奈良少年刑務所

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ロマネスク調様式の表門(正門)
庁舎(本館)

奈良少年刑務所(ならしょうねんけいむしょ)は、法務省矯正局大阪矯正管区に属していた刑務所。全国7箇所の少年刑務所の一つ。英語名称はNara Juvenile Prison。下部機関として葛城拘置支所を持っていた。

前身は奈良監獄で、当時明治41年(1908年)に竣工した山下啓次郎設計による「明治の五大監獄」の一つで、建築物が現存する。

耐震性の問題などにより、平成28年度(2016年度)末で廃庁(閉鎖)された。未決拘禁者については京都拘置所の下部機関として同地に奈良拘置支所が設置された。葛城拘置支所も京都拘置所に移管された。建物は美しい煉瓦建築として知られていたため、保存・活用する事業者が募集され、3グループが応募。法務省は2017年5月、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツなど8社によるコンソーシアムを優先交渉権者に選んだ[1]。8社は建物を耐震補強や改装し、2019年10月に行刑史料館、2020年をめどにホテル等の複合施設を開業する計画である[2]

所在地[編集]

JR奈良駅近鉄奈良駅からバスで「般若寺」バス停下車徒歩約3分

収容分類級[編集]

本刑務所の収容分類級は以下の通り。

  • JA級
  • YA級

近年では、性犯罪者の更生プログラム実施施設。その実施に伴い、少年受刑者・若年受刑者問わず、20代後半~高齢者まで収容。プログラム終了者は随時、元収容施設にて刑期を務める。

収容定員[編集]

  • 696人(平成20年には752人の受刑者を収容)。

組織[編集]

所長の下に2部1課を持つ3部課制である。

  • 総務部(庶務課、会計課、用度課)
  • 処遇部(処遇部門、企画部門)
  • 医務課

職業訓練[編集]

職業訓練のうち、総合訓練を行う総合訓練施設(全国に8施設)の一つに指定されており、総合訓練として、板金科、溶接科、配管科、クリーニング科、機械科、電気工事科、建築科、工芸科、ホームヘルパー科、印刷科、左官科、理容科、短期理容科、情報処理科、農業園芸科、ビルハウスクリーニング科の16種目を実施している。職業訓練を行う施設として、奈良少年刑務所は修了証書を授与する場合その他必要があれば若草技能訓練所の名称を用いることができる。

建築・設備[編集]

  • 煉瓦造りの外塀、正門(表門(ひょうもん)と称する)が特徴。内部の建物もその大半が100年以上にわたって使用されている煉瓦建築である。武道館に相当する建物等は新規に改築されている。一部には戦後、旧陸軍の建物を移築した施設もある。
  • 山下啓次郎(司法省営繕課)が設計。千里久春吉の名前も設計者の一人としてあがっている。
  • 日本政府は奈良監獄を監獄近代化・西洋化の歩みの到達点とし、1910年(明治43年)にロンドンで開かれた日英博覧会に模型を出展した。現在も竣工時の様態がよく残り、日本の近代化の一側面を示す遺構として貴重である[3]

建物保存への経緯[編集]

その他[編集]

  • 名称に「少年」とあるが収容者の大半は20代前半であり、10代の者は数えるほどしかいなかった。
  • 犯罪傾向が進んでおらず年齢が若いなど、更生の見込みが大きいと考えられる者を中心に収容し、伝統的に矯正指導が盛んだった。
  • 1991年から[8]2016年まで、毎年9月に「奈良矯正展」という一般公開行事を開催していた。指導内容の紹介、受刑者の絵画や文芸等の作品紹介、本館前の広場を中心とした物販などのほか、さらに奥に入って施設を見学するツアーも行われていた。

沿革[編集]

  • 1613年慶長18年) - 奈良奉行所(幕府直轄)開設。奉行所北側の北魚屋西町(現在の奈良女子大学敷地)と花芝町に牢屋敷。 
  • 1871年明治4年) - 一部が西笹鉾町の奈良代官所跡地に移転、奈良監獄署となる。
  • 1876年(明治9年) - 県の合併に伴い堺県の奈良監獄分署となる。
  • 1881年(明治14年) - 県の合併に伴い大阪府の奈良監獄分署となる。
  • 1887年(明治20年) - 奈良県再設置に伴い奈良監獄署となる。
  • 1901年(明治34年) - 現在地への移転着工。
  • 1908年(明治41年)7月 - 現在の施設が竣工(工事総額30万円)。
  • 1909年(明治42年)3月 - 現在地に正式移転。
  • 1922年大正11年)10月 - 奈良刑務所と改称。
  • 1946年昭和21年)7月 - 奈良少年刑務所と改称。
  • 2008年平成20年)9月 - 100周年記念矯正展開催。山下洋輔がライブを行った。
  • 2016年(平成28年)7月 - 年度末での廃庁が決定。建物は保存・活用の方向。
  • 2017年(平成29年)
    • 3月 - 廃庁。
    • 4月 - 京都拘置所の下部機関として奈良拘置支所を同地に設置、未決拘禁者を移管。

指定文化財[編集]

「旧奈良監獄」として、以下の建造物17棟2基及び土地が国の重要文化財に指定されている(2017年2月23日指定)[7]

  • 中央看守所及び事務所
  • 第一分房監(第一寮)
  • 第二分房監(第二寮)
  • 第三分房監(第三寮)
  • 夜間寝房(第四寮)
  • 雑居監(第五寮)
  • 雑居監附属工場
  • 夜間寝房附属工場
  • 構内仕切兼男拘置監浴場接見所
  • 構内仕切兼病監浴場接見所
  • 南倉庫
  • 北倉庫
  • 拘置監
  • 醫務所
  • 病監
  • 精神病躁狂監
  • 表門
  • 周囲煉化塀 2基(北塀、南塀)
  • 附:構内仕切塀 6基(敷地南方、敷地北方、北倉庫西方、南倉庫西方、南倉庫東方、拘置監北方)
  • 附:牢舎 2棟
  • 附:奈良監獄建築図面 1冊
  • 土地 76,918.34平方メートル(般若寺町18番1、川上町475番1)地域内の排水溝縁石、殉職刑務官之碑、墓石を含む

参考文献[編集]

  • 『奈良少年刑務所100年誌』奈良少年刑務所、2009年
  • 『奈良県の近代化遺産』奈良県教育委員会、2014年

脚注[編集]

  1. ^ 旧奈良監獄保存活用事業に係る優先交渉権者の選定について”. 法務省報道発表資料. 2017年5月27日閲覧。
  2. ^ 重要文化財の監獄ホテル、奈良に開業へ 法務省が運営権売却”. 日本経済新聞夕刊2017年5月26日. 2017年5月27日閲覧。
  3. ^ 『奈良県の近代化遺産』p.54
  4. ^ 近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会Facebookページ
  5. ^ 奈良少年刑務所、明治のれんが建築残して 地元自治会が重要文化財指定を願う要望書 ニュース奈良の声
  6. ^ a b 重要文化財(建造物)の指定について
  7. ^ a b 平成29年2月23日文部科学省告示第17号。
  8. ^ 朝日新聞1991年9月30日「地域の人たちに刑務所、少年院などの施設や業務の内容を知ってもらおうと、「第1回奈良矯正展」が29日、奈良市般若寺町の奈良少年刑務所で開かれた」

外部リンク[編集]

座標: 北緯34度41分54.5秒 東経135度50分0.1秒 / 北緯34.698472度 東経135.833361度 / 34.698472; 135.833361