KICK BACK
「KICK BACK」 | |||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
米津玄師 の シングル | |||||||||||||||||
B面 | 恥ずかしくってしょうがねえ | ||||||||||||||||
リリース | |||||||||||||||||
規格 |
マキシシングル デジタル・ダウンロード | ||||||||||||||||
ジャンル |
J-POP アニメソング | ||||||||||||||||
レーベル | SME Records | ||||||||||||||||
作詞・作曲 | 米津玄師 | ||||||||||||||||
プロデュース |
米津玄師 常田大希 (#1,3) | ||||||||||||||||
ゴールドディスク | |||||||||||||||||
チャート最高順位 | |||||||||||||||||
| |||||||||||||||||
|
映像外部リンク | |
---|---|
![]() | |
![]() | |
![]() |
「KICK BACK」(キック・バック)は、日本のシンガーソングライター・米津玄師の13枚目のCDシングル。デジタル配信シングルとしてSME Recordsより2022年10月12日に各音楽配信サービスにてリリースされ、2022年11月23日には13枚目のCDシングルとして、ネックレス付きの「チェンソー盤」、DVDが付属する「映像盤」、CDのみの「通常盤」の3形態でリリースされた[3][4]。 本楽曲は、テレビアニメ『チェンソーマン』のオープニングテーマとして書き下ろされた[3]。
背景とリリース[編集]
制作[編集]
本作はTVアニメ『チェンソーマン』の主題歌として制作され、2022年9月19日に行われた「チェンソーマン」ワールドプレミアにてこのことが発表された[5]。米津がTVアニメ主題歌を担当するのは『僕のヒーローアカデミア』第2期1クール目のオープニングテーマとなった『ピースサイン』以来約5年ぶりとなった。
米津は自身がTVアニメ『チェンソーマン』のオープニングテーマを担当することについて、次のようにコメントしている[6][7]。
「 | チェンソーマンアニメ化にあたり「KICK BACK」という曲を作らせていただきました。
とにかく原作が好きだったので光栄です。 この作品がそもそも持ってる力がものすごいので、似つかわしい音を探していく作業は非常に難しいものがありましたが、粛々と一つ一つ積み上げた結果この曲が出来上がりました。 お耳に合えば幸いです。 どうかよろしくお願いします。 |
」 |
—米津玄師 |
本楽曲には、米津との共同編曲・ギター・ベースにKing Gnu及びmillennium paradeのメンバーである常田大希が参加している他[8]、楽曲内では、モーニング娘。の「そうだ! We're ALIVE」がサンプリングされている[9]。なお常田との共同制作は、2017年リリースの4thアルバム『BOOTLEG』に収録されている「爱丽丝」以来2回目となる。
米津は『チェンソーマン』の原作ファンであり、依頼される前から、もし『チェンソーマン』がアニメ化された場合に「自分だったらどんな曲を作るか」といったことを考えていた。最初に浮かんだアイデアはドラムンベースであった[10]。
テレビアニメ『チェンソーマン』の製作陣との打ち合わせで、監督である中山竜は米津に、転調を繰り返し、聴く人を振り回すような「ジェットコースターみたいな曲を作ってほしい」と注文した。米津は中山の言う「転調」は、音楽的にスケールを変えることなのか、曲調がガラッと変わることなのか迷ってしまったので、両方を楽曲に取り入れることにしたと語っている[10]。
リリース[編集]
2022年9月19日にアニメ『チェンソーマン』の本PVが公開となり、その中で本作の音源が一部披露された。さらに同年9月23日に行われた「2022 TOUR / 変身」初日の東京体育館公演でライブ初披露された。さらにツアーファイナルである10月27日のさいたまスーパーアリーナ公演では、アレンジャーの常田大希が登場し「爱丽丝」と本曲のパフォーマンスを行った。
2022年10月12日0時より、本楽曲の先行配信が開始された[11]。
CDシングルは同年11月23日にチェンソー盤、映像盤、通常盤の3形態でリリースされ、初回限定で「米津玄師 2023 TOUR / 空想」先行抽選応募シリアルと、法人特典「KICK BACKステッカー」が付属する[12][13]。前作『M八七』より約半年ぶりのリリースとなった。米津が同一年に2枚のCDシングルをリリースしたのは2018年以来である。
形態 | 規格 | 規格品番 |
---|---|---|
チェンソー盤 | CD+チェンソーネックレス | SECL-2815~16 |
映像盤 | CD+DVD | SECL-2817~18 |
通常盤 | CD | SECL-2819 |
CDフラゲ日となった2022年11月22日の22時には、共同制作をおこなった常田大希との対談動画がYouTubeにてプレミア公開された。さらにその後、常田がサプライズ登場したライブ映像がYouTubeにて初公開された[14]。
音楽性[編集]
本楽曲は全体的にかなり荒々しい、喉を潰すような歌声で歌われている[10]。
イントロは重量級ベースラインと鋭いブレイクビーツによって切り出される[16]。
本楽曲の後半では突如クラシカルな展開になり、この展開について米津は「藤本タツキ[注 1]さんのマンガには非常にスリリングなところがあると思うんで、その空気感を音楽で表現するとなると、やっぱりこういうものが必要だなという感じでした」と答えた[10]。
米津は編曲に常田が参入したことによるエッセンスについて、米津自身のデモのストイックなドラムンベースのニュアンスにヤンキー感とか不良感のようなものがブーストされたと述べた[10]。
評価[編集]
つんく♂は自身が作詞・作曲・プロデュースを担当した「そうだ!We're ALIVE」が本楽曲にサンプリングされたことについて自身のnoteにて、「才能の塊というのは本当に恐ろしい。彼の頭の中にあった一欠片のひらめきはいつの間にか、強力なメッセージとなり、美しい旋律と共に僕の耳の中に入ってきた。『作品ってこういうことだよなぁ』そう思いながら、次の議題へと会議は進んで行きました。ただ、僕の頭は興奮していました。いろんな意味で、今までにない経験をさせてもらい、楽しかった。ありがとう」とコメントした[9]。
選曲家で音楽ライターの栗本斉はBillboard JAPANの記事にて、 話題のアニメのオープニングテーマというタイアップや共同編曲に常田大希が参加しているなど、話題性が高くロングヒットは確実と評価した[17]。
音楽ライターの小池宏和は『ROCKIN'ON JAPAN』の1月号にて、米津がハチ名義で活動していたときの作風に注目し、本楽曲を初めて聴いたときにある種の懐かしさを味わったといい、「常田との共同アレンジによって新たな作風に到達しながらも、“KICK BACK”の奥底には米津個人の極めて若々しくピュアな表現欲求が渦巻いている。それが、さまざまな曲調で話題性たっぷりの国民的ヒットを連発してきた昨今からすると、懐かしい手応えをもたらしてくれたのである」と述べた[16]。
音楽ライターの松本侃士はReal Soundの記事にて、 本楽曲で米津が常田とタッグを組んだのは、ロックバンドへの憧れを実現するためであると考察し、「お互いに背中を預け合えるような深い信頼によって結ばれた常田と“ロックバンド”を組んだことで得た刺激が、米津のクリエイティブのリミッターを解除したことは間違いない」と述べた[18]。
音楽プロデューサーの蔦谷好位置は『関ジャム 完全燃SHOW』で「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」の6位に本楽曲を選出し、「米津玄師と常田大希という、とんでもないコラボによる王者の風格さえ漂う強力な曲です。一聴して絶対に覚えられない目まぐるしい転調の展開と『全部滅茶苦茶にしたい』という歌詞が象徴するような咆哮に近い強烈な米津の歌唱。しかし所々に、初期から通ずるような米津節のメロディーがあり、2022年最新アップデート版米津玄師といった印象」と評価した[19]。
受賞[編集]
- 令和4年アニソン大賞(SMEJ)「大賞」(2022年)[注 2][20]
チャート成績[編集]
先行配信[編集]
先行配信された2022年10月12日付の各配信サイトのデイリーチャートでは1位を獲得し、31冠を達成した[21]。
Spotifyのデイリーランキング「トップ50 – グローバル」(10月13日付)の47位にランクイン。当ランキングへのランクインは日本のアーティスト初となった[22]。
10月19日に公開されたBillboard Japan Hot 100、Billboard Japan Streaming Songs、Billboard Japan Download Songs、 Billboard Japan Hot Animation、Billboard JAPAN Top User Generated Songsでは、それぞれ初登場1位を記録し、5冠を達成した[21]。
10月24日に公開されたオリコン週間デジタルランキングでは、デジタルシングル、ストリーミングにおいてそれぞれ初登場1位を記録し、2冠を達成した。ダウンロードでは、2022年度の最高初週ダウンロード数を出し、米津自身の通算1位獲得作数の記録を更新し、歴代単独1位の記録となった[21]。
10月25日に公開されたBillboard Global 200では週間13位を記録した。Billboard Global 200からアメリカのデータを除いたBillboard Global Excl. U.S.では週間4位に浮上し、米津初のトップ10入りを果たした[23]。
CD[編集]
初週で30.1万枚を売り上げ、2022年11月29日付のオリコン週間シングルチャート、および2022年11月30日公開のBillboard JAPAN週間シングル・セールス・チャート「Billboard JAPAN Top Singles Sales」で共に初登場一位を獲得した[24][25]。
オリコン週間シングルチャート1位獲得は、11thシングル『Pale Blue』以来、2作ぶり・通算3作目となった[24]。
ソロアーティストの初週売上30万枚超えは、令和では米津の10thシングル『馬と鹿』と本作のみで、初週売上30万枚超えでシングル1位を獲得するのは、ソロアーティストで令和初となった[24]。
その他のチャート成績[編集]
2022年11月、ストリーミングの累計再生回数が1億回を突破した。Billboard JAPANにおけるチャートイン7週目での達成で、自身最速となる1億回再生突破楽曲となった。また、チャートイン7週目での達成は、史上2番目タイの速さであり、ソロアーティストではLiSAの「炎」と並んで歴代1位である。なお、米津の1億回再生突破楽曲は、 「感電」「Lemon」「馬と鹿」「Pale Blue」に続いて、歴代7位の5曲目となった[26]。
2022年度の「オリコン年間デジタルシングルランキング」で4位を記録した[27]。
2023年2月8日に公開されたBillboard Japan Hot Animationでは17週連続首位(週間1位)を記録し、歴代単独1位となった[28]。特に14週目(2023年1月9日~1月15日付)以降はOfficial髭男dismの「ホワイトノイズ」を筆頭に次クールのアニメ主題歌が登場したが、ストリーミングや動画再生が好調で首位を譲らなかった[29]。
ミュージックビデオ[編集]
ミュージックビデオは、CDのリリースに先駆け10月25日にYouTubeにてプレミア公開された。米津と常田が出演していて、監督は『感電』のミュージックビデオや、米津のアーティスト写真なども手がけている奥山由之が務めた。「米津が常田と筋トレに打ち込み続け、やがて人間離れした両腕をぶら下げる」、「海岸沿いの車道の上で歌っていた米津がトラックに撥ねられ宙を舞う」、「米津がいつの間にかカツラを被った外国人(トム・コンスタンタイン)にすり替わっている」などといったコミカルで衝撃的な展開を多く含んだ内容は大きな話題を呼び、ネット上で数々の二次創作動画が投稿されている[30][31]。
収録内容[編集]
全作詞・作曲: 米津玄師。 | |||
# | タイトル | 編曲 | 時間 |
---|---|---|---|
1. | 「KICK BACK」 | 米津玄師、常田大希 (King Gnu / millennium parade) | |
2. | 「恥ずかしくってしょうがねえ」 | 米津玄師 | |
3. | 「KICK BACK -ANIME edit」 | ||
合計時間: |
# | タイトル |
---|---|
1. | 「TVアニメ『チェンソーマン』ノンクレジットオープニングムービー」 |
2. | 「M八七 Music Video」 |
クレジット[編集]
|
|
|
タイアップ[編集]
起用年 | 楽曲 | タイアップ |
---|---|---|
2022年 | KICK BACK | TVアニメ『チェンソーマン』オープニング・テーマ |
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “11月度GD認定~King & Prince「ツキヨミ / 彩り」がミリオン認定!SEVENTEENがトリプル・プラチナ、なにわ男子がダブル・プラチナ認定に”. PRTIMES. 一般社団法人日本レコード協会 (2022年12月9日). 2022年12月11日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Hot 100 Year End”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク (2022年). 2022年12月10日閲覧。
- ^ a b “米津玄師が「チェンソーマン」描き下ろし、本日配信の新曲「KICK BACK」ジャケット公開”. 2022年10月12日閲覧。
- ^ Inc, Natasha. “米津玄師「チェンソーマン」OPテーマをCDリリース、ネックレスが付属する“チェンソー盤”も” (日本語). 音楽ナタリー. 2022年10月22日閲覧。
- ^ “「KICK BACK」アニメ「チェンソーマン」OPに決定”. REISSUE RECORDS. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “オープニング・テーマは 米津玄師「KICK BACK」 に決定!共同編曲に常田大希を迎えた楽曲が本PVで解禁!”. アニメ『チェンソーマン』公式サイト. 2023年1月23日閲覧。
- ^ “MUSIC”. アニメ『チェンソーマン』公式サイト. 2023年1月27日閲覧。
- ^ “米津玄師、TVアニメ"チェンソーマン"OP「KICK BACK」配信スタート。描き下ろしジャケット公開”. 2022年10月12日閲覧。
- ^ a b “つんく♂、米津玄師によるモー娘。「そうだ!We're ALIVE」サンプリングに興奮「才能の塊」”. 音楽ナタリー. 2023年1月12日閲覧。
- ^ a b c d e “米津玄師「KICK BACK」インタビュー|「チェンソーマン」の“痛快”を 直感と衝動のままに叫び描いて”. 音楽ナタリー. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “米津玄師さん新曲「KICK BACK」先行配信スタート 書き下ろしジャケットも初公開!”. 徳島新聞. 2023年2月1日閲覧。
- ^ “米津玄師 13th Single「KICK BACK」11月23日発売” (日本語). 米津玄師 official site「REISSUE RECORDS」 (2022年10月19日). 2022年10月22日閲覧。
- ^ “KICK BACK” (日本語). 米津玄師 official site「REISSUE RECORDS」 (2022年10月18日). 2022年10月27日閲覧。
- ^ “米津玄師×常田大希が共演した「KICK BACK」ライブ映像、対談番組のあとにサプライズ公開”. Billboard Japan. (2022年11月22日) 2022年11月22日閲覧。
- ^ “米津玄師、12/9に台湾にて最新シングル『KICK BACK』現地盤を発売-rockinon.com|https://rockinon.com/news/detail/204862” (日本語). rockinon.com. 2022年12月9日閲覧。
- ^ a b “米津玄師、言霊と声のトーンが切り開く未来。『KICK BACK』徹底レビュー”. rockinon.com. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “話題性を積み重ねてロングヒットを狙う?! 米津玄師「KICK BACK」”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク. 2023年1月14日閲覧。
- ^ “連載「lit!」第26回:米津玄師、Vaundy、Måneskin、The 1975……再燃するロックシーンの最前線を象徴する5作”. Real Sound. 2023年1月23日閲覧。
- ^ “関ジャム、プロが選ぶ「2022年の年間マイベスト10曲」発表 TWICE・米津玄師…水カン「エジソン」が2人から同時選出<5位~10位一覧>”. モデルプレス. 2023年1月23日閲覧。
- ^ “今年の「アニソン大賞」は米津玄師が歌う「チェンソーマン」OPテーマ”. 音楽ナタリー. 2023年1月7日閲覧。
- ^ a b c “米津玄師、TVアニメ『チェンソーマン』OPテーマ「KICK BACK」がBillboard JAPAN週間ランキングで5冠を獲得”. THE FIRST TIMES. 2023年1月27日閲覧。
- ^ “米津玄師、「KICK BACK」がSpotifyグローバルチャートTOP50ランクイン 国内アーティスト初”. CDJournal ニュース (2022年10月18日). 2022年10月18日閲覧。
- ^ “米津玄師、台湾で「KICK BACK」現地盤をリリース”. THE FIRST TIMES. 2023年1月30日閲覧。
- ^ a b c “米津玄師、「KICK BACK」が初週売上30.1万枚で「シングル」1位【オリコンランキング】”. ORICON NEWS (2022年11月29日). 2022年11月29日閲覧。
- ^ “【ビルボード】米津玄師『KICK BACK』初週28.9万枚でシングル・セールス首位”. Billboard JAPAN (2022年11月28日). 2022年11月28日閲覧。
- ^ “米津玄師「KICK BACK」史上2番目の速さでストリーミング累計1億回再生突破”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク. 2023年1月12日閲覧。
- ^ “デジタルシングル(単曲)ランキング 1位~10位”. ORICON NEWS. oricon ME. 2023年1月9日閲覧。
- ^ 「【ビルボード】米津玄師「KICK BACK」17週連続アニメ首位 連続首位記録歴代最多に輝く」『Billboard JAPAN』阪神コンテンツリンク Media、2023年2月8日。2023年2月8日閲覧。
- ^ “【ビルボード】米津玄師「KICK BACK」、Official髭男dism「ホワイトノイズ」登場も順位譲らず14週連続アニメ首位”. Billboard JAPAN (阪神コンテンツリンク Media). (2023年1月18日) 2023年1月18日閲覧。
- ^ Inc, Natasha. “米津玄師「KICK BACK」MVに常田大希登場、筋トレを重ねる2人に待ち受ける衝撃の展開(動画あり)” (日本語). 音楽ナタリー. 2022年11月17日閲覧。
- ^ “米津玄師さん、グローバルストリーミング1億再生突破! 米津さんのSpotify広告がNYタイムズスクエアに登場”. 徳島新聞. 2023年1月24日閲覧。