ウィンドサーフィン

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ウィンドサーフィンWindsurfing)は、セイルボード(以降、略してボード)とセイルが接続された専用の道具を使用し、風を受けたセイルに発生する揚力と波の斜面を滑り降りる推進力を主な動力として水面を滑走するウォータースポーツヨットサーフィンを融合・発展させたスポーツである。ウィンドサーフィンをする人のことをウィンドサーファー(Windsurfer)と言う。

兵庫県二見海岸

目次

[編集] 概要

ウィンドサーフィンは、1967年にアメリカのカリフォルニアでジム・ドレイク(Jim Drake)とホイル・シュワイツァー(Hoyle Schweitzer)により発明された。当初は、「ボードセイリング」というのがスポーツの名称であったが、2005年にスポーツの中心的組織となるPWA(Professional Windsurfers Association)が発足し、その以降は「ウィンドサーフィン」がスポーツの正式名称となっている。

2005年、オランダのワールドカップでのビヨン・ダンカーベック

ウィンドサーフィンの道具は、ボード上で接続されたリグを立ててセイルに風を受け、セイルから発生した揚力をボードに伝えることで水面との抵抗力が発生し、その抵抗力により走行する構造となっている。走行にはセイルの風圧中心(CE(CENTER OF EFFORT))とボードの側圧中心(CLR(CENTER OF LATERAL RESISTANCE))を垂直に保つことで、ボードの前方から後方までの加圧配分が均等となり直進する。方向転換は、リグを前方または後方に操作することで風圧中心位置の変化を促し、ボードへの加圧配分の変更により風上または風下方向へと方向転換を行う。艇種は水面(海面、湖面、川面等)を走行する滑走艇(反対語;排水艇)に属し、ボードは幅が約50~110cm、長さが約220~390cmのものがある。セイルは子供用1.0m²から12m²のものがあり、風速と波の状況に応じて各々の使用目的に合った道具を選定する。

走行可能な範囲は、ヨットと同じで双方向に風上45度(クローズ・ホールド)~風に対して90度(ウィンド・アビーム)~風下に45度(クウォーター・リー)~90度(ランニング)で、ある程度のスピード(約25Km/h)以上になるとボードが水面に浮き上がって滑走するプレーニングができ、中級者以上になると容易に50km/h以上のスピードで滑走出来るのが、このスポーツの最大の魅力である。

世界のトッププロにおける最速記録は、500m間で2008年にフランスアントワン・アルボー(Antoine Albeau)が49.09kts(90.91km/h)、1海里間で2006年にスイスビヨン・ダンカーベック(Bjorn Dunkerbeck)が41.14kts(76.19km/h)を計測し、「WSSRC」(World Sailing Speed Record Council)による公式記録として認定登録されている。

オリンピックでは、1984年第23回ロサンゼルス大会からセーリング競技の一種目として登録されており、2008年第29回北京大会では「RS:X-Windsurfer」という名称で競技が行われている。オリンピックでは、競技者全員が「One Design」と呼ばれる認定登録された共通の道具を使用して競技が行われるが、第30回ロンドン大会では、Neil Pryde社製のRS:X艇の使用が決定している。

[編集] 道具の構成

ウィンドサーフィンに使用する道具は、ユニバーサルジョイントにより接合する「リグ部」と「ボード部」、セーリングを補助する「装具」で構成される。 各部の詳細は以下のとおり。

[編集] リグ部

リグ部は道具を水面に浮かべた状態においての上部分のことで、セイル、ブーム、マストマストエクステンションハーネスラインで構成される。中・上級者の人はリグ部のことを通称でセイルと呼ぶこともある。

セイル 
風を受ける帆そのもの。近年のセイルは高速時のセイルに発生する揚力を効率よく推進力とするため、飛行機の翼と似た形状で空気力学を取り入れた構造設計(バテンキャンバー・インデュサーの内蔵等)がされている。また、常に安定した推進力が得られるよう微風時には風を全面で受け止め、中・強風時にはセイル上部にねじれを生じさせて余分な風を逃がす調節機能の向上も図られている。主要部分はフィルム素材が使用されている。
ブーム 
マストに接続するリグを操作するための楕円形をした取っ手。長さ120㎝~310㎝のものがあり、ブームエンドに付属されたシートでブーム長を調節しクリューを構成する役割を担っている。本体部分はカーボンアルミニウム素材が主流となっている。
マスト 
リグを構成する中心となる軸棒。長さ370㎝~560㎝のものがあり、セイルに合わせて長さを選択する。近年では収納しやすいよう2本に分割されたものを接合して使用する構造となっており、カーボン素材、エポキシ素材が主流となっている。カーボン素材のものは、カーボンの含有量で性能が異なり多いものほど瞬発力が高くなる。
マストエクステンション 
リグの長さを調節してユニバーサルジョイントと接合させるもの。ユニバーサルジョイントとの接合部に付属されたシートでラフ長を調節しリグを構成する役割を担っている。カーボン、アルミニウム素材が主流となっている。
ハーネスライン 
走行する際にリグの引き込みを補助する道具(ハーネスシステム)の一部。ブームの手で掴む部分にU字状に設置するシートをポリ塩化ビニル素材で覆ったもので、体に装着したハーネスフックを掛けて使用する。

[編集] ボード部

ボード部は道具を水面に浮かべた状態においての下部分のことで、セイルボード、フィン、ユニバーサルジョイントによって構成される。中・上級者の人はボード部のことを通称でボードと呼ぶこともある。

セイルボード 
水上における唯一の浮体物であり走行時の移動主体となるもの。サーフボードと似た形状の合成板であるが、より強度の高い構造設計でデッキ部の中央にはジョイントボックス、後方にはフットストラップが付帯される。形成された発砲素材にグラスメッシュカーボンメッシュを貼りつけたものをエポキシポリエステル素材で覆っている。ボードはダガーボード(センターボード)付属の有無によりロングボードとショートボードの2種に区分され、ダガーボードが付属されるエントリーボード、ロングレースボード、オールラウンドボードはロングボードにそれ以外はショートボードに属する。ダガーボードを使用すると横流れが少なくなるため、風上方向(アップウィンド)への走行性能が向上するが、水面抵抗が大きくなるため旋回性能と直進スピードは低下する。
フィン 
ボードのボトム部後方に接続するひれ状のもの。水中で水との抵抗となり横滑りを抑制することで直進性を保持し、自体に揚力を発生させてボードの推進力を促すもの。サーフィンと同様の固定する型式で船やヨットのような可動して舵を取る機能はない。G-10(エポキシ樹脂)、ポリエステル素材のものが主流となっている。真っ直ぐな形状のものは直進安定性に湾曲した形状のものは回転運動性に優れる。レースボード、スラロームボード用のものは真っ直ぐで長く、ウェイブボード用のものは湾曲して短い。フリースタイルボード用のものはその中間的な形状をとっている。フィンはボードに内蔵されたフィンボックスの数により、シングルフィン(1本)からクアッドフィン(4本)(例:ツインフィン(2本)、トライフィン(3本))まで存在するが、ウェイブボード以外のボードはシングルフィンのみとなっている。ウェイブボードは波のコンディションに合わせたボードの運動性能が求められることから、ボードの特性を好みに応じて選択できるよう多種のものが開発されている。特徴はシングルフィンは直進安定性と高速性が優れ、ツインフィンは回転運動性に優れる。トライフィン、クアッドフィンはその中間的な性能となる。
ユニバーサルジョイント 
リグ部とボード部を接続するためのもので、ボードのデッキ部に取り付け360°曲がることでリグ部を動かしたい方向に自由に操作できる構造になっている。ユニバーサルジョイントとジョイントベースで構成され、接続と取り外しがワンタッチで簡単に行える。以前は金属製でメカニカルな構造であったが、近年ではウレタンラバー素材の簡素な構造のものが主流となっている。このユニバーサルジョイントの存在がウィンドサーフィン独自のもので、ヨットと区別される所以である。

[編集] 装具

PWAワールドカップ開催地として知られるグラン・カナリア島ポッゾ

装具は、体に装着する道具類で気温変化への対応や長時間のセーリングを補助するもの。中・強風時セーリング用のハーネス、ウェイトジャケット、防寒・怪我対策用のウェットスーツドライスーツウェットスーツブーツウェットスーツグローブ、遊泳補助用のライフジャケットなどがある。

ハーネス 
走行する際にリグの引き込みを補助する道具(ハーネスシステム)の一部。上体か腰または尻の周りにベルトで装着し、ハーネスラインに掛けるフックが付属されている。
ウェイトジャケット 
走行する際にリグの引き込みを補助する道具。ライフジャケットと似た形状でジャケット内に重量物を付加したもの。上体に羽織るように装着する専用ジャケット。
ウェットスーツ、ドライスーツ 
防寒・怪我対策のための専用スーツ。ウェットスーツはジャージ素材の水分が透過する構造で柔軟性が高い。ドライスーツはラバー素材の水分が透過しない構造で柔軟性は低い。温暖な時はウェットスーツを寒冷な時はドライスーツを使用する。近年では双方の機能を組み合わせたセミドライスーツが開発されている。
ウェットスーツブーツ、ウェットスーツグローブ 
防寒・怪我対策のための装具。ラバー、ジャージ、ナイロン素材で造られた専用ブーツ、専用グローブ。
ライフジャケット 
水上において浮力を補い、遊泳を補助する道具。上体に羽織るように装着する専用ジャケット。

[編集] 種目及び道具分類

初期のウィンドサーフィン

ウィンドサーフィンは、開発当初からの約10年間について「WINDSURFER」(以降、サーファー艇。当初の「SK8」から改名された現在のロングボードの原形)と名称付けられたサーフィンのロングボードと似た形状で、長さが360㎝のダガーボードの付属されたボードとリグが一式となった道具の一種類であった。

その後の1980年にハワイオアフ島ダイアモンドヘッドで、ラリー・スタンレー(Larry Stanley)とマイク・ホーガン(Mike Horgan)により、サーファー艇を改良した波を使ってウェイブライドとジャンプが行えるファンボード(現在のショートボードの原形)の元となるボードが使用される。以降のファンボード開発は革新的に進み、サーフボードと似た外形へと転向していくとともに軽量化が進んでいく。また、セイルもボードの軽量化、短小化による高速性と運動性の拡大に対応するよう改良が進み、ヨット同様の風を孕ませる形状で柔らかいダクロン素材からウィンドサーフィン独特のバテンを配した形状で硬いフィルム素材へと基本的構造の仕様変更が施されていくこととなる。

この変革によりショートボードという分類が構築され、プレーニングが行えるものとなったことで走行スピードが格段に向上し、能動的に波をとらえた動作が行えるようになったことにより、スピード系とアクション系の道具が発展していくこととなる。この後の数年間においてスピード系のファンボードはカイルアで、アクション系のファンボードはダイアモンドヘッドを中心として開発が行われていく。

現在では、ロングボード、ショートボードともに世界各国で開催されるワールドカップや国際大会の競技種目に準じて世界の各地で道具開発が行われているが、ショートボードの誕生以降から現在に至るまで、ロングボードとショートボードは別々のカテゴリとして扱われており、国際大会もそれぞれの運営組織を設立した競技開催が行われている。

なお、国際大会は、2010年現在でPWAとIOC(国際オリンピック委員会)の他にIWA(国際ウインドサーフィン協会)・ISAF(国際セーリング連盟)の主催で世界各地を転戦するワールドツアー形式により行われている。日本でのワールドカップはPWAの前身組織であるPBA(Professional Boardsailers Association)の主催により、1984年から1993年の間に静岡県榛原郡御前崎町(現御前崎市)で開催されていたが、その以後において日本での国際大会は行われていない。


種目及び道具分類は以下のとおり。


Windsurfing, Herzliya.JPG
エントリー(スクール)(Entry(School))

初級者用でウィンドサーフィンの基礎的技術を習得する種目。競技種目ではない。

おおよそ1~6m/sの風速で平水面を好適とする。

この種目に分類される道具は、初心者でも容易に走行とタックジャイブといったトランジション(方向転換技術)が行えるよう設計されている。幅が約100cmで浮力は約200lと大きく、デッキが滑りにくいようにソフトパッド等で覆われたボードと面積が小さく簡素な形状で重量の軽いセイルを組み合わせることで、誰でも1時間程度でセーリングが行える。 ボードには横流れを防ぎ、風上方向へ容易に走行できるようダガーボードが付属される。しかし、セイルを付け替えることで、初心者以外でも遊ぶことは可能で二人乗りが出来るボードもある。


アップウィンドレース(Upwind Race)

ヨットレースに準じてスタート地点から見て風上と風下に広く設定されたコースを風上から風下方向(クローズ・ホールド~ランニング)に走行し、水面に設置されたマークをトランジションでの回航を繰り返してゴールまでの先着を競う競技種目。

おおよそ4m/s以上の風速で平水面~チョッピーな水面を好適とする。

フォーミュラ

沖合に設置されたスタート地点から全ての競技者が一斉にスタートする形で競技が行われる。この競技はコースレイアウトの20%以上を風上方向に設置するよう規定されており、そのことが後述のスラローム競技と区別されるところとなっている。使用する道具は「レースボード」とよばれる微風から中風域に強く、風に対して最も広範囲に滑走できるボードと7.5~12m²の「レースセイル」とよばれるマストスリーブ内のバテン接点部にキャンバーインデューサー(略称はカム)を内蔵することで、常にドラフトを安定させ、風力を効率よく推進力として取り込めるよう設計された適応風域の広いセイルを使う。レースボードはその形状により「ロングレースボード」と「フォーミュラボード」の2種に分類されるが、開催大会の規定に基づいて使用するボードの選択が分かれ、レースボードクラスフォーミュラウィンドサーフィンクラスの名称で競技分類される。それぞれのボードの特徴としては、ロングレースボードは幅60~100cm、長さが280~390cmのマストトラックシステムとダガーボードが付属された形状で、風上方向の走行時(クローズ・ホールド)に高い走行性能を発揮する。フォーミュラボードは幅100~110cm、長さ220~230cmのマストトラックシステムとダガーボードが付属されない形状で、風下方向の走行時(クウォーター・リー~ランニング)に高い走行性能を発揮する。

この競技は、スタートからゴールまでの間を風上・風下方向に幅広く走行して方向転換とマーキングを繰り返すことから、ウィンドサーフィンにおける基礎的な技術力が勝敗を分けるものであり、また、他競技と比較して大型の道具を使用することによる微風の競技開催が可能なため、オリンピック、国民体育大会の競技種目に採用されている。2008年現在で、オリンピック、国民体育大会はロングレースボードにより、ワールドカップはフォーミュラボードにより競技が行われている。


スラローム(Slalom)

スタート地点から見て、並列(フィギュア・エイト)または風下方向(ダウンウィンド・スラローム)に設定されたコースを8の字または風下方向(クローズ・ホールド~クウォーター・リー)にプレーニング滑走し、水面に設置されたマークをレイルジャイブでの回航を繰り返してゴールまでの先着を競う競技種目。

おおよそ6m/s以上の風速で平水面~ラフな水面を好適とする。

ビーチまたは沖合に設置されたスタート地点から全ての競技者が一斉にスタートする形で競技が行われる。使用する道具は「スラロームボード」と呼ばれる最も軽量化が図られた相対スピード重視の直進安定性が優れたボードに、4.5~11m²のレースセイルまたは「スラロームセイル」とよばれるレースセイルと似た形状でキャンバー・インデュサーの数が比較的に少ないセイルを使う。

この競技は風下方向(ダウンウィンド)、風上方向(アップウィンド)ともハイスピードからのカーヴィング回航が繰り返されるので、スピード感が高い激しい順位争いが繰り広げられる競技となっている。この競技の競技者人口は最も多く、また、使用道具の性能が競技結果に大きな影響を与えるため、セイル、ボードの開発競争も激しく、ウィンドサーフィン用具においての性能向上の牽引役を担っている。


ウェイブパフォーマンス(Wave Performance)
2006年、ドイツズィルト島のワールドカップでのロビー・ナッシュ

波間の水面において競技者が決められた一定時間内でプレーニング滑走からトランジション・ウェイブライド・ジャンプの技術を競い合い、ジャッジでの勝ち上がり形式により順位を競う競技種目。

おおよそ8m/s以上の風速、ラフ~セット波の水面を好適とする。

二人の競技者がビーチからスタートする形でトーナメント方式により競技が行われる。使用する道具は、激しい競技での使用(プレーニングからのループ着水等)と波に巻かれた時にも破損が少ないよう丈夫なものとなっている。「ウェイブボード」と呼ばれる波に乗るためのロッカーが付いた最も運動操作性が優れた衝撃に強いボードと3~7m²の「ウェイブセイル」とよばれる風を溜めない構造で、頑強な素材(X-PLY等)で補強されたセイルを使用する。

この競技は、サーフィン同様のウェイブライディングとリッピング、ウィンドサーフィンならではの波に向かってのジャンプやループ技が混合する「ウィンドサーフィン」という名が最もふさわしい競技でもある。世界のトッププロでは、ウィンドサーフィンの三次元的な運動性を最大限に使って、多種多様な技で競い合い、このスポーツのイメージリーダー的存在として可能性を広げ続けている。


フリースタイル(Freestyle)

平水面において競技者が決められた一定時間内でプレーニング滑走から多種の技を繰り出し、技の華麗さ・多様性・技術の高さを競い合い、ジャッジでの勝ち上がり形式により順位を競う競技種目。

おおよそ6m/s以上の風速で平水面~チョッピーな水面を好適とする。

二人の競技者がビーチからスタートする形でトーナメント方式により競技が行われる。使用する道具はスラロームとウェイブの中間的な要素のものとなり、「フリースタイルボード」と呼ばれる最も回転性が優れたボードと3.5~7.5m²の「フリースタイルセイル」と呼ばれる軽くてしなやかなセイルを使用する。

この競技は、繰り出す技の多彩さが重要となることから、短時間により多くの技を行えるよう他の競技道具と比較して、走り出しから最短時間でプレーニングできるよう瞬発力の高く初速が得やすいものとなっている。競技歴史は古いが、2000年頃から専用道具の開発が始まったことでプレーニングからの回転技中心の競技スタイルとなり一般人気も高いものとなった。この競技は「平水面のウェイブ」とも呼称され、水平方向の回転技が次々と生み出されている。


スピードセイリング(Speed Sailing)

平水面に決められたコースを風に対して垂直またはやや風下方向(ウインド・アビーム~クウォーター・リー)にプレーニング滑走し、GPS機器またはスピードガンを使って速度計測を行いその速度記録を競う競技種目。

おおよそ10m/s以上の風速、平水面を好適とする。

競技者一人ずつが順番に滑走する形で競技が行われ、250m、500mまたは1海里の決められたコースを滑走して、その間の速度計測を行う。使用する道具は「スピードボード」と呼ばれる進行風による巻き上げと水面の反発を最小限に抑えるためにボード幅を極めて狭く設計した最高速度と直進性のみを重視したボードと4.5~11m²のレースセイルかスラロームセイルを使用する。

比較的強風下で開催されるこの競技は、その競技内容からトランジション等のボード回転運動は一切行わないため、使用する道具は直進スピードのみを重視した特化性の高いものとなる。このことから一般使用には向かず道具の一般販売は行われていない。使用するブームも風の巻き込みでの抵抗による速度低下を考慮した半円状で片側にだけ接続されているものもある。競技者人口の少ない競技となっている。


競技外においては、その人が乗ろうとする場所の水面コンディションと目的(乗り方)に見合った道具を選択することとなるが、競技者以外のファンユースのためにエントリーボードとレースボード、スラロームボードの中間的な「オールラウンドボード」、スラロームボードとフリースタイルボード、ウェイブボードの中間的な「フリーライドボード」といった道具も販売されている。

[編集] 段階ごとの習得過程

ウィンドサーフィンは他のスポーツと比較して難度が高いといわれる。これは水面に浮かんだ板状の浮力物に直立するという不安定な状態で常に強弱があり一定しない風を捉えなければならず、ボード部とリグ部という異なる動きをとる2つの道具を手足で同時に操作しなければならないためである。なお、波がある場所では、波へ合わせた道具操作が必要となるため難度はさらに高くなる。

入門段階ではプロやウィンドサーフィンの専門店などが主催するスクールに入り、初心者用の道具を使って体験するのが最適である。これは中・上級者用の道具はボードの浮力が小さく不安定で、セイルの重量が重いので初心者には非常に扱いにくいものとなるからである。中・上級者の知人から道具を借りて習うというのは、最も上達が遅くなるので絶対に避けた方がよい。

各段階で習得する主な技術は、以下のとおりである。

[編集] 入門段階

ウィンドサーフィンの走行から方向転換に関する基礎的技術を習得する段階。

セイルアップ 
ブームに結合されたアップホールラインを使い、水面に倒れたリグを引き上げて走行を始める技術。
タック 
トランジションの一つで、風上まわりの方向転換。クローズ・ホールドの走行状態から風上方向へのボード方向転換の動作と合わせて、リグのマスト側から反対タックに乗り換える技術。
テイルジャイブ 
トランジションの一つで、微・中風時における風下まわりの方向転換。クウォーター・リーの走行状態から風下方向へのボード方向転換の動作と合わせて、リグをマストを軸に反転させてボードの反対タックに乗り換える技術。風下まわりの方向転換となるジャイブには「テイルジャイブ」と「レイルジャイブ」の2種類があるが、比較的風の穏やかな状況で行うこのジャイブは、ボードの艇尾(テイル)を沈めてテイルを軸に旋回して方向転換を行う。

[編集] 初級段階

中・強風でのプレーニング時の走行に関する技術を習得する段階。

プレーニング
ビーチスタート 
セイルアップに代わるもので、ビーチ際においてリグを頭上に抱え、セイルに風を入れ風の力を使ってボード上に乗りあがり走行を始める技術。
ハーネスワーク 
ブームに取り付けた半円上のハーネスラインに体に装着したハーネスのフックを掛け、リグにぶら下がるように寄りかかり、体重による引き込みで走行する技術。中・強風時になるとリグの引き込みで腕力の消耗が激しくなるため、長時間セーリングを行うためには必要となる。
プレーニング 
一定の風(5-7m/s)以上で、ボードの接水面積を極端に少なくし、水面滑走状態で走行する技術。ウィンドサーフィンにおいて最初の目標であり、中級者への必須条件となる。プレーニングは、ウィンドサーファーが海に通い続ける大きな理由の一つでもあり、アップウィンドレース以外の競技種目における開催時の必要条件となっている。近年のウィンドサーフィン用具がプレーニング時の性能向上に着眼して開発が行われていることから基礎的技術として位置づけられる。
ストラップワーク 
プレーニング時にボードの後方に付帯したフットストラップに足を入れて走行し、ボードのコントロールを行う技術。ジャイブ、ウェイブライド、ジャンプ、ループ時に重要となる。


ウィンドサーフィンというスポーツは、プレーニング時における水面を高速滑走する爽快感なくして語れないものであるが、プレーニング時におけるボード上での人とリグの主従関係が逆転した状態となることが、初級者のプレーニング習得を困難にしている原因でもある。微風時には人がボードの中心線上に立ちブームを掴んでリグを腕力で支えながら走行するが、プレーニング時はリグをボードの中心線上に位置させて、人はリグを引き込むことで発生した揚力をボードに伝え推進力に変換するための「つっぱり棒」となる。初級者が中・強風時でボード上に立ちリグを引こうとすると風の力で投げ飛ばされ、水中に放り投げられてしまうこととなる。

[編集] 中級段階

中・強風でのプレーニング時の方向転換に関する技術を習得する段階。

ウォータースタート 
セイルアップに代わるもので、ビーチスタートの発展的技術である。ビーチスタートは浜で足が着く状態で行うのに対し、ウォータースタートは、人が水中で泳ぎながらセイルに風を入れ、リグが浮き上がる力を利用してボード上に乗りあがり走行を始める技術。風により荒れた水面でのセイルアップは困難を極め、体力の消耗も非常に激しくなるため、この技術を習得することは免れない。中・強風時でのセーリング技術上達の要となる。
プレーニングタック 
トランジションの一つで、中・強風時における風上まわりの方向転換。プレーニングからタックでの方向転換を行い、プレーニングへとつなげる。
ヘリコプタータック 
トランジションの一つ。方向転換中のデッドゾーン(風上から双方向に45度の範囲)に入った際に裏風を利用してボードの方向転換を終え、リーウォード(裏風を使った走行状態)からジャイブを行うようにリグを反転して返す。リグをヘリコプターのように回転させるためこの名称が付いている。
レイルジャイブ 
トランジションの一つで、中・強風時における風下まわりの方向転換。プレーニングのターン時では、スピードによる外側への遠心力が発生するため、ボードの中心を踏み込んで側面(レイル)を水面にかませ、遠心力に対峙するよう内傾しながらボードの反発力によるカーヴィングで方向転換を行っていく。レイルジャイブは、①プレーニングからカーヴィングターンによるリグの内傾②足の入れ替え③リグを返すといった動作を連続して行う難しさから、それを習得するべく多くのウィンドサーファーが練習を繰りかえす技術である。レイルジャイブは競技においては必須技術でもあり、上級者への登竜門・中級者卒業のテクニックと位置づけられる。

[編集] 上級段階

強風でのプレーニング時の基本的な技術習得を前提とした発展的技術を習得する段階。この段階になると目指す種目によって習得する内容は異なる。下記はその一部を掲載。

レイダウンジャイブ 
レイルジャイブに含まれる発展的技術。リグを水面近くまで倒し、風の力を使わずボードスピードのみでターンを行うジャイブ。
ダックジャイブ 
レイルジャイブに含まれる発展的技術。通常のレイルジャイブとは反対のクリュー(リグのマスト側と反対の部分)側からリグ返しを行うジャイブ。
エアージャイブ(バルカン) 
うねりによるジャンプ後にボードを180°回転させて着水し、着水後にリグ返しを行うジャイブ。
スポック 
フリースタイル競技におけるジャンプ後の水平方向への回転技。
ウェイブライディング 
サーフィン同様の波乗りに関する技術。ボトムターントップターンオフザリップカットバック等。
リッピング 
波のリップを使った技。スラッシュバックローラーコースターエアーボーングースクリューリップ360°)、ゴイタータカスライド等。
ループ 
波やうねりを使ったジャンプ後の垂直方向への回転技。フォワードループ(前回転)、バックループ(後回転)、プッシュループダブルループプッシュフォワード等。

[編集] 道具の購入費用

初心者用は一式で新品購入価格が約15~20万円、中・上級者用はボードが約20~30万円で、小物類を含めた一式の新品購入価格では約40~50万円となる。中・上級者となり通年でウィンドサーフィンをする場合には、季節風の強弱に合わせた道具選択が必要となるので、セイル、フィンを3~5枚とボード、マスト、ブーム、ハーネスラインを2~3本揃える必要がある。なお、道具は消耗品なので破損等により買い替えは必要となるが、程度の良い中古品も多く出回っているため経済的な負担を少なく揃えることも可能である。

また、道具の運搬手段として自動車は所持した方が望ましい。熟練のウィンドサーファーはワンボックスタイプの車に道具を2~3セット積み込んでいる人も多いが、ゲレンデ近くのショップでは「艇庫」と呼ばれる道具保管庫が整備されており、そこを間借りして道具を預けておくこともできる。

[編集] 水上におけるルール

一般共通のものでは、順に遊泳者、無動力艇(サーフィン、ボディーボード等)、帆船(ウィンドサーフィン、カイトボード、ヨット等)、動力艇(水上オートバイモーターボート、船舶)の優先となる。セーリング競技特有のものでは、スターボード(風上から見て右への進行)艇、先行艇、風下進行艇、沖合への進行艇の優先となる。なお、この他にも地域独特のものとして漁業組合、地元のサーファー(ローカル)がルールを定めている場所もあるので注意が必要である。

規定:Racing Rules of Sailing

[編集] ゲレンデ

オアフ島ダイアモンドヘッドでのウィンドサーフィン

ウィンドサーフィンに適した場所は、年間を通してある程度以上の風(航行可能な風)が吹き、かつ、ウェイブパフォーマンスではサーフ可能な波高がある水面となるが、そういった場所は「ゲレンデ」と呼ばれる。ゲレンデは日本において全国各地に分布しているが、その人の使用道具と技術レベルに見合った場所を選択する。中・上級者では、春一番木枯らしなどの季節風や台風等での気象状況に合わせて複数のゲレンデを渡り往きする人も多い。

世界的に有名なゲレンデは比較的に貿易風が吹くカリブ海・ハワイ・地中海に多い。日本人には冬に暖かい海を求めて南下するのが常套手段として、サイパンマイクロビーチ)・グアムココス島)・タイプーケット島)・台湾フィリピンボラカイ島)・ベトナムファンティエット・ムイネー)などが人気地となっている。国内では、沖縄県沖縄島小浜島石垣島などが同様の理由で人気地となっている。


日本の主なゲレンデ

海洋

 (ウェイブゲレンデ)

湖沼

河川


海外のワールドカップ開催等で世界的に知られているゲレンデ

海洋

湖沼

河川


水上では業務水面利用者(漁業組合、海運など)が優先されるため、ゲレンデは大抵が制限された航行可能水面となる。また、サーフィン等の波の力のみで水面を滑走するスポーツは、オフショアからサイドショアで風が弱く、波がある場所が適しており(サーフスポット)、ウィンドサーフィンのウェイブパフォーマンスは、サイドショアからオンショアで風が強く、波がある場所が適している(ウェイブゲレンデ)ので、基本的には重なりにくいものであるが、日本においては気象と地理的条件から発生する波のほとんどが強風による一過性のものであるため、サーフスポットとウェイブゲレンデは重なることも多い。

利用が重なる場合には、水上の優先順位によりサーフィン等が優先となり、ウィンドサーフィンは状況に応じた利用となる。ただし、恒常的に利用が重複する場所では、波打ち際で棲み分けがされていたり、波高の季節変動が大きい場所では、サーフスポットとウェイブゲレンデが季節によって棲み分けられていることもある。

上記のことを踏まえて、初めての場所で乗る場合には事前に情報を収集してから利用することが望ましい。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

国内機関

国際機関

オリンピック関連機関

雑誌

関連サイト

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