寮美千子

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寮 美千子(りょう みちこ、1955年 - )は、日本の作家。幼年童話からジュブナイル小説・絵本・詩・純文学・ノンフィクションまで手がけ、題材も先住民文化から宇宙天文まで幅広い。

略歴・主な作品[編集]

千葉県立千葉高等学校卒。高校時代は弓道部に所属。中央大学文学部中退。外務省・広告制作会社[1]・フリーランスのコピーライターを経て、1986年、毎日童話新人賞を受賞、童話作家としてデビュー。2005年、泉鏡花文学賞を受賞。2006年以降、奈良市に在住。

童話・絵本・小説・詩・ノンフィクション[編集]

童話[編集]

  • 1986年、童話「ねっけつビスケット チビスケくん」で第10回毎日童話新人賞を受賞[2]毎日こどもしんぶんに連載(絵・古川タク)。審査委員長の寺村輝夫に物語の結末を「夢オチ」に書き直すよう求められたのを断ったところ、同賞受賞作のなかで初めて単行本化されなかった[3][4]
  • 1987年、童話単行本『ねこ地図いぬ地図りすの地図』(絵・倉橋達治、ポプラ社)を発表。
  • 2009年・2010年・2012年、奈良を舞台にしたファンタジー童話「ならまち大冒険」シリーズを毎日新聞大阪本社版に連載。2010年に一作目が『ならまち大冒険 ―まんとくんと小さな陰陽師』(絵・クロガネジンザ、毎日新聞社)として単行本化された。
  • 2013年、広島県三次市に伝わる「稲生物怪録」をもとにした童話を毎日新聞大阪本社版に連載。2015年に『へいきの平太郎 —稲生物怪物語』(絵・クロガネジンザ、ロクリン社)として単行本化された。

絵本[編集]

  • 1987年以降、幼稚園・保育園向けの月刊絵本誌で数多くの作品を発表。それらの中から『おおきくなったらなんになる?』(絵・はたこうしろう)『たいちゃんのたいこ』(絵・大島妙子、いずれも鈴木出版)『ほしのメリーゴーランド』(絵・鯰江光二、フレーベル館)などが単行本化された。また、「おおきくなったらなんになる?」「ぎざみみうさぎ」(絵:金尾惠子)「どんぐりたいかい」(人形制作・所由紀子)「もっともっとおおきなおなべ」(絵・どいかや)などが香港・台湾・韓国で翻訳出版された。
  • 1992年、野辺山宇宙電波観測所十周年記念絵本『ほしがうたっている』(絵・高橋常政、思索社)を制作。
    同年、アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成を受けて[5]アメリカを訪問、NASA[6]と先住民居留地を取材。1995年の『父は空 母は大地 ―インディアンからの手紙』(画・篠崎正喜、パロル舎)制作につながる[7]
  • 1999年、日本の先住民であるアイヌの民話に材をとった『おおかみのこがはしってきて』(画・小林敏也、パロル舎)を制作。2000年、北海道指定図書に選定[8]
  • 2004年、兵庫県立西はりま天文台の2メートル望遠鏡「なゆた」完成記念絵本『遠くをみたい ―星の贈りもの』(画・東逸子、パロル舎)を制作。
  • 2005年、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の助成を受けて『イオマンテ ―めぐるいのちの贈り物』(画・小林敏也、パロル舎)を制作。同年、小学館児童出版文化賞候補作に選出[4]。2010年、北海道指定図書に選定。
  • 2012年 - 2013年、古典絵巻の絵をそのまま使用して新たに詞書を付けた『空とぶ鉢 ―国宝信貴山縁起絵巻より』[9]『生まれかわり ―東大寺大仏縁起絵巻より』『祈りのちから ―東大寺大仏縁起絵巻より』(いずれも長崎出版)を発表。
  • 2013年、歴史ノンフィクション絵本『エルトゥールル号の遭難 —トルコと日本を結ぶ心の物語』(絵・磯良一、小学館)を発表。厚生労働省「子どもたちに読んでほしい本」に選定[10]

ほかに、日食についての科学解説と日本・アイヌ・インドの日食神話を一冊に収めた『黒い太陽のおはなし ―日食の科学と神話』(絵・佐竹美保、天文監修・黒田武彦、小学館)、神話絵本『天からおりてきた河 —インド・ガンジス神話』(画・山田博之、長崎出版)[11]など。

小説[編集]

  • 1988年 - 1989年、「小惑星美術館」(挿画・小林敏也)を毎日中学生新聞に連載。野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡にインスパイアされた、宇宙が舞台のSFファンタジー小説[12]。1990年、パロル舎から単行本化。2000年、NHK-FMでドラマ化[13]
  • 1991年、『ラジオスターレストラン』(パロル舎)を発表。電波天文学が明らかにした宇宙の物質循環のメカニズムを骨格とした冒険ファンタジー小説。1992年、TBSラジオでドラマ化[14]。2002年、山梨県立科学館でプラネタリウム番組化。2012年、金沢芸術創造財団がオペラ化[15]。同年、改訂新版『ラジオスターレストラン —千億の星の記憶』(長崎出版)を発表。
  • 1999年、『星兎』を発表。2006年、山梨県立科学館でプラネタリウム番組化[16]
  • 2005年、『楽園の鳥 —カルカッタ幻想曲』(講談社、2004年)[17]が第33回泉鏡花文学賞を受賞[18]。インドやネパールなどを舞台に、主人公が心の旅をするようすを詩情豊かに描いた長編小説[4]。選考委員の五木寛之は「リアリズムの基本を押さえ、自分の本当の魂を発見するという心の旅路を描いている」「哲学的な時間、空間を感じさせる。詩のような文体にほれ込んだ」と評した[19]。批評家の四方田犬彦は「魂の救済を求めタイからネパールへと彷徨ってゆく女性の物語」「「美しかりし夢の世」の破綻を描いてきた作者は、ここで初めて現実の汚穢をかい潜り、魂の浄化に到達することを知りました」と紹介した[20]。本書は講談社の名物編集者宇山日出臣が現役最後に作った本[21]平野湟太郎が造本し、表紙にはタイトルも著者名もなく、門坂流の銅版画のみが印刷されているという異色の装丁である[22]
  • 2009年、ファンタジー小説『夢見る水の王国』(角川書店)を発表。『楽園の鳥』の作中作でもある。
  • 2010年、『雪姫 ―遠野おしらさま迷宮』(兼六館出版)を発表。『遠野物語』をモチーフとした幻想小説。2011年、NHK-FMでドラマ化[23]

ほかに、『ノスタルギガンテス』(パロル舎)など。

詩・作詞[編集]

ノンフィクション[編集]

  • 1997年、『マザー・テレサへの旅 ―ボランティアってだれのため?』(学研)を発表。巻末に、生前のマザー・テレサから託された「日本のこどもたちへのメッセージ」を掲載。
  • 2001年、『わたしが選んだ職業』(井上荒野ほか共著、福音館書店)に寄稿。
  • 2008年、『しあわせの王様 ―全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦』(小学館)を発表。
  • 2013年、『先生!』(池上彰編、岩波新書)に、奈良少年刑務所での教育について記した「詩が開いた心の扉」を寄稿。

舞台・映像・オーディオドラマ[編集]

  • 1999年より、ミュージシャンと組んで自作のリーディング・ライブを行っている[28]。2010年までに豊住芳三郎、藤川義昭、明石隼汰、本多信介、翠川敬基、押尾コータロー、西陽子、坂田明、谷川賢作らとコラボレーション。
  • 2000年、アニメ『マザー・テレサ』(学研)の脚本を制作。同作は優秀映像教材選奨で優秀作品賞を受賞[29]
  • 2005年、オーディオドラマ『青いナムジル』(NHK)の脚本を制作。
  • 2011年、オーディオドラマ『雪姫 遠野おしらさま迷宮』(NHK)の脚本を制作。
  • 2012年、朗読劇『二人の采女』の脚本を制作[30][31]。同年、オペラ『ラジオスターレストラン ―星の記憶[32](金沢芸術創造財団)の原作・脚本を担当。音楽は谷川賢作、演出は丹下一
  • 2013年、音楽劇『大地の祈り ナウマン博士の夢』(糸魚川市民会館・いといがわ創造シアター)に歌詞を提供。
  • 2013年、芸能ユニット「勾玉天龍座」を結成[33]。古事記や古典文学をテーマに、物語の舞台となった場所などで上演活動をしている[34]。2014年までに『八俣の大蛇(古事記より)』『蛇性の婬(雨月物語より)』『祈りのちから(東大寺大仏縁起絵巻より)』『八咫烏(古事記より)』などの脚本を制作し、上演した。
  • 2013年より、演出家・俳優の丹下一が、寮美千子作品を舞台化する連続企画を行っている。2014年までに『遠くをみたい』『父は空 母は大地』『ノスタルギガンテス』が上演された。

プラネタリウム[編集]

池袋・旧サンシャインプラネタリウムの番組に詩を提供したのを皮切りに、プラネタリウム番組に作品を提供している。

論壇[編集]

地域文化[編集]

宇宙・天文[編集]

  • 1991年、産経新聞の元日特集紙面「宇宙新時代への夢と期待」に「大切な心をはるか遠くへ運ぶ旅」を寄稿。技術の進歩が人類の抱える問題を一挙に解決するかのような幻想に釘を刺した。
  • 1992年、産経新聞の元日特集紙面「国際宇宙年は地球を救えるか」で五代富文と対談。寮はスペースシャトルに「詩人を乗せたらどうか」と提案し、五代は「文学者や画家、詩人、哲学者などが行くことは大切」と答えた。
  • 2003年、研究会「プラネタリウムの役割と使命を考える」で「作家のみたプラネタリウム」を発表。

宮沢賢治[編集]

著作権[編集]

お水取り[編集]

死刑制度[編集]

  • 2012年5月、アムネスティ死刑廃止ネットワークセンターのサイトに、死刑問題についてのメッセージを寄稿。
  • 2012年10月、『年報・死刑廃止2012 少年事件と死刑』(インパクト出版会)に「一人として変らない子はいない」を寄稿。
  • 2014年4月7日放送、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル 死刑制度を考える』に出演[40]。死刑廃止の立場から発言した。

役職など[編集]

その他[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 草思社の広告部門でヤマハのPRを担当、「リコーダーの本」編集長を務めるなどした[1]
  2. ^ e-hon 毎日童話新人賞
  3. ^ 「寮美千子さんのデビュー作」クレヨンハウス絵本ブログ 2014年6月3日
  4. ^ a b c JK Who's Who ジャパンナレッジ
  5. ^ ACCグランティリスト1990-1999
  6. ^ 毛利衛の搭乗したスペースシャトルの打上げと帰還を視察した
  7. ^ 寮美千子「1992夏アリゾナ 先住民の声に耳を澄まして」『詩と思想』2000年9月号
  8. ^ 小松陽一「地域活性化の事業戦略構想と事業ダイナミズム—「北の屋台」の事例分析」2011
  9. ^ 読売新聞2012年4月14日、ニュース奈良の声2012年5月5日
  10. ^ 厚生労働省社会保障審議会推薦 平成26年度版「子どもたちに読んでほしい本」
  11. ^ 『楽園の鳥』の作中作でもある
  12. ^ 寮美千子「第33回泉鏡花文学賞 受賞スピーチ原稿@金沢市文化ホール 2005年11月22日」
  13. ^ 青春アドベンチャー : NHKオーディオドラマ
  14. ^ 寮美千子ラジオドラマ化作品 さうすウェーブ
  15. ^ ラジオスターレストラン 星の記憶
  16. ^ 2006年の活動記録 星の語り部
  17. ^ 2001年 - 2002年公明新聞連載小説に加筆
  18. ^ 泉鏡花文学賞 金沢市
  19. ^ 北國新聞2005年10月18日、毎日新聞2005年10月17日
  20. ^ 四方田犬彦『人間を守る読書』文春新書、2007年
  21. ^ 小学館『本の窓』2005年1月号84頁
  22. ^ アップリンク・ファクトリー「幻灯朗読会 寮美千子×門坂流」(2006年2月14日開催)リリース
  23. ^ 特集オーディオドラマ : NHKオーディオドラマ
  24. ^ セント・ギガのブレーンの一人であった沢木耕太郎の推薦により起用された。開局時には、オープニングとして準備されていたカート・ヴォネガット作品が寮美千子作品と差し替えになった
  25. ^ 一部の作品は寮美千子ホームページで公開されている Voice for St.GIGA
  26. ^ 北國新聞2011年11月4日
  27. ^ 校章校歌 奈良市富雄第三小中学校
  28. ^ 「環境・ひと 寮美千子」さうすウェーブ2001年11月
  29. ^ 2000年優秀映像教材選奨入賞作品 日本視聴覚教育協会
  30. ^ 奈良演劇祭ブログ公演情報2012年6月21日
  31. ^ 「「二人の采女」上演 観客、朗読劇楽しむ」ニュース奈良の声2012年6月24日
  32. ^ 新作日本語オペラ ラジオスターレストランー星の記憶ー
  33. ^ 勾玉天龍座 Facebookページ
  34. ^ 毎日新聞2015年1月7日
  35. ^ 毎日新聞1990年8月25日
  36. ^ 相対性理論百年「四次元幻想」源泉への時間旅行/第15回宮沢賢治研究発表@宮沢賢治イーハトーブ館 2005年9月23日
  37. ^ 発表予定原稿レジュメ
  38. ^ 著作権保護期間延長への反対意見が多く挙がる、文化審議会小委 Internet Watch
  39. ^ 2011年8月3日のツイート
  40. ^ 「ビートたけしのTVタックル」テレビ朝日
  41. ^ 岩波書店『図書』1990年10月号
  42. ^ 朝日新聞社『一冊の本』2005年11月号
  43. ^ 「17日、作家・寮美千子さんの朗読コンサート「小惑星8304」開催」アストロアーツ2004年1月14日

外部リンク[編集]