長勢甚遠

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長勢 甚遠
ながせ じんえん
Jinen Nagase 200609.jpg
生年月日 (1943-10-03) 1943年10月3日(75歳)
出生地 日本の旗 富山県魚津市[1]
出身校 東京大学法学部卒業
前職 国家公務員労働省
所属政党 自由民主党町村派
称号 法学士
旭日大綬章
魚津市名誉市民
親族 父・長勢甚正(元魚津市議会議員)
祖父・鹿熊久安(元富山県議会議長)
叔父・鹿熊安正(元参議院議員
従弟・鹿熊正一(富山県議会議員)
公式サイト ながせ甚遠公式サイト

日本の旗 第78代 法務大臣
内閣 第1次安倍内閣
在任期間 2006年9月26日 - 2007年8月27日

選挙区旧富山1区→)
富山1区→)
比例北陸信越ブロック
当選回数 7回
在任期間 1990年 - 2012年
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長勢 甚遠(ながせ じんえん、1943年10月3日 - )は、日本政治家自由民主党所属の元衆議院議員(7期)。

法務大臣第78代)、内閣官房副長官第3次小泉改造内閣)、法務副大臣第2次森改造内閣)等を歴任。富山県魚津市名誉市民

来歴[編集]

富山県魚津市生まれ[1]。小学校入学時に父親の仕事の関係で富山市在住となった[1]富山市立柳町小学校富山大学教育学部附属中学校富山県立富山高等学校東京大学法学部卒業。

1966年労働省(現・厚生労働省)に入省する[2]1988年に退官[3]。労働省の同期に、伊藤庄平労働事務次官[4]や、太田芳枝労働省初代女性局長らがいる[5]

1990年第39回衆議院議員総選挙旧富山1区(定数3)から自由民主党公認で出馬し、得票数3位で初当選した。以後7期連続当選。1995年村山改造内閣厚生政務次官に任命される。翌1996年第41回衆議院議員総選挙では新設された富山1区から出馬し、新進党公認の広野允士を破り当選。小渕内閣第1次森内閣労働総括政務次官第2次森改造内閣法務総括政務次官に就任し、中央省庁再編に伴い高村正彦法務大臣の下、初代法務副大臣に就任した。

2002年、衆議院厚生労働委員会筆頭理事。2004年、自由民主党政務調査会筆頭副会長[6]

2005年第3次小泉改造内閣内閣官房副長官に就任。続く安倍内閣では法務大臣に任命され、初入閣した。

その後、党労政局長や党衆議院議員総会長を歴任した。

2012年3月、第46回衆議院議員総選挙には出馬せず、政界を引退する意向を表明した[7]

2013年11月、秋の叙勲にて旭日大綬章を受章。

2014年11月、富山県魚津市名誉市民[8]

政策・主張[編集]

死刑執行[編集]

法務大臣在任中10人の死刑執行にサインし、当時、歴代最多の死刑執行となった。

松岡農水相の自殺[編集]

松岡利勝農林水産大臣自殺後、安倍晋三内閣総理大臣が「捜査当局から『松岡大臣や関係者の取り調べを行っていたという事実もないし、これから取り調べを行うという予定もない』と発言があったと聞いている」とコメントしたことに対し、マスコミからの質問に対する東京地方検察庁の回答内容が、法務省から内閣官房に報告されていた、と説明した上で問題視しない考えを表明した[9]

外国人労働者の待遇改善[編集]

劣悪、低賃金労働といった、外国人研修・技能実習制度の問題改善を図るため、自民党国家戦略本部の外国人労働者問題プロジェクトチームの座長として、「外国人労働者短期就労制度」の創設を提言[10][11]

戦後レジームからの脱却[編集]

法務大臣就任時、「戦後60年を経て経済優先、個人優先の風潮を正していくことが必要」と持論[12]。改憲よりも自主憲法の制定を重んじる。2012年5月10日に行われた創生「日本」の研修会では、自民党憲法草案に反対する立場から、「(自民党憲法草案は)国民主権、基本的人権平和主義、これは堅持すると言ってる。この三つはマッカーサーが日本に押し付けた戦後レジームそのものだ。この三つを無くさなければですね、本当の自立自主憲法に成らない」と発言。

その他[編集]

人物[編集]

不祥事[編集]

国民年金未納[編集]

2004年、政治家の年金未納問題に伴い、国民年金の未納期間が5ヶ月あることが判明した[27]

収支報告書虚偽記載[編集]

2007年2月20日、『読売新聞』の調査で、2005年の衆議院議員総選挙における長勢の選挙運動費用収支報告書に、実際の収支と異なる記述をしていた事実が発覚した。選挙運動費用収支報告書には支出として公費負担分を計上するため、本来、収入に対し支出は公費負担分多くなる計算となるはずだが、長勢の選挙運動費用収支報告書は収入と支出が完全に一致している。長勢事務所の説明では、出納責任者が支出額に含まれる公費負担分を失念し、収入額が支出額と同額になるよう自由民主党支部からの寄附金を辻褄合わせして記載したと主張している。読売新聞の取材後、選挙運動費用収支報告書と自由民主党支部の政治資金収支報告書を訂正した。出納責任者は「収支の額を一致させなければならないと思い込み、公費負担分は忘れていた」[28]と語っている。

実家未登記問題[編集]

2007年6月14日富山県魚津市に所有している実家が、不動産登記法に違反して、現在も未登記のままになっていることが報じられた。厚生政務次官だった1995年に既に未登記を指摘されており、「社会的に非常識なら登記する」としていたが、その後も未登記のままだったという[29]

また、実家の建物は長勢の祖父名義だったため、相続による所有権移転を登記する際に生じる登録免許税も払ってこなかったとの指摘もある[30]

大臣規範違反[編集]

大臣規範で首相への届出が義務付けられている、公益法人特定非営利活動法人)の役職についても、届出を怠っていたことが明らかになっている。

2007年6月15日衆議院議員保坂展人に国会で追及された長勢は、法務省の大臣秘書官を引き連れ法人のゴルフコンペに参加したことを認めた。さらに、そのゴルフコンペの景品が法務省が監修したDVDだったとされ、公私混同と批判されている。保坂は、政治活動が禁止されている特定非営利活動法人に「官僚を呼んで法案について説明を求めるなどしているのは問題」[30]と指摘している。

年金保険料献金問題[編集]

長勢が支部長を務める自由民主党富山県第一選挙区支部が、社団法人全国社会保険協会連合会から政治献金を受け取っているが、この献金に対し政治資金規正法違反が指摘されている[31]

長勢の政治資金収支報告書には、全国社会保険協会連合会から10万円を受け取ったと記載されている。

全国社会保険協会連合会は、厚生保険特別会計から委託費、交付金等を受領している。しかし、政治資金規正法第22条の3は、国から補助金等を受けた団体に対し交付決定から一年以内の政治献金を禁止している。そのため、全国社会保険協会連合会からの政治献金は、この規定に違反しているとの疑惑が持たれている。

長勢は、「事実関係を調べた上、法令に則って適切に対処」[32]するとしている。

事務所費などに関する疑惑[編集]

長勢が支部長である自由民主党富山第一選挙区支部の事務所費の倍増[33]や、この支部が入居する富山自由民主会館の家賃が政党交付金使途等報告書の記載と実態で大きく異なること[34]富山県富山市の同一の民家に事務所を置いている6つの政治団体が、6団体合計で1800万円もの事務所費を計上していること[33][34]など、事務所費にまつわる疑惑が多く報道されている。

また、長勢の資金管理団体「長政会」が、長勢の政策担当秘書である大堀幸男が代表を務める「新時代政策研究会」を通じて、脱法的な迂回献金を受け、迂回支出を行っているとの疑惑[33]も存在する。

見返り献金問題[編集]

日本精神科病院協会政治連盟からの政治献金を巡り、有利な国会質問を行い、返金した政治献金を再度受領しているとされる問題[33]や、自身が相談役を務めていた(問題発覚後に辞任)外国人研修生受け入れ団体「富瀋国際事業協同組合」の依頼で長勢事務所が査証発給状況を法務省入国管理局に照会し、その見返りとして同組合から献金を受けていた問題[35]が明らかになった。

所属していた主な団体・議員連盟[編集]

  • 創生「日本」(会長代理)
  • 日本会議国会議員懇談会
  • 神道政治連盟国会議員懇談会
  • 憲法20条を考える会
  • 日韓議員連盟
  • 労働政策推進議員連盟(会長)
  • 「昭和の日」推進議員連盟(幹事長)
  • 建築板金業振興議員連盟(副会長)
  • 配置薬議員連盟(会長)
  • 北陸新幹線建設促進議員連盟
  • 整備新幹線建設促進議員連盟
  • 社会保険労務士議員懇談会
  • 自民党自動車整備議員連盟(幹事)
  • 病院理学療法問題議員懇話会
  • 薬種商問題議員協議会(幹事長)
  • 21世紀の社会保障制度を考える議員連盟
  • 少子化社会対策議員連盟
  • 介護労働問題議員連盟
  • 介護福祉議員連盟
  • 自民党全国保育関係議員連盟
  • 自由民主党議員柔道整復師会
  • 自民党薬剤師問題議員懇談会(副会長)
  • 確定拠出型年金導入推進議員連盟
  • 裁判員制度推進議員連盟
  • 矯正施設の過剰収容等緊急対策議員懇談会
  • 農民の健康を創る会
  • 水と緑と食糧を守る議員連盟
  • 獣医師問題議員連盟(幹事)
  • 環境衛生議員連盟
  • 浄化槽対策議員連盟
  • 田園住宅建設促進議員連盟
  • 血液事業研究議員連盟
  • 日本・ネパール友好国会議員連盟
  • CIQ(関税・出入国管理・検疫)体制拡充整備推進議員連盟
  • ソフトボール振興議員懇談会
  • 税理士制度改革推進議員連盟ワーキングチーム
  • TPP交渉における国益を守り抜く会

家族・親族[編集]

長勢家

富山県魚津市石垣[2]、富山市太田向陽台

  • 父・甚正(政治家) - 元魚津市議会議員。
  • 母(鹿熊久安の娘)
親戚

著書[編集]

単著[編集]

  • 『シルバー人材センター』(労務行政研究所)
  • 『豊かな勤労者生活に向けて』(近代労働経済研究会)
  • 『確定拠出年金が産声をあげるまで』(労務行政研究所、2000年)
  • 『新しい食品衛生法のあらまし』(労務行政研究所、2003年)
  • 『甚遠のおもしろ草子』(長勢甚遠著述集刊行会、2014年)

共著[編集]

  • 『労働組合よしっかりしろ』(日本リーダーズ協会、2000年)
  • 『一問一答 金庫株解禁等に伴う商法改正』(商事法務研究会、2001年)

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 「長勢甚遠氏の名誉市民推挙について」、魚津市定例記者会見平成26年7月1日。
  2. ^ a b 『政治家人名事典』373頁。
  3. ^ 法務大臣 - 首相官邸 安倍内閣 閣僚名簿
  4. ^ 『日本経済新聞』1999年10月25日。
  5. ^ 『日本経済新聞』2000年5月4日。
  6. ^ 法務大臣 - 首相官邸 安倍内閣 閣僚名簿
  7. ^ “自民・長勢甚遠元法相が政界引退を表明”. 読売新聞. (2012年3月17日). http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20120317-OYT1T00656.htm 2012年3月17日閲覧。 
  8. ^ 魚津市名誉市民一覧 - 魚津市
  9. ^ 「松岡氏自殺にからむ安倍発言『問題はない』と長勢法相」『asahi.com:松岡氏自殺にからむ安倍発言 「問題はない」と長勢法相 - 松岡農水相自殺朝日新聞2007年6月1日
  10. ^ 『日本経済新聞』2008年7月21日。
  11. ^ 長勢甚遠前法務大臣よりの提言 - GTC協同組合
  12. ^ 『閣僚の横顔 安倍連立内閣』朝日新聞、2006年9月27日
  13. ^ a b c 興論サークル5 2011.4.1号
  14. ^ 『安倍内閣 17閣僚こんな人』読売新聞、2006年9月27日
  15. ^ 『閣僚の横顔 安倍連立内閣』朝日新聞、2006年9月27日
  16. ^ 『安倍内閣 17閣僚こんな人』読売新聞、2006年9月27日
  17. ^ 『閣僚の横顔 安倍連立内閣』朝日新聞、2006年9月27日
  18. ^ 『長勢氏が不出馬表明』富山新聞、2012年3月18日
  19. ^ 『長勢元法相が引退表明』北日本新聞、2012年3月18日
  20. ^ 『秋の叙勲』富山新聞、2013年11月3日
  21. ^ 『室堂に秋篠宮さまの歌碑』富山新聞、2015年8月26日
  22. ^ 『秋篠宮さまの歌碑建立』北日本新聞、2015年8月26日
  23. ^ 「憲法改正!早期実現のための決起大会」のご報告 - 富山県護国神社
  24. ^ 富山県護国神社
  25. ^ 『長勢氏が不出馬表明』富山新聞、2012年3月18日
  26. ^ 『長勢元法相が引退表明』北日本新聞、2012年3月18日
  27. ^ 朝日新聞、2004年5月13日
  28. ^ 収支報告「選挙費用」もずさん、長勢法相ら4閣僚訂正 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)」、2007年2月20日。
  29. ^ 長勢法相の富山の実家、指摘受けても未登記のまま : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)、2007年6月14日
  30. ^ a b 「カネと女は国会でも追及――長勢法相『新疑惑』3連発」『週刊文春』49巻25号、文藝春秋2007年6月28日、159頁。
  31. ^ 「長勢甚遠法相も『年金保険料献金』を受けていた!」『週刊ポスト』39巻33号、小学館2007年7月27日、27,28頁。
  32. ^ 「長勢甚遠法相も『年金保険料献金』を受けていた!」『週刊ポスト』39巻33号、小学館2007年7月27日、28頁。
  33. ^ a b c d 「カネと女は国会でも追及――長勢法相『新疑惑』3連発」『週刊文春』49巻25号、文藝春秋2007年6月28日、160頁。
  34. ^ a b 「法相失格! 国会に持ち出された長勢大臣『事務所費』」『週刊文春』49巻28号、文藝春秋2007年7月19日、32,33頁。
  35. ^ 「長勢法相側に50万円ビザ照会後に外国人研修生団体」『asahi.com:長勢法相側に50万円 ビザ照会後に外国人研修生団体 - 社会』朝日新聞、2007年8月7日

参考文献[編集]

  • 『政治家人名事典』日外アソシエーツ、1990年。

関連項目[編集]


外部リンク[編集]

議会
先代:
武部勤
日本の旗 衆議院法務委員長
2000年
次代:
保利耕輔
公職
先代:
杉浦正健
日本の旗 法務大臣
第78代:2006年 - 2007年
次代:
鳩山邦夫
先代:
杉浦正健
日本の旗 内閣官房副長官
(政務担当・衆議院)

2005年 - 2006年
次代:
下村博文
先代:
(創設)
日本の旗 法務副大臣
初代:2001年
次代:
横内正明