げた内容であるが、「モニター越しの戦争」「現代の戦争」を取り上げており、前記の作品群とは一線を画す内容となっている。

テクノロジーの発達によって、「戦争」は、指揮官が遠く離れた戦場の状況を軍事衛星や戦場からの情報を”モニター”を通して把握し、兵士は司令部からの命令を実行することで、作戦を遂行するという「ハイテク戦争」にその姿を変えた。そして、「ハイテク戦争」は戦争を非現実的なものへと変えた。本作でベイブリッジがミサイルによって破壊されるシーンは、湾岸戦争アメリカ軍が記者達に見せた、イラク軍の施設をピンポイント攻撃で破壊する映像を思い起こさせる。しかし、そうした映像は容易に加工する事が可能であり、その映像の伝える情報が正確であるとは限らない。時として、真実とは異なることさえある。物語の終盤に柘植が都心の高層ビル群を見ながら言う台詞は、押井作品のなかで度々目にする事のできる「現実とは何なのか」「一体、何が現実で何が虚構なのか」というメッセージにも聞こえる。 また、2000年代になってクローズアップされてきた「リンクによる情報の共有」も、オープニングで具体的な運用方法[1]が示されている。また、いつもと変わらない街の風景とそこで生活する人々の中に、治安出動によって配置された自衛官戦車などの非日常的な存在を描くことで、「日常」と「非日常」を対照的に演出している。

映画公開当時は世相を反映し、自衛隊のPKO派遣やその当時でも非現実的な武器使用基準に関する描写がクローズアップされがちであったが、その後地下鉄サリン事件アメリカ同時多発テロ事件等の大都市における無差別テロ事件、自衛隊イラク派遣が現実となっており、それらを踏まえて映画を見ると、それらを読み解く示唆に富む点が多いともいわれている。 例えば、松井刑事が荒川茂樹に対し「破壊活動防止法違反その他の罪で逮捕する」と告げるシーンなどは、破壊活動防止法の名前そのものがオウム事件に関連して世間に認知される以前の事であり、映画で取り上げられた珍しい例としても知られている[2]

劇場版第1作より濃厚になった押井独自の「都市論」に基づく描写や、第二小隊やレイバーの登場シーンが少なかったことから、主に漫画版からパトレイバーのファンになった人達からはあまり高い評価を得られていない。しかし、これらを背景にして展開された物語や、たった一発のミサイルによって演出された「脆弱な首都」である東京での「戦争」、「正義の戦争」と「不正義の平和」というキーワード、現場と上層部の対立の構図など、高い評価を受けた部分も多い。劇場版1作目から共通して描かれている点としては、「有事」とその状態に陥ってしまった「日本」、そして翻弄される「人間たち」がテーマであり、『逮捕しちゃうぞ the MOVIE』や『新世紀エヴァンゲリオン』、『踊る大捜査線』など、その影響を受けたと目される作品は多く、それら作品の制作者自身がそれを公言する作品も少なくない。

また、本作は映像的にも高い評価を受けている。アニメの動作画枚数こそ少ないものの、当時としては最先端であったCGによるモニタ画面や空戦シーン、そして名著「METHODS-機動警察パトレイバー2演出ノート-」が刊行されるほど秀逸なレイアウトは高い評価を受けている。

当時、映画評論家からは「何故これほどの作品が実写映画ではないのか」と邦画の不振を嘆く声があがると同時に、「これはアニメーション、特に「パトレイバー」というジャンルでなければ表現できない」という声もあり、おおむね高い評価を受けた。

なお、従来のシリーズを支える柱のひとつであったロボットアクションアニメとしての要素は、レイバーによる戦闘シーン(それも「戦争」的状況下で展開されるもの)が冒頭とクライマックスに数分間挿入されるのみで、極めて抑えられたものとなっている。主役機であるイングラムですら無骨なミリタリージャケットを着込んでおり、桜の大紋とパトライトが印象的な、文字通り「パトレイバー」としての活躍は皆無である。その代わりとして、TVシリーズ等では脇役として扱われていた軍用ヘリ「ヘルハウンド」やいくつかの多脚メカが印象的な活躍を見せている。これらは押井の意図するところであり、従来のパトレイバーシリーズに対するアンチテーゼとしての要素を孕んでいる。劇場公開当時にはこの点についても賛否両論あったが、これらストイックなメカ群の支持は根強く、劇場公開から10年、15年経ち突如プラモデル化されるといった珍しい状況を生んだ。

[編集] スタッフ

[編集] 声の出演

[編集] 賞歴

[編集] こぼれ話

  • 本作はOVA第1期・劇場版1作目と同じく押井守監督作品だが、公開当時のテレフォンサービス等ではTV版・OVA第2期に連なる世界である事が明言されており、特車二課棟の所在地もOVA第1期・劇場版1作目で設定されていた大田区城南島の埋立地には存在しない様子である。本作中では18号埋立地に通じる海底トンネルの入り口が城南島東端に存在する[3]。その一方で、後期OVA展開中の92年に発売された『機動警察パトレイバーCD BOX』収録のドラマ内では、初期OVAの内容を振り返りつつ、篠原重工にテストパイロットとして出向する野明と遊馬の様子や、テスト機として送り出される98式の姿が描かれている。また、劇場版2作目のノベライズである『TOKYO WAR』では、太田が香貫花あての遺書のみを残し、熊耳あての遺書は登場しないなど、初期OVA・劇場版1作目の世界と連なっているらしき描写も見受けられる。
  • 本作ではあくまで後藤をメインに話が展開される。その一方で、登場割合が激減してしまった旧第二小隊の面々だが、後に押井自ら手がけた小説版『TOKYO WAR』では、映画では割愛された部分が大幅に追加されている為、映画では描かれなかった彼らの様子も詳細に描写されている。劇場版には登場しなかった香貫花・クランシーについてもわずかに触れられているが、熊耳武緒についての記述は一切ない。この小説版はそんな映画版の補完の役目を担う一方、あらゆる面で『食』に対する押井のこだわりが書き綴られている。なお、これは押井にとっての小説処女作でもある。
  • ベイブリッジ爆破事件の日付は、サントラCD盤のブックレットによると2002年2月21日。時刻は17時20分。また、本編中の描写によれば、柘植の決起はそれから五日後の2月26日となっている。また2002年以降、これに合わせて2月26日に六本木ヒルズにおいて押井の戦争に関するトークショーが毎年開催されている。
  • 押井作品ファンとして知られるジェームズ・キャメロンが『タイタニック』のキャンペーンのため来日した際、本人の希望により大友克洋と押井3者での会食が設定された。屋形船でおこなわれたその席で、ベイブリッジを目にしたキャメロンは「爆撃されたあの橋だ」と狂喜したという。また、後に彼が監督する『ターミネーター2』の特報フィルムにあるターミネーター生産シーンは、「パトレイバー」のレイバー生産ラインをオマージュしたものとも語った。
  • 本作は富野由悠季による『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を絶賛する押井からのある種の回答やテーマに関する呼応の意味が込められている事が、同人誌『逆襲のシャア友の会』における庵野秀明との対談で告白されている。押井が他人の映画をほぼ手放しで褒める事は極めて稀な事であるが、押井との対面時にそれを告げられた富野は、同じく庵野との対談で「お世辞だと思って聞き流した」と語る。これに関してその場で庵野は「あの人(押井)はそんなに世渡りが上手くないです」と加えている。
  • 柘植には初期設定の段階で「神渡」という苗字が宛てられていた。
  • 南雲と柘植が密会した場所は東京都港区浜松町駅附近である。
  • 後藤と荒川の密会の場として使用された水族館は谷口吉生設計の葛西臨海水族園。後藤が高速艇から見上げた橋は、建設中の第二東京湾岸道路[4]という設定だが、橋の外観はロケハン当時に建設中だったレインボーブリッジが元になっている。「正義の戦争」と「不正義の平和」について後藤と荒川の台詞のやりとりが交わされるシーンは、横浜ベイブリッジから羽田付近の湾岸工業地帯にかけての風景。
  • コンビニの買出し(買占め)部隊として登場する「整備員B」は、劇場版第一作目冒頭で進士と共に二号機輸送車の運転席に居た「整備員C」と同一人物である。
  • 川井憲次によるサウンドトラックアルバムは三種類が発売されている。まず、劇場公開一週間前の1993年8月1日には本編の予告編的な意味合いを持つイメージアルバム「PATLABOR 2 the Movie/PRE SOUNDTRACK」が発売され、続いて9月21日に正式な劇中サントラ盤となる「ORIGINAL SOUNDTRACK "P2"」が発売された。1998年発売の「PATLABOR 2 the Movie "SOUND RENEWAL"」は本作のDVDソフト化に際しリニューアル(再録音)された音源を収録している。
  • 劇中歌「おもひでのベイブリッジ」は前売りチケットマガジン付属のシングルCDに美桜かな子が歌ったバージョンが収録されている。また、のちにVAPより単発のシングルCDとしても一般発売された。こちらには美桜バージョンと劇中で使用されたカラオケ・バージョンの他に、「しのぶと喜一」(榊原良子大林隆介)によるデュエット・バージョンも併せて収録されている。当初この「おもひでのベイブリッジ」は冗談の様な軽い気持ちで作曲されたが、美桜かな子バージョンのレコーディングの際には「演歌の鬼」の様な先生が同伴してきて美桜かな子に熱烈指導を始めた為、作曲を担当した川井の顔は徐々に青ざめていったという。
  • 本作のイメージソングとしてMANAによる「愛を眠らせないで」というCDシングルが発売されているが、事前のプロモーションやTV・ラジオCF等で流れたのみで、本編中では聴く事は出来ない。また、この曲に川井憲次は参加していない。
  • 荒川が「おもひでのベイブリッジ」のカラオケ映像で解説する二機種のF-16の内、航空自衛隊が装備しているF-16Jは現在F-2支援戦闘機として実在している。本作品制作当時は次期支援戦闘機(FSX)として試作機の存在が知られるのみであった為、劇中ではその機体の1998年以降の配備仕様として登場しているが、実在のF-2は2000年に配備されている[5]。劇中では三沢基地北部航空方面隊隷下の第3航空団第8飛行隊所属の機体番号「91-9666」、「91-9667」、「91-9668」の三機がバッジシステム画面上に登場するが、これも架空のもの。
  • 一方、アメリカ空軍が装備するF-16改(通称「ナイトファルコン」)および航空自衛隊のF-15J改(通称「イーグルプラス」)は、それぞれ実在のF-16F-15Jをベースに発展した姿として本作で描き起こされたオリジナルの空想航空機である。それぞれステルス性の向上を図った改造が施されている。ちなみに、両者のデザインを担当した河森正治がのちに「マクロス」シリーズで発表するVF-22 シュトゥルムフォーゲルIIのベクターノズルの形状は、本作のF-16改と共通のものである。
  • ワイバーン」、「プリースト」、「トレボー」等のコールサイン名は、押井がかつて熱中していたRPG「ウィザードリィ」からの引用である。
  • 本作ではレイバーを差し置いてほぼ主役級の活躍を見せる「ヘルハウンド」だが、アニメ版では「AFH-02B」であった形式番号が、後発の小説版では「AH-88」に改められている。そのためAH-1Sの後継機種でマクダネルダグラス社製としていたアニメ版の設定から、AH-56の後継機でヒューズ社製のものへと変化している。それぞれの詳細に関しては各項目「AFH-02B」及び「AH-88」を参照の事。後者は「パトレイバー世界では米陸軍のAAFSS計画がキャンセルされなかった」という裏設定に基づくものであり、押井守の個人的な趣味が反映されたものである。押井の著書「メカフィリア」によれば、実は当初の段階から後者の構想で河森正治には発注が出されていたらしい。シリーズ中でレイバーではないメカニックの中でもファンの人気は高く、映画の公開から約15年を経て単独でのプラモデル化が決定するほどである。押井が監督した実写作品『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』(パイロットフィルム)には、後者の設定に基づく後継機AH-88J2改「グレイゴースト」も登場している。
  • 本作品には、前作以上に「」が随所で登場している。これは、押井の「空を飛ぶものは、人間からすれば怖いもの」という考えに基づいた演出であるという[6]。「ヘルハウンド」に関しても、デザインこそ前作のものではあるが、河森いわく「猛禽類が獲物を狙う様をイメージソースとした」と語る本機を、鳥類のメタファーとして効果的に登場させている。
  • 柘植が野戦基地を構え、ラストシーンの舞台となる「18号埋立地」は架空の場所であるが、劇場版第三作目「WXIII 機動警察パトレイバー」に登場する廃棄スタジアムも実は同じ土地に存在している。本作では進士と南雲が敵本部への侵入経路をCGで説明するシーン、「WXIII」では怪物が殲滅されたあとカメラが上空へと引いていくシーンや設定資料などでそれぞれ地形が確認できる。周辺の立地状況に関してはこちらも参照されたし。南雲が柘植を逮捕する場所と廃棄スタジアムは、実は徒歩で行き来する事も十分に可能な距離なのである。本作では殺風景な様子だが、南雲たちの居た場所から水門や側路(ところどころは未舗装)を挟み、島中央のスタジアム周辺には駐車場や小さな公園が広がっている。スタジアムは元々2002 FIFAワールドカップ開催時の使用を目指し建設が進められていた物であるらしい。だが「パトレイバー」の世界ではその誘致に失敗した為、建設を中止して放棄され、バビロンプロジェクト完了後もこの埋立地そのものが宙に浮いていた模様。
  • 上記のシーンのロケハンは、実在の13号埋立地[7]で行われた。国に正式な手段を踏んで許可を取らなければ取材や立ち入りもできない地域とのことで、角川グループを通し、名目上は『埋立地のゴミ処理問題を調査する記事の取材』と称して『そのコメンテーターとして映画監督の押井守氏に同行していただく』という建前で申請された。その取材記事は当時のアニメ誌『月刊ニュータイプ』に掲載されている。
  • 劇中でテレビなどのニュース番組の内容が映されているが、日本語のアナウンスは複数の文化放送の現役アナウンサーが声優として出演している。また、自衛隊員や民間人など、主要キャスト以外の声に敢えて素人を起用している。「声優による上手すぎる演技」を払拭する事で、現実感や臨場感を強調する為の措置であるという。ただし、これはDVDソフト化の際のサウンドリニューアルで差し替えられている。
  • キャストとして、お笑いコンビバナナマンを結成する以前、ピンのタレントとして活動をしていた頃の日村勇紀の名がクレジットされている。本人はどんな役をやったのかもう覚えていないとレギュラーのラジオ番組で語ったが、リスナーからの指摘と相方の設楽統の証言により、冒頭部分に出てくる、シゲに「班長、後藤さん見かけなかったかって」「後藤さん捜してるんだって」と話しかける整備員が日村であるとされた。また、他の部分にも何度か出ていると設楽が話したが、こちらは未確認。
  • 前述の通り、荒川茂樹のモデルは大学時代に押井が主宰した「映像芸術研究会」に所属していた学生であるが、一橋大学を卒業後、本当に幹部自衛官になっていた。本作に関する雑誌インタビューにも応じており、当時は、防衛大学校の防衛学教官であった。
  • 劇中でテロ鎮圧に駆り出され、戦線復帰したイングラムであるが、さらに後の所在に関しては、東ヨーロッパの警察に払い下げられ、2017年の時点でも現役で災害救助活動を行っている一号機と、頭部をTV版仕様に戻した三号機の姿が確認できる[8]
  • NHK-BS2では本作が繰り返し放送されているが、作中ではヘルハウンドの20mmガトリング砲によりNHK放送センター本館の通信塔が派手に破壊されている。
  • 本作は押井と出渕が袂を別つ直接のきっかけとなった[9]。元々パトレイバーの原案を立ち上げた出渕とゆうきの両者に対して、メカデザインの観点などから押井は不満を持っていた[10]が、製作中に出渕のデザイン提出が遅れた際に、ついに感情をぶつけ、「お前やゆうきまさみは、要するにレイバーが宇宙でドンパチやるようなものをやりたいんだろ!」との侮辱的な発言をしてしまい、電話口での大喧嘩となったという。以後、押井は出渕のデザインを酷評しており、押井が監督を務める作品について、出渕が直接スタッフとして関わったものもない。WXIII 機動警察パトレイバーでも、押井と伊藤[11]は作品に関与しなかった。当時から10年以上経過した現在においても、押井は出渕について「(時間がたってお互いに落ち着いた今となっては)友人としてならあるかもしれないが、仕事のパートナーとしてはあり得ない人物」との旨を述べている。

[編集] 「幻の新橋駅」について

物語終盤において、南雲しのぶと旧第二小隊の面々とレイバーを載せた列車は丸ノ内線の「新宿三丁目駅」および「四谷三丁目駅」を通過する。その後「新橋駅」に向う途中、線路は駅の手前で一度地上に出る。その間に列車は自衛隊の治安部隊に発見され、新橋駅に先回りして別働の隊員が配備される。だが、直前で何者かの手によりポイントが切り替えられており、列車は自衛隊員の待つホームには姿をあらわさなかった。

南雲達を載せた列車は丸ノ内線から(おそらくは赤坂見附駅にある丸ノ内線と銀座線の連絡線を経由して)昭和13年に封鎖された銀座線の「幻の新橋駅」に乗り入れ停車する。これは現在使用されている新橋駅ではない。

もともと銀座線は昭和9年に東京地下鉄道という会社が浅草-新橋に建設した路線を使用している。そして昭和13年、これとは別に東京高速鉄道が渋谷-新橋に地下鉄線路を敷いた。この時点でふたつの地下鉄にそれぞれの新橋駅が並立したことになる(東京地下鉄銀座線新橋駅も参照のこと)。しかし、東京高速鉄道の五島慶太社長が東京地下鉄道の株を大量に買い占めたため、ふたつの路線はつながれることとなり、東京高速鉄道の新橋駅は約8箇月で閉鎖されてしまう結果となった。この閉鎖された駅を含む地下空間が後藤と荒川が南雲たちを待っていた場所だった。

この「幻の新橋駅」(旧東京高速鉄道の駅)は現在の新橋駅として使用されている東京地下鉄道の駅とは、西端(虎ノ門方)券売機の壁一枚しか隔てていない。劇中では「昭和18年に閉鎖されて以来半世紀以上眠っていた地下鉄銀座線の幻の新橋駅」と述べられているが、そのモチーフ自体は実在するものである。だが、映画のシーンに映る空間は、押井守の著書「METHODS-機動警察パトレイバー2演出ノート-」によれば、とある工事現場を参考に設定がおこされた情景であることが述べられており、劇中でも「湾岸開発華やかなりし頃に建造された地下鉄銀座線の幻の新橋駅と湾岸の工区とを結ぶ新旧の結節点」と説明しているため、正確には「幻の新橋駅を拡張(あるいは隣接)する形で作られた架空の空間」と考えるべきであろう。ただし実際の駅の様子も当時ロケハンされており、本編では駅名プレートのみ実在のものをそのまま再現して描いている。

現実の「幻の新橋駅」も劇中の様に銀座線から乗り入れられるため、線路自体は留置線として現在も使用されている。現在、この駅は「旧新橋駅」と名付けられ、東京メトロが主催するイベント等で、内部を見学できる機会が設けられている。その様子は劇中から想起される「廃駅」という言葉のイメージからは程遠く、かつてホームだった場所には駅員・乗務員の施設(控室、講習室、トイレ等)が備えられており、見学者用に当時の遺構や資料なども展示されている。だが、これらは1997年に銀座線の開業70周年記念イベントに際した大掃除とリニューアル作業が実施されて以降のことであって、それ以前はほぼ放置に近い期間が続いていたため、本作品の取材が行われた当時は内部が相当に荒廃した状態だったという。展示されている資料は大掃除の際に「出土」したものもあるという。駅の設計図などは現存していない。当時の改札口や地上への出口がどこにあったのかも正確には分っていない。

なお、これら一連のシーンのあと列車はさらにレールを通って湾岸部周辺(大田区城南島東端)まで進んでいるが、その間の描写はなく、観た者の想像に委ねられるかたちとなっている。だが、既存の路線から考えれば「結節点」の先は恐らく都営地下鉄浅草線に通じており(実際に新橋駅は銀座線と浅草線の連絡駅である)、そこを経由しながら目的地点へと到達したものと考えられる。都営浅草線は西で京急本線に通じているため、直接羽田空港小島新田駅(行政区分上の所在地は神奈川県)等の東京湾岸エリアに直通している。また、製作当時は小島新田駅付近はJR川崎貨物駅から貨物列車乗入れのため三線軌条化されており、1067mm軌間との接点にもなっていた[12]

[編集] 小説

(前編)ISBN 4-8291-2552-7
(後編)ISBN 4-8291-2568-3
  • 押井 守『TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR』(エンターブレイン、2005年) ISBN 4757723660
監督押井守自ら書き起こした小説処女作の完全版。

[編集] LD

[編集] DVD

  • 初DVD化は1998年。2000年に劇場公開版とサウンドリニューアル版の2種類の音声を収録した新バージョンが発売された。また、2004年にも新ジャケットで再発売され初回特典としてLD大のパッケージ、キャストのインタービュー記事などが付属した。
  • その後は通常版として販売中。1と共に米国でも発売。(豪華版:89ドル99セント。通常版:29ドル99セント)
  • 絵コンテがセットになったバージョンが発売
  • 劇場版シリーズのメイキングが収録されたDVD及び各主雑誌記事などが本として付属したPATLABOR MOVIE ARCHIVES発売。
  • Blu-ray/HD-DVDとDVDがセット(各ディスクそれぞれに本編が収録されている)になった商品が2007年8月24日に国内発売された。両版とも正価が1万円を超えた為、その商品構成を批判する意見もある。

[編集] BD

  • Blu-rayとDVDがセットで2007年8月24日に発売。
  • Blu-rayの単品版が2008年7月25日に発売。

[編集] 参考文献

  • THIS IS ANIMATION THE SELECT 機動警察パトレイバー2 the Movie』(小学館、1993年) ISBN 4091015190
  • 『機動警察パトレイバー2 the Movie 設定資料全集』(小学館、1993年) ISBN 409101576X
  • 『機動警察パトレイバー2 the Movie』(小学館、1994年) ISBN 4091218741
本作のフィルムコミック
  • 『Methods 押井守「パトレイバー2」演出ノート』(角川書店、1994年) ISBN 4048524984


  • 『WXIII 機動警察パトレイバー 設定資料全集』(小学館、2002年) ISBN 4091015654
  • 『P‐pack』(こだま出版、2002年) ISBN 4906069347
  • 『押井守・映像機械論 メカフィリア』(大日本絵画、2002年) ISBN 4499227542
  • 『押井守 人間の彼方、映画の彼方へ』(河出書房新社、2004年) ISBN 4309976824

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ GONG00がGONG01のカメラ情報を利用して、ゲリラの情報を得ようとしたシーン。
  2. ^ ただし、監督である押井は学生運動のなごりを知る世代でもあるため、破防法自体は非常になじみのある法律でもあったと思われる。
  3. ^ ただし、これは押井の認めるところであったか、演出ミスであったどうかは不明。
  4. ^ 現実世界では建設の目処は立っていない。
  5. ^ 第3航空団第8飛行隊にF-2が配備されたのは2009年。本作公開時の1993年時点での装備機はF-1支援戦闘機。また本作の設定年である2002年時点ではF-4EJ改を装備。
  6. ^ なお、鳥の他に魚も押井が好むモチーフだが、これは聖書からの暗喩でもあるという。犬については押井本人の好み。柘植一味のヘルハウンド発進を目撃した男性の飼い犬には“ガブ”という名前が設定されているが、これは当時の押井が飼っていたバセットハウンドの愛称である。(正式にはガブリエルという名前であった)また、犬種も同じである。
  7. ^ 設定上18号埋立地に隣接する中央防波堤外側埋立地を指す。
  8. ^モデルグラフィックス」2001年8月号及び12月号
  9. ^ 本件については、別作品ではあるが、ラーゼフォン 多元変奏曲のDVD初回限定版ブックレットで、押井と出渕の対談が実現しており、そこで言及されている。
  10. ^ ゆうきと出渕が考えていた警察用レイバーのイメージは「その姿を見ただけで犯罪者が圧倒されるようなもの」であり、これがイングラムの「見る者に与える心理的影響まで考慮してデザインされた」という設定と劇中における実際のデザインにも繋がっている。一方、押井が考えていたのは「風呂釜に手足をつけたような機械」である。押井はレイバーをあくまでギミックとして捉えており、主役のレイバーをロボットものにありがちなヒロイックなデザインとすることに不服であった。いかにも建設機械然とした作業用レイバーのデザインには、こうした押井の温めていたイメージが反映されている。
  11. ^ もともと押井と伊藤は親友同士であり、伊藤も不参加となった。伊藤自身は出渕とも古い付き合いであり、決して不仲ではなかったが、当時多忙であったことから、押井の「今更パトレイバーなんて、やりたい人が勝手にやれば良い。第二小隊の面々は既に描ききっているし、自分はもはや興味が繋がらない。」という考えに同調する立場をとった。なお、押井が一連のパトレイバーシリーズに参入したきっかけは、伊藤からの誘いである。機動警察パトレイバー#ヘッドギア参照。
  12. ^ 奇しくも、イングラム制式化の前年になる1997年に廃止、撤去されてしまった。

[編集] 外部リンク

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