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教育楽器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

教育楽器(きょういくがっき、教育用楽器)は、楽器の慣用的分類の一つで、日本の幼稚園と小中学校における正課の音楽教育で、児童・生徒の演奏学習のために使われる楽器を指す。

概要

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語義

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教育用楽器(教育楽器)とは、学校教育法に定める学校の音楽教育に使用する楽器をいう[1]

歴史

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昔の日本の初等教育における音楽教育は、昭和16年(1941)まで教科名を「唱歌」と称したとおり歌唱中心主義で進められ、教育楽器といえばほとんど教師が示範伴奏に使用するオルガンやピアノであった[2]。昭和33年(1958)の第2次「学習指導要領」改訂により、生徒に対する器楽教育が法的拘束力をもって行われるようになり、また楽器業界の働きかけもあって教育楽器が普及するようになった[3]

昭和30年代から、学童の「個人持ちの楽器」としての教育楽器が普及した一因は、当時は児童数が年々急増し、小学校の備品や音楽室が追いつかず、音楽の授業の一部を音楽室以外で行う必要があったからである[4]

教育楽器の条件と種類

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教育楽器の種類は時代ごとに移り変わりがある。2018年現在では、一般に鍵盤ハーモニカリコーダーハーモニカカスタネットタンバリンオカリナ木琴鉄琴電子楽器、合奏用アコーディオン、などが教育楽器として認知されている。[5][6]

教育楽器は、正課教育の一斉授業で使われる。音楽が得意ではない児童も演奏する機会が多い楽器である。例えばプラスチック製のリコーダーは、音楽に興味関心のない小学生も購入して所持することが多い。楽器メーカーや楽器商にとっては、教育楽器は、毎年度、安定した需用が見込める商品となっている。

教育楽器の条件としては、小学校低学年の児童の小さな手・腕でも取り回しが楽で安全に扱えること、教科書に載っている簡単な曲が演奏できること、合奏が可能であること、価格が高すぎず調達も容易であること、壊れにくくメンテナンス(湿気対策など)も簡単であること、などがある。

教育楽器の生産や販売をしている主な楽器メーカー

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その他

脚注

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  1. ^ 文部省『教育用楽器基準の解説』(大蔵省印刷局、1958年)p.24およびp.181
  2. ^ 文部省『教育用楽器基準の解説』(大蔵省印刷局、1958年)p.23
  3. ^ 塚本宏子「芸術教育としての音楽教育(1)」(『聖母女学院短期大学研究紀要』38集、2009)p.43
  4. ^ 筒井はる香「小学校教育へ鍵盤ハーモニカの普及を導いた楽器製造会社の戦略 : 1960~70年代における音楽教育雑誌の広告記事に着目して」、『人間教育学研究』(日本人間教育学会 2016年12月)pp.135-144
  5. ^ 文部科学省の指導要領では、音楽の授業で扱うべき楽器の種類や名称を挙げている。以下、文部科学省「小学校学習指導要領 」「第2章 各教科 第6節 音楽」「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」2.(4) より引用。
    (引用開始。太字は筆者)
    2.(4) 各学年の「A表現」の(2)の楽器については,次のとおり取り扱うこと。
    ア 各学年で取り上げる打楽器は,木琴鉄琴和楽器諸外国に伝わる様々な楽器を含めて,演奏の効果,学校や児童の実態を考慮して選択すること。
    イ 第1学年及び第2学年で取り上げる身近な楽器は,様々な打楽器オルガンハーモニカなどの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
    ウ 第3学年及び第4学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,リコーダー鍵(けん)盤楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
    エ 第5学年及び第6学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,電子楽器和楽器諸外国に伝わる楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
    (引用終了)
    出典 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/on.htm (2016-2-7閲覧)
  6. ^  民間の楽器販売業者における「教育楽器」の用例を挙げると、島村楽器のホームページの一部「【新入学応援】教育楽器フェア開催中!安心の楽器専門店」には「幼稚園や保育園・小学校・中学校で使用される…鍵盤ハーモニカ/ハーモニカ/リコーダー/カスタネット/など(以下略)」(2015-6-18閲覧)を挙げている。SUZUKI(鈴木楽器製作所、鈴木楽器販売などの会社を含む企業グループ)の「2015年度 スズキ教育用楽器総合カタログ」(2015-6-18閲覧)では、メロディオン(鍵盤ハーモニカ)、ハーモニカ、アコーディオン、リコーダーの他、「オルガン/電子楽器」「木琴/鉄琴」「和楽器」他も含んでいる。