離島振興法
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離島振興法 | |
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![]() 日本の法令 | |
通称・略称 | 離島振興法 |
法令番号 | 昭和28年7月22日法律第72号 |
種類 | 行政手続法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1953年7月15日 |
公布 | 1953年7月22日 |
施行 | 1953年7月22日 |
主な内容 | 離島の自立的発展を促進するための特別法 |
関連法令 | 離島航路整備法 |
条文リンク | e-Gov法令検索 |
離島振興法(りとうしんこうほう、昭和28年7月22日法律第72号)は、国土の保全等において重要な役割を有しているものの、産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある離島について、その地理的及び自然的特性を生かした振興を図るための特別の措置を講ずることを目的とした日本の法律。
離島振興対策実施地域[編集]
離島振興法第二条1項の規定により、主務大臣(国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣)が指定することとされる。所管は、国土交通省国土政策局離島振興課である。
日本の離島のうち、258島の有人離島が離島振興法によって指定されている離島振興対策実施地域に含まれている。その一方で、離島振興法で国の離島振興対象に指定されていない有人離島がある。前述の258島の有人離島が、離島振興法によって指定されている離島振興対策実施地域の内、各都道府県が策定している離島振興計画の実施のために必要な公共事業関係予算について、国土交通省国土政策局で毎年度一括計上し、その振興を図っている島は北海道内の6島(利尻島、礼文島、天売島、焼尻島、奥尻島および厚岸町の小島)を除く252島であり、北海道内の6島については国土交通省北海道局で計上されている[1]。
離島架橋等により本土との間に常時陸上交通が確保された場合は、原則として指定解除が行われるものとされている。実際に、広島県呉市の豊島、大崎下島、愛媛県今治市の岡村島[2]、長崎県長崎市の伊王島[3]、岡山県瀬戸内市の鹿久居島、頭島[4] などの島が、架橋された際に指定が解除されたが、瀬戸大橋が架かる櫃石島、岩黒島、与島、および来島海峡大橋が架けられている馬島の指定はまだ解除されていない。また、淡路島については一部地域(南あわじ市の灘地区・洲本市の上灘地区)が一時期に指定されていた[5]。
なお、島根県益田市の高島は1975年(昭和50年)に無人島化した後も引き続き対象地域と指定されたが、指定地域の見直しにより2014年(平成26年)12月31日に解除した[6]。また、鹿児島県の新島は2013年(平成25年)に全島民が島外に移住した後、2019年(令和元年)7月23日に元島民の夫婦が転入届を提出[7]したことにより再び人口2人の有人島となったが、無人島であった期間も含め、現在に至るまで指定がなされている。
一方、陸上交通のない有人離島であっても、広島県の厳島・金輪島・契島・大久野島、福岡県の能古島、和歌山県の中ノ島、宮城県の金華山、長崎県の鹿島・前島・竹ノ島、大分県の黒島、千葉県の仁右衛門島、岡山県の黒島・黄島、三重県の横山島、高知県の戸島など、一度も指定されていない島が存在する[8]。
なお有人離島でも、東京都では伊豆諸島以外の離島、鹿児島県では奄美群島、沖縄県は全域の場合、特別措置法が適用されるため、本法の有人指定離島には指定されていない(後述)。
離島振興計画[編集]
離島振興計画は、離島振興対策実施地域の指定があった場合に、離島振興法第三条に規定される主務大臣が定める基本方針に基づいて、各都道府県が定めるよう努めることとしている(同法四条)。定める際には、当該地域である市町村に対し、当該市町村に係る離島振興計画の案を作成し、当該都道府県に提出するよう求めなければならない(同法四条3項)。
同法四条2項には、交通施設及び通信施設、農林水産関係や電力施設等、生活環境、医療の確保等、高齢者の福祉等、教育及び文化振興、観光開発、島外交流促進、防災に必要な国土保全施設等などの事項について定めるように書かれている。
なお、離島振興法改正により、本法の適用が2023年(令和5年)3月31日までとなっているため、離島振興計画に記載されている自治体が市町村合併によって編入されていることもあるので注意が必要である。都道府県が発行する振興計画の中に島嶼群毎の振興計画が記載されている。
離島振興の全般経緯[編集]
日本が太平洋戦争後の混乱からようやく立ち直ろうとしていた昭和20年代後半、離島を有する都道府県において、離島振興のための単独事業の実施や特別法制定に向けた独自の動きがみられた。
1952年(昭和27年)には離島航路整備法が制定され、離島航路の維持・改善のための国の助成が始まった。
1953年(昭和28年)1月、長崎県の呼びかけを契機に、東京都、新潟県、島根県、及び鹿児島県を加えた5都県の知事が「離島振興法制定に関する趣意書」を作成し、その後当該5都県が共同して離島振興に係る法案の検討と制定に向けた運動を展開した。
こうした活動が実を結び、1953年(昭和28年)7月15日、離島振興法は10年間の時限立法として制定、同年7月22日に公布された。
その後、離島振興法は、6次の改正・延長が行われた。最近の改正等としては、2011年(平成23年)8月23日成立・2012年(平成24年)4月1日施行の「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第2次一括法)」(平成23年法律第105号)により、従来義務規定となっていた離島振興計画の策定が努力義務化された。
また、2012年(平成24年)6月20日に成立し、2013年(平成25年)4月1日施行された改正法により、法律の有効期間が(令和5年)3月31日までの10年間にさらに延長されるとともに、主務大臣の追加、防災のための財政措置等、財源の確保、特に重要な役割を担う離島の保全・振興に関する検討等が規定された。
離島振興法以外の関連法[編集]
前述の通り東京都では伊豆諸島以外の有人離島、鹿児島県では奄美群島、沖縄県は全域が本法の有人指定離島に指定されておらず、これらの一部は別の法律により振興が図られる。
- 小笠原諸島振興開発特別措置法に指定されている有人2島
- 奄美群島振興開発特別措置法に指定されている有人8島
- 沖縄振興特別措置法に指定されている有人37島[9]
- 指定離島の一覧参照
以上、小計47の有人離島は別の法律により振興対象となっている。
また、有人国境離島特別措置法(有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法)が2017年(平成29年)4月から10年間の時限立法で制定施行され、領海や排他的経済水域の保全を主眼とし、国が船舶・航空運賃を一部負担や安定的な漁業経営のため必要な財政措置、国が土地の買い取りや港湾整備などに努めるとされている[10]。2016年(平成28年)10月現在、外海周辺の特定有人国境離島地域である国境離島71島が指定されており、その殆どは離島振興法の有人指定離島である。またこの法律でも、既存の特別振興法がある小笠原諸島、奄美群島、沖縄県下の諸島は対象外である。
有人指定離島の一覧[編集]
下表は2022年4月1日時点での有人指定離島の一覧である。合計69市31町11村の77地域、254島がある(下表にある島は合計256島であるが、有人離島数には鹿児島県の新島と馬毛島が含まれない)[11]。
過去に指定されたことがある有人離島[編集]
指定と解除の沿革[編集]
脚注[編集]
- ^ 離島振興対策実施地域となっている島
- ^ 離島振興対策実施地域の指定を一部解除する件について(国土交通省の報道発表資料より)
- ^ 離島振興対策実施地域の指定を一部解除する件について(国土交通省の報道発表資料より)
- ^ 岡山県の離島(岡山県HPより)
- ^ 兵庫県離島振興計画の概要
- ^ 指定済み離島に対する対応方針
- ^ 「桜島沖無人島・新島へ移住の夫婦 転入届を提出」『南日本放送』2019年7月23日。
- ^ 離島指定基準の点検について
- ^ 離島関係資料(平成30年1月) 沖縄県公式ページより
- ^ 離島保全法が成立 領海や排他的経済水域を管理 日本経済新聞 2016年4月20日
- ^ 離島振興対策実施地域一覧(国土交通省・離島振興)
- ^ 鈴木勇次「日本の離島振興のあゆみ」『島嶼研究』第20巻第1号、日本島嶼学会、2019年、7-21頁、doi:10.5995/jis.20.1.7、ISSN 1884-7013、NAID 130007911420。
関連項目[編集]
- 離島
- 日本の離島架橋
- 小笠原諸島振興開発特別措置法
- 奄美群島振興開発特別措置法
- 沖縄振興特別措置法
- 有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法
- 過疎地域自立促進特別措置法
外部リンク[編集]
- 離島振興法 e-Gov法令検索
- 国土交通省 離島振興
- 離島振興対策実施地域一覧 (PDF)