アニメソング

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アニメソングは、主にアニメ作品で使用される主題歌挿入歌イメージソングなどの歌曲楽曲の総称。アニソンと略される。

概要[編集]

アニメ(anime)と、歌、曲を意味するソング(song)を組み合わせた新語または造語の英語圏で使用されない和製英語レコードCDの販売やインターネット配信において、主にアニメと分類されるジャンルの曲を指す。

アニメ作品で使用される主題歌・挿入歌・イメージソング以外にも、インスト曲やBGM、そしてゲームラジオドラマドラマCD声優特撮などの曲もアニメソングと称されることがある。例えば、日本コロムビアの該当カテゴリは「アニメ・特撮」である。また、特撮に限定した「特撮ソング(特ソン)」という呼称もある[1]

主題歌[編集]

商業用テレビアニメ放送開始時から、タイトルや歌詞に作品名・キャラクター名が挿入されているものがシリーズ通して使用され、アニメソングを専門で歌うアニメソング歌手も存在した。

1980年代前半に放送された『うる星やつら』で、およそ1クールでオープニング・エンディング曲を変える試みを行った。これがレコード会社に大きなビジネスチャンスとなり、以後の作品においては1〜2クールで変える作品が多くを占めるようになる。

1980年代からはレコード会社のタイアップ戦略が始まり、ソニーミュージックグループ・エイベックス・グループ・ビーイングなどの新人セールスの重要な要素の一つとなる。作品固有名詞が含まれる曲は徐々に減少し、楽曲でアニメを語ることは困難になりつつある。

個別作品の楽曲に関しては、

を参照。

アニメソング歌手[編集]

かつてはアニメソングや特撮ソングを専門に歌う「アニメソング歌手」が表に出ることは少なかったが、「およげ!たいやきくん」のヒットで同曲を歌う子門真人が有名になり、子供番組の主題歌を歌う歌手が注目される頃から、少しずつテレビなどの露出も増えていった[2]

アニメソングを担当する声優[編集]

アニメ作品の主役級の担当声優になると、その作品の主題歌・挿入歌・イメージソングも任されることがあり、年々増加傾向にある[3]。その影響で本職のアニメソング歌手の立場が厳しくなっている一面もあると指摘する声もある[4]

アニメ音楽作曲家[編集]

制作会社[編集]

主題歌やサウンドトラックなど音源制作は、大手レコード会社(キングレコード、ポニーキャニオン、ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン等)で一括して自前で行っている作品も多いが、他社と分担する作品も増えている。

また、スターチャイルド(キングレコード)、アニプレックス(ソニー・ミュージックエンタテインメント)、flying DOG(JVCエンタテインメント)、エイベックス・ピクチャーズ(エイベックス)などのアニメ専門のレーベルや、ランティスなどのレコード会社で制作している。

アニメソング史[編集]

1929年レコード・トーキーによる実験映画『黒ニャゴ』(1931年公開)が製作され、市販のレコードがサウンドトラックとして使用された事が始まりと言われている。

東映動画が本格的に長編まんが映画を制作し始める以前、および東映動画の初期の作品では、アニメソングは主に登場人物によって歌唱される劇中歌の扱いが多く、主題歌はテレビ・ラジオドラマで主に使用されていた。それらのアニメソングはレコードとして発売される事は少なく、ほとんどの曲は未発売である。東映動画の総天然色長編漫画映画の劇中歌は後にCD-BOX『東映長編アニメ音楽大全集』(1996年発売)に収録された。

朝日ソノラマの『まんがソノシート』のヒット、連続テレビまんがの放映開始、主題歌フォノシートの各社競作発売、日本コロムビアの専用規格での参入から「まんがの歌(=アニメソング)」はほぼ成立し[5][6]、「テレビまんが」「まんが映画」から「アニメ」と呼称の変化を経て、「アニメソング」はジャンルとして確立した。

商業史[編集]

朝日ソノラマの『まんがソノシート』のヒットから、「まんがの歌」の本格的な商品展開が始まり[5]、テレビまんがの登場、アニメブーム、声優ブームなどを経て、その規模を大きく広げている。

朝日ソノラマの『まんがソノシート』の安価で、ドラマや絵物語等の掲載された冊子が充実したフォノシート、音質に勝るが収録内容に劣るレコード、ともに子供たちに支持されて売り上げをのばす[6]

当初の音源は、本編用・レコード用等に分けて[7]作品の製作会社や朝日ソノラマが製作していたが、やがてレコード会社がオリジナル曲の独占使用を目的として原盤製作を行うようになった[5]

1977年日本コロムビアから『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』、1978年キングレコードからオムニバス盤『ウルトラマン大百科』が発売され、ヒットした。『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』は以降のアニメ・特撮のサントラ盤『組曲シリーズ』の発売に、『ウルトラマン大百科』は『無敵超人ザンボット3』(1977年)のサントラ盤発売につながり、それらのヒットから以降の特撮・アニメサントラ盤の発売へと繋がった[8]。『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などのヒットにより、購買層は中高生層まで広がり、多くのレコード会社がアニメソングに着目するようになったといわれる[9](「宇宙戦艦ヤマト」の交響組曲のレコードを作った際に念頭にあったモデルは「子どものための交響詩 ジャングル大帝」であったといわれる)。

1980年代に入ると、第二次声優ブーム、青年層が中心のアニメブーム、レコード会社のタイアップ戦略などの結果、頻繁に交代する主題歌、キャラクター別CD、同人誌のようなセルフパロディCD、声優によるオリジナルCDの発売など、多数のオーディオビジュアルアイテムが発売されるようになった。また、限定盤を除いてレコード盤の製造・販売が終了した。以降、コレクターズアイテムとしてレコード盤は一部の作品のみの数量限定生産となった。

1987年、「絵の出るCD」としてCDビデオが発売された。アニメでは、音声トラックに既発売の曲を収録したほか、ビデオトラックにノンテロップOP、EDを収録した『きまぐれオレンジロード』、新作PVを収録した『バブルガムクライシス』のほか、ビデオトラックのみにPVと主題歌を収録した『毎日が日曜日』などが発売された。

2000年代前半頃から、音楽配信サイトでのダウンロード販売が増え始めた。また、音楽配信サイトだけではなく、一部のアニメ関連サイトでも専用のダウンロードコーナーが設置されるようになった。

2001年、俗に「限定版商法」または「同梱商法」と呼ばれる販売手法が始まる。初回生産分のみに何らかの特典が付く商品[注釈 1]とは違い、何らかの特典が付いた初回限定版と、特典が最初から付いていない通常版がそれぞれ販売される[注釈 2]もので、当初は音楽ソフトとは全く関係のないグッズが同梱されていた[注釈 3]が、後にミュージッククリップなどが収録されたDVDソフトやボーナスCDが同梱されることが多くなった。ちなみに、DVDソフトの「限定版商法」では、当初はフィギュアなどのグッズを同梱することが多かったが、後に主題歌CD、ドラマCD、サントラCDなどが同梱されることが多くなった[注釈 4]

2002年DVDオーディオDVD music、DVDシングルなどのDVDを利用した音楽ソフトが発売された[注釈 5]

2010年、一部新番組の宣伝用としてOP/EDのTVサイズとボイスメッセージ等を収録したレンタル専用のサンプラーCDの発売が開始された[注釈 6]。レンタル専用なので一般販売はしていないが、レンタル落ちCDとして入手可能。

2011年頃から、パッケージ販売化されていない音源の音楽ダウンロードサイトでの販売が始まる[注釈 7]

2012年、パッケージ発売に先駆けてTVサイズ音源のダウンロード販売が始まる。

主な出来事[編集]

アニメソング番組[編集]

テレビ番組ラジオ番組でも、アニメソングを軸にした番組が放送されている。

アニメソングのライブイベント・フェスティバル[編集]

アニメソングのライブイベントとしては、特定の作品のイベントに付随する形でライブパートが設けられていたり、アニメソング歌手や声優によるライブ・コンサートが開催されるのがほとんどで、複数の作品ないし放送局や制作会社、レコードレーベルをまたがった形のイベントはアニメ紅白歌合戦などわずかに見られる程度であった。

2005年に始まったAnimelo Summer Live(アニサマ)が開催されると、アニメソングにおけるフェスティバル(アニソンフェス)が定着化、アニサマやそれ以前から開催しているANIME JAPAN FES(AJF)、アニサマ以後に開始したANIMAX MUSIXリスアニ! LIVEなど、大規模なアニソンフェスが開催されるようになり、中にはランティス祭りKING SUPER LIVE 2015のようにレコード会社が単独開催するものも出ている。

また、アニメソングやアニメのBGMをオーケストラ編成に編曲し、実際に管弦楽団や交響楽団が演奏するコンサートイベントや、Re:animationなどのようにクラブで開催しアニメソングなどをリミックスした形でかけるダンスイベント(アニクラ)なども開催されている。

主なライブイベント[編集]

日本国外のアニメソング[編集]

アメリカ[編集]

ウォルト・ディズニー・カンパニーのアニメーション作品で、譜面として発売されたオリジナル曲の第一号は、1930年の「ミニーのユー・フー!」(Minnie's Yoo Hoo)である[23]。この曲はミッキーマウスのテーマソングの一つである。1931年キャブ・キャロウェイが歌った「ミニー・ザ・ムーチャ」(Minnie the Moocher)は、ラジオ放送によって全米で人気を呼び、さらに翌年の1932年フライシャー兄弟によるベティ・ブープ主演のアニメーション「ミニー・ザ・ムーチャ」の劇中歌として演奏されたこともあって、異例の大ヒットとなった。

アーチーでなくっちゃ!英語版』のキャラクターによって結成された架空のバンド「アーチーズ英語版」が、モンキーズらを手がけたドン・カーシュナー英語版のプロデュースによって現実世界でもデビューし(実際にはスタジオ・ミュージシャンらによる歌唱)、1969年シュガー・シュガー英語版」が大ヒットした。

韓国[編集]

韓国のアニメソング(歌詞のある主題歌)の歴史は、1967年、日韓共同制作のテレビアニメ『黄金バット』が日本と同じ30分枠で放送され、日本版の主題歌を韓国語訳したものが流されたことが本格的な始まりとされる[24]

1997年放送の『霊魂騎兵ラジェンカー(ラゼンカ)韓国語版』ではロックバンドのN.EX.T韓国語版が主題歌を担当した。アニメ自体は興行的に失敗したが、主題歌を収録したサウンドトラック盤は30万本を売り上げるヒットとなった[25]

資料・参考文献[編集]

  • 「アニメ・ソング資料集」上・下・年鑑1:アニメソングうたう会・自費出版。1989年〜1992年。
  • 「特ソン超百科 -準備稿 - 」 アニメソングうたう会・自費出版。1987年刊
  • 「特ソン資料集」「致死量の毒」シリーズ 地球防衛群・自費出版
  • 「THE アニメソング」:木村英俊 著・角川書店1999年刊
  • 「THE ART OF 劇場アニメ70年史」 徳間書店・リスト制作委員会
  • 「THE ART OF TVアニメ25年史」 徳間書店・リスト制作委員会
  • 「アニソンバカ一代」 キムラケイサクK&Bパブリッシャーズ2010年刊(串田アキラ小林亜星山本正之インタビュー収録)
  • 玄武岩「越境するアニメソングの共同体 : 日本大衆文化をめぐる韓国の文化的アイデンティティとオリジナルへの欲望」、『国際広報メディア・観光学ジャーナル』No.18、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院、2014年、25-47頁。(日本製アニメを中心とした韓国でのアニメソングの歴史)

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ #資料・参考文献節を参照。
  2. ^ 読売新聞』1976年3月16日付夕刊、7頁。
  3. ^ 「新人で歌やイベントがNGなら仕事が難しい」変わりゆく声優の現状をプロが真剣討論 エキサイトレビュー 2015年5月11日、同12月1日閲覧。
  4. ^ 週刊アニメ時評 第18回「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在 週刊サイゾー 2012年8月4日、2015年2月10日閲覧。
  5. ^ a b c 木村英俊『THE アニメソング』を参照。
  6. ^ a b 競作発売など当時の音盤事情に関しては「ウルトラマン大全集(講談社・1987年)」の「空想特撮シリーズ音盤目録」の項を参照。
  7. ^ 『TVサイズ!メタルヒーロー全主題歌集』(2002年)解説書を参照。
  8. ^ 『アニメ大好き!』(徳間書店)1982年、149頁参照。
  9. ^ 『アニメージュ』1980年4月号、142頁参照。
  10. ^ a b 『別冊ゲッカヨ 昭和アニソン大全集』シンコーミュージックエンタテイメント、2013年、4頁。ISBN 978-4-401-63772-0
  11. ^ たいやきくんプロフィール
  12. ^ アニメソング25年史、木村英俊、ジーベック音楽出版、90頁。
  13. ^ 『コンフィデンス年鑑』1978年版、97頁。
  14. ^ 『オリコン・ウィーク The Ichiban』2001年1月1・8日号(第23巻第1号、通巻1079号)オリコン(現:オリコン・エンタテインメント)、46頁。(2000年8月28日付現在の情報)
  15. ^ 天地テーマソングダウンロード開始します!
  16. ^ 2003年JASRAC賞 「千と千尋の神隠しBGM」が金賞を受賞、日本音楽著作権協会。
  17. ^ 2007年JASRAC賞 「ハウルの動く城BGM」が金賞を受賞、日本音楽著作権協会。
  18. ^ 【紅白】水樹奈々、亡き父に捧ぐ初出場 「お父さんありがとう」 ORICON STYLE 2010年1月1日、2015年12月1日閲覧。
  19. ^ ビルボードがアニメ楽曲チャート開始 1位に寿美菜子「Startline」、Animeanime.jp、2010年12月1日。(2010/12/1閲覧)
  20. ^ 2011年JASRAC賞 「残酷な天使のテーゼ」が金賞を受賞、日本音楽著作権協会。
  21. ^ オリコン/「アナと雪の女王」サントラ盤、46.6万枚、流通ニュース、2014年5月13日。
  22. ^ μ's、『NHK紅白』初出場決定。「アニソンの素晴らしさ、『ラブライブ!』の魅力を伝えたい」 BARKS 2015年 11月26日、同12月1日閲覧。
  23. ^ Tin Pan Alley, David A. JasenGoogle ブックス
  24. ^ 『国際広報メディア・観光学ジャーナル』No.18、34-35頁。
  25. ^ 『国際広報メディア・観光学ジャーナル』No.18、42-43頁。

注釈[編集]

  1. ^ 設定資料集付きでBOX仕様の『新世紀エヴァンゲリオン』サントラシリーズや林原めぐみの写真集付きアルバムなどが有名。再生産分(規格番号と価格は同じ)からは特典は付かない。
  2. ^ 別商品のため規格番号と価格はそれぞれ別。
  3. ^ 第一弾は恐らく『NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK II』。トールケース仕様でマウスパッド付きの限定版の規格番号がVIZL-55(3200円)、特典の付かない通常版の規格番号がVICL-60738(2913円)。ちなみに『NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK I』は初回生産分のみトールケース仕様でマウスパッド付き、再生産分からは特典なしのジュエルケースに入った通常仕様CD(規格番号も価格も同じ)だった。
  4. ^ 映像ソフトの初回生産分に特典として音楽ソフトが付く事はビデオカセットの時代からあった。
  5. ^ DVDオーディオの第一弾は『AKIRA』DTSバージョン、DVD musicの第一弾はChangin' My Lifeの「ETERNAL SNOW」(『満月をさがして』エンディング主題歌)
  6. ^ 第一弾は恐らく『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD
  7. ^ 例えば東京ムービーが発売元の子門真人版「王者!侍ジャイアンツ」フルサイズ音源など
  8. ^ 副題は「ウランちゃんとお茶の水博士」(再版では「ロボット・ランドの巻」)。規格番号は初版がB-61、1965年の再版がM-1。
  9. ^ 副題は「地球防衛隊の巻」。規格番号は初期版がB-67、1965年の再版がM-6。
  10. ^ これ以後もアニメソングのミリオンセラーは多数生まれている。
  11. ^ 前者はオリコンLPチャートで6週連続1位(1977年8月29日付〜10月3日付)、シングルもヒットした。後者は1976年12月13日付〜1977年末時点でオリコン「TVまんが・童謡部門」チャートで56週連続1位、その後も記録更新した。

関連項目[編集]