機動警察パトレイバー 2 the Movie

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機動警察パトレイバー > 機動警察パトレイバー 2 the Movie
機動警察パトレイバー 2 the Movie
監督 押井守
脚本 伊藤和典
原案 ゆうきまさみ
原作 ヘッドギア
出演者 大林隆之介
榊原良子
冨永みーな
古川登志夫
竹中直人
根津甚八
音楽 川井憲次
撮影 高橋明彦
編集 掛須秀一
配給 松竹
公開 日本の旗 1993年8月7日
上映時間 113分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 機動警察パトレイバー the Movie
次作 WXIII 機動警察パトレイバー
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機動警察パトレイバー2 the Movie』(きどうけいさつパトレイバー ツー ザ ムービー)は、1993年に公開されたアニメーション映画作品。

あらすじ[編集]

1999年東南アジア某国で、PKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊が、戦闘車輌を持つゲリラ部隊と接触、本部からの発砲許可を得られないまま一方的に攻撃を受けて壊滅する。しかし一人の生存者がいた。破壊されたレイバーから脱出した彼がそこで見たのは、異教の神像が見下ろす古代遺跡であった。そして、彼は「彼岸の人」となった。

「方舟」の一件から3年後の2002年、かつての特車二課第2小隊の面々は、隊長の後藤と山崎を除いて新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日、横浜ベイブリッジで爆破事件が起こり、それは自衛隊の戦闘機F-16Jらしき物体から放たれた一発のミサイルによるものであることがテレビによって報道される。そして、これがすべての始まりであった。

事件に関する様々な情報が錯綜する中、南雲と後藤の前に、陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が現れ、「柘植行人(つげ ゆきひと)」という人物の捜索協力を依頼する。後藤は荒川の真意を測りかねて依頼を断るものの、直後にバッジシステムへのハッキングによって、自衛隊三沢基地所属機による幻の東京爆撃が演出されるという事件が発生する。これに過剰反応した警察の露骨な自衛隊への対抗行動により、一部自衛隊部隊が外部との通信を絶って駐屯地に篭城するという事態にまで発展する。そんな中、ベイブリッジ爆破事件を調べていた松井刑事は、後藤から渡された荒川の資料を元に柘植と彼の組織を調べ始める。

その後も状況は悪化の一途を辿り、在日米軍の圧力もあって事態の早急な収拾を図ろうとした政府は、警察に事態悪化の責任を押し付け、自衛隊に東京への治安出動命令を下す。

そしてある雪の朝、埋立地から3機の戦闘ヘリが飛び立つ。その後、都内の通信施設・橋梁は次々に破壊され、さらに東京上空を周回する3機の無人飛行船から妨害電波が流され、都内に展開した自衛隊部隊は情報が途絶し“孤立”していった。戦闘ヘリの襲撃により特車二課は壊滅し、警視庁千代田庁舎が銃爆撃を受け、官民の通信設備も破壊されていく。東京を舞台にした仮想的な「戦争」が、現実のものとして創り出されていく。

同じ朝、後藤と南雲は海法警視総監列席の下で緊急招集された警備部の幹部会議に召喚されていた。緊迫した情勢下で南雲と警視庁上層部の対立が決定的となる中、特車二課壊滅を知った後藤は、この期に及んでもなお権力闘争と責任転嫁に汲々とする上層部を見限り、南雲と共に自らの手で事態を収拾する覚悟を固める。そして壊滅した特車二課に代わり、かつての第2小隊メンバーがAV-98「イングラム」と共に呼び集められた。

戦争という状況下に置かれた東京を舞台に、この「情況」を演出したテロリストを逮捕するため、特車二課第2小隊最後の任務が始まる。

声の出演[編集]

※各登場人物の詳細は機動警察パトレイバーの登場人物を参照。

スタッフ[編集]

製作[編集]

CGの使用[編集]

本作では劇中でコンピュータにより出力される画面をCGとして描く試みが行われた。シリコングラフィックスのIRIS等、1992年の最先端のワークステーションが導入され、主に2DCGとしてレンダリングが行われた。出力されたCGはアナログで制作したアニメパートへのはめこみ合成の素材として用いられた。

例としては、物語冒頭のレイバーのシミュレーション画面、戦闘機のHUD、航空レーダーなどがある。

ロケ地[編集]

作品解説[編集]

監督の押井守は『西武新宿戦線異状なし』や『機動警察パトレイバー』OVA第1期ですでに、自衛隊のクーデターをモチーフとした作品を手がけている。だが、劇場版第1作より濃厚になった押井独自の「都市論」に基づく演出や、当時物議を醸していた自衛隊PKO派遣の要素を加えるなど、前記の作品群とは一線を画すものとなった。

また、レイバーによる戦闘シーンが冒頭とクライマックスに数分間挿入されるのみに留まり、極めて抑えられたものとなっている。幻の爆撃の演出に代表される、「現実」と「非現実」についての描写も随所に散りばめられている。

世界観[編集]

本作はOVA第1期・劇場版1作目と同じく押井守監督作品だが、公開当時のテレフォンサービスなどではテレビ版・OVA第2期に連なる世界である事が明言されており、特車二課棟の所在地もOVA第1期・劇場版1作目で設定されていた大田区城南島の埋立地には存在しない様子である。

本作中では18号埋立地に通じる海底トンネルの入り口が城南島東端に存在する[1][2]。ファンの混乱を避けるため公式ファンブック等ではパトレイバーはテレビ・OVA・映画・漫画・小説全てがパラレルワールドであることが明記されている。

漫画版とは直接的な繋がりはないが、本作の公開に合わせて、ゆうきまさみが漫画版の扉絵に本作のキャラクターやレイバーを登場させたほか、「PATLABOR 2002」と題して本作の野明と遊馬をイメージしたピンナップを描いている。しかし、それらはいずれも週刊少年サンデーに掲載されたのみで単行本未収録となっている。

東京の描写は、劇場版第一作の「過去の東京」に対し、本作では「現在の東京」がモチーフになっている。

演出[編集]

劇中でテレビなどのニュース番組の内容が映されているが、日本語のアナウンスは複数の文化放送の現役アナウンサー(当時)が声優として出演している。また、自衛隊員や民間人など、主要キャスト以外の声に敢えて素人を起用している。「声優による上手すぎる演技」を払拭する事で、現実感や臨場感を強調する為の措置であるという。しかし、後年のサウンドリニューアル版ではプロの声優での収録となっている。

本作ではあくまで後藤をメインに話が展開され、一作目に比べ(旧)第二小隊の面々の登場割合が激減している[3]。一方で、前作以上に「」が随所で登場している。これは、押井の「空を飛ぶものは、人間からすれば怖いもの」という考えに基づいた演出であるという[4]。「ヘルハウンド」に関しても、デザインこそ前作のものではあるが、河森いわく「猛禽類が獲物を狙う様をイメージソースとした」と語る本機を、鳥類のメタファーとして効果的に登場させている。

柘植が野戦基地を構え、ラストシーンの舞台となる「18号埋立地」は架空の場所[5]であるが、このシーンのロケハンは、実在の13号埋立地[6]で行われた。国に正式な手段を踏んで許可を取らなければ取材や立ち入りもできない地域とのことで、角川グループを通し、名目上は『埋立地のゴミ処理問題を調査する記事の取材』と称して『そのコメンテーターとして映画監督の押井守氏に同行していただく』という建前で申請された。その取材記事は当時のアニメ誌『月刊ニュータイプ』に掲載されている。

影響[編集]

本作は富野由悠季による『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を絶賛する押井からのある種の回答やテーマに関する呼応の意味が込められている事が、同人誌『逆襲のシャア友の会』における庵野秀明との対談で告白されている。

押井が他人の映画をほぼ手放しで褒める事は極めて稀な事であるが、押井との対面時にそれを告げられた富野は、同じく庵野との対談で「お世辞だと思って聞き流した」と語る。これに関してその場で庵野は「あの人(押井)はそんなに世渡りが上手くないです」と加えている。

音楽[編集]

イメージソングとしてMANAによる「愛を眠らせないで」というCDシングルが発売されているが、事前のプロモーションやテレビ・ラジオCFなどで流れたのみで、本編中では聴くことはできない。また、この曲に川井憲次は参加していない。

川井憲次によるサウンドトラックアルバムは三種類が発売されている。まず、劇場公開一週間前の1993年8月1日には本編の予告編的な意味合いを持つイメージアルバム「PATLABOR 2 the Movie/PRE SOUNDTRACK」が発売され、続いて9月21日に正式な劇中サントラ盤となる「ORIGINAL SOUNDTRACK "P2"」が発売された。1998年発売の「PATLABOR 2 the Movie "SOUND RENEWAL"」は本作のDVDソフト化に際しリニューアル(再録音)された音源を収録している。

劇中歌「おもひでのベイブリッジ」は前売りチケットマガジン付属のシングルCDに美桜かな子が歌ったバージョンが収録されている。また、のちにVAPより単発のシングルCDとしても一般発売された。こちらには美桜バージョンと劇中で使用されたカラオケ・バージョンの他に、「しのぶと喜一」(榊原良子大林隆介)によるデュエット・バージョンも併せて収録されている[7]

賞歴[編集]

考察[編集]

「幻の新橋駅」について[編集]

物語終盤において、南雲しのぶと旧第二小隊の面々とレイバーを載せた列車は丸ノ内線の「新宿三丁目駅」および「四谷三丁目駅」を通過する。その後「新橋駅」に向う途中、線路は駅の手前で一度地上に出る。その間に列車は自衛隊の治安部隊に発見され、新橋駅に先回りして別働の隊員が配備される。だが、直前で何者かの手によりポイントが切り替えられており、列車は自衛隊員の待つホームには姿をあらわさなかった。

南雲達を載せた列車は丸ノ内線から(おそらくは赤坂見附駅にある丸ノ内線と銀座線の連絡線を経由して)昭和13年に封鎖された銀座線の「幻の新橋駅」に乗り入れ停車する。これは現在使用されている新橋駅ではない。

もともと銀座線は昭和9年に東京地下鉄道という会社が浅草-新橋に建設した路線を使用している。そして昭和13年、これとは別に東京高速鉄道が渋谷-新橋に地下鉄線路を敷いた。この時点でふたつの地下鉄にそれぞれの新橋駅が並立したことになる(東京メトロ銀座線新橋駅も参照のこと)。しかし、東京高速鉄道の五島慶太社長が東京地下鉄道の株を大量に買い占めたため、ふたつの路線はつながれることとなり、東京高速鉄道の新橋駅は約8箇月で閉鎖されてしまう結果となった。この閉鎖された駅を含む地下空間が後藤と荒川が南雲たちを待っていた場所だった。

この「幻の新橋駅」(旧東京高速鉄道の駅)は現在の新橋駅として使用されている東京地下鉄道の駅とは、西端(虎ノ門方)券売機の壁一枚しか隔てていない。劇中では「昭和18年に閉鎖されて以来半世紀以上眠っていた地下鉄銀座線の幻の新橋駅」と述べられているが、そのモチーフ自体は実在するものである。だが、映画のシーンに映る空間は、押井守の著書「METHODS-機動警察パトレイバー2演出ノート-」によれば、とある工事現場を参考に設定がおこされた情景であることが述べられており、劇中でも「湾岸開発華やかなりし頃に建造された地下鉄銀座線の幻の新橋駅と湾岸の工区とを結ぶ新旧の結節点」と説明しているため、正確には「幻の新橋駅を拡張(あるいは隣接)する形で作られた架空の空間」と考えるべきであろう。ただし実際の駅の様子も当時ロケハンされており、本編では駅名プレートのみ実在のものをそのまま再現して描いている。

現実の「幻の新橋駅」も劇中の様に本線から電車が進入出来るため、線路自体は留置線として現在も使用されていて日に数度回送車両が入線している。現在この駅は「新橋駅幻のホーム」と名付けられ、東京メトロが主催するイベント等で、内部を見学できる機会が設けられているが、その様子は劇中から想起される「廃駅」という言葉のイメージからは程遠く、かつてホームだった場所には駅員・関連会社職員用の施設(点呼場・講習室、休憩室・寝室、トイレ等)が後から建設され当時とは様相を異にしている。見学者用に当時の遺構や資料なども用意されてはいるが、これらは1997年に銀座線の開業70周年記念イベントに際した大掃除とリニューアル作業が実施されて以降のことであって、それ以前は通常使用される場所以外は必要最低限の管理に留めていた期間が永らく続いていたため、本作品の取材が行われた当時は場所によっては内部が雑然とした状態だったという。東京地下鉄の公式発表によれば駅の設計図などは現存しておらず、当時の改札口や地上への出口がどこにあったのかも正確には分っていないが、構内の構築物の状況からおおよその場所は特定されているとの事である。

なお、これら一連のシーンのあと列車はさらにレールを通って湾岸部周辺(大田区城南島東端)まで進んでいるが、その間の描写はなく、観た者の想像に委ねられるかたちとなっている。だが、既存の路線から考えれば「結節点」の先は恐らく都営地下鉄浅草線に通じており(実際に新橋駅は銀座線と浅草線の連絡駅である)、そこを経由しながら目的地点へと到達したものと考えられる。都営浅草線は西で京急本線に通じているため、直接羽田空港小島新田駅(行政区分上の所在地は神奈川県)等の東京湾岸エリアに直通している。また、製作当時は小島新田駅付近はJR川崎貨物駅から貨物列車乗入れのため三線軌条化されており、1067mm軌間との接点にもなっていた[8]

小説[編集]

LD[編集]

DVD[編集]

  • 1998年に最初にDVD化された。LD大のパッケージだった初回特典版にはキャストのインタービュー記事などが同封されていた。また、音声は劇場公開版とDVD化のためにリニューアルした音声の2種類を収録した。また、これ以降のDVD/BDの音声は劇場公開版とサウンドリニューアル版を同時収録するマルチオーディオ仕様になった
  • 初回盤の販売後は通常版として通常のトールケースで販売された。ブックレットは縮小されてはいるが、初回盤の内容が記述されている。
  • 1と共に米国でも発売。(豪華版:89ドル99セント。通常版:29ドル99セント)
  • 2004年1月23日から絵コンテがセットになったLimited Editionが1年間の限定発売。
  • 劇場版シリーズのメイキングが収録されたDVD及び各種雑誌記事などが本として付属した「PATLABOR MOVIE ARCHIVES」が2004年2月25日に発売された。
  • Blu-ray Disc/HD-DVDとDVDがセット(各ディスクそれぞれに本編が収録されている)になった商品が2007年8月24日に国内発売された。

BD[編集]

  • Blu-rayとDVDがセットで2007年8月24日に発売。
  • Blu-rayの単品版が2008年7月25日に発売。

こぼれ話[編集]

  • 冒頭で陸自PKO部隊と対峙する車両の形状がツングースカ(2K22)となっているが、陸自レイバーのディスプレイ表示はシルカ(AFV SILKA TYPE 2S6)となっている。更に実際のツングースカの武装は30mm連装機関砲2門と対空ミサイル8発であるが、劇中では「30mm MG X2 RPG X8」と表示されている。RPGとは一般的にはロシア製の対戦車ロケット弾のことであるが、劇中ではミサイルらしき航跡を描いており、陸自レイバーも対ミサイル防御装備のスモークディスチャージャーでこれを回避しようとしている。なお、実際のツングースカのミサイルは地上目標を攻撃することはできず、劇中のように複数の目標を多数のミサイルで同時攻撃できる装甲戦闘車両に至っては2013年現在まで存在していない。ちなみに、シーンの最後で当該車両は陸自レイバー(ラーダー)から882mの距離で25mmチェーンガンによる攻撃に耐えているが、実際のツングースカであれば容易に破壊される武装と距離であり、現実の最新の装甲戦闘車両でも劇中のように命中弾を浴びつつミサイルで反撃するのは非常に困難である。これらが制作側の間違いなのか、意図的な演出なのかは明らかでない。
  • 押井作品ファンとして知られるジェームズ・キャメロンが『タイタニック』のキャンペーンのため来日した際、本人の希望により大友克洋と押井3者での会食が設定された。屋形船でおこなわれたその席で、ベイブリッジを目にしたキャメロンは「爆撃されたあの橋だ」と狂喜したという。また、後に彼が監督する『ターミネーター2』の特報フィルムにあるターミネーター生産シーンは、「パトレイバー」のレイバー生産ラインをオマージュしたものとも語った。
  • 本作は押井と出渕が袂を別つ直接のきっかけとなった[9]。元々パトレイバーの原案を立ち上げた出渕とゆうきの両者に対して、メカデザインの観点などから押井は不満を持っていた[10]が、製作中に出渕のデザイン提出が遅れた際に、ついに感情をぶつけ、「お前やゆうきまさみは、要するにレイバーが宇宙でドンパチやるようなものをやりたいんだろ!」との侮辱的な発言をしてしまい、電話口での大喧嘩となったという。以後、押井は出渕のデザインを酷評しており、押井が監督を務める作品について、出渕が直接スタッフとして関わったものもない。『WXIII 機動警察パトレイバー』でも、押井と伊藤[11]は作品に関与しなかった。当時から10年以上経過した現在においても、押井は出渕について「(時間がたってお互いに落ち着いた今となっては)友人としてならあるかもしれないが、仕事のパートナーとしてはあり得ない人物」との旨を述べている。なお、本作品で押井が唯一気に入っている出渕のデザインが「イクストル」であるが、これは駄作機という演出の意図通りの非合理的なデザインであったからである[12]
  • キャストとして、お笑いコンビ『バナナマン』を結成する以前、ピンのタレントとして活動をしていた頃の日村勇紀の名がクレジットされている。本人はどんな役をやったのかもう覚えていないとレギュラーのラジオ番組で語ったが、リスナーからの指摘と相方の設楽統の証言により、冒頭部分に出てくる、シゲに「班長、後藤さん見かけなかったかって」「後藤さん捜してるんだって」と話しかける整備員が日村であるとされた。また、他の部分にも何度か出ていると設楽が話したが、こちらは未確認。
  • ベイブリッジ爆破事件の日付は、サントラCD盤のブックレットによると2002年2月21日。時刻は17時20分。また、本編中の描写によれば、柘植の決起はそれから五日後の2月26日となっている。また2002年以降、これに合わせて2月26日に六本木ヒルズにおいて押井の戦争に関するトークショーが毎年開催されている。
  • 前述の通り、荒川茂樹のモデルは大学時代に押井が主宰した「映像芸術研究会」に所属していた学生荒川憲一であるが、一橋大学を卒業後、本当に幹部自衛官になっていた。本作に関する雑誌インタビューにも応じており、当時は、防衛大学校の助教授であった[13]
  • 荒川が「おもひでのベイブリッジ」のカラオケ映像で解説する二機種のF-16の内、航空自衛隊が装備しているF-16Jは現在F-2戦闘機として実在している。本作品制作当時は次期支援戦闘機 (FSX) として試作機の存在が知られるのみであった為、劇中ではその機体の1998年以降の配備仕様として登場しているが、実在のF-2は2000年に配備されている[14]。劇中では三沢基地北部航空方面隊隷下の第3航空団第8飛行隊所属の機体番号「91-9666」、「91-9667」、「91-9668」の三機がバッジシステム画面上に登場するが、これも架空のもの。一方、アメリカ空軍が装備するF-16改(通称:ナイトファルコン)および航空自衛隊のF-15J改(通称:イーグルプラス)は、それぞれ実在のF-16F-15Jをベースに発展した姿として本作で描き起こされたオリジナルの空想航空機である。それぞれステルス性の向上を図った改造が施されている。ちなみに、両者のデザインを担当した河森正治がのちに「マクロス」シリーズで発表するVF-22 シュトゥルムフォーゲルIIのベクターノズルの形状は、本作のF-16改と共通のものである。「ワイバーン」、「プリースト」、「トレボー」等のコールサイン名は、押井がかつて熱中していたRPG「ウィザードリィ」からの引用である。
  • 柘植には初期設定の段階で「神渡」という苗字が宛てられていた。
  • 放映開始後53分頃に、放映当時流行していた子供向け番組ウゴウゴルーガに登場するミカンせいじん、テレビくんが確認出来る。
  • コンビニの買出し(買占め)部隊として登場する「整備員B」は、劇場版第一作目冒頭で進士と共に二号機輸送車の運転席に居た「整備員C」と同一人物である。
  • 後藤と荒川の密会の場として使用された水族館は谷口吉生設計の葛西臨海水族園。後藤が高速艇から見上げた橋は、建設中の第二東京湾岸道路[15]という設定だが、橋の外観はロケハン当時に建設中だったレインボーブリッジが元になっている。「正義の戦争」と「不正義の平和」について後藤と荒川の台詞のやりとりが交わされるシーンは、横浜ベイブリッジから羽田付近の湾岸工業地帯にかけての風景。なお、後藤が見上げた建設中の吊り橋はメインケーブルが完全に渡されないまま桁の構築が進んでいるが、実際にはこのような構築手順は吊り橋の構造上不可能である。ちなみに、横浜ベイブリッジは斜張橋なので劇中のように中央部が完全に分断された状態でも桁の自立を維持ことができる。南雲と柘植が密会した場所は東京都港区の浜松町駅附近である。
  • NHK-BS2では本作が繰り返し放送されていたが、作中ではヘルハウンドの20mmガトリング砲によりNHK放送センター本館の通信塔が派手に破壊されている。本作ではレイバーを差し置いてほぼ主役級の活躍を見せる「ヘルハウンド」だが、アニメ版では「AFH-02B」であった形式番号が、後発の小説版では「AH-88」に改められている。そのためAH-1Sの後継機種でマクドネル・ダグラス社製としていたアニメ版の設定から、AH-56の後継機でヒューズ社製のものへと変化している。それぞれの詳細に関しては各項目「AFH-02B」及び「AH-88」を参照の事。後者は「パトレイバー世界では米陸軍のAAFSS計画がキャンセルされなかった」という裏設定に基づくものであり、押井守の個人的な趣味が反映されたものである。押井の著書「メカフィリア」によれば、実は当初の段階から後者の構想で河森正治には発注が出されていたらしい。シリーズ中でレイバーではないメカニックの中でもファンの人気は高く、映画の公開から約15年を経て単独でのプラモデル化が決定するほどである。押井が監督した実写作品『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』(パイロットフィルム)には、後者の設定に基づく後継機AH-88J2改「グレイゴースト」も登場している。
  • 劇中でテロ鎮圧に駆り出され、戦線復帰したイングラムであるが、さらに後の所在に関しては、東ヨーロッパの警察に払い下げられ、2017年の時点でも現役で災害救助活動を行っている一号機と、頭部をTV版仕様に戻した三号機の姿が確認できる[16]

参考文献[編集]

  • THIS IS ANIMATION THE SELECT 機動警察パトレイバー2 the Movie』(小学館、1993年) ISBN 4091015190
  • 『機動警察パトレイバー2 the Movie 設定資料全集』(小学館、1993年) ISBN 409101576X
  • 『機動警察パトレイバー2 the Movie』(小学館、1994年) ISBN 4091218741
    • 本作のフィルムコミック
  • 『Methods 押井守「パトレイバー2」演出ノート』(角川書店、1994年) ISBN 4048524984
  • 『WXIII 機動警察パトレイバー 設定資料全集』(小学館、2002年) ISBN 4091015654
  • 『P‐pack』(こだま出版、2002年) ISBN 4906069347
  • 『押井守・映像機械論 メカフィリア』(大日本絵画、2002年) ISBN 4499227542
  • 『押井守 人間の彼方、映画の彼方へ』(河出書房新社、2004年) ISBN 4309976824

脚注[編集]

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  1. ^ ただし、これは押井の認めるところであったか、演出ミスであったどうかは不明。
  2. ^ テレフォンサービスは横手美智子らの脚本によるものである。その一方、『機動警察パトレイバーCD BOX』に収録された、伊藤和典脚本によるドラマCD『第2小隊日誌』では、世界の繋がりに関して異なった解釈がなされている。 「劇場版2作目の前日譚」として発表された本作では、テレビシリーズの内容には触れず、初期OVA6話までの内容を振り返りつつ、篠原重工にテストパイロットとして出向する野明と遊馬の様子や、テスト機として送り出される98式が描かれるなど、劇場版2作目が、テレビシリーズではなくOVA第1期と繋がっていることが明示されている。 劇場版2作目の公開直前である1992年に書き下ろされていることから、少なくとも脚本の伊藤においては、劇場版2作目はOVA第1期と繋がっている認識であったことが分かる。また、押井守による劇場版2作目のノベライズである『TOKYO WAR』では、太田が香貫花あての遺書のみを残し、熊耳についての描写は存在しないなど、初期OVA・劇場版1作目の世界と連なっているらしき表現も見受けられる。ただし、『TOKYO WAR』は押井個人の解釈に基づいた作品であることに注意。
  3. ^ 後に押井自ら手がけた小説版『TOKYO WAR』では、映画では割愛された部分が大幅に追加されている為、映画では描かれなかった彼らの様子も詳細に描写されている。劇場版には登場しなかった香貫花・クランシーについてもわずかに触れられているが、熊耳武緒についての記述は一切ない。この小説版はそんな映画版の補完の役目を担う一方、あらゆる面で『食』に対する押井のこだわりが書き綴られている。なお、これは押井にとっての小説処女作でもある。
  4. ^ なお、鳥の他に魚も押井が好むモチーフだが、これは聖書からの暗喩でもあるという。犬については押井本人の好み。押井が自ら執筆した本作のノベライズでは、柘植一味のヘルハウンド発進を目撃した男性の飼い犬には“ガブ”という名前が設定されており、これは当時の押井が飼っていたバセットハウンドの愛称(正式な名前はガブリエル)である。また、映像作品中(本作)で描かれた姿から、犬種も同じである。
  5. ^ 劇場版第三作目「WXIII 機動警察パトレイバー」に登場する廃棄スタジアムも実は同じ土地に存在している。本作では進士と南雲が敵本部への侵入経路をCGで説明するシーン、「WXIII」では怪物が殲滅されたあとカメラが上空へと引いていくシーンや設定資料などでそれぞれ地形が確認できる。周辺の立地状況に関してはこちらも参照。南雲が柘植を逮捕する場所と廃棄スタジアムは、実は徒歩で行き来することも十分に可能な距離なのである。 本作では殺風景な様子だが、南雲たちの居た場所から水門や側路(ところどころは未舗装)を挟み、島中央のスタジアム周辺には駐車場や小さな公園が広がっている。スタジアムは元々2002 FIFAワールドカップ開催時の使用を目指し建設が進められていた物であるらしい。だが「パトレイバー」の世界ではその誘致に失敗した為、建設を中止して放棄され、バビロンプロジェクト完了後もこの埋立地そのものが宙に浮いていた模様。
  6. ^ 設定上18号埋立地に隣接する中央防波堤外側埋立地を指す。
  7. ^ 当初この「おもひでのベイブリッジ」は冗談の様な軽い気持ちで作曲されたが、美桜かな子バージョンのレコーディングの際には「演歌の鬼」の様な先生が同伴してきて美桜かな子に熱烈指導を始めた為、作曲を担当した川井の顔は徐々に青ざめていったという。
  8. ^ 奇しくも、イングラム制式化の前年になる1997年に廃止、撤去されてしまった。
  9. ^ 本件については、別作品ではあるが、ラーゼフォン 多元変奏曲のDVD初回限定版ブックレットで、押井と出渕の対談が実現しており、そこで言及されている。
  10. ^ ゆうきと出渕が考えていた警察用レイバーのイメージは「その姿を見ただけで犯罪者が圧倒されるようなもの」であり、これがイングラムの「見る者に与える心理的影響まで考慮してデザインされた」という設定と劇中における実際のデザインにも繋がっている。一方、押井が考えていたのは「風呂釜に手足をつけたような機械」である。押井はレイバーをあくまでギミックとして捉えており、主役のレイバーをロボットものにありがちなヒロイックなデザインとすることに不服であった。いかにも建設機械然とした作業用レイバーのデザインには、こうした押井の温めていたイメージが反映されている。
  11. ^ もともと押井と伊藤は親友同士であり、伊藤も不参加となった。伊藤自身は出渕とも古い付き合いであり、決して不仲ではなかったが、当時多忙であったことから、押井の「今更パトレイバーなんて、やりたい人が勝手にやれば良い。第二小隊の面々は既に描ききっているし、自分はもはや興味が繋がらない。」という考えに同調する立場をとった。なお、押井が一連のパトレイバーシリーズに参入したきっかけは、伊藤からの誘いである。機動警察パトレイバー#ヘッドギア参照。
  12. ^ 『押井守・映像機械論 メカフィリア』(大日本絵画、2002年) ISBN 4499227542
  13. ^ 「防衛大助教授の現職自衛官が語る「PKOと押井さんのこと」」『アニメージュ』徳間書店、1993年8月号
  14. ^ 第3航空団第8飛行隊にF-2が配備されたのは2009年。本作公開時の1993年時点での装備機はF-1支援戦闘機。また本作の設定年である2002年時点ではF-4EJ改を装備。総配備数の130機という設定も、開発当時予定されていた配備数が元である。
  15. ^ 現実世界では建設の目処は立っていない。
  16. ^ 掲載は「モデルグラフィックス」2001年8月号及び12月号。ただし、模型誌による設定である点に注意。ホビージャパンなど他の模型誌も含めて、模型誌では原作中に存在しないメカを空想してスクラッチビルドの作例として掲載する際や、対象作品特集本の刊行において、記事内で公式設定然とした解説をつけることが頻繁にあり、それが実際には公式設定でないこともしばしばある。

外部リンク[編集]