少年院

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少年院(しょうねんいん)は、保護処分の執行を受ける者及び少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受けることとされた者を収容するための施設。法務省矯正局が管轄する。

概要[編集]

少年院の在院者には保護処分在院者と受刑在院者がある(少年院法2条1号)。

保護処分在院者とは少年法上の保護処分の執行を受けるため少年院に収容されている者をいう(少年院法2条2号)。

受刑在院者とは、少年法第56条第3項の規定により懲役若しくは禁錮の刑の執行を受けるため少年院に収容されている者又は国際受刑者移送法第16条第1項各号の共助刑の執行を受けるため少年院に収容されている者をいう(少年院法2条3項)。前者は懲役や禁錮の言渡しを受けた16歳に満たない者のうち、少年院での矯正教育が有効と認められたものであり、16歳に達するまで収容することができる[1]。少年院送致の処分は警察や裁判所に前歴が残るだけで前科は公に出ないとされる。

素行不良の幼少者を収容し、従来の生活環境から切り離して教育を施す施設としては、少年院以外にも児童自立支援施設(旧称・教護院)があるが、児童自立支援施設は、家庭裁判所の保護処分以外にも、知事や児童相談所長といった児童福祉機関による児童福祉法上の措置として入所する場合がある点で異なる。

家庭裁判所がいずれの施設に入院・所させるかを判断する際には、その少年に対する教育効果を上げるためには、規律ある生活を送らせるのがよいのか、家庭的な雰囲気で成長を促進させるのがよいのかという視点が重要とされており、前者に該当する場合、少年院への入院が選択される。

種類[編集]

現行法[編集]

2015年(平成27年)6月施行の現行少年院法第4条第1項は、次の4種類に区分すると規定している。性別により分離する(第5条第2項)とされているが、旧法(第2条第6項)と異なり施設そのものの分離は規定していない。また適当と認めるときは、居室外に限り、分離をしないことができる(第5条第3項)なっている。旧法では下記のように「初等,中等,特別及び医療」としていたが、初等と中等は16 歳という年齢での区分であるが、16 歳で一律区分することは合理性がないことから統合し第一種とした。「「特別」は、犯罪傾向の進んだ者が収容されていたが,特別の語が他者からも自らもスティグマを与える結果となっていることから、名称を第二種少年院に変更した。また第四種は、従前は類別としては存在していなかった[2]。個々の少年院の種類は、少年院法第4条第2項により「法務大臣は、各少年院について、一又は二以上の前項各号に掲げる少年院の種類を指定する。」となっており、具体的には「少年院種類表 (平成27年5月27日法務省告示第299号[3])」により指定されている。

第一種少年院
心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容する。旧法の初等少年院と中等少年院に相当。
第二種少年院
心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容する。旧法の特別少年院に相当。
第三種少年院
心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容する。旧法の医療少年院に相当。少年院法で「医療少年院」に該当するのは全国で関東医療少年院東京都府中市)、京都医療少年院京都府宇治市)の2ヶ所のみ。
神奈川医療少年院神奈川県相模原市)、宮川医療少年院三重県伊勢市)は「治療的教育」を行う「少年院版の特別支援学校」である。中津少年学院大分県中津市)を含め、この3か所は第三種少年院に該当しない。
第四種少年院
少年院において刑の執行を受ける者を収容する。

旧法[編集]

2015年(平成27年)5月までの旧少年院法では、少年院は次の4種類とされていた(同法2条1項 - 5項)。医療少年院を除けば、それぞれに男子と女子に別々の施設が設けられる(同条6項)。女子を収容する少年院は、正式名称ではないが女子少年院とも呼ばれる。

初等少年院
心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上おおむね16歳未満の者を収容する。
中等少年院
心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者を収容する。
特別少年院
心身に著しい故障はないが犯罪傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を収容する。ただし、16歳未満の少年院収容受刑者も収容できる。
医療少年院
心身に著しい故障のある、おおむね12歳以上26歳未満の者を収容する。

矯正教育[編集]

少年院は、収容者に矯正教育を授ける(同法1条)。少年院の矯正教育は、在院者を社会生活に適応させるため、生活指導、教科(義務教育で必要な教科、必要があれば中等教育に準ずる教科)、職業補導、適当な訓練、医療を授けるものとされている(同法4条)。そのため、少年刑務所などとは定義が全く異なる。

担当のスタッフは、法務教官又は法務技官である。

処遇課程[編集]

少年院の処遇課程には、特修短期処遇(4か月以内での仮退院を目指す矯正教育メニュー)、一般短期処遇(6か月以内程度での仮退院を目指す矯正教育メニュー)、長期処遇(12か月以内程度での仮退院を目指す矯正教育メニュー)、超長期処遇(12か月以上かけて矯正教育を授けるメニュー)があり、これらの処遇課程の振り分けは、短期処遇については、家庭裁判所の処遇勧告に従うのが原則とされ、長期処遇については、比較的長期(18か月程度)や相当長期(24か月以上)などの勧告を尊重することとされる。

少年院の中でも、特に一般短期処遇や特修短期処遇の者を収容する施設や女子少年院では、例えば○○学院、○○学園、○○女子学園などのように、在院者が社会復帰後、履歴書に在院歴を記載しても殊更に目立たないような配慮がなされている。職業訓練を実施する少年院には、○○技能訓練所という別称があり、資格証明書などを発行する際に用いられている。

少年院一覧[編集]

施設名 郵便番号 所在地 電話番号 種類別
帯広少年院 080-0846 北海道帯広市緑ヶ丘3-2 0155-24-5787 第一種、第二種
北海少年院 066-0066 北海道千歳市大和4-746-10 0123-23-3147 第一種
 紫明女子学院 066-0066 北海道千歳市大和4-662-2 0123-22-5141 第一種、第二種
月形学園 061-0516 北海道樺戸郡月形町字知来乙264-1 0126-53-2736 第一種
盛岡少年院 020-0121 岩手県盛岡市月が丘2-15-1 019-647-2107 第一種
東北少年院 984-0825 宮城県仙台市若林区古城3-21-1 022-285-4270 第一種
 青葉女子学園 984-0825 宮城県仙台市若林区古城3-24-1 022-286-1551 第一種、第二種
茨城農芸学院 300-1288 茨城県牛久市久野町1722-1 029-875-1114 第一種
水府学院 311-3104 茨城県東茨城郡茨城町駒渡1084-1 029-292-0054 第一種
喜連川少年院 329-1412 栃木県さくら市喜連川3475-1 028-686-3020 第一種
赤城少年院 371-0222 群馬県前橋市上大屋町60 027-283-2020 第一種
榛名女子学園 370-3503 群馬県北群馬郡榛東村新井1027-1 0279-54-3232 第一種、第二種
市原学園 290-0204 千葉県市原市磯ケ谷157-1 0436-36-1581 第一種
八街少年院 289-1123 千葉県八街市滝台1766 043-445-3787 第一種
多摩少年院 193-0932 東京都八王子市緑町670 042-622-5219 第一種
関東医療少年院 183-0052 東京都府中市新町1-17-1 042-362-2355 第三種、第四種
愛光女子学園 201-0001 東京都狛江市西野川3-14-26 03-3480-2178 第一種
久里浜少年院 239-0826 神奈川県横須賀市長瀬3-12-1 046-841-2585 第一種、第二種、第四種
小田原少年院 250-0001 神奈川県小田原市扇町1-4-6 0465-34-8148 第一種
神奈川医療少年院 252-0205 神奈川県相模原市中央区小山4-4-5 042-772-2145 第一種、第二種
新潟少年学院 940-0828 新潟県長岡市御山町117-13 0258-35-0118 第一種
有明高原寮 399-8301 長野県安曇野市穂高有明7299 0263-83-2204 第一種
駿府学園 421-2118 静岡県静岡市葵区内牧118 054-296-1661 第一種
湖南学院 920-1146 石川県金沢市上中町ロ11-1 076-229-1077 第一種
瀬戸少年院 489-0988 愛知県瀬戸市東山町14 0561-82-3195 第一種
愛知少年院 470-0343 愛知県豊田市浄水町原山1 0565-45-0511 第一種
豊ケ岡学園 470-1153 愛知県豊明市前後町三ツ谷1293 0562-92-3106 第一種
宮川医療少年院 519-0504 三重県伊勢市小俣町宮前25 0596-22-4844 第一種、第二種
京都医療少年院 611-0002 京都府宇治市木幡平尾4 0774-31-8101 第三種、第四種
浪速少年院 567-0071 大阪府茨木市郡山1-10-17 072-643-5065 第一種
交野女子学院 576-0053 大阪府交野市郡津2-45-1 072-891-1132 第一種、第二種、第四種
和泉学園 599-0231 大阪府阪南市貝掛1096 072-476-5221 第一種
 泉南学寮 599-0231 大阪府阪南市貝掛1096 072-476-5221 第一種
加古川学園 675-1201 兵庫県加古川市八幡町宗佐544 079-438-0353 第一種
 播磨学園 675-1201 兵庫県加古川市八幡町宗佐544 079-438-0340 第一種
奈良少年院 631-0811 奈良県奈良市秋篠町1122 0742-45-4681 第一種、第二種、第四種
美保学園 683-0101 鳥取県米子市大篠津町4557 0859-28-7111 第一種
岡山少年院 701-0206 岡山県岡山市南区箕島2497 086-282-1128 第一種
広島少年院 739-0151 広島県東広島市八本松町原11174-31 082-429-0821 第一種
 貴船原少女苑 739-0151 広島県東広島市八本松町原6088 082-429-3001 第一種、第二種
丸亀少女の家 763-0054 香川県丸亀市中津町28 0877-22-9226 第一種、第二種
四国少年院 765-0004 香川県善通寺市善通寺町2020 0877-62-1251 第一種
松山学園 791-8069 愛媛県松山市吉野町3803 089-951-1252 第一種
筑紫少女苑 811-0204 福岡県福岡市東区大字奈多1302-105 092-607-5695 第一種、第二種
福岡少年院 811-1346 福岡県福岡市南区老司4-20-1 092-565-3331 第一種
佐世保学園 857-1161 長崎県佐世保市大塔町1279 0956-31-8277 第一種
人吉農芸学院 868-0301 熊本県球磨郡錦町木上北223-1 0966-38-3102 第一種
中津少年学院 871-0152 大分県中津市加来1205 0979-32-2321 第一種、第二種
大分少年院 879-7111 大分県豊後大野市三重町赤嶺2721 0974-22-0610 第一種、第二種
沖縄少年院 904-0034 沖縄県沖縄市山内1-13-1 098-933-4486 第一種
 沖縄女子学園 904-0034 沖縄県沖縄市山内1-14-1 098-933-7241 第一種、第二種、第四種

注 施設名が1字下がっているのは分院でありその上の施設の上の欄にあるのはその本院になる。

脚注[編集]

  1. ^ “少年院法” (PDF) (プレスリリース), 法務省, http://www.moj.go.jp/content/000095870.pdf 2016年1月30日閲覧。 
  2. ^ 少年院の現状と課題 鷲 野 薫
  3. ^ 最終改正 平成30年3月30日法務省告示第108号

関連項目[編集]

外部リンク[編集]