竜王戦

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竜王戦(りゅうおうせん)は、読売新聞社主催の将棋棋戦で、全7タイトル戦(竜王戦・名人戦王位戦王座戦棋王戦王将戦棋聖戦)の中で最高峰である。発足(第1期の開始)は1987年であるが、前身の十段戦、更にその前身の九段戦(第1期は1950年)から数えると、名人戦(第1期は1935-1937年)に次いで2番目に歴史の長いタイトル戦である。七番勝負の勝者は竜王のタイトル称号を得る。竜王位は名人位とともにプロ将棋界の頂点とされている。

概要[編集]

読売新聞社が主催していた「十段戦」が発展的に解消されて、1988年に竜王戦が発足した。駒の「竜王」(「飛車」の成り駒。略して「竜」とも呼ぶ。)から命名された。

竜王戦となってからタイトル戦の中で最も高い賞金を誇るようになり、第24期の優勝賞金は4200万円、敗者賞金は1550万円であり、また、挑戦者決定三番勝負の対局料は両者とも440万円である[1]。なお、賞金や対局料は何度も変更されている[2][3][4]

1組から6組に分かれたトーナメント(竜王ランキング戦[5])、本戦トーナメント、および、竜王戦七番勝負からなる。毎年11月頃から竜王ランキング戦が始まり、翌年夏に本戦トーナメントが行われて8-9月頃に挑戦者が決まり、竜王戦七番勝負は10月から12月頃にかけて行われる。

竜王と名人の序列[編集]

竜王戦は棋戦として序列1位であるが、竜王在位者と名人在位者の序列はタイトル保持数が多い棋士が上位となり、同じ保持数の場合は棋士番号が小さい方(プロ入りが早い方)を上位とすることになっている。1名が竜王と名人を独占した場合は、「竜王・名人」と呼ばれる。これは、竜王戦は賞金が最も高額だが、名人位は他のタイトルと比べ圧倒的に歴史が長く権威があり、竜王と名人の序列をつけにくいためと考えられる。

竜王(または名人)が、他の5つのタイトル戦のタイトルのうちのどれかを同時に保持している場合であっても、竜王(または名人)だけの称号で呼ぶのが現在の慣例である。たとえば、竜王位と王将位の二冠を保持していても、「竜王・王将」ではなく単に「竜王」と呼ばれ、全七冠を制覇している場合も、「竜王・名人」と呼ばれるのが通例である[6]

なお、竜王および名人は将棋界の代表として、アマチュア段位の免状への署名等、対局以外の多くの業務を課せられる。

「永世竜王」の称号[編集]

永世称号である永世竜王は、竜王位を連続5期もしくは通算7期以上保持した棋士に与えられる。2012年11月現在、永世竜王の資格を持つ棋士は渡辺明のみ。但し羽生善治が通算6期で永世竜王に王手をかけており、あと1期獲得すると竜王を含む7大タイトル全てで永世称号を与えられる事となる。しかし2002年に失冠して以降、羽生は竜王位から遠ざかっている。

「前竜王」の称号[編集]

竜王が七番勝負において負けて失冠し、かつ、他のタイトルに在位していない場合、1年間は前竜王と呼称される。前竜王の序列は、7つのタイトル戦のタイトル保持者に次ぐものと決まっている。

ただし、前竜王の称号を辞退して段位で呼称されることも可能である。辞退した場合は通常通り、タイトル保持者・九段・八段…の序列が適用される[7][8]

方式[編集]

独自のランキング戦と本戦によって挑戦者(本戦優勝者)を決定し、竜王と挑戦者は七番勝負を行う。組が上位であるほど、また、1組、2組では組の中での成績順位が上位であるほど、竜王在位者への挑戦権を得やすいシステムとなっている。

なお、2005年に制度が見直され、第18期(2005年)以前と第19期(2006年)以後で異なる部分がある。また、第1期竜王戦については後述する。

ランキング戦[編集]

竜王戦の予選は、1組から6組までに分かれたトーナメント戦で始まり、これを「竜王ランキング戦」と呼ぶ。1組の上位5名、2組の上位2名、3組から6組までの優勝者各1名の合計11名が本戦に出場する。

第18期までの本戦出場は、1組から4名、3組から2名であったが、第19期から、1組から5名、3組から1名に変更された。同時に、各組の昇級枠・降級枠の人数も変更された(例:1組からの降級者と2組からの昇級枠は各々3名であった)。

現役棋士が在籍する組の一覧は、将棋棋士の在籍クラス を参照。

クラス 定員 本戦出場 昇級 降級 賞金(万円) 備考
第24期から[9] (参考)
第23期まで[1]
1組 16名 5名
(優勝者,準優勝者,
3位、4位、5位)
4名
(5位決定戦1回戦敗退者)
優勝450
準優勝110
優勝360
準優勝90
2組 16名 2名
(優勝者,準優勝者)
4名
(決勝進出者2名、
および3位2名)
4名
(昇級者決定戦1回戦敗者)
優勝350
準優勝90
優勝280
準優勝70
3組 16名 1名
(優勝者)
4名
(同上)
4名
(同上)
優勝250
準優勝60
優勝200
準優勝50
4組 32名 1名
(優勝者)
4名
(同上)
4名
(残留決定戦敗者)
優勝200
準優勝50
優勝160
準優勝40
5組 32名 1名
(優勝者)
4名
(同上)
4名
(同上)
優勝150
準優勝40
優勝120
準優勝30
6組 残り全員 1名
(優勝者)
4名
(同上)
優勝90
準優勝20
優勝70
準優勝17
女流枠4名
アマチュア枠5名
奨励会員枠1名

各組において、準決勝までに敗れた棋士は、敗者復活昇級者決定戦(1組は本戦出場者決定戦)に回り、その中で3位の昇級者(1組は本戦出場する3位-5位)や降級者が決まる。

昇級は1つ上の組に上がり、降級は1つ下の組に下がるのが原則である。ただし、3組以下から挑戦者が出た場合、挑戦者は、たとえ七番勝負で敗れても一気に1組へ昇級する。

本戦出場者決定戦(1組のみ)
  • 1組の3位決定戦は、ランキング戦準決勝の敗者2名が対戦し、勝者が1組3位となる
  • 1組の4位決定戦は、ランキング戦2回戦敗者4名によるトーナメントで、勝ち抜いた1名が1組4位となる
  • 1組の5位決定戦は、ランキング戦1回戦敗者8名によるトーナメントで、勝ち抜いた1名が1組5位となる
  • 5位決定戦1回戦敗退者4名は2組へ降級する
昇級者決定戦(2組以下)
  • 2組以下の3位(各組2名)は、ランキング戦の準決勝までに敗れた棋士達による昇級者決定戦で決める
  • 2組、3組の降級者4名は、ランキング戦1回戦で敗れ、かつ、昇級者決定戦の1回戦でも敗れた4名である
  • 4組、5組の残留決定戦は、ランキング戦の1回戦で敗れ、かつ、昇級者決定戦の1回戦でも敗れた8名によって一対一の形で行われ、その敗者4名が降級する
棋士以外の出場枠
6組には女流棋士枠(第7期に2名枠で新設、第22期より4名)とアマチュア枠(アマチュア竜王戦ベスト4および支部名人[10]の計5名)、奨励会員枠(第25期より、年度前期三段リーグ上位者1名)がある。アマチュアの1回戦は初参加の新四段と対局する(場合によっては1名はそれ以外の棋士との対局になる)。
女流やアマチュアが昇級の条件を満たした場合でも5組に昇級することができる。ただし、昇級者決定戦には参加できないため、決勝進出が要件となる。現在のところ、5組昇級に手が届いた女流やアマはいないが、最高成績としては、第4期の天野高志アマの準決勝進出[11]がある。またプロ3人抜きを果たしたアマは、第25期までで天野アマを含め6人いる。
第24期では女流棋士が絡む6組1回戦の4カードが、王座戦同様の同日一斉対局として行われた。
持ち時間
持ち時間は、ランキング戦、昇級者決定戦、1組の本戦出場者決定戦は各5時間、残留決定戦は各3時間で行われる。
定員過不足の調整
七番勝負の敗者は、在籍していたクラスの上下によらず次期は1組在籍となる。このため、3組以下の棋士が挑戦者になった場合、そのままではその棋士が在籍していた組の1つ上の組では定員割れになり、一方1組では定員を超過してしまう。それを避けるため、残留決定戦が追加で組まれる。1組では、5位決定戦の2回戦で敗れた棋士2人が一対一の残留決定戦を行い、敗れた方が5人目の2組降級者となる。このケースでは2組以下も順次必要な組まで降級者が追加される[12]
第20期(2007年)から、棋士の休場や引退などの理由で、5組以上の各組で定員割れや定員超過が起きた場合は、昇降級者決定戦を追加で行うことが規約に盛り込まれた。この場合、5人目の昇級者は、3位決定戦で敗れた2名による一対一の勝負で決まる。ただし、欠員が2名以上発生しても補充枠は1期につき各組1つずつしか増えない[13]
対局料
ランキング戦等の対局料について具体的な金額は非公開だが、システムの概要については過去に田丸昇が自身のブログで明らかにしている[14]
ランキング戦の対局料は、原則として1組を基準として以下組が下がる毎に「1つ上の組の75%」で算出される。ただ実際の対局料は対局者の段位にも影響され、同じ組でも段位が高いと対局料は高くなる(実際田丸は(八段から九段に)昇段して「2割ほど対局料が増えた」という[14])。また昇級者決定戦の対局料はランキング戦の80%、残留決定戦は同30%となる。なお女流棋士は一律6組の通常の対局料の75%、奨励会三段は女流棋士の75%(≒6組の通常の対局料の約56%)に減額される。アマチュア選手は持ち時間に応じた商品券が支給される。ただし、アマチュアでも組準優勝以上の賞金は獲得できるようだとしている[14]

本戦[編集]

本戦トーナメント(第2期 - 第18期)
本戦トーナメント(第19期以後)

「決勝トーナメント」とも呼ぶ。

ランキング戦の組と順位により、右図のように位置があらかじめ定められたトーナメントを行う。

挑戦者となるには、現行の制度では1組の優勝者は2人を破れば(挑戦者決定戦が三番勝負のため、2人×2勝の4勝が必要)よいが、5組、6組の優勝者の場合は6人を破る(7勝する)ことが要件となる。

挑戦者決定戦(本戦決勝)は三番勝負で行い、先に2勝したものが挑戦者となる。持ち時間は各5時間。なお、前述の通り、挑戦者となった者は3組以下であっても1組に昇級する。

竜王戦七番勝負[編集]

竜王と本戦を勝ち抜いた棋士が七番勝負を戦う。先に4勝したほうが新たな竜王となる。七番勝負は全国各地の旅館やホテルなどで開催され、とくに第1局は日本国外での対局が行われることもある(下記)。

持ち時間は各8時間で、1局を2日かけて実施する。1日目の終わりには封じ手を行い、2日目の開始まで次の手を考えて有利になることがないようにする。

日本国外での対局

竜王戦の規定による昇段[編集]

竜王戦の規定による昇段基準は、竜王位1期で八段、2期で九段、竜王挑戦や1組昇級で七段などと定められている。

なお、将棋の昇段基準の中で、竜王戦の規定によるものとタイトル獲得による七段昇段についてのみ、飛びつき昇段(途中の段位を飛ばして2つ以上昇段すること)や1年以内に2つ以上の昇段が認められている。

歴代七番勝負および本戦出場者[編集]

  • 「年度」は、七番勝負第1局(10月)が行われた年。勝負の展開によっては最終局が越年することがある[15]
  • 凡例
  • 七番勝負の○●は、竜王から見た勝敗(○=勝ち、●=負け)
  • “ 千 ”:千日手、 “ 持 ”:持将棋
  • 挑戦者の段位で矢印(⇒)は、竜王挑戦を事由とした昇段
  • “ * ”: 挑戦権獲得者(挑戦者決定三番勝負の勝者)、 “ 3 ”: 挑戦者決定三番勝負の敗者
年度 第1期本戦準決勝シード 第1期本戦シード
1 1988 第1期七番勝負
六段 島朗 ○○○○ 九段 米長邦雄
3 十段 高橋道雄 3 永世十段 中原誠 永世十段 大山康晴
1組優勝 1組2位 1組3位 2組優勝 2組2位 3組優勝 3組2位 4組優勝 5組優勝 6組優勝
桐山 *米長 中村修 大内 小野修 * 羽生 飯野 先崎
年度 竜王在位者 七番勝負 挑戦者 1組優勝 1組2位 1組3位 2組優勝 2組2位 3組優勝 3組2位 4組優勝 5組優勝 6組優勝
2 1989 第1期竜王 島朗 ○持○●●●○● 五段⇒六段 羽生善治 中原 内藤 大山 勝浦 田中寅 *羽生 佐伯 3森下 小林宏 長沼
3 1990 第2期竜王 羽生善治 ●●●○● 王位・王座 谷川浩司 青野 中原 *谷川 福崎 塚田泰 3石田 西川慶 佐藤康 有森 畠山成
4 1991 第3期竜王 谷川浩司 持○●●○○○ 六段 森下卓 福崎 塚田泰 勝浦 児玉 石田 *森下 日浦 3小林宏 畠山鎮 丸山
5 1992 第4期竜王 谷川浩司 ○千○●●●○● 王座・棋王 羽生善治 米長 高橋 中原 *羽生 3佐藤康 村山聖 神谷 藤原 深浦
6 1993 第5期竜王 羽生善治 ○●○●●● 六段⇒七段 佐藤康光 *佐藤康 谷川 塚田泰 勝浦 大内 内藤 3森内 井上慶 真田
7 1994 第6期竜王 佐藤康光 ●●●○○● 名人 羽生善治 高橋 *羽生 米長 村山聖 中村修 森内 屋敷 中田宏 深浦 3行方
8 1995 第7期竜王 羽生善治 ●○○○●○ 前竜王 佐藤康光 中原 森下 *佐藤康 谷川 3先崎 小野修 日浦 西村 阿部隆 行方 鈴木大
9 1996 第8期竜王 羽生善治 ○●●●● 九段 谷川浩司 高橋 *谷川 3佐藤康 森内 日浦 丸山 浦野 井上慶 飯塚 川上
10 1997 第9期竜王 谷川浩司 ○○○○ 五段⇒六段 真田圭一 塚田泰 佐藤康 森内 3屋敷 先崎 行方 阿部隆 *真田 松本 近藤
11 1998 第10期竜王 谷川浩司 ●●●● 六段⇒七段 藤井猛 3羽生 屋敷 高橋 丸山 森雞 郷田 鈴木大 *藤井 大野 北島
12 1999 第11期竜王 藤井猛 ○○○●○ 五段⇒六段 鈴木大介 森内 佐藤康 3丸山 谷川 郷田 *鈴木大 井上慶 畠山鎮 久保 木下浩 佐藤紳
13 2000 第12期竜王 藤井猛 ○●○○●●○ 五冠 羽生善治 中原 *羽生 3佐藤康 谷川 屋敷 米長 畠山成 青野 三浦 山本 田村
14 2001 第13期竜王 藤井猛 ●○●●● 四冠 羽生善治 谷川 中村修 *羽生 郷田 井上慶 畠山鎮 富岡 3木村一 北島 伊奈
15 2002 第14期竜王 羽生善治 千千○○●●●○○ 七段 阿部隆 森下 藤井 森内 佐藤康 *阿部隆 真田 木村一 3中田宏 野月 松尾 宮田敦
16 2003 第15期竜王 羽生善治 ●●●● 九段 森内俊之 佐藤康 谷川 *森内 中村修 木村一 3中原 杉本 久保 北島 山崎 高野
17 2004 第16期竜王 森内俊之 ●○○●●○● 五段⇒六段 渡辺明 谷川 3森下 屋敷 羽生 先崎 杉本 神谷 森雞 *渡辺明 矢倉 西尾
18 2005 第17期竜王 渡辺明 ○○○○ 七段 木村一基 3三浦 森内 *木村一 行方 阿部隆 中村修 塚田泰 島朗 川上 増田裕 片上
以下、本戦出場枠を1組5名、3組1名に変更。1組優勝者は本戦準決勝からの登場に変更。
年度 竜王在位者 七番勝負 挑戦者 1組優勝 1組2位 1組3位 1組4位 1組5位 2組優勝 2組2位 3組優勝 4組優勝 5組優勝 6組優勝
19 2006 第18期竜王 渡辺明 ●●○○○●○ 棋聖 佐藤康光 3丸山 森内 *佐藤康 畠山鎮 杉本 森下 鈴木大 松尾 佐藤紳 中座 中村亮
20 2007 第19期竜王 渡辺明 ○●○○●○ 棋聖・棋王 佐藤康光 3木村一 *佐藤康 羽生 中原 谷川 深浦 富岡 久保 片上 伊奈 戸辺
21 2008 第20期竜王 渡辺明 ●●●○○○○ 名人 羽生善治 丸山 3木村一 郷田 深浦 *羽生 山崎 久保 阿久津 増田裕 糸谷 豊島
22 2009 第21期竜王 渡辺明 ○○○○ 九段 森内俊之 3深浦 羽生 高橋 久保 松尾 *森内 森下 片上 田中寅 豊島 稲葉
23 2010 第22期竜王 渡辺明 ○○●●○○ 名人 羽生善治 丸山 松尾 *羽生 3久保 郷田 藤井 三浦 阿久津 村山慈 戸辺 中村太
24 2011 第23期竜王 渡辺明 ○○●○○ 九段 丸山忠久 *丸山 3久保 羽生 深浦 佐藤康 橋本崇 山崎 佐藤天 佐藤秀 稲葉 永瀬
25 2012 第24期竜王 渡辺明 ○○○●○ 九段 丸山忠久 深浦 3山崎 飯島 *丸山 三浦 佐藤天 藤井 豊島 稲葉 永瀬 大石
26 2013 第25期竜王 渡辺明 ●●○●● 名人 森内俊之 佐藤康 *森内 羽生 3郷田 山崎 小林裕 豊島 谷川 永瀬 及川 金井
27 2014 第26期竜王 森内俊之 ●●○●● 六段⇒七段 糸谷哲郎 3羽生 屋敷 阿久津 郷田 深浦 行方 三浦 *糸谷 中村太 髙見 藤森
28 2015 第27期竜王 糸谷哲郎 羽生 阿久津 豊島 佐藤康 藤井 稲葉 渡辺明 真田 永瀬 斎藤慎 千田

エピソード[編集]

「竜王ドリーム」
将棋の最高位のタイトル戦ながら、若手にもタイトル奪取のチャンスがあり、アマチュアや女流棋士も参加できる。実際、島朗羽生善治佐藤康光藤井猛渡辺明糸谷哲郎のように若手時代にいきなり、竜王という最高位に上りつめた例がある(自身初のタイトル獲得が竜王)。最低クラス挑戦記録の保持者は4組優勝で本戦進出した真田圭一・藤井猛・渡辺明であり、このうち藤井と渡辺はその期に竜王位奪取に成功している。
1組優勝者のジンクス
棋戦創設以来長らく1組の優勝者が挑戦者になったことがなく、いわゆる「将棋界の七不思議」の一つとして、しばしば話題となった。第17期までは挑戦者決定三番勝負へ進出したことさえなかった(第18期に初めて1組優勝の三浦弘行が三番勝負に進出)。さらに第19期からの本戦トーナメント表は、上記の図のとおり1組優勝者に有利なものに変更されたが、それでもなお挑戦者が現れなかった。それまで3度1組優勝を果たしながら挑戦者になれなかった丸山忠久が、4度目の1組優勝を果たした第24期で自身初の挑戦権を獲得し、このジンクスに終止符を打った。しかし、1組優勝者の竜王奪取は未だに達成されていない。
新人棋士が挑決進出(第7期)
第7期(1994年)、新四段で竜王戦初参加の行方尚史が6組で優勝し、さらには本戦トーナメントでも挑戦者決定三番勝負に進出して、「あわや6組から挑戦か」ということで話題となった(結果は羽生善治に0-2で敗退)。
「初代永世竜王決定戦」と3連敗4連勝(第21期)
第21期(2008年)は、4連覇中の渡辺に通算6期獲得の羽生が挑戦し、勝った方が初代永世竜王資格を得る大一番となった。このような「永世称号決定戦」は全タイトル戦通じて史上初。結果は羽生の3連勝の後に渡辺が4連勝し逆転で防衛。初代永世竜王資格を獲得した。また、(竜王戦に限らず)七番勝負のタイトル戦での3連敗4連勝も、将棋界では史上初の出来事であった。
三冠王と二冠王で挑決(第23期)
第23期(2010年)の挑戦者決定三番勝負に進出したのは、1組3位の羽生善治名人(王座・棋聖を合わせ三冠)と1組4位の久保利明棋王・王将である。タイトル保持者同士での挑決三番勝負でさえ史上初だが、しかも複数冠同士の対決となった(羽生が2-0で挑戦権を得た)。
第3局は後手番の勝利(第15期~第27期 継続中)
第15期(2002年)の第3局▲羽生善治竜王-△阿部隆七段戦で羽生竜王が敗れて以来、七番勝負の第3局では後手番の勝利が続いている。
1組5位の壁(第19期~第27期 継続中)
本戦トーナメントの制度が変更された第19期(2006年)以降、4組優勝者対[5組優勝者対6組優勝者の勝者]の勝者は1組5位との対局だが、全て1組5位が勝っている。

記録[編集]

ランキング戦に関する記録

テレビ放送[編集]

七番勝負の模様は、名人戦七番勝負と同様、「将棋竜王戦」という番組名でNHKでテレビ放送される。名人戦 (将棋)#テレビ放送 を参照。

第1期竜王戦[編集]

1987 - 1988年に行われた第1期は、竜王戦の前身が十段戦であったということで、十段在位者(第26期十段)1名、永世十段2名の計3名が本戦にシードされた。

ランキング戦の組分けの順序は、第25期十段と十段以外のタイトル保持者を優先し、以下、順位戦の順位で決められた。

本戦は14人によるトーナメントで、2つの準決勝は三番勝負、決勝は七番勝負で行われ、決勝を制した島朗六段が初代竜王となった。

(表中、称号や段位は当時のもの)

クラス 人数 本戦出場 構成
(第46期順位戦順位等)
備考
本戦準決勝シード 1名 高橋道雄十段(第26期十段)・棋王
 (B級2組20位)
準決勝三番勝負で米長に敗れる。
本戦準々決勝シード 2名 中原誠永世十段・名人
大山康晴永世十段・十五世名人(A級4位)
中原が準決勝三番勝負に進出する
が、島に敗れる。
1組 14名 4名 福崎文吾第25期十段(B級2組3位)
桐山清澄棋聖(A級3位)
谷川浩司王位(A級2位)
塚田泰明王座(B級1組13位)
中村修王将(B級2組4位)
・A級1,5-10位
・B級1組1,2位
1組2位で本戦出場の米長邦雄九段
(A級1位)が竜王決定七番勝負に
進出するが、島に敗れる。
2組 16名 2名 ・B級1組3-12位
・B級2組1,2,5-8位
3組 16名 2名 ・B級2組9-19,21-23位
・C級1組1,2位
3組2位から本戦出場の島朗六段
(B級2組9位)が初代竜王に。
4組 32名 1名 ・C級1組3-24位
・C級2組1-10位
5組 32名 1名 ・C級2組11-42位

6組 残り全員
(19名)
1名 ・C級2組43位以下11名
・C級2組からの降級者1名(関屋喜代作六段)[16]
・新四段3名
・アマチュア4名

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 竜王戦の賞金(竜王ランキング戦・決勝トーナメントについて)日本将棋連盟 2011年7月3日閲覧
  2. ^ たとえば、第9期は勝者賞金3200万円、敗者賞金800万円、竜王対局料1350万円、挑戦者対局料675万円、挑戦者決定三番勝負の対局料330万円。第19期は勝者賞金3200万円、敗者賞金800万円、竜王対局料1450万円、挑戦者対局料700万円、挑戦者決定三番勝負の対局料330万円。第22期・第23期は、竜王対局料3900万円、敗者賞金1500万円、挑戦者決定三番勝負の対局料350万円。
  3. ^ 第22期決勝トーナメント(日本将棋連盟) 2009年9月29日閲覧。
  4. ^ 田丸昇「と金横歩き」2009年11月2日閲覧。
  5. ^ 昇級者・降級者決定戦も含む。
  6. ^ ただし、竜王戦・名人戦以外の棋戦(タイトル戦・一般棋戦)の主催者・スポンサー等は、その棋戦の称号を優先している。
  7. ^ 日本将棋連盟棋士紹介のページを参照。
  8. ^ 2014年現在、前竜王を名乗った最後の棋士は1995年度の佐藤康光である。
  9. ^ 第24期竜王戦ランキング戦(日本将棋連盟)2011年6月1日閲覧
  10. ^ 支部名人がアマチュア竜王戦のベスト4になった場合、支部名人戦準優勝者が出場資格を得る(例えば第28期竜王戦)。
  11. ^ 佐藤秀司新四段、木下浩一四段、沼春雄五段に勝利するが、準決勝で丸山忠久新四段(後の名人)に敗れる。
  12. ^ ただし、同一期内で調整をせず、次期に降級枠を1つ増やすことで1期遅れで清算する場合もある。実例として第17期では4組在籍の渡辺明が挑戦者となったため、第18期の1組の人数は17人となり、降級枠が通常より1名増やされた。同様に3組在籍の糸谷哲郎が挑戦者となった第27期でも1組の残留決定戦は行われず、第28期で1組の降級者が1名増やされた。
  13. ^ 第22期では、1組に在籍していた中原誠の引退に伴う欠員の補充のため、3組と4組で追加の昇級者決定戦が組まれたものの、すでに欠員があった5組では追加がなかったため、明くる第23期は4組で欠員が生じた
  14. ^ a b c 森内俊之竜王の就位式と竜王戦の対局料システム - 田丸昇のと金横歩き・2014年2月4日
  15. ^ 実際、第5期・第15期は、フルセットの戦いとなった上に千日手による後日指し直しが発生したため、最終局は翌年1月となった(第5期は第2局が千日手、第15期は第1局が千日手2回)。
  16. ^ 第1期が行われた当時は、フリークラスの制度が存在していなかった。
  17. ^ ポケモン竜王戦 - 株式会社ポケモン(第1期サイト)
  18. ^ 『ポケモン竜王戦』公式サイト - 株式会社ポケモン(第2期サイト)
  19. ^ ポケモン竜王戦 決勝大会レポート 更新: 2014年3月26日 11:17 - 日本将棋連盟

外部リンク[編集]