児童相談所

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日本での児童相談所(じどうそうだんじょ)は、児童福祉法第12条[1]に基づき、各都道府県に設けられた児童福祉の専門機関。児相と略称される。すべての都道府県および政令指定都市(2006年4月から、中核市にも設置できるようになった)に最低1以上の児童相談所が設置されており、都道府県によってはその規模や地理的状況に応じて複数の児童相談所およびその支所を設置している。

日本の占領下において、米国のChild Guidance Centerに範をとり、戦争孤児や浮浪児の救済など、児童の人権を護るために設立された行政組織であったが、日本経済の高度成長と共にこれらの児童の数は減少した。1960年代以降は不登校の問題などを主に扱っていたものの、1980年代以降の臨調行革路線の中で、行政ニーズが乏しいとして見直しの危機にさらされた。ここで、当時の厚生省が、日本ではほとんど問題にされていなかった児童虐待に着目、当時の厚生大臣が「児童虐待は殺人罪との境界領域」と国会で訴えて児童虐待防止法を立法化し、これを扱う行政機関としてこれを復活させ、厚労省は、政府機関リストラの動きの中で、児童相談所を年々予算が増大する成長分野とすることに成功した。[2]

電話番号189番語呂合わせ:いちはやく,いっぱいやくぶつ[2])は、児童相談所の全国共通ダイヤル(緊急通報用電話番号)に設定されている。2015年7月1日より運用が開始され、24時間365日児童虐待の通告を受け付けている[3]。国民はすべからく、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した際は、速やかに市町村福祉事務所または児童相談所のいずれかに通告しなければならない[4]。だが、こうした通告義務づけについては、行政効率を悪化させること、市民を密告警察官に仕立てあげることなどから、国際的に重大な疑問も出されている。[5]

業務の内容[編集]

児童すなわち0歳から17歳の者(児童福祉法4条)を対象に以下のような業務内容を行っている(児童福祉法11条1項2号)。しかし、今日の児童相談所業務の大部分は、「児童虐待」の対応にあてられているといってよい。それ以外の相談については、それに応じられる専門家の体制も十分整っていない。

  • 児童に関する様々な問題について、家庭学校などからの相談に応じること。
  • 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行う。
  • 児童及びその保護者につき、前号の調査又は判定に基づいて必要な指導を行なうこと。
  • 児童の一時保護を行う[6]

相談の種類[編集]

相談の種別は、五つに大別される。

職員[編集]

各児童相談所には、一般の行政職員(国家公務員でいうところの事務官)に加え、精神衛生の知識のある医師、大学で心理学を学んだ児童心理司、また児童福祉司(2年以上の実務経験か、資格取得後、2年以上所員として勤務した経験が必要)などの専門職員がいる。専門職員は国家公務員でいうところの技官に相当する内容の職種であるが、自治体によっては補職が「技術吏員」ではなく、ただの「事務吏員」扱いになっている場合もある[要出典]

都道府県では土木の用地交渉や生活保護のケースワーカーなど、利害調整や相談に関係する業務に関しては伝統的に専門職員ではなく、一般の行政職員で対応することが多い[要出典]ことから、専門職の仕事と認識されていない[誰によって?]場合も少なくない。


児童虐待対応業務[編集]

日本において、虐待された子供の救済、保護を担当するのは、ほとんどの場合、各自治体に設けられた児童相談所である。ただし、警察が特に緊急を要すると判断した場合は、まず児童を加害者側から引き離して保護し、その後、児童相談所にその案件を引き渡すこともある。 児童相談所では事案を調査し、職員の判断で一時保護所に保護したり、児童養護施設に児童を収容する。場合によっては、親権を剥奪したりすることもある。

2015年7月1日より189番が、虐待の緊急時、児童相談所の全国共通ダイヤル(緊急通報用電話番号)として運用が開始された。国民に児童虐待の通報を義務付けたことによって、児童虐待に関する相談(通報)件数は2010年頃から急激に増加している[7]。しかし、その割に児童相談所の職員数は以前とほとんど変わっていない。そのため、個々の案件、ひとりひとりの子供や親にしっかりと時間を割いて対応できなかったり、長時間労働をしてもやるべき職務をしっかりこなせなかったりする状態にある。 児童福祉司は虐待通告への初期対応に振り回され、虐待以外の相談への対応はおろか、虐待相談においてさえ、個々の事例に丁寧に対応しかねているのが実情である、という指摘もある[8]。このような背景から、平成16年度児童福祉法改正により地方公共団体(市区町村)も要保護児童対策地域協議会(児童福祉法25条の2)を通じて虐待を受けた要保護児童への支援を行う機関に加えられた[9]。児童相談所は、市区町村の業務の支援も行うものとされる(児童福祉法12条2項)。

低い専門性[編集]

児童虐待への対応では、動機なきクライエントに介入し、限られた情報をもとに迅速かつ的確にリスクアセスメントを行ったり、適切な援助関係を構築したりするなど、高度な専門性が要求される。虐待への対応に精通するには、専門職としての基本的な見識・技術に加え、豊富な経験が不可欠であり、最低5 年から10 年程度の経験が必要であるとされている[8]。よって、児童福祉司に専門職任用をすすめることが今後の課題である、という指摘がある[8]。 しかしながら、一般行政職を児童福祉司に任用している自治体が少なくない[8]状態で、現在の児童福祉司は専門性が不十分でまともな判断ができていない。もともと、児童相談所は職務がきつく、あまり人気の無い部署であって、無関係の部署にいて児童相談所勤務を全然希望していない者が、突然に転属命令を受け、嫌々に児童相談所勤務となることがある。そういう者は、わずか数日から数週間程度の短期間の研修しか受けずに「児童福祉司」という職名を肩書として得ているにすぎない。その結果、児童福祉司は専門家とは言えないような集団、一種の素人の寄せ集めのような集団になっていて、まともな判断ができない、との指摘[10]がある。一般の行政職員の中には保健福祉とは関係のない部署から人事異動により初めて異動し、形式的な資格のみを与えられて、いきなり専門職となったと錯覚し、児童を家族から引き剥がす強権を振り回し始めるケースも多い。このような一般行政職公務員の場合、ソーシャルワークにおける基礎的な教育を受けていないことに加え、異動のサイクルが極端に短く、個人においても組織においても専門性が蓄積されない[8]。このような職員ではそもそも、子供の生涯を左右するというべき児童の家族からの切り離しとその関連業務を行なう強権を与える資質をもっているといい難い[11]。また、子供への調査を十分にできないままに一時保護所の期限(原則2カ月)が来てしまい、不十分な情報のままで無理矢理、その後の子供の扱いを決めてしまい、施設措置を強行することもある。

児童相談所問題[編集]

その結果、児童相談所内の業務はかなりの混乱状態になっている。近年、こうした状態の児童相談所の行政は数多くの市民、子ども、家族に対する人権侵害を繰り返すようになり、これが、一つの社会問題として認識されて、書物やネット上で厳しく批判されるようになってきた。この児童相談所問題には、大きく4つの領域がある:

憲法、子どもの権利条約、民法を蹂躙した「一時保護」[編集]

「一時保護」は明らかに児童の人身拘束であるが、日本国憲法第34条の規定にも拘わらず、日本ではこれを裁判所の令状なしに行なうという、先進諸国では極めて異例の、人権を無視した制度になっている。しかも、この「一時保護」の規準となる児童虐待防止法民法第822条が国民に認める懲戒権との境界が従来曖昧であった[12]。親権者による正当な懲戒権の行使でさえも児童相談所が「虐待」と一方的に見做して児童を「一時保護」するようになった[2]。 このため、児童相談所の一時保護は、近年「拉致」とさえ呼ばれるようになり[10]、報復手段としての児相悪用を示唆する動きすら生じて[13]、児童相談所の「一時保護」はその本来の行政目的から次第にかけ離れ、児相による拉致被害に関する厖大なウエブサイトがネット上に現われるに至っている。

児相保護所内で行なわれる激しい児童虐待[編集]

家族から引き剥がされて児相保護所に収容された児童に対し、児童相談所は激しい虐待を加えている[14]。相模原市児童相談所では、白紙1枚を探すため、収容女児9名を丸裸にした(この不祥事により同児相長が受けた処分は、わずかに1割の減給1ヶ月だった)[15]。保護所の密室性を悪用した、職員による収容児童の猥褻写真撮影も横行している[16]。明るみに出た事例は氷山の一角であり、このような報道と類似の保護所内児童虐待は各地の児相保護所で当然のように行なわれている[11]。これは、社会的養護に児童を取り込むための入り口としての機能を児童相談所が果たしており、後に児童養護施設に引き渡されたときに、児童に不満を言い立てる気力を失わせるよう「囚人」扱いをして訓練しているとの指摘がある[2]

長期に亘る「保護」による家族破壊、児童養護施設との癒着による施設措置[編集]

児童福祉法には「一時保護」期間が2箇月と規定されているが、これは児童相談所長の判断で何度でも延長できるので有名無実化しており、1年近くに亘る長期の「一時保護」もめずらしくない。その間、児童は学校に行くことが出来ず、教育権が侵害されている[17]。さらに、子どもの権利条約前文が規定する家族の絆を、児童相談所は、長期に亘る面会通信の禁止によって破壊している[2]。そして、児童相談所は、EUであれば1年程度で家族に返還される保護した児童を、28条申立等の方法を用いて強行的に施設措置し、「人工的孤児」にしてしまう。日本で施設措置されたわが子を実親が奪還してオランダに亡命し、オランダの裁判所で親子の再統合が認められた事例がある[18]。そもそも、何年にも亘り厚労省が児童虐待を問題にし始めたのは、戦争孤児救済の目的で全国各地に作られた児童養護施設が、日本経済の発展のため収容児童の減少により閉鎖の危機にさらされたのと時期を同じくしていた[19]。このことから、既に社会的使命を終えた社会福祉法人の事業を国家財政資金により存続させるための隠れ蓑として「児童虐待」が用いられている強い疑いが提起されている[2]。児童養護施設では、施設内虐待が横行[20]し、児童を管理するため恒常的に向精神薬の投与がなされており[21]、国際人権団体から、児童養護施設に児童を収容すること自体が児童虐待であるとの指摘がなされるに至っている[17]が、児童相談所長を経験した地方公務員が定年後児童養護施設長に天下りする等の癒着関係があり、児童相談所は不必要な施設措置の強行を止めない。

凶悪虐待事案の放置[編集]

このような「拉致」とさえ呼ばれる軽微な事由による児童の「一時保護」が繰りかえされて市民生活と家族の自治に脅威が及ぶ一方で、児童虐待防止法成立後20年近くを経過しても、一向に子どもが虐待で命をおとすという「殺人罪との境界領域」にある凶悪虐待事案はなくならない。例えば、2016年1月には、埼玉県狭山市で、3歳の女児が虐待死した[22]が、管轄の所沢児童相談所は何もせず放置したままで、見殺しと批判された[11]。所轄の狭山警察署は、この女児の家に2回臨場しているので、児童虐待対応が警察の所轄であれば、この女児の命は救えた可能性がある。もともと、児童相談所の予算システムには、年間に何人児童を保護するかという「年間保護目標」(「拉致ノルマ」とも通称される)が定められている[2]ので、児相職員が凶暴な親と対峙し命の危険にさらされねばならない重大事案は放置し、軽微な事案で多くの子どもを「保護」した方が、保護件数を確実に稼ぐことができ、行政目的を確実に達成できるという経済的インセンティブのもとにおかれている。これならば、児童相談所は廃止し、児童虐待の管轄そのものを、厚労省と児相から、警察庁と各警察署に全面移管したほうが、市民の権利と家族の自治は守られ、かつ行政効率があがるであろう。


設置している自治体[編集]

地方 都道府県(47) 指定都市(20) 中核市(2)
北海道地方 北海道 札幌市
東北地方 青森県岩手県宮城県秋田県山形県
福島県
仙台市
関東地方 茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県
東京都神奈川県
さいたま市千葉市横浜市川崎市相模原市 横須賀市
中部地方 新潟県富山県石川県福井県山梨県
長野県岐阜県静岡県愛知県
新潟市静岡市浜松市名古屋市 金沢市
近畿地方 三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県
奈良県和歌山県
京都市大阪市堺市神戸市
中国地方 鳥取県島根県岡山県広島県山口県 岡山市広島市
四国地方 徳島県香川県愛媛県高知県
九州地方 福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県
宮崎県鹿児島県
北九州市福岡市熊本市
沖縄地方 沖縄県

児童虐待防止法における役割[編集]

児童相談所・児童相談所長は、児童虐待防止法において出頭要求や立入調査などの権限が規定されている[23]児童虐待の防止等に関する法律#概要も参照。

海外の類似機関[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 児童福祉法第12条 都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。
  2. ^ a b c d e f g 南出喜久治・水岡不二雄(2016)『児相利権: 「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制』八朔社
  3. ^ 児童相談所全国共通ダイヤルについて(厚生労働省)
  4. ^ 児童虐待防止法第6条1項
  5. ^ Frank Ainsworth, ‘Mandatory reporting of child abuse and neglect: does it really make a difference?’Child and Family Social Work, 7, 2002
  6. ^ 児童福祉法第33条 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。
  7. ^ 厚生労働省「児童虐待相談の対応件数
  8. ^ a b c d e 津崎哲郎;橋本和明編(2008)『最前線レポート 児童虐待はいま』京都 ミネルヴァ書房P205-208
  9. ^ 厚生労働省ホームページ資料 雇用均等・児童家庭局長通知(平成19年11月23日付け):児童相談所運営指針等の改正について
  10. ^ a b 内海聡(2013)『児童相談所の怖い話:あなたの子どもを狩りにくる』三五館、2013年
  11. ^ a b c 山脇由貴子(2016)『告発 児童相談所が子供を殺す』文春新書
  12. ^ これについては、第190国会において、鈴木貴子衆議院議員の質問に答えて、内閣総理大臣安倍晋三が「児童虐待は、子の利益のため子の監護及び教育に必要な範囲内で行われる行為ではないため、民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百二十二条の規定による懲戒には含まれない。」と答弁し、一応の決着を見ている(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190275.htm(七について))
  13. ^ 「いじめっ子対策 児童相談所に拉致させて解決」[1]
  14. ^ https://www.youtube.com/watch?v=F7EbNnM83qA
  15. ^ http://www.asahi.com/articles/ASHDG54N6HDGULOB00D.html
  16. ^ http://www.kanaloco.jp/article/69202
  17. ^ a b ヒューマンライツウオッチ(2014)『夢がもてない-日本における社会的養護下のこどもたち』[2]
  18. ^ http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/001/904/04/N000/000/001/123225856529616125275_yomiuri21.01.18.jpg
  19. ^ 2014年9月、「子ども虐待防止世界会議名古屋2014」での、小林美智子会長講演
  20. ^ http://gyakutai.yogo-shisetsu.info/
  21. ^ 吉田耕平(2013)「児童養護施設の職員が抱える向精神薬投与への揺らぎとジレンマ」『福祉社会学研究』10号
  22. ^ http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201601/CK2016012202000192.html
  23. ^ 児童虐待 参考文献 千葉県サイト内
  24. ^ 台湾 - 内閣府男女共同参画局(pdf).上智大学法学部教授 町野朔
  25. ^ 一通電話,全面保護,113守護你我人身安全
  • 斉藤 幸芳, 藤井 常文 (2012). 児童相談所はいま―児童福祉司からの現場報告. ミネルヴァ書房. ISBN 4623062376. 
  • 津崎 哲郎, 橋本 和明 (2008). 最前線レポート 児童虐待はいま―連携システムの構築に向けて. ミネルヴァ書房. ISBN 4623051986. 
  • 内海 聡 (2013). 児童相談所の怖い話:あなたの子どもを狩りにくる. 三五館. ISBN 488320572. 
  • ヒューマンライツウオッチ (2014). 夢がもてない-日本における社会的養護下のこどもたち. 
  • 南出喜久治, 水岡不二雄 (2016). 児相利権: 「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制. 八朔社. ISBN 486014077. 
  • 山脇由貴子 (2016). 告発 児童相談所が子供を殺す. 文春新書. ISBN 4166610902. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]